今回でこの小説の本当の最終回になります。
色々と言いたいことはあるのですが、後書きにまとめようと思います。
後書きが長くなりそうですが、ご了承下さい。
それでは、エピローグをどうぞ!
カカシの丘で行われた統夜の魔戒騎士としての卒業式から数日が経過した。
統夜たち5人がいなくなったことで、軽音部の部員は梓とトンちゃんだけになってしまった。
そんな状態ではあったが、梓は今日も1人音楽準備室に顔を出し、トンちゃんに餌をあげていた。
部員が1人になったということは、トンちゃんの世話は梓1人で行わなくてはならないのだが、それを梓は苦だとは思わなかった。
むしろ、統夜たちがいなくなった寂しさを少しでも埋められたらと思っていた。
しかし、すぐに寂しさがごみ上げるのだが、梓はそんな不安を払拭するかのように首をブンブンと振っていた。
トンちゃんの餌やりを終えた梓は、1人で練習を行う訳でもなく、今までティータイムの時に自分の座ってた席に座ってぼぉっとしていた。
そして、梓は思い出していた。ここで行われたティータイムのことを。
ここでのティータイムは特別なことは行われていないのだが、そんな当たり前な日常が梓にとっては宝物だった。
だが、それは梓だけではなく、統夜たちもそう思っているに違いない。
そう考えると、少しだけ寂しさは紛れたが、やはり統夜たちがいなくなり、梓の胸にはポッカリと穴が開いたような気持ちになっていた。
(……私、本当に……。1人になっちゃったんだな……)
トンちゃんがいてくれるといっても、現在の軽音部の部員は梓だけになるので、やはり寂しいという気持ちが勝っていた。
しかし……。
(ダメダメ!弱気になってたら!これから新入部員をドンドン入れて、廃部を阻止しなきゃいけないんだもん!)
統夜たちとの思い出が詰まった軽音部を廃部にさせる訳にはいかない。
心にポッカリと穴が開いたような気持ちになった梓が奮い立つには十分すぎる動機であった。
梓が1人で一喜一憂していたその時、音楽準備室の扉がガチャっと開かれると、純と憂の2人が入ってきた。
「梓、やっぱり辛気くさい顔してるねぇ」
統夜たちが卒業し、授業中もぼぉっとするようになっていた梓であったが、部室でも同様にぼぉっとしていたため、純は苦笑いをしながら呆れていた。
「……純、憂。2人ともどうしたの?」
「あのね、梓ちゃん。私たち、軽音部に入りに来たの」
「……」
どうやら憂と純は軽音部に入部するためにこの音楽準備室を訪れたのだが、それが信じられないと言いたげな梓は目をパチクリとさせていた。
「あ、あの……。今、なんて言ったの?」
「だーかーらー!!入部希望だって言ってるんじゃん!」
呆けている梓に対して、純は改めて入部の意思を伝えていた。
梓が呆けているのには1つ理由があるのである。
それは……。
「だ、だって純!ジャズ研はどうしたの!?」
純は軽音部ではなく、ジャズ研究会に所属しており、卒業までそのジャズ研にいるものだと梓は思っていたからだ。
「……実はね。昨日、退部届を出して来たんだよね」
純は、軽音部に入るために2年間所属していたジャズ研究会に退部届を提出したのである。
「な……何で!?純、ずっとジャズ研でベースを頑張っていたじゃん!」
梓は純がずっとジャズ研で真面目にベースを頑張っていたのを知っているため、そんなジャズ研をやめるということが信じられなかった。
「私だって本当は辞めたくないって思ったし、迷ったんだけどさ……。最後の1年くらいは梓と一緒にバンドをやりたいって思ったんだよね」
純も2年間頑張ってきた部活をやめることに抵抗はあったのだが、梓と一緒にバンドをしたい。
そんな強い気持ちが、ジャズ研を辞めて軽音部に入るという気持ちを強くしていた。
「純……」
梓は、そこまでのことを言ってくれた純の言葉を心から喜んでいた。
それに、梓と一緒にバンドをしたいというのは、純だけではなかった。
「私も純ちゃんと同じ気持ちだよ♪4月からはお姉ちゃんは大学の寮に行っちゃうからやることもなくなるし、私も梓ちゃんや純ちゃんと一緒にバンドをやりたいの!」
平沢家の両親は家を空けがちであり、唯も4月からは大学へ進学するため、それに合わせて大学の寮で生活することになっている。
そのため、憂は4月からは1人で過ごす機会も多くなると予想された。
時間も多く出来るため、憂は梓とバンドをやってみたいと思っていたため、ジャズ研を辞めた純と共に軽音部へ入部することを決意したのであった。
「本当に……いいの?」
「もちろんだよ!梓ちゃん!」
「つか、もうジャズ研辞めちゃったし、もう後には退けないって」
梓は改めて2人に入部の意思があるのか確認したのだが、2人ともその意思は固かった。
「……」
軽音部に親友である憂と純が入ってくれる。
それが嬉しいと感じていた梓だったが、何故か顔を隠して俯いていた。
「……梓?どうしたの?」
「梓ちゃん?」
純と憂は、何故梓が俯いているのかがわからず、首を傾げていた。
「……か……」
「「か?」」
梓が口にした言葉は「か」だけであったため、その意味を理解出来ない2人は首を傾げていた。
すると……。
「確保ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
梓は不意にこう叫ぶと、憂と純目掛けて駆け出していき、2人に抱きついて捕まえるために飛びかかっていた。
「「ギャーー!!」」
突然の出来事に、憂と純は、思わず悲鳴をあげてしまったのだが、梓に抱きつかれ、満更でもないようであった。
こうして、軽音部の部員は梓1人だけではなく、純と憂が加入し、3人になった。
しかし、部員は5人揃わないと廃部であるため、梓たちの問題は解決した訳ではなかった。
しかし、1人ではなく、3人であるため、これからも3人力を合わせてこの問題を解決していくだろう。
3人の絆は、こう確信させるものであった。
そんな3人の様子を、学校の外から見守っている者がいた。
「……梓……良かったな……」
それは高校を卒業したばかりの統夜であり、統夜は音楽準備室近くに生えている木に登り、梓たちの様子を見守っていた。
当然声は聞こえなかったのだが、窓から見える景色から、憂と純が軽音部に入ったのであろうと推測することは出来たのである。
『やれやれ……。どうせ梓の様子を見るなら、堂々と正面から入ればいいものを……』
イルバは統夜が正面からではなく、このように木に登ってコソコソと3人の様子を見ているのかが理解出来なかった。
「確かにそうなんだけどさ、卒業したばかりで正面から様子を見るのもどうかなって思ってさ……」
『やれやれ……。お前さんは本当に面倒くさいやつだな……』
イルバはなんだかんだと理由をつけて、正面から梓たちを見守ろうとしない統夜に呆れていた。
『……まぁ、梓の様子も見たことだし、これで満足だろ?』
「……あぁ。とりあえず番犬所へ行こうか」
統夜は木から飛び降りると、誰にも見つからないように桜ヶ丘高校を後にすると、そのまま番犬所へと向かった。
「……あれ?」
そんな統夜に気付いたのか、憂は首を傾げていた。
「ん?どうしたの、憂?」
「いや……さっき、統夜さんの姿を見たような気がしたんだけど……」
「気のせいじゃない?統夜先輩は魔戒騎士の仕事で忙しいんでしょ?だったら、こんな所で油を売ってるわけないよ!」
「アハハ……。そうだよね……」
純は統夜がいるということを否定し、憂は納得してしまっていた。
そんな中、梓だけは本当に統夜が来てくれたんだと信じていた。
(統夜先輩……。私たちこと、見守ってくれてるんだね!)
卒業しても何かあれば力になる。
卒業式の時に統夜はこう言っていたのだが、統夜は魔戒騎士の仕事の合間に自分たちの様子をこっそりではあるが、見にきてくれた。
梓にはそれが嬉しかったのである。
「……さて!新歓に向けて練習しよっ!練習!」
「「うん!!」」
こうして、憂と純が正式に加わった新生軽音部は、春に行われる新歓ライブに向けて、練習を開始するのであった。
〜統夜 side〜
……鋼牙さんが俺に高校生最後の試練を行ってから、数日が経過した。
それからの俺は魔戒騎士として、より一層使命を果たすべく励んでいた。
そんな中、俺たちが卒業することで1人になってしまった梓のことが気がかりであった。
心配な気持ちから、俺はこっそりと桜ヶ丘高校に忍び込み、音楽準備室の様子が見える木に登って、梓の様子を見ていた。
別に正面から入っても良かったんだけど、卒業早々遊びに行くっていうのは気恥ずかしくてな……。
やっぱり1人寂しそうにしていた梓だったけど、どうやら憂ちゃんと純ちゃんが軽音部に入ってくれるみたいだ。
純ちゃんはジャズ研をやめてまで軽音部に入ってくれたのかな?そうだとしたら申し訳ないけど、ありがたい。
憂ちゃんの場合は唯が大学の寮に行っちゃうから時間も出来るだろうしな……。
この3人なら軽音部はきっと大丈夫だろう。
少しだけ肩の荷が下りた俺は、イルバに呆れられながらも桜高を後にして、番犬所へと向かった。
そして今は、指令を受けてホラーを探してるんだけど、今は商店街で一休みしており、賑わう人々のことをジッと眺めていた。
……俺は、これからこの人たちの当たり前の日常を守っていくんだな。
まぁ、高校に行ってた時からそうだったけど、もっともっと多くの人を守るために戦うことになる。
鋼牙さんも言ってたけど、これからも多くの試練が俺を待ち受けてるだろう。
だけど、大丈夫だ。
俺には守りたい大切な人がいる。
それだけじゃない。この街は大好きだし、この街の人々だって大好きだ。
だからこそ、俺はこの街をホラーの好きにはさせないと思っている。
そんな気持ちがあれば、俺はもっともっと強くなれるし、俺の力になる。
これは、純粋に力を求める訳じゃない。守りたい大切な人の思いを受け取ることで、俺はもっと強くなれるんだ……!
俺がそんなことを考えながら物思いにふけっていると……。
『……おいおい、統夜。どうしたんだ?ボケっとして』
「……別に?これからはもっともっと頑張っていこう。そう思ってただけさ」
『何を当たり前なことを……』
まぁ、別にいいじゃねぇか。
イルバは呆れてるけど、俺は心の底からこう思ってるんだから……。
そんなことを考えていたその時だった。
『……統夜!ホラーの気配だぜ!』
おっと、どうやら仕事のようだな……。
「わかったぜ、イルバ。さっそく行こう!」
『了解だ、統夜』
こうして、俺はイルバのナビゲーションを頼りにホラーのいるであろう場所へと向かっていった。
さっきも言ったけど、この大好きな桜ヶ丘を、ホラーの好きにはさせないさ!
……我が名は月影統夜!白銀騎士奏狼の称号を持つ魔戒騎士だ!!
この街は……桜ヶ丘は……。
……俺が守る!!守ってみせる!!
「牙狼×けいおん 白銀の刃」、終。
無事にこの小説を終わらせることが出来ました。
去年の4月にこの小説を投稿し、その当時はここまで長編になるとは思ってもいませんでした。
最初から最後まで駄文でしたが、楽しんでいただけたなら幸いです。
今回のエピローグは、統夜たちがいなくなった後の梓の話と、魔戒騎士として本格的に活動していく統夜の決意が描かれました。
梓は、純や憂の2人が軽音部に入り、新生軽音部として動き始めました。
そして、統夜は改めて桜ヶ丘の人を守るという決意を固めています。
守りたい人がいればそれだけ強くなれる。
これこそが、旧魔戒語で「勇気」の名を持つ、白銀騎士奏狼。月影統夜だと思っています。
統夜の語りの部分は、何となくですが、パチンコの全回転を意識してみました。
それっぽくなってるかは別として……(笑)
これでこの小説は完結なんですが、実は1つ書きたいと考えている番外編がありまして、それを新章としてあげたいと考えています。
投稿時期は未定なので、楽しみにしていて下さい。
この小説は終わっても先ほど以外の番外編はあげていこうと考えていますので、これからもよろしくお願いします。
あと、次回作の投稿時期ですが、それは後で活動報告を書こうと思っていますのでよろしくお願いします。
今回が本当の最終回ということで、後書きが長くなってしまいました(笑)
そして、最後になりますが、最後まで駄文だったこの小説をここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
これからも、ナック・Gをよろしくお願いします!