篠ノ之家の弟は阿頼耶識使い   作:木の人

35 / 45
彼を愛する少女

「……うぅ……もう、あさぁ……?」

 

 

 携帯から聞こえるアラーム音を止める。なんということだろう……二度寝したい……このベッドの寝心地が素晴らしいよぉ……たばねぇありがとう、いつもキチガイっぽいところしか見てこなかったけどこれは本当にありがとう……なんか暖かいし寝やすいし胸の辺りに寝息が当たってる変な感じだし――うん? 寝息?

 

 一気に眠気が覚める。あれ此処って僕の部屋だよね? なんで寝息を胸の辺りに感じてるんだろうか……それと誰かに抱き着かれているような感じもするんだけど? あぁ、もしかしてラウラさんかな。もぉ~またなの? 男が寝てるベッドで寝たらいけないのにどうして潜り込んでくる、んだ、あれぇ……? はみ出ている髪の色は黒なんだけど……? だ、誰!? 誰なんだ!? この抱き着いている子はいったい誰なの!? まさかのちー姉ちゃん!? そんな馬鹿な! でも酔いつぶれて間違って潜り込んできた可能性も……無いね。なんというかちー姉ちゃんならあのビックな胸の感触が下腹部辺りにあたってるだろうし。よし別人!! と、とりあえず正体を暴こうそうしよう!!

 

 

「――嘘でしょ」

 

 

 掛け布団をめくり潜り込んでいる人の正体を確かめるとそこにいたのは髪の長い女の子。服装は何故か知らないけど病院で着るような検査服を着ています……あれこれって耶識じゃない? えぇぇぇぇ!?!?! なんで耶識が実体化してるの!? あっそう言えば昨日たばねぇからの手紙で変なのをつければ今日面白い事が起きるとか書いてたような……あんのキチガイ!! 今度は何をしやがったんだぁぁぁ!?

 

 僕の寝間着をがっちりを握りしめて胸に顔を埋めて寝ている耶識を起こさない様に携帯を手に取りある番号に電話する。誰に電話かって? 世界一のキチガイに決まっているじゃん。さぁたばねぇ、どういうことか聞かせてもらおうかなぁ? 事と次第によっては明日の朝日を僕が拝めない。主に耶識の手によってね!!

 

 

『もすもすひねもす~? やぁなっくん! おっは――』

 

「おいこらキチガイ。今度は何したの?」

 

『酷い!? キチガイって言われたぁ!? でもなっくんからの罵倒……いいね!』

 

「たばねぇ」

 

『ハイワカリマシタ。うんとねぇ~昨日なっくんのお部屋にあるものを置いていったんだけどちゃんと耶識に取り付けたようだね。それはねぇ~なんと! ISの待機状態を人型に変化させるものなのだ!! つまり今なっくんの目の前にいるであろう子はれっきとした『耶識・病』ちゃんなんだよ!』

 

「うん知ってる。でもなんでこんな事したのさ……面白そうだったからなんて言ったら怒るよ」

 

『ちゃんと理由があるんだよぉ! ほらなっくんの専用機、耶識って人間嫌いというかなっくん以外を殺そうとかって危ない思考をしてるから一回人型にしてなっくんの周りと触れ合って意識を変えさせてみようとお姉ちゃんは思い立ったわけですよ! いやぁISの待機状態を変更して意識を表に出す装置を開発するのには苦労したけど何とかなるものだね! ちなみに持続時間は1日ね。ちゃんと展開もできるから安心してちょんまげぇ』

 

 

 やっぱりキチガイじゃないか……確かに耶識って僕以外はいらない、消えろ、殺してやる、怖いから殺してやるとかって言う事を考えてる事が多いのは事実だよ。何度も阿頼耶識で繋がってるからそれは分かる……でもねたばねぇ、多分それって悪手だと思うんだ。現に今もわき腹に爪を食い込ませてるし……起きてるよね!? 寝たふりだよね!? あっ目と目が合った。おはよう耶識、今日も良い朝だね!

 

 

「――凪がいる」

 

 

 布団の中から女の子特有の細い腕が伸びてきて僕の顔に触れた。体温も感じるし肌の感触とかも人間だ……流石たばねぇ。耶識はペチペチと僕の顔を触った後、今度は僕の体を触って自分が触れていることを確かめている様子。さてこの事を皆にどう説明しようかな? きっとキチガイがやりましたって言えば分かってくれ――ふぇ!?

 

 ガバッとベッドの中から出てきた耶識にキスされた。しかもご丁寧に舌を入れてきましたよこの子……ただクロエさんの時と違うのは舌同士じゃなくて歯とか頬の裏側とかとりあえず口の中全部を耶識の舌が触れている。うわちゃんと唾の味とかもする……流石たばねぇ、じゃなくてた、助けて!? いやぁぁぁぁ?! 僕の上に跨って僕の頭を両手でがっちりとと固定して逃げられない様にしてますよ!? あっいつもの耶識だよこれ。

 

 

「ぷはっじゅる、凪凪凪凪凪がいる触れる触れるよ何で何で何で分からないけど嬉しい嬉しいよこれで凪がワタシのモノになるなってくれる出来るんだもん嬉しい嬉しい……んふっ……れろっ……凪の味がする美味しいもっともっと頂戴もっと欲しい凪が欲しいでもダメなのダメだよダメダメダメダメあの銀髪の味がする他の奴の匂いがする味がする何で何で何で何で何で凪の中にはワタシの味しか残っちゃダメなのだから全部上書きするしちゃう逃がさない逃げないよねうんそうだよね逃げたりしないもんねワタシの凪だもん嬉しいよね」

 

「ちょ、や、し……うむっ!? んんぅ~~!!?!?!?」

 

「ちゅぱっ……れろぉ……美味しい美味しい凪の唾液が美味しいよ嬉しい嬉しい嬉しい凪を感じられる凪に触れる嬉しい嬉しい嬉しいでもまだダメなのあの銀髪の味が残ってるイヤイヤイヤイヤイヤ他の奴なんかが凪に触ってほしくないワタシだけを見てて欲しいワタシだけを求めてほしい何でもするなんでもしちゃう凪のためならどんなことでもするからワタシだけを見てワタシだけ好きになって大好き好き好き」

 

『な、なっくん!? なにやってるの!? ねぇなっくん!? まさか襲われてるの!?』

 

「や、うむっ!? しき! す、こしおちつこ」

 

 

 言葉すらちゃんと話せないぐらい耶識にキスをされる。ヤバい……酸欠とかそんな事よりもこれ以上はヤバいって!? 何でかというと僕の上に跨っている耶識が僕の寝間着を脱がそうとしてきてるからです。なんという肉食系女子! いや肉食系IS!? ちょっとまってぇ!? 服脱がして何をするつもり――逆レなの!? 僕の初めて取られるの!? 僕の必死の抵抗もむなしく上半身は裸にされ次は下半身に耶識の手が伸びました……アッこれダメな奴!! 本当にダメな奴!?

 

 

「耶識!? ちょっと落ち着こう!?」

 

「何で何で何で落ち着くのワタシは落ち着いているよ早く一つになろう一つになろうよやっと凪と触れ合えているんだもん一つにならなきゃダメだよ大丈夫大丈夫大丈夫だよ痛くないから痛いのはワタシの方だから凪はただ寝ているだけで良いからいつものようにワタシが動くから凪は気持ちよくなるだけだもん何も問題は無いからねぇしようしようよしちゃおうよ誰も邪魔しないワタシと凪の時間大事な時間特別な時間だもん早く一つに一つになろうよもしかして嫌なのなんでなんでなんでワタシじゃダメなの何でだめなの銀髪が良いのうさみみが良いの血の繋がった他人が良いのイヤイヤイヤだよだって凪はワタシしか見ちゃダメなんだもんワタシだけしか好きになっちゃダメだもん凪がワタシを見てくれるように気持ちよくするからちゃんと頑張るから良いよねうんありがとうそれじゃあいただきますって言うんだよね知ってるよ凪を通して学んだからちゃんと言うからいただきます」

 

「色々ツッコミどころあるけど違う!? それここで言うセリフじゃない!? いやぁぁぁ!? 待って耶識!? 夢の中ならいくらでも良いけど現実はダメ!? というか力が強いなもう!! とりあえずお話ししよう!! 話せばわか――」

 

 

 僕の真横からザクッという軽快で何かを斬りつけた音がした。なんだろうなぁ~視界の端で太い刃が見えるよ、なんだろうねぇ~あははは……ヤバいヤバいヤバい!? これ病愛じゃん?! 間近で見るとホント中華包丁でビックリだね!! 違うそうじゃない!? 待て落ち着こう……僕の上に跨っている人は誰? 答えは耶識です。さて耶識はいったいどんな存在? 答えはISです。それでは耶識はどんな武器を使う? 答えは鉈とハンマーとバンカーと包丁刀です。うんこれ逆らったら死にますよね? 答えはYesです。

 

 真横にある病愛の刃に引いている僕とは対照的に耶識は笑っていた。目の光が宿っていないけど可愛らしい笑顔で笑っていました。笑っていると言ったら笑っているんだ。たとえ包丁刀を持っているとはいえ可愛い女の子なんだよ!! これ本当に逆らったら両腕両足切断コースですよね? 脳裏の中とか夢の中とかならいくらでもしていいけど現実は……ダメです!! 携帯からたばねぇの声が聞こえるけど返事が出来ない。だってそんな事をすれば死ぬ。僕は初めて死にたくないと思えたよ……ありがとう耶識。だからさ――服脱がないで?

 

 トレードマークともいえる検査服を脱いだ耶識の姿が視界に入る。耶識が跨っているからどうあがいても見ちゃうよね……大事な部分は髪で隠れてるけどそれが逆にエロスだね! だって肌綺麗なんだよ? でも僕は知っている……背中に傷があるんだよね。多分阿頼耶識と繋がる装置を取り付けられた時に付いちゃったんだろう。僕の推測だけどなんとなく分かるからさ。ふぅ……それにしても初めては耶識かぁ。きっと激しいんだろうね。きっと一回じゃ満足しないよね……あれ? これって逆に言えば一回で終わったら死ぬんじゃないかな? あはははは……いやぁぁぁぁぁ!?!?

 

 

「見てワタシを見てもっと見てワタシの身体は凪の好みかなそうかな違うかなそうだったら嬉しい違ったら悲しいでも好きになってもらうから良いもん胸は小さいけど凪が大きくしてくれるよね妊娠すれば大きくなるよねそうだよねだから早くしようしちゃおう凪の全部を見せて見たい見たいよ現実世界でちゃんと見たいよいいよねうんありがとう」

 

 

 僕の抵抗が無くなり耶識の手がズボンに伸びた。あぁなんという虚しさ……自分脱ぐのではなく脱がされる、しかも逆レで。そっかぁ……これが世の女性達の気持ちなんだね。こんな事で分かりたくはなかったよ……!

 

 脱がされようとした瞬間、扉が勢いよく開いた。そこに立っていたのは世界の救世主ちー姉ちゃん……急いできたのか息が切れてるけど僕としてはどうでもいい――助けてちー姉ちゃん!?

 

 

「――束の奴が号泣しながら連絡してきたと思えばお前は何をしている?」

 

「逆レされてます」

 

「見ればわかる……さて、それがお前のISか。まさか操縦者を性的に襲うISがいるとは思わなかったよ」

 

「オリムラチフユ何でいる何で邪魔する出ていけ出て行って凪との触れ合いを邪魔するな来るな消えろお前なんかが凪の傍に居なくてもいいワタシだけが凪の傍にいればいいだから出ていけ出て行けよ邪魔するなら殺す殺す殺すあハあははははははは」

 

「……やれやれ。よくお前はこの性癖を持っているISを何事もなく動かしているものだ。しかし殺すか……面白い、お前の目の前にいるのは世界最強、ブリュンヒルデだぞ? 出来るものならやってみろ」

 

「ウルサイ」

 

 

 両手に病愛を握りしめた耶識がちー姉ちゃんに向かって走った。流石のちー姉ちゃんでも無手じゃ……あれそれ刀? しかもどこかで見たことあるんだけど――あっ箒姉のじゃん。耶識が握る病愛の刃がちー姉ちゃんの首を狙う――けどそれは届かなかった。鞘から勢いよく刀を引き抜いて一閃、それが病愛だけを弾き飛ばしたからだ。ちー姉ちゃんすげぇ。そのまま返しの刃で耶識の首を峰で叩いて無力化……ちー姉ちゃんすげぇ。ちゃんと起き上がっても対応できるように残った病愛を部屋の端っこに蹴り飛ばしてるしこういう状況に慣れ過ぎじゃない? いやそれよりも耶識?!

 

 ベッドから降りて耶識に駆け寄る。どうやら気絶しているだけのようでちょっとだけ安心……あはは、ぎゅって抱き着いてきたよ。可愛いなぁもう。

 

 

「――ふぅ。腕が鈍ったか」

 

「今ので鈍ったって言えるちー姉ちゃんってなんなのさ」

 

「全盛期ならば最初の一閃で終わらせれた。それよりも服を着ろ……もうすぐうるさいのが来る」

 

「アッハイ」

 

 

 とりあえずISスーツを着る。よしこれで何が来ても問題は無い……なんだろうなぁ、寒気がする。非常に引きこもりたい……あんのキチガイ姉! 今度会ったら罵倒してやる!! ダメだご褒美とか言って喜ばせるだけだね。むむむ……! なんてめんどくさい姉なんだ!

 

 

「千冬さん! いきなり刀を貸せと、なに、が――おい凪、そいつは誰だ」

 

「織斑先生! 凪さんになにか、が――誰ですのその方は」

 

「嫁! 無事、か――ほう」

 

「千冬姉! 凪に何があったんだって誰だその子――いってぇ!? 目がぁぁぁ!?」

 

「一夏は見るな!? てかアンタ!! また別な奴を引っ掛けたわけ!?」

 

「え、えっとどういう状況なのかな……? あと一夏は見ちゃだめだよ!!」

 

 

 さてもう一つの大嵐到来。箒姉が来ることは分かってたけどなぜ全員来たし。イチ兄を除く皆の視線がどこに向かっているのか僕でも分かる……耶識ですよねぇ。うん誰だって見るよ、だって全裸だもん。あぁ……頭痛い、もう本気で引きこもろうかな……とりあえず耶識に服を着せよう。ベッドの上に脱ぎ捨ててある検査服を着せるとまた耶識と目が合った。ちー姉ちゃんの攻撃を僅か数分で回復とか耶識さん凄いね――うむぅぅ!?!?

 

 まるで獣のように僕の唇を奪いながらベッドに押し倒された。逃げようにも逃げられない……だから服脱がそうとしないの!? ダメ! ノー!! 落ち着きなさい!!! あっダメですか……そっかぁ。うん知ってた。

 

 襲われている僕を箒姉達が救出してくれるまで5分くらいかかりました。その間何をしていたかというと耶識とチューしてました。引きはがそうにも意地でも離れないという強い意志で耶識は僕とチューしてたよ……もう凄すぎるね。

 

 

「凪凪凪なんで離れるの何で何で何で一人にしないで離れないで捨てないで嫌だよ一人は嫌ぁ」

 

「捨てないし一人にもしないし離れたりもしないからまず落ち着こう。ねっ!? もうみんなの視線が痛いからお話しさせて!! くっ付いてて良いから!!」

 

 

 箒姉達によって引き離された耶識は泣きそうな表情で僕を見ている。その様子は大切なものを奪われたみたいでなんだかつらい……だからくっ付いていいけど何もしないと約束すると一目散に抱き着いてきた。大丈夫、僕は見捨てたりなんかしないから泣かないで……ねっ? うん、笑ってる耶識の方が可愛いよ。僕の背中に回った耶識はイチ兄達を睨んで威嚇するけどとりあえずは話ができる状況になったね! いやぁ疲れた。帰っていい? ダメですよね知ってました。

 

 

「優しい優しいやっぱり凪は優しいお前ら消えろ消えろよ何でいるの早く出ていけ凪との大事な時間を奪うななんで奪うのお前らなんてただの他人なのに何で凪の傍にいるのねぇなんでなんでなんでどうして近くにいるの近づくな離れろそれ以上近づくな凪に触れるな」

 

「……何コイツ、ヤンデレじゃない」

 

「なんだそれ? というよりなんで俺の目を攻撃したんだよ……あぁいてぇ……」

 

「ご、ごめん一夏……つ、つい……」

 

「とりあえず説明するけど先に言っておくね? 全ての元凶はたばねぇです。あとこの子は耶識です」

 

「……うん? 耶識って凪のISの名前じゃなかったか?」

 

「うん。色々とツッコミどころしかないから安心してほしいんだけど……昨日帰って来たらたばねぇから手紙があって銀色の輪っかみたいなものを耶識に取り付けたら面白い事が起きるよ! って書いてあったから試しにやってみたら耶識が女の子になってました。いや元から女の子だけどさ……どうやら待機状態を人型に変えて宿っている意識を表に出したんだってさ。だからこうして触れるし話せるわけで……箒姉? 刀を持って何処に行くの?」

 

「兎狩りだ」

 

「ステイ!? ノー!! とりあえず待って!! たばねぇ的には善意だったんだけど耶識は……自慢じゃないけどいつもこんな感じだから嬉しくなってついやっちゃったんだよ!! だから落ち着こう!!」

 

 

 そうだよ。なにも変な事はしてないしいつも通りじゃんか。好き好き~と甘えてきたり鉈や病愛で斬りかかってきたり逆レしてきたりと何も変わらない。でもなんでだろう……皆の視線が痛い……? 何と言うか同情的なものが含まれている気がする。うん知ってた。

 

 

「えっと続きを言うけどたばねぇ的には耶識の考えをちょっと変えちゃおうと今回の事件を引き起こしたらしいよ。人の姿をしているのは1日だけみたいだから今日はもう引きこもってようかなぁ……耶識はどうする?」

 

「凪と一緒一緒が良いだから続きをしようしたいよねぇねぇ良いよねダメかなダメなの」

 

「ダメです。じゃないと嫌いに――」

 

「捨てないで嫌わないで言う事聞くから何でも言う事聞くから凪に嫌われたら生きていけない何もできないもんだお願い凪ワタシを嫌わないで一人は嫌なのもう一人ぼっちは嫌なの凪凪凪お願い嫌いにならないで好きでいてワタシの傍にいてずっとずっとずっと傍にいて」

 

「――ならないから安心してね。だから泣かないでよもぉ……箒姉、ティッシュ取って」

 

「……ほら」

 

「ありがと。もう折角可愛いのに泣いたら台無しだよ?」

 

「……典型的な依存系ヤンデレね。何? ISのコアってこんなのばっかなの?」

 

「多分違うんじゃないかなぁ……でも篠ノ之博士って凄いよねぇ。ISの待機状態を人型に変えられるなんてビックリだよ」

 

「束さんだしなぁ。ところでセシリアとラウラが静かなんだけどなんでだ? 気のせいかちょっと怖いんだけど……?」

 

「ほっときなさい。あっちはあっちで色々とあるのよ」

 

 

 セシリアさんとラウラさんは座ったまま俯いています。なんというか不気味で怖いです……こんなことになったのも全部たばねぇのせいだ! 耶識と話せるのは嬉しいけどもうちょっと静かに事件起こせなかったのかなぁ?

 

 

「――嫁」

 

 

 ラウラさんが僕の傍までやってきて耳元で顔を近づける……だから耶識、威嚇しないの。何もしないから。

 

 

「……阿頼耶識で繋がっている間はいつもこうなのか……?」

 

「大体はね。だから僕からしたら平常運転なんだけどさぁ……ビックリしたでしょ?」

 

「当たり前だ……しかし嫁が殺意を放つ原因を知れたのだからある意味今回はよかったのだろうな。と、とりあえずあんまりイチャつくな……お前は私の嫁なんだから私とイチャつけばいい」

 

「ら、ラウラさん……? 凪さんと距離が近いのではなくて? こ、このセシリア・オルコット! 凪さんのISが放つ殺気などに屈するわけにはいきませんわ! ですからわたくしもお近くに――」

 

「運良く殺されなかっただけで威張るな話すな触るな消えろ離れろ凪に関わるな」

 

「落ち着こうね……うん、とりあえずここは僕に任せてほしいな。色々心配させてごめんね?」

 

 

 これ以上は流石に拙いので皆に謝って部屋から退室してもらった。ふぅ疲れた……皆には悪い事しちゃったなぁ、だって心配して駆けつけてくれたのにあとは任せてって感じで追い出しちゃったしさ。でもいつ耶識が鉈を取り出すか分かんないし仕方がないよね……うん、僕は普通だと思ってるけど皆からしたら多分異常だろうし。さて何しようかなぁ~耶識は何したい? うん? どうしたの黙っちゃったりして――あっこれダメな奴。だって笑ってるもん。

 

 さて何度目かになる状況確認。今の状況は? 僕と耶識の2人きりになりますね。部屋には何がありますか? 当然ベッドがありますね。うんやっぱり耶識は耶識だったよ。平常運転だったよ……多分皆が出て行って離れるのを待ってたんだろうね。なんて策士なんだろうか我が分身、我が相棒は――はい襲われました。

 

 

 

 

 

 

「……千冬さん」

 

「織斑先生だ。なんだ?」

 

「戦闘中の凪の性格が変わる原因が分かりました……あれのせいなんですね……」

 

「恐らくな。束が言うには篠ノ之弟の専用機『耶識』のコアに宿る意識は極度の人間嫌い、IS嫌いだそうだ。それに篠ノ之弟は手を差し伸べてあぁなった……という所か。恐らく人機融合の際にはあれ(耶識)の人格が混じるのだろう……お前も姉なら傍にいてやれ。あれ()は自分よりも他人を優先するバカだ。たとえ自分に何が起きても気にはしないだろう」

 

「知ってます……私の弟ですから……凪、お前は大丈夫なんだろうな……?」

 

 

 

 

 

 

「――篠ノ之遺伝子すげぇ」

 

「凪の膝枕柔らかいぐっすり眠れる凪の匂いもする凪に撫でられると嬉しいもっともっと撫でて撫でて」

 

「これぐらいならいつでもするよ……明日は筋肉痛かなぁ」

 

 

 箒姉達が部屋から退室してから数分後、耶識に性的に襲われたため意地と根性と火事場の馬鹿力でどうにか応戦して勝利。無事童貞は守りました! 誇らしく言えないけども……! いやぁ凄いね篠ノ之遺伝子って! 鉈装備の耶識相手に互角以下の戦いができるんだもん! はい普通に負けて押し倒されましたよ! あはははは……危なく性的に食べられるところだった……! でも考えてほしい! 鉈装備の美少女に襲われて応戦できるって凄くない? 武力で負けてあわや脱童貞の危機だったのであまり使いたくなかったけどこれ以上すると嫌いになるよって言ったらこのように静かになりました。本当はこんなことを使いたくないんだけど童貞がかかっている以上仕方がない! 仕方がないんだ!! 襲われた方が良かったのかなぁ……どうなんだろうか。

 

 そして僕とじゃれ合おうとしていた耶識はというと僕の膝に頭をのせてご満悦状態。こうしてると可愛いんだけどねぇ~とりあえず今日一日はこうして引きこもってようか。

 

 

「こうして向かい合って話すのって初めてだよね? いつもは夢の中だしさ」

 

「うんうんうんだから新鮮夢みたい凪と話せるなんて思わなかった夢かと思ったでも違った現実だったよ」

 

「僕も最初は驚いたよ。でもたばねぇにはあとで怒るけどこういうのも良いね。あっそう言えばご飯まだだよね? というより耶識って食材とか食べれる?」

 

 

 僕の質問に首を振ってできませんアピールをしてきた。可愛い。でもそっかぁ、ちょっと残念。僕の手料理を食べてもらいたかったけど無理なら仕方がないからちょっと遅めの朝ご飯でも作ろっと。料理するねというと耶識は起き上がって背中にくっ付いた。なるほど、意地でも離れないというわけだね! いや別にいいけど作りづらいなぁ……言葉には出さないけど。

 

 というわけで背中にくっ付いている耶識からの噛みつき舐めるなどと言った攻撃に耐えつつご飯完成! もうこったものを作る気力が無いから焼きそばだけど良いよね。誰も文句は言わせないよ! テーブルまで持って行って食べようとすると耶識が待ったの動作をしたので箸を止める……なにどうした、のぉ!? 何と言う事でしょう……耶識は箸を器用に使って自分の口に麺を入れてそのまま僕にキスをしてきたじゃないですか……これが口移しという奴だね! じゃなくて何故? 殆ど噛まずに胃の中に押し込まれるような感じだからちょっと苦しい……でも耶識はどう? 美味しいと言いたそうな表情で僕を見ている。美味しいとしか言えないよね!! 食べ終わるまで全部口移しで胃の中に麺と野菜を流し込まれたけど耶識は満足そうにまた膝に頭をのせてきた……もう甘えん坊だなぁ。しかしここまでキスしてくるという事は耶識ってキス好き? 頷かないでよ……あと心読まないでよ。

 

 

「幸せ幸せずっとこうしていたい凪と一緒に過ごしたいねぇねぇ凪は凪はどうなのワタシと一緒に過ごしたい暮らしたいどうなの」

 

「普通に過ごしたいけど? そもそも今日まで一緒に生活してたのにいきなり嫌ですとか言われたら僕泣くよ?」

 

「そんな事しない絶対しないするわけがないしないしない凪が嫌がる事なんてしないもん」

 

「……襲ってきたよね?」

 

「凪と一つになりたい凪と繋がりたい凪を感じたいからだもん嫌じゃないよねだって凪も喜んでた反応してたよだから嫌がる事じゃないよね違うの違ったのねぇ何で違うのワタシじゃ嫌なのなんでワタシじゃダメなのねぇねぇ」

 

「ハイ! 嫌じゃないから落ち着こう! 大好きだから夢の中だったらいつでもオーケーだから!」

 

「嬉しい嬉しいやっぱり喜んでたえへへ」

 

 

 うん。第2回童貞防衛戦が始まりかねなかったから仕方がない! もうこれ流された方が良いのかもしれないけどそれはそれで怖いんだよね……その、止まらなさそうでさ。でも考えてみると耶識って真っ直ぐだよね? 自分の気持ちを素直に表現できるって凄いと思う。だから箒姉も耶識を見習って――ダメだ。箒姉が耶識状態になったらイチ兄が死ぬ。だから今のままで良いよ。ポンコツ姉で良いよ。

 

 頭を撫でると耶識は嬉しそうに笑った。目には光が宿ってないけど百点満点の笑顔だ……辛い事があったからこんな風になったんだろうね……大丈夫、僕で良いならずっと傍にいるから。何があっても……離れたりはしない。だってキミは僕のパートナーだもんね。

 

 

「……なんというか子供が出来たお父さんってこんな気持ちなのかなぁ」

 

 

 恐らく誰かが聞いたら絶対に違うと言われそうな事を呟きながら耶識と一緒に部屋に引きこもって一日を過ごした。

 

 一応言っておくけど何もなかった。何もなかったから!!!




満を持して登場しました耶識ちゃん。
全ての行動が逆レに繋がるという肉食系を兼ね備えております。

書いていて思いました……擬人化耶識ちゃんを出すとR18になりかねないと。
よって短いですがこんな感じになってしまいました。

ちなみにこの後は普通にTVを見て襲われて引き分けに持ち込んでトランプして襲われてギリギリで引き分けに持ち込んで晩御飯作って口移しされてシャワー浴びて乱入&襲われて引き分けに持ち込んで添い寝して終了です。普通の1日ですね!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。