篠ノ之家の弟は阿頼耶識使い   作:木の人

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学園祭開幕!

「……死にてぇ」

 

 

 学園祭当日、僕とイチ兄は部屋に集まってあることをしていた……そう女装です。たばねぇ制作の高性能変装セットを使って男から男の娘にジョブチェンジしました! その結果がこれだよ!!

 

 

「流石ちー姉ちゃんと姉弟だね。よく似てるし可愛いと思うよ?」

 

「……それ、励ましじゃなくて余計に傷口を抉ってるってことを分かってくれ……!」

 

 

 僕の目の前にはずーんと落ち込んでいるイチ兄、いやイチ姉がいる。髪もウィッグで伸ばして軽く化粧、そしてメイド服着ています。何と言う事でしょう……ちー姉ちゃんの妹ですと言えばそうですよと答えられるぐらいに雰囲気が似ているね! 可愛い! 可愛いよイチ兄、じゃなかったイチ姉!! ちなみに僕も変装セットで女装して同じようにメイド服を着ています。鏡で確認しても箒姉だよなぁ~もう双子の妹ですと言われればはいそうですと答えちゃうぐらいに似てる。似てない所なんて胸しかないね! 絶壁の箒姉……昔はこれだったのに何であんなにデカくなったんだろうか。しかしおかしいよね……二卵性のはずなのに何故こんなに似ているんだろうか? きっとたばねぇ制作の変装セットの効果かもしれないね! なんて変態なんだあの姉は! そして下がスカートだから変な感じがする……ちゃんとスカートの中は短パン履いてるから中を覗かれても何も問題は無いけどやっぱり慣れないから違和感しかない!

 

 というよりそもそもスカート捲りとか中を覗くなんて変態な事をする人なんてたばねぇ以外にいないだろうけど。

 

 

「……凪、俺ちょっと体調悪くなったから午後まで休んでるな。だから悪いけど1人で――」

 

「逃がすと思ってる?」

 

「……だよな」

 

「大丈夫だよイチ姉! 見た目は女の子! 男だけど女の子! つまり男の娘なんだよ! ナンパされることはあっても気持ち悪いとか絶対に言われないから安心して!」

 

「せめていつものようにイチ兄と呼んでくれ!? なんかイチ姉とか呼ばれるのは嫌なんだが!?」

 

「だって今のイチ姉って女の子じゃん」

 

「女装してるだけだからな!? 中身はちゃんと男だからな!?」

 

「知ってる。ほら行くよ――みんなが待ってるから」

 

「は、はなせぇぇぇ!! 俺は行きたくないぃぃ!!」

 

 

 イチ兄改めましてイチ姉の腕に抱き着いてそのまま部屋の外まで引っ張る。目指すは僕達の教室である1年1組という恐ろしい場所! すれ違う子達はきゃ~可愛いと言う感想を言ってくれるけどせめて似合わないと言ってほしい! それが僕とイチ姉の心を癒す言葉になるんだから……ぐすんっ。なんで僕達がこんな目に合わないといけないんだろうか……! もうこうなれば学園祭という空気に身を任せて楽しんでやるぅ!!

 

 嫌がるイチ姉の腕を強引に引っ張りつつ目的地到着! というよりイチ姉の腕が逞しい……これがモテる秘訣というものなのか……! 女の子が腕にくっ付きたがる謎がいま判明したね! これは確かにいいものだ……なんで男の腕にくっ付いてこんな感想を言ってるんだろうか? これも全部女装のせいって言っておこう。

 

 

「――おまたせ」

 

 

 がらりっと扉を開ける。僕の言葉にクラス全員が待ってましたと言わんばかりの表情で僕達を見て――鼻から赤い液体を流して崩れ落ちて行った。だからなんでその中に箒姉が混じってるの? 今までの厳格、融通効かない、真面目という印象はいったいどこに? まっいいか。

 

 

「きゃ~~~!! 織斑君も篠ノ之君も可愛い! えっ嘘! 本当に男子だったのってぐらい可愛い!!」

 

「しかも腕組んでるわ! これは新刊のネタにできる!!」

 

「一夏と凪が腕を……しかもかわいい、だと……わ、私よりも可愛いだと……弟に負けるなんて思わなかったぞ……! と、とりあえずその新刊が発売したら教えてくれ」

 

「箒、とりあえず予約するか鼻血を止めるかどっちかにしようか。でも本当に凄いね……い、一夏? か、可愛いよ?」

 

「言うな、その言葉を言うな……あ、あはははは……死にてぇ」

 

「死因が女装したことによるショック死とか恥ずかしいと思うよ?」

 

「……だったら引きこもる、引きこもっていいよな?」

 

「ダメです」

 

 

 イチ兄、じゃなくてイチ姉が力なく崩れ落ちる。でもそんな事は関係なく写真撮っても良いと聞かれたので良いよと答えてポージング有りで写真撮影会が始まりました! ふははははは! もうどうにでもなれぇ! ダブルピースでもチラリズムでもえへへ顔でも何でも来なよ! あっちゃんとムダ毛は剃ってますんで大丈夫です。イチ姉も女装には必要ですと変装セットの中に入ってたカミソリで剃ってもらいました。その結果が先ほどまでのイチ姉です。大丈夫だよイチ姉! きっとすぐ生えてくるから! たばねぇ作成カミソリだから永遠に生えてこないかもしれないけど頑張ればきっと生えてくるって!

 

 

「そう言えば凪さん? 声が変わっていますわね……まるで箒さんのようですわ」

 

「ボイスチェンジャーを使ってるからね。だから――コホン、束お姉ちゃん! 愛してい、ぎゃあぁぁ!?」

 

「――凪、私はそのような事は言わない。絶対に言わない、いいな?」

 

「分かった!! 分かったからちー姉ちゃん仕込みのアイアンクローはやめ、あひひぃ!? いだだだだ?! つぶれる!? つぶれるってぇぇぇ!?」

 

「箒落ち着いて……そう言えば一夏も織斑先生の声だね? 凪と同じものを使ってるの?」

 

「お、おう。だから――コホン、諸君! 私が織斑千冬だ! 良いから跪け、ぎゃぁぁぁl!? 頭がぁぁぁ!?!?!」

 

「ほう。お前は何時から私になったんだ?」

 

 

 絶対零度、死の宣告ともとれる声が聞こえた瞬間、イチ姉から叫び声が上がる。きっとクラスの皆の視界には異常な光景が映っているだろう……だって僕は箒姉、イチ姉はちー姉ちゃんにアイアンクローをされているんだからさ! でも声が同じなんだし遊んだって良いじゃん! だから早く離して!? 潰れるから! 潰れちゃうから!?

 

 必死の説得により僕達は如何にかアイアンクローの地獄から解放されたけどまだ頭が痛いんだけど……なんていう力だ! これが箒姉の実力! なんて無駄な実力なんだ! それをもっと別な方向に、特にイチ兄絡みで向けてくれればもう少し僕も楽だというのに!

 

 

「……織斑」

 

「は、はい……なんでしょう、か?」

 

「――それを趣味にはするな。酒やタバコに不純異性交遊なら許す。だから女装だけは趣味にするな……これは姉としての言葉だ、良いな」

 

「いやしないって……あと教師がそんなこと言っていいのかよ……?」

 

「知らん。確かに伝えたぞ……さて学園祭が始まるがそこの馬鹿のようにはしゃぎ過ぎて怪我などしない様にしろ。またIS学園生徒以外にも企業、一般からの招待客もやってくる。無駄な騒ぎは起こすな。特に女装している男2人は特に注意しろ。貴様らは何かをするたびに騒ぎになるからな」

 

「はぁ~い」

 

「は、はい……そして凪……なんかノリノリじゃないか?」

 

「楽しまないと心が死ぬ」

 

「……そうか」

 

 

 圧倒的統率力を誇るちー姉ちゃんの一言でクラス全員の心が一つになり学園祭がスタートした。さて問題です。ここ1年1組には男性操縦者の織斑一夏改めまして織斑イチカちゃん、そして篠ノ之凪改めまして篠ノ之ナギちゃんが接客をしています。するとどうなりますか? 答えは全クラスの子達が殺到、大繁盛しています。はぁ……自分でナギちゃんとか言ってみたけどなんというか泣きたくなってくるね。そしてなんで――

 

 

「おかえりぃ~おじょうさまぁ」

 

 

 この一言でお客さんが全滅するんですかねぇ……? さっきから笑顔で接客、時々キャピキャピしてるんだけど別のクラスの子たちが大体崩れ落ちて行ってるんだけど? やはり箒姉の声では無理があったか……くっ、たばねぇボイスならもう少しマシだったのか! 諸事情により箒姉ボイスしか出せない僕を許してほしい! あっちなみにイチ兄、じゃなくてイチ姉もちー姉ちゃんボイスで「諸君おかえり、何を頼む?」とキリッとしながら接客して僕と同じように全滅させてます。うん、凄いの一言しかでない。そしてイチ姉ノリノリである。

 

 

「ナギちゃん! おすすめは何ですか!!」

 

「このメイドにご褒美セットというのがお勧めだよぉ~いかが、ですか?」

 

「ください!!」

 

「きゃ~! 可愛い!! 来てよかった……もう死んでも良い……!」

 

「イチカ様! 私達もメイドにご褒美セットを所望します!!」

 

「私達もイチカ様にご褒美をあげたいです!」

 

「……やれやれ、仕方がないな」

 

 

 イチ姉ノリノリである、何度も言うけどイチ姉ノリノリである。きっとちー姉ちゃんトレースで午前中を乗り切ろうと思ったんだろうね! 流石イチ姉! そして上目遣いすれば大抵の人は僕が選択したメニューを頼んでくれるからちょろいね。あはははは! ヤバい楽しい、凄く楽しいんだけど皆……特に箒姉! そんな目で見ないで! 僕だってやりたくてやってるわけじゃないんだから! 楽しいけど望んでやってるわけじゃないからね!!

 

 

「……いちかぁ……なぎぃ……!」

 

「お二人とも楽しそうに接客をしていますわね……あぁ、凪さ、いえナギちゃん……可愛いですわ」

 

「ねぇ? なんで僕が執事をして一夏がメイドなの? 僕もメイド服を着たかったのに……でも一夏、ノリノリだよね」

 

「……これが嫁の女子力という物か……! くっ……勝てる気がしない!!」

 

 

 別のお客さんを接客してる方々からそれぞれ思った感想を呟いてるけど気にしない。絶対に気にしない。あとシャルロットさん……なんというかご愁傷さま? でも執事服似合ってるよ? というよりイチ姉に女装するように説得もとい脅迫したのはシャルロットさんだよね……? 箒姉とクラスの子も一緒だったけど。

 

 そしてメイドにご褒美セットお待たせしました! 説明しよう! メイドにご褒美セットとはポッキーとジュースのセットメニューで好きなメイドに食べさせるの事が出来るという素晴らしいものなのだ! しかし条件として選んだ相手の同意を得られないとダメ、強要無し、それを破れば体育会系の子達に外に追い出されます。ちなみに他にも似たようなもので執事にご褒美セットもあるけどこれは単に名前違いのだけで内容は同じです。でも現状ではシャルロットさん一択、午後からイチ兄も加わります。

 

 

「はいナギちゃん、あーん」

 

「あーん……うまうま」

 

「きゃ~!!」

 

「い、イチカ様! どうかお口をお開けくださいませ!!」

 

「……あ、あーん」

 

 

 流石天下のポッキー! 美味しいね! そしてなんで武士とお嬢様と般若と軍人が戦闘態勢に入ってるんだろうか……? ちょっとぐらい落ち着こうよ。売上に貢献してるんだからもう少し寛容という言葉を覚えてくれてもいいんじゃないかな? どう? ダメ? ダメかぁ~……仕方ないね。うん。

 

 

「い、一夏……アンタ、本当に女装してたの?」

 

「……げぇ、鈴」

 

「やっはろぉ~鈴さんいらっしゃぁ~い」

 

「……あっちは違和感がないわね。というより一夏! アンタ、そのかっこ……ぷ、ぷははははは!! しゃ、写メ撮っていい! 撮りたいんだけど!!」

 

「撮るな! 俺だって好きで女装してるわけじゃないんだぞ! あぁもうなんだよ? 冷やかしなら帰れ帰れ」

 

「悪かったわよ。そして冷やかしじゃなくてちゃんとした客だから早く案内しなさい」

 

「……よかろう。席に案内してやる」

 

「千冬さんの真似してんじゃないわよ……一瞬背後にいるのかと思ったじゃない! しかも違和感ないし!!」

 

 

 イチ姉は鈴さんのお相手をすることになってしまったね……そして一言だけ言っても良い? 違和感ないってどういう事? あの僕は男、男の娘でもない普通の男です。違和感があるに決まってるでしょ! それとも鈴さんの中での僕は男の娘なのか! その辺をちょっと教えてほしいんだけど……何でしょう今はとっても大事なこ、とを……えぇ~とこれはツッコミ待ちでいいのかな? 絶対にツッコミを入れてほしいんだよね? よし分かった! この篠ノ之凪! 一世一代のツッコミを披露してあげましょう!!

 

 

「――こちらの席へどうぞ~()()()()()()~そしてお連れのおじょうさまぁも~どうぞこちらへ~」

 

 

 僕を指名してきた2人組のお客さんに百点満点とも言える笑顔で接客。無理、ツッコミとかそんなの絶対に無理。だって僕の目の前にいる人達って――

 

 

「あら。お姉さまなんて嬉しい事を言ってくれるなんて嬉しいわぁ」

 

「お嬢様と初めて言われました、嬉しいです」

 

「当たり前だよぉ~おねえさまぁ、おじょうさまぁ~――何でいるし」

 

「うふふ。可愛い妹ね――よく気が付いたねなっくん」

 

「可愛いメイドさんです――流石ですね凪様」

 

 

 たばねぇとクロエさんだもん。何故此処にいるし……何でいるし……そしてどうやって入ったし。というより良く僕はこの2人をたばねぇとクロエさんだと認識できたよね? 髪の色はどっちも光に反射するほど綺麗な黒、たばねぇはいつものうさ耳を外して若奥様的な雰囲気、クロエさんもクールな委員長タイプみたいな雰囲気、あと眼鏡かけて目を開けてるしいつもと全く別な姿だというのに……よく気が付いたよ! そしてクロエさんは目を開けても大丈夫……というより普通に黒い瞳に周りが白なんだけどなんで? おぉ! その眼鏡の効果なんだね! さすがたばねぇ! 無駄な技術で物を作らせたら世界一!

 

 教室の端のテーブルに案内して一緒に座る。僕の両隣りが変装中のたばねぇとクロエさん、この驚きの変わりように他のお客さん達は元よりクラスの子達も……あっイチ姉と箒姉が気づいたみたい。何と言うかはぁ? と言いたそうな表情になってるし。でもそれ以外は全然気が付いてないよ! さすがたばねぇ!

 

 

「もう一度言うけど何でいるし……というよりどうやって入ってきたし……」

 

「ふふん! なっくんのお部屋に潜入した時に招待券を持って行ったのだぁ! くーちゃんのは箒ちゃんのを勝手に使わせてもらってるよん。えへへ~もうなっくん、じゃなくてなっちゃんはかわゆいよぉ~もう女の子だもんね! ちゅーしていい?」

 

「ダメに決まってるでしょ……クロエさんもなんで止めてくれなかったのさ……?」

 

「凪様の女装したお姿をこの目で見たかったので……ご迷惑でしたか?」

 

「そんな事は無いけどバレたら拙いでしょ? だからちょっとだけ心配になっただけだよ。たば、お姉さまは心配しなくても自力で脱出ぐらいできるけどクロエさんはね……でも一緒にいるなら大丈夫か。それじゃあ何か食べる? おすすめはこのアップルパイだよ?」

 

「メイドにご褒美セットでお願いします」

 

「なっちゃんにチューできるセットで」

 

「メイドにご褒美セットですね。わかりましたぁ~きゃはっ♪」

 

 

 今のきゃはっ♪にはふざけてるんじゃないよたばねぇの意味が込められてます。でも残念ながら届いていないようです……知ってた。むしろ届いてたらどうしようとか思ったよ。注文品を貰おうと受け取りに行くと箒姉に肩を掴まれる……その目は人殺しをしそうなほど殺気立ってました。ふむ、何故僕は実の姉に殺気を向けられてるんでしょうか? 答えはたばねぇと話していたからです。

 

 

「……凪、あの2人はまさか……!」

 

「うん、そのまさかだよ。でも他の人は気が付いてないから黙ってて」

 

「……あぁ。分かった、でも何かあればすぐに叫ぶんだぞ……! あれは不審者だからな」

 

「実の姉を不審者呼ばわりって……間違ってないけどさ」

 

 

 ポッキーとジュースを受け取って2人のいる席まで戻る。そしてテーブルに置いたポッキーをたばねぇ、クロエさん共に手に取り僕に向けてきました……ですよね! なんというか視線でどっちから食べますか的な事を聞いてきてるけどもうこれ一択なんじゃないかな? ということでクロエさんからパクリと……うまうま、ちゃんと冷えてて美味しいね! そしてたばねぇのもパクリと……うまうま。いやぁ~2人から食べさせてもらえるなんてなんて幸せなのだろうか――そう思わないと死ぬ、ホントに死ぬ。なんで背後に兎を出現させてるんですか? そしてそっくりですね! 親兎と子兎かな? ふはははは、なんかオラオラとか無駄無駄とか言いそうなほどのラッシュ合戦が始まったけどこれスルーで良いよね? たばねぇもクロエさんも笑ってるんだけど背後の兎が殺し合ってるよ! もう帰ってくれないかなぁ……クロエさんは残っても良いけど! 残っても良いけど!

 

 

「むむむっ! くーちゃんから食べるなんてなっくん……お姉ちゃんを大事にしないとダメなんだよ?」

 

「これが愛の差、ということですよ? くすっ、私の方が愛されていることを知ってください」

 

「……なっくんに愛されているのはこのお姉ちゃんだという事を知るべきだよくーちゃん」

 

「……私の方が肉体も年も若いですし勝っているのは私ですよ?」

 

 

 すげぇ、親兎と子兎によるオラ無駄ラッシュ合戦が激しさを増してるんだけど……帰りたいなぁ。

 

 

「ところで本気で遊びに来たわけじゃないでしょ……何しに来たのさ?」

 

「およ? うーんとねぇ~これを渡しにきたのだぁ~」

 

 

 箒姉よりも大きい胸の谷間から1枚のカードを取りだして僕に渡してきた。なんでそんな所に入れてるんですか……そしてなんでクロエさんは自分の胸を見て落ち込んでいるんですか? いや気にしないでおこう。とりあえずこれなに? 受け取ったカードを見るとなんか人の名前と会社っぽい名前が書いてあった……ホントになにこれ?

 

 

「これは?」

 

「潜入してくるであろう亡国機業の偽名とダミー会社。なっくんは午後からお部屋で待機だと思うけど一応注意しておいてねぇ~」

 

「りょうか~い」

 

「うんうんかわゆいかわゆい。さてそれじゃそろそろ帰るね~なっくん、学園祭楽しんでねぇ~」

 

「それでは失礼いたします。凪様、浮気はダメですよ」

 

 

 その言葉を残して2人はお会計をして教室から出て行った。ふぅ~もう危険だったね! なんせ行方不明となってる我がキチガイの方の姉がクロエさんを引き連れてやってきたなんて知れたらもう大騒ぎだもん。しかしこの人が潜入してくる亡国機業の人ねぇ~名前は巻紙礼子、IS装備開発企業『みつるぎ』の渉外担当なんだ……なんでこの人が来るって分かったんだろう? いやたばねぇだしハッキングとかして情報を仕入れたんだろうけど。一応生徒会長さんにこれを渡しておいた方が良いかな。

 

 テーブルを拭いて次のお客さんの相手をしようとすると入り口からとある人物が入ってきた。何してるんでしょうか……何でメイド服着てるんですか? というより生徒会長さん、あなた2年生じゃなかったでしたっけ?

 

 

「その質問に対する答えは生徒会長だから、で全部解決するわよナギちゃん」

 

「ナチュラルに心を読まないでください。あとこんにちは、メイド服似合ってませんね」

 

「……そこは似合ってるっていう所じゃない?」

 

「だって生徒会長さんって奉仕するような人じゃないですし。ぶっちゃけると無理してる感が酷いです」

 

「……ぐふぅ」

 

 

 その場に生徒会長さんが崩れ落ちる。よし! たばねぇがやってきて焦ってた心もこれで落ち着いたぞ! ありがとう生徒会長さん! そして今のは全て本音なので許してください。立ち直らせるふりをして貰ったカードを手渡すと視線でこれは? みたいなことを聞いてきたのできゃはっ♪ とにぱー笑いという名のたばねぇから貰いましたと説明……でも伝わらなかったみたい。なぜ分かったか? 可愛いわね凪ちゃんと言った後に扇子で流石女の子と返してきたからです。いえ女の子じゃなくて男です。

 

 

「――たばねぇがさっき遊びに来て渡してきました。亡国機業の人の情報が書いてます」

 

「……なんで篠ノ之博士がやってきてるのよ……そして了解。警備を厳重にしておくわ」

 

 

 周りに聞こえない様にこそこそ話で伝えて僕は別のお客さんの相手を始める。イチ兄? なんか鈴さんと良い空気になってるけど? さすがキリッ状態のイチ姉さん! もうあれもう一人のちー姉ちゃんで良いんじゃないかな?

 

 でもせっかくの学園祭だし楽しまないと損だもんね! だから僕はこの午前中を思いっきり楽しむよ!

 

 

「いらっしゃ~い、1年1組ご奉仕喫茶へようこそ~にぱー♪」

 

 

 笑顔で接客していると後ろの方でもうあの子は女装させてた方が良いんじゃないかなという言葉が聞こえたけど嫌だからね! 絶対に嫌だからね!

 

 こうして若干ノリノリでメイドをして僕の学園祭午前の部は終了した。




一夏→表情が若干柔らかい千冬。
凪→髪を下ろした箒

以上、女装した男性操縦者の容姿でした。
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