篠ノ之家の弟は阿頼耶識使い   作:木の人

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キミの名前は

『怖いのはイヤ。痛いのイヤ。こないで。嫌い、嫌い、嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌いきライきらイきらいキらいキラキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライ』

 

 

 なにこれ……声が聞こえる。恐怖に怯える女の子の声……此処どこ? 真っ暗だ、暗くて上も下も右も左も分からないぐらい暗い。それよりこの声ってISを起動した時から聞こえている声だ……たばねぇやクロエさんとも違う声。誰だろう? 何処かにいるの? ねぇ? ねぇ?

 

 

『誰かいるの何でいるのどうしているのイヤイヤイヤイヤイヤ来ないで怖い怖い怖い怖い私に触れないで私を弄らないで私を傷つけないで痛いよなんでナンデナンデナンデナンデ私がどうして私が他の子はふつうなのになんでわたしだけなんでなんでどうしてどうしてなの答えて誰でもいいから貴方でもいいから答えて答えてねぇねぇ』

 

 

 何を答えれば良いのか分からないけど僕は此処に居るよ? 何を答えれば良いのかな? えーと初めまして? 僕は篠ノ之凪です。キミの名前は……あれ? そういえば無いんだっけ? あれ? なんでそんなこと知ってるんだろう?

 

 

『怖い人やっつけたその時教えたでも関係ないあなたは悪い人いい人どっちどっちねぇどっち?』

 

 

 うーん……今はどっちでもないかな? だってキミが僕を見て、知って、そこから判断してくれなきゃダメだと思うよ? だからまず握手しよう? キミは僕の事を知って僕はキミの事を知って……お互いを知ってそこから判断してほしいな。それじゃダメかな?

 

 目の前は真っ暗、どこにいるのかも分からない。それでも手を前に差し出す。箒姉を助けてくれたイチ兄のように出来るか分からないけどやらないよりやってみてから考える。バカなんだからそれぐらい分かりやすい方が良いと思うしね。

 

 すると背後に誰かが現れた気配がする。振り向くと暗くて見えないはずなのに不思議とその姿は見えた――足先まで届く長い髪、体中が包帯で巻かれていて病院で検査をするときに着るような服を着ている女の子。せっかく可愛いのに顔は笑っていない、眼の光が消えているようにも見える。もう、そんな風にしてると不気味って言われるよ?

 

 

『――イイヨ』

 

 

 そして僕は引きつった笑みを浮かべているその子に首を絞められた。

 

 

 

 

 

「あ! なっくん! 目が覚めた!?」

 

「う、ん……あ、れ? ここ、どこ?」

 

「此処は新しい隠れ家! そうお姉ちゃんが持つ秘密基地なのだ! よかったよぉ~今までずぅぅっと眠ったままで心配したんだからぁぁ!! さぁ! 眠気覚ましにあっつぅいちゅ~――へぶ」

 

 

 跳んできたたばねぇを無意識で動かしたであろう手で受け止める。あれ黒い? 機械っぽい……怖い? コワくないよ? 僕のお姉ちゃん、大好きなお姉ちゃん、家族、そう家族、キミのお母さん? そうなの? だったら大丈夫、大丈夫大丈夫。

 

 

「もうなっくんってば恥ずかしがり屋さんなんだからぁ~まっとりあえずはね、なっくん。ISを解除しようか?」

 

「かいじょ?」

 

「今も展開しっぱなしだよ? というより~今まで寝てても展開し続けてたんだよ? 普通はありえないのに」

 

「そうなんだ……? でもこれ僕の身体じゃ。いや違うよね……ごめん。なんか頭がボーっとして……こうでいいのかな?」

 

 

 服を脱ぐように今まで起動してたと思われるISを停止させる。背中で繋がっている部分を外してISから降りると何故か分からないけど体が重い。あれ? なんでこんなに重いんだろう……? ふらふらする……あれ? そう言えばさっきまで誰かと話してたような……でも此処に居ないよね? 誰なんだろうあの子……?

 

 前に歩こうとするも足が言う事を聞いてくれず後ろに倒れそうになるけど誰かに支えられた。あ、クロエさん? ごめんね? ありがとう。

 

 

「凪様、かれこれ数日は何も食べていないのですから無理はいけません。まずはこれをお食べください」

 

「……栄養ドリンク? ゼリー?」

 

「いきなり固形物は胃に悪いと思われるので」

 

「あ、なるほど……いただきます」

 

 

 クロエさんからゼリーと栄養ドリンクというアンバランスな組み合わせの食事を受けとって食べる、そして飲む。う~んなんて言うか体にしみこんでくるって感じがするね! 今まで水分取ってなかったのかな? すっごく気持ちがいいや! あ、あと水ください……ありがとうございますクロエさん!!

 

 

「よしよし。これでようやくこのISの事を調べられるよぉ~♪ そういえばなっくん! IS起動おめでとー!! わーパチパチ!! 世界初の男性操縦者になったご感想をどうぞ!!!」

 

「とりあえずなにが何だか分からないですお姉ちゃん」

 

「では教えてあげようじゃないか!!! なっくんは阿頼耶識システムを使ってなんとISを起動させれたのだ! そして狙ってきた悪党をこんな風になぎ倒してしまってさぁ大変!! よかったね! 顔の装甲と胸の装甲で男の子だって分からないよ!」

 

 

 たばねぇが上空にモニターらしきものを出現させて何かの映像を流してくる。とりあえず立っているのが辛いので座りたいと言うとクロエさんが背もたれ代わりになってくるようでその場に座ってその映像を見ることに。あれ? 傍から見たら危なくない? 今の僕達? だ、大丈夫だ……! ここにはたばねぇと僕達しかいない……だからセーフ! セーフったらセーフ!!!

 

 とにかく映像を見ましょうそうしましょう。多分映ってる黒い鎧っぽいのを着たのが僕だろう。一つ目っぽいのが付いたヘルメットのようなものを被り、胸回りは黒い装甲っぽいので覆われて両腕は大きな機械の腕、足もまた同じ大きな黒い機械の足……人間の部分が残ってるのって肩と腰と二の腕とふとももと首ぐらいだよね? ISを起動するとこんな感じのものなの? まぁいいや。おーなんか後ろから斬りかかってきた女の人の攻撃をいとも簡単に回避してる、肘打ち蹴り杭撃ちこみは見ない方向で。あれを僕がやってるってなるとダメだね、うん。二人目の人も銃を乱射してるけど僕らしき人は踊っているように躱して背後からまた杭を撃ちこんでる……なんでこうなったんだろう? 教えて先生!!

 

 

「酷いことする人だね。この黒いISを着た人」

 

「凪様……現実逃避はおやめになったほうが……?」

 

「はいごめんなさい僕です僕ですよねそうですよね本当にごめんなさい……! でも信じてほしいのは確かこの時……あれ? 何を思ってたんだっけ? 怖い? 嫌い来るな来ないで……? そんな声を聞いててあと……うーん、ごめん。なんか覚えてない」

 

「ほうほう声とな~? となると阿頼耶識システムはISコアの深層に眠る意識を聞き取れるのかぁ~だったら同調するのも頷ける。うんうんあの連中は中々優秀だったかもしれないな~どうでもいいけど。なっくんをモルモットにしようとした奴なんか死ねばいいし。そーれーよーりー!! 二人とも引っ付きすぎだよ! おこだよおこ!!」

 

「だって椅子ないじゃん」

 

「凪様のお身体に負担がかからないように映像を見るためにはこのようにするしか……凪様、嫌でしたでしょうか?」

 

「い、いや~良いんじゃないかな? うん、それよりもたばねぇ? ISの深層に眠る意識がとか言ってたけど多分その子と会ったと思う……うん、会った」

 

 

 これぞ話題のすり替え! フフフ……箒姉との同居生活の中で女の人との接触なんて慣れたもんさ! 単身赴任用かもしれないあの狭い部屋で箒姉との二人きりだよ? 慣れなきゃダメでしょ? あと下着とか洗濯した時に見てるし。多分僕だけじゃないかな? 女物の下着の干し方とか分かってる男子。あ、でもイチ兄も知ってそう。何となくだけど。

 

 

「……なんと!?」

 

「凪様……? 本当なのですか?」

 

「うーん? 曖昧なんだよね~そもそもあの映像の場面も頭の中ぐちゃぐちゃで何考えてたか分からないし……でもさっきまで寝てた時にあったと思う。何故かは分からないけど人間不信……? って言えばいいのかな? 怖いから遠ざける、痛いのが嫌だから逆に傷つける……なんかそんな感じだった。あと最後に首絞められた」

 

「よし分解しよう!!」

 

「待って!! これ以上ダメ!! ダメったらダメ!! ノー!! このままでいいから!!」

 

「む~仕方がないな~でもいつもあんな感じになっちゃったら嫌だからちょこっと改良だけさせてね?」

 

「う、うん……だったらいいのかな? あまり酷いことはやめてね?」

 

「ふははははは~お姉ちゃんを誰だと思っているのだ~♪ じゃ行ってくるからなっくんはゆ~っくり休んでね?」

 

 

 その言葉を言い残してたばねぇは黒いISと一緒に奥へと行ってしまった。さてどうしよう……うん、まずは寝よう。ベッドで寝よう。なんか身体重いし疲れたし。

 

 

「それじゃあたばねぇの言うとおり休もうかな」

 

「はい。お部屋までご案内いたします。支えますのでゆっくり歩いてください」

 

「迷惑をかけてごめんね」

 

 

 クロエさんに支えられながら新しいお部屋まで歩いてベッドに横たわる。なんて言うか秘密基地らしいけどいくつあるんだろうか……10? 20? いやもっとあるね。弟としての感だけど。部屋まで運んでくれたクロエさんだけど近くの椅子に座って僕をじっと見つめてくる……あれ? なにか顔についてる?

 

 

「凪様。少しお話しをよろしいですか?」

 

「うん。どうしたの?」

 

「何故、いえどうしてあのような無茶を? 確かに私の能力が効きにくい相手ではありましたが凪様があのような行動をする必要もありません。束様がいつもの様に撃退していたでしょう――どうしてですか?」

 

「う~ん……体が勝手に動いた? でもそれじゃ納得しないよね? じゃあ昔話をしようか」

 

「昔話ですか?」

 

「そう。小学1年生だったかなぁ~2年生だったかなぁ~? 箒姉、あっ僕のもう一人の姉ね。箒姉が同級生に虐められてたんだ。何時も竹刀持ってるから男女、今なら子供ならではの好意の裏返しみたいなもんなんだなぁと思うけど当時の僕はそんなこと分かんなかったし毎回反論してばっかだった。でも虐めは止まらなくて逆にエスカレートしていって生意気だとかで蹴られたりとか、それ見て箒姉が怒って同級生に叩かれたり蹴られたりで……そんな時かな? イチ兄のカッコよさに憧れたの」

 

「カッコよさ……?」

 

「2対多数、しかも大柄な子もいたのにイチ兄は怯まずに殴り掛かったんだよ。女の子を苛める奴はバカだとかいって。まっ結局、途中で先生に止められて怒られたけどね~でも、そのイチ兄とは僕は良く話して仲は良かったけど箒姉とは仲悪かったんだよ? それなのに助けに入って自分も怒られて普通なら見ない振りするでしょ? でもしなかった。なんでって聞いても困ってるなら助けるに決まってるって普通に言うんだよ? カッコイイなって今でも思うよ……だから今回もそれに憧れたからかな? だってたばねぇが何とかするって言ってもそれまではクロエさん一人でしょ? だったら助けに行きたいって思うよ」

 

 

 殆ど賭けでやらなくても良かったかもしれないけどやらないで後悔よりやって後悔、何かあったらその時はその時。見て見ぬ振りはできない。少しでもあの時のイチ兄に追いつきたいから。でもまだ無謀と勇気の境界線があいまいだけどね。

 

 

「――凪様」

 

 

 いつも目を閉じているクロエさんが静かに目を開けた。金の瞳に周りが黒……珍しいね?

 

 

「私は普通の人間ではありません。親もいません。あるとしても試験管、科学者達がそうなると思います。この金の目は失敗作、完成体には及びませんでした。気持ち悪いですよね……黒い眼球に金の瞳、凪様の様な普通の目ではありません。ですから私なんかのために無茶をする必要も――」

 

「なんで?」

 

「……え?」

 

「ただ目の色が金色で白い部分が黒いだけでしょ? というよりさ、気持ち悪さだったら僕の方が数段上だよ! お風呂入る時とか背中から端子が出てるのを鏡で見ると自分でもうわってなるんだよ? それに比べたらクロエさんのなんか全然問題なし! だって髪も綺麗だし可愛いし僕は気にしないけどなぁ」

 

 

 色々とツッコミたい所は合ったけどね。試験管とか科学者とか。でもさ、それでも生きてるじゃん。ご飯食べて話して勉強して。だから別に目の色とか違う程度で驚いてられないよ……それにたばねぇで殆どそう言うのは慣れてるし。

 

 

「き、気持ち悪くないのですか?」

 

「全然。むしろやっと目が開いた顔が見れたって感じかな? というよりもね――たばねぇはそれ以上のことやるから驚くには全然足りない!! だから自分は人間じゃないとか目の色が違うとか気持ち悪いとか思わなくてもいいよ? だって生きてるよね? 一緒にご飯食べて会話して、あとこれから料理を教えるんだからさ。気にするぐらいならプラスにしようよ! この阿頼耶識みたいにさ」

 

 

 正直この阿頼耶識システムで色々とやりたいことはある……! ネットに繋いで料理レシピを頭に叩き込みたい! そしていろんな料理を作りたい! あれ? 使い方間違ってる? 大丈夫大丈夫! きっといい使い方だよきっと! そんな事を思っているとクロエさんが泣き始めた……あれ? 何か酷いこと言ったかな? 自分の発言を思い出せ……! 何を言った!? ダメだ思い出せない! 慌てているとクロエさん微笑みながら涙を拭い始める。

 

 

「束様と初めてお会いした時も似たようなことを言われました。本当に似ていますね」

 

「まぁ姉弟だし。頭の出来は似てないけど」

 

「……ふふ。では凪様の前でも目の事は気にしないことにします。長々とお話をしてすみません、お疲れなのですからゆっくりとお休みください」

 

「うん? じゃお言葉に甘えて……おやすみなさーい」

 

 

 ベッドに横になると急激な睡魔に襲われてそのまま夢の世界へ。

 

 目が覚めると見慣れない天井で少し驚いたけどあ、移動したんだっけという事を思いだして早く慣れようと思いつつたばねぇ達を探す。といっても普通に見つけたけどね。近くに黒いISもあるから改良って奴が終わったのかな?

 

 

「おはよーたばねぇ、クロエさん」

 

「おっはよ~なっくん♪ よく眠れた? 怖くなかった? お姉ちゃん抱き枕必要だった?」

 

「普通に熟睡だったよ? ふかふかのベッドで寝ると気持ちがいいね」

 

「おはようございます凪様、寝癖が付いておりますよ?」

 

「あ、ホントだ。先に顔と歯を磨いてくるね」

 

 

 というわけで洗面所へ行って顔を洗って歯を磨き、寝癖を直してたばねぇ達の所に戻る。にしてもやっぱりデカいよなぁ……IS。

 

 

「お待たせ~そう言えば改良って奴は終わったの?」

 

「勿論だとも!! さぁなっくん! 早速乗ってみるのだ!!」

 

 

 ちょっと怖いけどたばねぇを信じて乗ってみようそうしよう。上を脱いで背中の端子に丸い奴をはめて最初に動かした時と同じように突起物と接続、ISを起動させるとやっぱり前の時と同じように頭の中に何かが流れ込んでくる感覚がある。たしかに最初の時より頭に情報が流れてくるのは抑えられてる気がする……でも少しだけかな? まだちょっと慣れないし頭の中がぐちゃぐちゃしそうになる……! もうたばねぇにクロエさん、心配しなくてもいいよ? 最初のである程度耐性みたいなのが付いたっぽいから鼻血とかでないみたいだしね。

 

 しかし本当に起動できてるよ……! なんか凄いね! 何かを着てるって感じがしない……僕の体が大きくなった感じを除けば生身みたいな感覚だよ! ISってすっごいね!!

 

 

「どうかな? 頭の中とか意識はちゃんとしてる?」

 

「大丈夫っぽい。前の時のような感じは無いかな。ん? 何か目の前に色んな数字が出てきてるんだけどなにこれ?」

 

「およ? 初期化(フィッティング)最適化(パーソナライズ)が始まったのかな? ふむふむ、なっくんのデータを前もって入れてたからそっこーで終わるね。それじゃ手伝ってちゃっちゃと終わらせよ~っと」

 

 

 すっごいなぁ~何あのタイピングの速さ? 速いよ速すぎるよ! あ、もう終わったっぽい……時間的に5分くらいかな? あれ? 前にクロエさんとの勉強会で大体30分ぐらいかかるとか言ってたような……いいか。たばねぇだし。それにしても初期化って奴と最適化って奴が終わったらしいけど何か変化してる所あるのかな? 見た感じなにも変化してないような……あ、色がもっと暗い感じになってる。あと肩に小さいけど装甲ぽいのできてるね……なんかスラスターって奴が付いてる。体勢を変える時とかに使用しろって事かな?

 

 

「やっぱり第一世代だから目新しいものはあまり無いね。どうだいなっくん? 自分の専用機を持った感想は!?」

 

「よく分かんないかな? なにかを着てるって感じがしないし……あっでも目の前のモニターっぽいのがあるからISを身に着けてるんだってことは分かるけど。そういえばこの子の名前ってないんだよね?」

 

「そうだね~正式名称無しだったしなっくんが付けてあげたら?」

 

「僕ネーミングセンスないんだけど……うーんじゃぁ僕と関係ある感じので……なにがいいかな~阿頼耶識あらやしきやしき――耶識、うん。これでいこう」

 

「え~もっとかわいい名前のしようよ~たばねって名前がお勧めだよ~?」

 

「凪様、もしまた分からないことがあればいつでも教えますね」

 

「ありがとうクロエさん……あれ? 今日は目を閉じてないんだね?」

 

「あまり気にしていられないようなので閉じていても仕方がないかなと……閉じていた方が良いのならそうしますけど?」

 

「閉じなくていいと思うよ? その方が可愛いと思うし」

 

「無視された~!! そしてくーちゃんが今までの二割増しの笑顔してる~!! もうなっくん! ダメだよくーちゃんを口説いちゃ!!」

 

 

 口説いてはいないと思うんだけど……? あっごめんね? 色々流した感じだったけどキミの名前は耶識(やしき)だよ。阿頼耶識の耶識から取ったんだけどね……なんかその方が僕と繋がりがある感じで良いかなって思ったんだけどどうかな?

 

 脳裏で夢に出てきた女の子が光がない目をしながら頷いたような感じがした。あれ? ダメ? ドン引きするぐらいダメだった? どっちなの!? ってなんか僕の身体光ってない? とか思ったらISが消えて首に何か違和感を感じた。触ってみると真っ黒な首輪、ちゃんとリードが付けられるような穴付き……これ動物用じゃないかな? まぁいいや。これが専用機(キミ)の待機状態って奴で良いんだよね?

 

 

「待機状態は首輪かぁ~うーん、紐付けてあげたくなるね? はっ!? 私がご主人様でなっくんが奴隷……なにそれご褒美だよもう!! とと、おふざけは少しだけにして先に言っておくね。なっくんの阿頼耶識システムとISの接続速度に制限、所謂リミッターを付けたんだよ。前の様に意識朦朧としながら動かすのは危ないからね~だから最初の時より反応が遅いかもしれないから注意してね」

 

「うん。ありがとうたばねぇ。じゃ――ご飯食べよっか」

 

 

 寝起きでお腹すいてるしね。あっまだ言って無かったかな?

 

 ――これからよろしくね、耶識。




専用機の元ネタはグレイズ・アインです。
腰の細さは生身、他の装甲がちょっと分厚い事で色々と再現。
ただし肩は流星号。

名前は阿頼耶識を略した一つの耶識です。
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