篠ノ之家の弟は阿頼耶識使い   作:木の人

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苦労する弟の平和な日常

 拝啓、どこかにいると思われるお父さんお母さん、そしてIS学園にいる大好きなお姉ちゃん。

 

 比較的平和、ちょっぴり危ない生活を送る事、早数カ月が経ちました。僕こと篠ノ之凪は今日も大変な1日を送ることは間違いと自負しております。改まった挨拶は置いておいてお父さんお母さん、そう貴方たち2人に少しだけ聞きたいことがあります。はい僕と箒姉の姉であるたばねぇの事です。我が姉は僕よりも()()で空気も読まず、変態でキチガイで変態な性格をしていますが僕は大好きです。何故ならシスコンだからです。しかし今だけは……今だけはどこかにいる2人に問いかけたい、いや提案したい――

 

 

「裸のなっくんはぁはぁ……じゅるり」

 

 

 ――全裸の僕を見て涎を垂らしているこの変態を警察に突き出しても良いですよね?

 

 

「あのさ、実の弟の裸を見て涎出すのやめてくれない?」

 

「えっ? なんで?」

 

「だって今のたばねぇって変態だよ? たとえ見た目が美人だとしても行動がアウトだよ」

 

「ふっふっふ! なっくん! 天才と変態は紙一重なんだよ! そして目の前にこんな……こんなごちそうがあるのに我慢できるわけ……じゅるり――いい加減しつこいんだよてめぇ!」

 

「五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い凪を見るな凪に触るな凪に関わるな消えろ消えろ消えろ変態お前なんて変態だ凪が穢れる凪は渡さない凪はワタシのモノ凪はワタシだけのもの」

 

 

 さて、ここで一つ状況を整理しようか。僕は今、IS学園から離れてたばねぇが隠れている秘密基地にいる。何故かと言うと学園祭の時に織斑マドカに敗北、そのまま死にかけて記憶喪失になったから身体に異常が無いかを調べるため。それだけなら普通にIS学園でやればいいんだけど戦闘の際に耶識が結構大きなダメージを負ったかもしれないからキチガイ、じゃなかったたばねぇと連絡を取って休日の今日、いつものように回収してもらいました。

 

 たばねぇに事前に話していたからなのか分からないけど僕の身体を調べるための装置を事前に開発していたようでやってきて早々、これに全裸で入ってね♪ というよく分からないセリフが飛んできました。流石に僕も実の姉の前で全裸とか軽く死ねるので断ったんだけど嘘泣きが非常にウザかったからつい了承してしまった……死ねばいいのに。普通ならここで全裸になって入る所だけど腐っても僕はこのキチガイの弟、これ(たばねぇ)の考えぐらいは手に取るように分かる……こいつは絶対になにかすると此処に来る前に思っていたので我らが守護神ちー姉ちゃんにお酒のつまみを作ってほしかったらIS待機状態変更輪っかを渡しなさい攻撃をして呆れられた末に受け取っていたのでつい使っちゃったんだ。てへっ♪ するとビックリ! なんとこの耶識さん、一瞬で人型になりました! そして僕の前に立ったんだけどなんて頼もしい背中なんだとつい心が揺れたね!

 

 そんなわけで体の不調を探るくんと命名されたこのカプセルに全裸で入った僕を耶識が守ってくれているというわけです。ちなみに目の前で行われているたばねぇVS耶識だけどこれで……あれ何回だっけ? とりあえずこの十分の間に2ケタは到達してると思う。いや違うんだよ……耶識がたばねぇに倒されるんだけど不死鳥のように蘇って僕を守ってるんだよ……! 流石僕が一番頼れる人、いやISだね!!

 

 

「凪様。一番頼れるのは私では、ないのですか?」

 

「も、もちろんクロエさんも頼れる人だよ! うんうん……よ、4番目くらいだけど」

 

「……そうですか。おかしいですね今まで私が一番だったはずなのになぜ落ちているのでしょうか……もしや記憶喪失になった影響で私の催眠映像(ワールド・パージ)が解除された……ありえますね」

 

 

 あはは~何を言っているんだろうねクロエさんは。催眠映像って何? 僕にいったい何をしたの!?

 

 あっ、一応言っておくけど頼りになる人ランキング知り合い全員で作ると1位耶識、2位ちー姉ちゃん、3位虚さん、4位クロエさん、5位と6位が同率でたばねぇとイチ兄です。えっ箒姉? あんなポンコツは頼りになるわけがない。

 

 

「くーちゃんくーちゃん。束さんの愛するなっくんにいったい何をしているのかなぁ~?」

 

「束様。何でもありませんよ? それよりも凪様のお身体ですけど特に異常は見当たりません――そこにいるISに持っていかれた腕の感触以外はですけど」

 

「ほうほうそれはよかったよかった――いい加減腕の感触なっくんに返せこの野郎。一回バラされたくなかったら今すぐ返せ」

 

「嫌だ嫌だこれは凪がくれたもの凪がワタシにプレゼントしてくれたもの凪が触る感触凪の腕の感触凪の匂い凪の凪の凪の――今すぐ凪から離れろぉぉぉぉ!!」

 

「こんのメンヘラつぅかヤンデレつうかとにかくめんどくせぇんだよ!」

 

「あらやだクロエさん。うちのお姉ちゃんってばなんて逞しい戦い方なのでしょう」

 

「そうですね。中華包丁のような武器を持っている女性に怯まずに素手で挑んでオラオラは人間とは思えません。凪様、あのような人の事を人外……いえ社会不適合者と言うのですよ」

 

「知ってた。流石細胞レベルでバグってるお姉ちゃん……所でクロエさん、できれば……そのぉ、下は見ないでほしいんだけど? このカプセルに入る時に両腕両足固定されてるから隠せないんだよねぇ~あははは」

 

「――凪様、いずれ見られるのですから大きくしても良いですよ?」

 

「なんでさ」

 

 

 もうヤダ此処の人達……やっぱり引きこもった方が良いのかなぁ~だってあの常識人かと思われたクロエさんでさえたばねぇウイルスに感染してこんな風になってしまった……流石存在自体がチートのお姉ちゃん! 浸食率が半端ないね!!

 

 

「はぁはぁ、はぁはぁ」

 

「分かってるよね分かってるもんね大丈夫だよね信じてる信じてるよもしダメなら切るね切るからね落とすからねワタシ以外に興奮しちゃダメなんだからね」

 

 

 さて、一つだけ聞かせてほしいんだけど……どうして2人は今だけ仲良いの? さっきまでガチの殺し合いしてませんでしたっけ? もしかして戦った後は友達、仲間だ精神だったの? いやぁ~凄いね! じゃなくてあの耶識さん耶識さん……切るってどこ? 落とすってどこ? いやぁ~ですよね! そこですよね! あははは丁度持ってる武器が中華包丁だから景気良く切れるよね――い、いやぁぁぁ~!?!?

 

 そんな微笑ましい……微笑ましい? どちらかと言うとドロッドロの愛憎劇っぽいけどまぁ良いや。そんなやり取りがありつつようやく僕は衣類と言う人間が人間であるために大切な存在を纏う事が出来ました! 多分色んな人に喧嘩売った気がしないでもないけどこの人達の前で全裸って軽く死ねるんだよね。捕食と言うかそっち方面で!

 

 

「……服ってこんな風に落ち着けるものだったんだなぁ」

 

「凪凪凪こいつら追い払っても追い払っても諦めないどうしようどうしよう殺る殺ってもいい良いよねうんうん近づくな凪に近づくなお前なんか母親じゃない」

 

「それはこっちのセリフだこの野郎。お前なんか生んだ覚えねぇよバーカ」

 

「バカと言った方がバカなんだよそれぐらい知らないの無常識だねあははははは知能とかその胸の栄養になってるんじゃないの死ねばいいのに凪に近づくな変態おばさん」

 

「はぁ? 生憎世界中探しても私並みの天才は存在しねぇんだよ。何? 束さんの巨乳で美乳に嫉妬してんの? うわっだっさぁ~そんな絶壁じゃなっくんは興奮しねぇよ。ほれほれ泣いて謝って土下座するなら数分で巨乳になる装置作ってやんよ」

 

「――耶識」

 

「――銀髪」

 

 

 はい始まりました! 恐らく全世界初となる人間と人型ISのコンビVSキチガイ姉のマジバトル! 実況は僕こと篠ノ之凪で解説は僕こと篠ノ之凪がお送りいたします。さて事の発端は我が姉、篠ノ之束お姉ちゃん(キチガイ)の絶壁発言でしょう。此処にいないはずの人からの殺意の波動が此処まで伝わってきております……鈴さんすげぇ。では実況と解説に入りますがなんと先ほどまでやや仲が悪かったであろうクロエさんと耶識のコンビ――通称ぜっぺ、慎ましい胸コンビが相手をするのは大きすぎる山、山、山のような胸を持つ我が篠ノ之家が誇るキチガイ姉。なんということでしょう……耶識が病愛を両手に握るのはいつもの事ですがクロエさんの武器はフライパン! そうフライパンです! それを見たたばねぇは……な、なんだってー!? 戦意喪失!? まさかの後退りからの土下座! はい決まりました! 勝者はクロエさん&耶識コンビ! 勝利の決め手は何と言ってもフライパンです! 皆はフライパンを持ってちゃんと料理しましょう! ふぅ、こんな感じでいいかな? んじゃこれを箒姉に送信っと。

 

 ものの数秒で返ってきたけど流石箒姉。たばねぇの事なんてどうでもよくて僕の事だけ心配するなんてなんて良い姉なんだろうか……! とりあえず帰ったら説教はやめてください。

 

 

「束様。絶壁では凪様が興奮しないと言いましたか?」

 

「ち、違うよくーちゃん! ただなっくんは巨乳好きなだけで凡人以下略の奴らの中には絶壁をこよなく愛する希少種が――きゅ~」

 

「銀髪やる」

 

「ふふっ……耶識、これが愛の力です」

 

「凪の愛なら負けない負けてないワタシの勝ち勝ちだもん」

 

「あのツッコミどころ多すぎてもう無理だからそろそろ本題に入っても良い? 僕の身体は本当になんともないんだよね?」

 

 

 あんな実況と解説やってられないよ。それにしても凄い一撃だった……! 存在がチート、生命力無限大のたばねぇが一撃で沈む威力なんてなんて凄いフライパンなんだ! えっこれは普通にホームセンターで買ったフライパン? 最近のホームセンターって凄いんだね。

 

 

「はい。先の戦いで負ったダメージは既に回復、今の凪様の身体は健康そのものです。しかし残念な事に両手の感覚は今もなお失われたままです――何時になったら戻すつもりですか?」

 

「しらない」

 

「こんのヤンデレ風情が……あっお姉ちゃん復活! なっくんなっくん! 痛いの痛いの飛んでいけぇ~ってやってぇ~? ほらほらぁお姉ちゃんのすべっすべでさらっさらの髪の毛だよぉ!」

 

「……あれ? たばねぇ、白髪あるよ」

 

 

 瞬きした瞬間、さっきまで目の前にいたのにたばねぇは何処に行ったんだろう? まっいつもの事だし気にしないでおこう。

 

 

「たばねぇが消えたけど話を戻して……そもそも腕の感覚が無くても生きていけるし僕はどうでもいいんだよねぇ~それよりも今の今まですっかり忘れてたけど怪我とかしてない?」

 

「大丈夫大丈夫大丈夫だよあのうさみみが直してくれたから怪我なんてしてないよ心配してくれてありがとうえへへ嬉しいよ凪凪凪大好き大好き大好き」

 

「流石たばねぇ。喧嘩してたから心配してたけどちゃんと直してくれたんだ。あと耶識……ごめん、抱き着くのは良いんだけど病愛の刃が当たってる、背中にちくちく当たってる」

 

「……一度本格的にこのISを矯正、いえ調教した方が良いかもしれませんね」

 

 

 クロエさんが怖い事を言ってるけど気にしない気にしない。さて耶識さん、抱き着くのは良いんだけど何故服の中に入ってきてるのかな? 生地が伸びちゃうからやめてほしいんだけど……いや抓らないでよ。もしかして嫌だって事? そうかぁ~嫌なのかぁ~……はぁ。

 

 そんなこんなでいつの間にかいなくなっていたキチガイ姉も戻ってきたのでちょっと遅めのお昼ご飯にすることんしました。耶識? あぁたばねぇがウザいとか言って待機状態をいつもの首輪に戻しちゃったから僕とたばねぇとクロエさんの3人だけです。なんという非道! 悪魔! キチガイ! 変態! ダメだ罵声を浴びせると返って喜んでるよこの姉は……死ねばいいのに。ちなみにお昼ご飯はミートパスタです。

 

 

「そう言えばなっくん。もうすぐキャノンボール・ファストがあるけどどうするぅ?」

 

 

 麺を啜りながらたばねぇが聞いてきた。キャノンボール・ファストというのは確か国際大会の一つでIS同士による高速レースを行う競技。確か専用機部門と訓練機部門があったっけ? 僕が出るなら専用機部門だけど残念な事に今回も僕は参加できません。何故なら行われる会場が市のISアリーナ、しかも一般の方々が観客としてやってくるから僕が出たら大騒ぎになりかねない。よって今回は学園祭のように女装もせず、女装もせず! 引きこもってるか裏で亡国機業に備えて待機してる予定です。あははは……僕がまともに参加できる行事って臨海学校以外であるんだろうか。

 

 

「どうするもなにもイチ兄と違って僕は世間に公表されてないから出られるわけないじゃん。大人しく引きこもってるか裏で亡国機業に備えて待機してるよ」

 

「だよねぇ~恐らく亡国機業はこんな面白イベントを見逃さない。きっと織斑マドカが乱入してくるよ――なっくんを狙ってね」

 

「……だろうね。あの子って僕に執着してるっぽいし」

 

「そうそう。なんでなんだろうねぇ~同じ阿頼耶識使いだから? それともなっくんに惚れちゃった? それともただの気まぐれ? どんな理由があろうと亡国機業に所属してる以上、いっくんと箒ちゃんに手を出したら全力で潰すけど。というわけでぇ~なっくんなっくん! 強くなりたい?」

 

「勿論だけど……何その顔? なんだか凄く嫌な予感がするんだけど?」

 

「ふっふっふ! 別にバトル漫画のように厳しい修行とか一切ないから安心してねぇ~ただくーちゃんのワールド・パージで耶識の世界に入り続けるだけだからさ」

 

 

 ふむったばねぇの事だからまた無茶な事でもさせるんじゃないかと思ったんだけど違ったなぁ。でも耶識の世界に入って何をすればいいんだろうか? そして何故クロエさんはドヤ顔なんだろうか。

 

 

「なっくんの単一仕様能力、人機融合なんだけどムカつくことにあのヤンデレの意識が混じってるんだよ。これは気づいてると思うから進めるけど問題はリミッターのせいで本来の出力よりも抑えられてるっていう点。だからすっげぇムカつくけどなっくんは耶識と対話してリミッターを解除しても自我を保てるぐらいまで成長しないと織斑マドカには勝てないね」

 

「……たばねぇたばねぇ? 人機融合を使ってる時は耶識と一緒に戦ってるよ?」

 

「それ以上にならないとダメなんだよ。なっくんと耶識は人機融合で2つの意識が1つになってる。だから右を見ながら左なんてことも可能だからこその戦い方ってものがあるはずだよ。まぁ~お姉ちゃんは反対だから! 反対だよ! 最近のくーちゃんは病んできてるからなっくんに何をするか分からないもん!」

 

「束様。流石の私でも凪様の思いを不意にするような事はしません。精々寝ている凪様のお身体を触るだけです」

 

「ねぇくーちゃん。それって変態っていうんだよ?」

 

「束様ほどではありませんよ」

 

 

 そう言えばたばねぇからリミッターを掛けられてたね。すっかり忘れてたよ……でもそれを解除しても織斑マドカに勝てるかどうかって言われたら難しいかもしれない。耶識の戦い方は近距離主体に対して相手は遠距離主体のISだから近づこうとしてもビットで体を撃たれてアウト……現にそれで頭を撃ち抜かれたり四肢切断されかけたんだし。でもやってみないと分からないか……よしやろう!

 

 

「大体くーちゃん! 昔のミステリアス部分はいったいどこに置いてきちゃったの!? 最近武力だけならちーちゃん2号になりかけてるしなっくんにもワールド・パージを使って手を出すし! もう束さんは我慢できないよぉ! 今度の夢には私を登場させてください!」

 

「お断りいたします。そもそも束様、貴方は凪様の実の姉ではありませんか。法律を守ってください。常識を学んでください」

 

「甘いよくーちゃん! 世界の法律なんて束さんが決めれるんだからそんなもの全く意味をなさないのさ!」

 

「事実その通りですから頭が痛いですね……凪様も束様に言ってください」

 

「無理無理。こんなキチガイを手懐ける方法なんてあるわけない。それを見つけた人は世界中から称賛されるレベルだし。というよりクロエさん? ワールド・パージを使うとは思うんだけどどこでやるの? 毎回此処に来ることは難しいよ?」

 

「ご安心ください。離れていても凪様が眠りにつく時に私の催眠映像(ワールド・パージ)は凪様を耶識の世界に誘う事が出来ます。ですので凪様は安心して特訓に励んでくださいね」

 

「おぉ……やっぱりクロエさんは頼りになるね!」

 

 

 なんか隣で油断しちゃダメだよとか叫んでる姉がいるけどあはははは、クロエさんがそんな変な事をするわけないじゃないか。確かに最近クロエさんが夢に出ることが多いかもしれない……けどきっと僕の潜在意識的な何かというか失われた記憶の部分が思い出すんだ凪! と言う感じで見せてるだけだろうきっと。それにしても何故夢の中でのクロエさんはくーちゃんくーちゃんしか言わないのだろうか……? 呼んでほしいのかな?

 

 そんなわけで今日の夜から耶識と話し合いましょう大会が開催されることになりました。この後は特に用事なんてないのでたばねぇに頼んでいつもの場所に降ろしてもらいIS学園へと帰る……と何故か部屋の前で箒姉が仁王立ちで待ってました。流石僕の姉、堂々としていてカッコいいね!!

 

 

「――凪、お前はいったいどこにいたんだ」

 

 

 立ち話もなんだから部屋の中に入れてお茶を出すと綺麗な正座をしながら箒姉が聞いてきた。何処と言われてもメールで教えたと思うんだけどなぁ~?

 

 

「たばねぇとクロエさんの所だけど? 僕の身体と耶識の状態を調べてもらうために会いに行ってたんだぁ。メールで送ったと思うけど凄くなかった? たばねぇVSクロエさん耶識コンビの戦いもどき……きっと動画サイトに投稿すれば再生数うなぎ登り間違いなしだね!」

 

「バカな事を言うな。あの変態が出ている映像を見たいと思う輩などいるはずがない。それよりも……体は大丈夫だったか!? あの変態になにもされてはいないな!? ちゃんと身体が洗うんだぞ! 何だったらお姉ちゃんが洗ってやる!」

 

「バカでしょ。何が悲しくて実の姉とお風呂一緒に入らなきゃいけないのさ……別に何もなかったし身体も両腕の感覚が無いだけで健康状態だったしたばねぇにはなにもされてないよ。全裸を見られた事以外」

 

「――次に会った時、あの変態の最後か」

 

「いやいやいや……実の姉を殺そうと思わないでよ。それより今日はイチ兄と一緒に訓練だったんでしょ? どうだったのさ」

 

「う、うむ。実はだな……紅椿の絢爛舞踏を使う事が出来たのだ」

 

 

 何と言う事でしょう……あの箒姉が、最近ポンコツに加速がかかっている箒姉が単一仕様能力を使用出来ただって!? 凄いよ箒姉! つまり今日からエネルギーを削ってもすぐに回復されちゃうって事だよね! チート! チートだよ! そんなのにどうやって勝てばいいのさ!!

 

 

「これもお前の精神世界に入った時の経験があったからだろう……い、一夏にも凄いなと褒められたんだ……! こ、これならば一夏の隣に立っても違和感は無い、と思わないか!」

 

「むしろお似合いだね。流石箒姉! このままイチ兄の彼女を目指して前進あるのみだよ!」

 

「う、うん! 頑張る……お姉ちゃん、頑張るぞ!」

 

 

 頑張れ箒姉! 弟である僕はイチ兄との交際を認めてるから思う存分イチャイチャできるように頑張るんだよ!

 

 

「凪の身体に異常が無くてよかったなぁ。記憶喪失とかになってたから心配してたんだよ」

 

「学園祭からもう数日経ってるんだよ? 異常なんてあるわけないじゃん。でも心配してくれてありがとう」

 

「アンタの場合は事情があるでしょうに……そもそも腕はどうなのよ?」

 

「それは結構前から無くなってた奴だから問題なし」

 

「……問題あるよねそれ」

 

 

 時間は進んで夕方。いつものメンバーでご飯を食べているとイチ兄が束さんの所に行ってたみたいだけど何してたんだって聞いてきたから身体に異常が無いか見てもらってたと話した。結果も教えると心配してくれてたみたいでほっとした様子になったけどそこまで心配しなくても僕は地味に頑丈だから大丈夫なのにねぇ。

 

 鈴さんとシャルロットさんが腕の事が気になってた様子だけどこれってらーちゃんがVTシステムに飲み込まれた翌日に無くなってた奴だし今更気にしてもねぇ。というよりもう慣れました。絶対に言わないけど。

 

 

「間隔が無いだけで動かせるし力も入るから特に気にしても仕方ないって。それよりも皆はもうすぐキャノンボール・ファストだけどちゃんと準備してるの?」

 

「勿論ですわ。わたくしのブルー・ティアーズには高機動パッケージが存在しますし優勝は貰ったも当然ですわね」

 

「ふんっ。私も姉妹機であるシュヴァルツェア・ツヴァイクの高機動パッケージがある。優勝するのはこの私だ」

 

「おほほほほ。いかにラウラさんと言えどわたくしに勝てるとは思いませんわ――優勝して褒めてもらうのはわたくしですわ」

 

「言ったな。では当日を楽しみにしている――嫁は渡さん」

 

「うっわ、視線で戦ってるわよこいつら……てかアンタって参加できんの? 一応非公式なんでしょ?」

 

「出来るわけないじゃん。だから当日は大人しく引きこもってるか……()()してるかのどっちかかなぁ」

 

 

 僕の警備という言葉に全員の表情が曇った。学園祭の後、ちー姉ちゃんや生徒会長さんが僕達全員に亡国機業の事を話していたからきっとそれを思い浮かべたんだろうねぇ。でもあの時に織斑マドカって誰というイチ兄の質問は却下されてたけど本当に誰なんだろうねあの子? まっ誰でもいいけど……今度は絶対に勝つ。

 

 

「……あまり危険な真似はするな」

 

「なるべくそうしたいけどね。でもこれが僕の役目だし……ついでに今日から勝つための特訓が、あぁそうだらーちゃんらーちゃん。今日からもし僕は魘されてても気にしないようにね」

 

「何故だ?」

 

「クロエさんのワールド・パージで耶識の世界に入って対話するんだ。話し合って2人一緒にがんばろ~って感じで心を通わせればあの子に勝てるかもってたばねぇが言ってたからそれを実践してみようかと」

 

「……それ大丈夫なのか?」

 

「普通に鉈で攻撃される未来しか見えないんだけど?」

 

「い、いや凪が相手だしきっと大丈夫じゃないかなぁ~……襲われるのは確かだろうけど……」

 

「わ、私も一緒に行くぞ! 性根の悪いあの姉だ……嫁に何をするか分からん!」

 

「……あっ今メール来たけど『ラウラに伝えてください。この件は凪様のみで行いますので貴方は何もできません』だってさ」

 

「……うん? 何で知ってんだ? まさか盗聴……?」

 

「イチ兄、気にしたら色々と疲れるだろうしたばねぇだから仕方ないって思っておけばいいよ」

 

 

 ご飯を食べ終えて部屋に戻り、寝るまでらーちゃんとゲームしたり勉強したりして時間を潰す。まさかあのらーちゃんがゲームに興味を持つなんて思わなかってけど僕がやってるのを見てやりたくなったみたい。とりあえず予備の携帯機を渡して布教用に買ってた予備のソフトも渡して一緒にプレイ。いやぁ~このモンスターを狩って装備を整えたりするこれは1人より大人数でやる方が楽しいもんね。ちなみに僕は大剣、らーちゃんは双剣です。

 

 

「――らーちゃん」

 

「分かっている。無理はするな、お前の傍には私がいるという事を覚えておけ」

 

「うん。ありがとう……それじゃあ行ってくるよ」

 

 

 決意したままベッドに横になり目を閉じる。すると意識が一気に落ちて行って目が覚めると真っ暗な世界に僕は居た……耶識の世界か。よし! 耶識と話して……何を話せばいいんだろう? そもそもリミッターを解除しても自我を保つためにはどうしたらいいのか聞いてくるの忘れたね。まっいいや。とりあえず耶識と話せばなんとかなるでしょ。

 

 楽観的に考えていた僕をあざ笑うかのように耶識は凄い可愛らしい――目に光は宿ってないけど――笑顔をして大好き大好きと言いながら病愛で殴ってきました。そして逆レされました。此処で僕は悟ったよ。あっこの子話し合う気ないなってね。とりあえず一言……凄かった。




原作6巻目にしてようやく凪の強化フラグ。
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