佐世保鎮守府、BIGboss執務室
「川内の様子はどうじゃ?」
先の戦いで両目を負傷した我が艦隊の中でも最高クラスの強者であった……。
「はい、姉さんならつい先ほど異常聴力を得まして、ティンペイとローチンを持って第1艦隊に合流しましたよ?」
「……」
流石は夜戦のプロ……視力なんぞは飾りであったか……。
「おぬしはどうじゃ?」
「まぁ、何とか秘書艦が出来るくらいまでは回復しましたが、戦闘は当分控えるように言われてしまいました」
神通は気恥ずかしそうに頭を掻いて下を向いた。
「うむ、誰も命に別状が無くて何よりじゃ、不幸中の幸いじゃな?」
あの金田中佐五十万トン戦艦を相手に誰も轟沈しなかったのは奇跡と言っても過言ではない……。
「じゃが……我輩の無能さが世間に知られる事になってしまったの……」
「BIGboss……」
神通は困った顔で我輩を見つめている。
「なぁに、慰めは無用じゃ!此処から挽回すれば良いだけじゃ!!」
我輩の言葉にうっすらと笑みを浮かべる神通、流石に鋭いわ……。
「何か良い考えがあるみたいですね?……数日前から飛ばしている水偵が関係ありそうですが……」
「ほぅ?気付いておったか?」
「はい、これでも秘書艦代理ですから」
秘書艦としての能力だけならヴェールヌイをも凌ぐかも知れぬな……。
「日本の元提督と駆逐艦大潮さんの情報は調べておきました」
「成る程、話が早くて助かるぞ、あやつらがM島で行方不明になってから、どういうわけか戦艦レ級が頻繁に日本の領海内に訪れる様になったと言うのは確か神通から聞いた情報じゃったな?」
「はい、特に戦闘行為をしてくるわけでは無かったので、監視だけにとどめておきました」
無駄な争いを避ける、的確な判断じゃな。
「うむ、実は我輩はそのレ級を水偵で追跡しておったのじゃが……」
懐から1枚の写真を取り出す。
「これは、レ級が曳航しているのは随分と古い鋼鉄艦のようですが……」
ふふ、流石の神通もこの船が何なのかまでは解らぬか。
「こいつは例の提督が海軍時代に使っておったものじゃ」
「……っっ!!」
神通は思わず立ち上がり写真を凝視している。
「レ級が曳航する元提督の船……ではこの中には提督と大潮さんが……?」
「うむ、恐らくレ級を通じて他の鎮守府の情報を得たのであろう、そして日本の鎮守府が仲違いして混乱しておる今ならば日本を我が物に出来ると踏んで、侵攻を開始したのであろう……」
「そんな……」
神通は少し驚いた表情をしている。
「いや、今の奴等の戦力ならばやりかねない事じゃ、かつての世界連合艦隊をたった一人で壊滅させたレ級に、空母や大和型戦艦を有するときわ台鎮守府の中でも最強を誇った大潮……」
「それで、BIGbossのお考えは?」
「ふっ、奴等の真意を確かめるために使いの艦隊を向かわせておる……敵意が無いならば佐世保に連れてくる手筈になっておる」
「……もし、BIGbossの思っている通りだったら……」
「……その時は当時と今の戦力の違いを解らせてやるまでじゃ……大湊の奴等と結託させるわけにはいかぬからの……」
恐らくあやつらの目的は大湊じゃ……レ級から情報を得ていると言うことは、我が鎮守府と舞鶴鎮守府よりも大湊警備府に取り入る方が容易い、なんと言ってもヴェールヌイはその大潮を捜すためだけに大湊警備府を立ち上げたのじゃからな……。
「あの、それで使いには誰を向かわせたのですか?」
「……氷山空母……」
きっと艦娘達の呪いでしょう