「……ふぅ、なんか気まずいぜ……」
例の事件から数日後、俺が意識を取り戻し目を覚ますと、レ級の奴は黙って鋼鉄艦を曳航してくれていた。
この鋼鉄艦は調子が良いときでも10ノット出るかどうかという、良く言えば歴戦の老兵……まぁ正直な話、廃棄寸前の駄艦……海に浮かぶ粗大ゴミ……。
レ級のパワフルな曳航によって予定の半分くらいの時間で大湊まで着きそう……ではあるが、その前にこの船がバラバラに解体されてしまう可能性の方が高まってきている。
俺は寝室から飛び出しレ級を呼び止める。
「おーい!あんまり激しく引っ張ったもんだから、堅牢な鋼鉄艦が屋根が付いただけのイカダになっちまっただろーが!!」
全く、これだから深海棲艦は加減と言うものを知らんのだ……。
「あー……もう少しの辛抱だから、海に沈めば楽になるから……」
そう言うとレ級は更にスピードを上げる。
唯一残されていた屋根が吹き飛び、鋼鉄艦はイカダに改装されてしまった。
「……お願いします!この前の事は謝りますから!どうかお怒りをお沈めください!!!」
俺が必死になって祈りを捧げているのを無視して、レ級のスピードは一気にトップスピードに到達する。
「バッカッ!!!死ね!!」
レ級は両手で顔を覆いながらスピードの限界のそのまた向こう側へと、自らの壁をぶち破らんと突き進むのであった!!!
「そこの……イカダ?止まりなさい!!」
いきなり横から怒鳴り声をが聞こえて、レ級が急停止する。
「うぉぉぉおおぉぉぉ!!!!!!越えろ限界!!!」
俺はその反動を諸に受けてイカダからぶん投げられ、水面を水切りの要領で数度バウンドした後、何やら柔らかい感触に受け止められた。
「噂通りの破天荒っぷりだね?」
俺を受け止めたのは、オレンジ色を基調とした忍び装束を思わせるデザインの服を身に付けた、黒髪ツインテール盲目っ子であった。
ちなみに盲目っ子だと思ったのには理由がある。
「あれ?心拍数がすこし上がったみたいだけど?どうかした?」
その艦娘の目のあたりには真っ黒い布がしっかりと巻かれていたのだ。
「私は佐世保鎮守府第1艦隊所属の旗艦、川内って言うんだ、宜しくね?」
その口調からは敵意をまるで感じさせない、佐世保鎮守府って言ったら確か利根提督の鎮守府だったか……。
「会っていきなりで悪いけど、佐世保鎮守府にご同行願うよ?」
佐世保鎮守府か……まぁ、いずれは挨拶にでも行こうとは思っていたが……。
「すまないな、川内ちゃん……俺は大湊に行かねばならない急用があるんだ……利根が俺とやらしい遊びをしたいと言うのなら行ってやるのも
俺は川内にお姫様だっこをされている状態にも関わらず、強気の姿勢を見せてやる。
「……ふふ……」
おっ?何故か川内は薄ら笑いを浮かべているぞ?
「ふははは……」
「ふふふ……」
なんだか、俺まで可笑しくなって笑えてきたぜ!
「ははははははは」
「あはははははは」
「「あぁーっはっはっはっはぁーー!!!」」
俺達は何故かわからないが二人して大笑いをあげてしまった。
こいつは可笑しいぜ!!
「何が可笑しいっっ!!!!!!!」
川内の天地を揺るがさん程の怒声が海域に響き渡った……。
艦これに実装されたらうれションするかも