提督達と佐世保鎮守府の艦隊が、激しい戦闘を繰り広げている地点より、130Km程離れた場所……。
「貴女は一体何者デース!?」
巨大な艤装を身に纏う艦娘が二人……。
片方は巨大な氷塊の上部に飛行甲板が設置されている艤装を持つ、茶髪のロングヘアーに雪のように白く透き通った肌、これまた純白のビキニスタイルの水着を着用している。
佐世保の秘密兵器、氷山空母ハボクックである。
甲板には数十機の艦載機を搭載している。
「……大きな空母ね?……」
そしてもう一方は、スラッと腰まで伸びたプラチナブロンドが眩い、超巨大戦艦フリードリヒ・デア・クローゼである。
フリードは先程放った大型三式弾から替えて徹甲弾を装填する。
「まさかミーの艦載機をワンヒットで全て打ち落とすなんて……ネームを名乗るネー!?」
「これから沈む船に名乗る必要は無いわ……私は貴女の様な大きいだけで意気がっている奴を見ると、無性に沈めたくなるの……悪く思わないで……私の前に現れてしまった自分を恨んで死んでいきなさい……」
お互いの艤装の大きさはほぼ互角、ハボクックの氷山が南方の気候の為か溶け初めてはいるが、自前の冷却装置により、一定の規模は保たれている。
体格はややハボクックの方が勝っている。
「フフン、ただビッグなだけのガンシップはユーの方ネー!?大艦巨砲はアウトオブファッション……え?」
ハボクックが口上を述べている最中、突然右腕の甲板に衝撃が走る。
「う……な……何を……」
ハボクックが右腕を見ると、飛行甲板もろとも右腕に大きな風穴が開けられていた。
「ぐぁ……い、イタイよー……」
「……ごめんなさいね、あんまり大きいから、楽には死ねないかも知れない……」
感情のこもらない声でフリードは言った。
「ご、ゴメンなさいデース……ゆ……許してクダサーイ……あぁっ!!!」
恥も外聞もかなぐり捨てて、必死に許しを乞うハボクックへ、フリードは更なる砲撃を行い、左腕の飛行甲板にも風穴を開ける。
「謝る必要なんて、何処にもないのだから……最後の最後まで抗いなさい……」
「あ……あぁ……嫌だヨ!私……私まだ死にたく無いネー!!お願いしマース!!見逃してくだ…………」
涙ながらに命乞いをするハボクックの頭部を80cm砲弾が撃ち込まれる。
ハボクックは即死、その場に倒れて動かなくなった。
「ごめんなさいね?燃料と弾薬……大事に使わせて貰うから……それじゃあ……さよなら」
フリードはハボクックの遺体から燃料と弾薬を根こそぎ奪い、海域を離脱した。
「フリードちゃん!今回は物凄い収穫でしたね?これなら当分は狩りをしなくても良さそうですね!?」
フリードの足下からひょっこり友鶴が現れて笑顔ではしゃぎ回る。
「友鶴、あんまりはしゃぐと転ぶわ……」
「は~い……そういえば何であの深海棲艦を助けたの?三式弾まで使ってさ?」
友鶴は不思議そうにたずねた。
普段からフリードの狩りを見てきた友鶴にとって、先程のフリードの行動は不思議でならなかったのだ。
「……大した理由では無いけど……私は弱いものいじめが大嫌いだから……」
少し頬を赤くして答えるフリード、それを見て友鶴はにんまりとする。
「フリードちゃんは小さな子が大好きだもんね?」
レ級が小さかった為に助かったことをこの二人を除いて、誰一人知るものはいなかった。
80cm三式弾は構想すら存在しない模様……。