「提督さん、何かヤバイっぽい……」
大湊警備府の旗艦ヴェールヌイが率いる、第5艦隊の艦娘達が目にしたのは、先行していた第1艦隊が壊滅寸前で巨大な敵と対峙している姿であった。
「足柄!」
ヴェールヌイは、唯一中破状態で立っている第1艦隊旗艦の足柄に駆け寄る。
「大丈夫……では無さそうだね?」
「て、提督……大丈夫……です!!こいつは私が命にかえても……倒して……みせる!!!」
息もたえだえ足柄は主砲を敵に向ける。
「足柄、此処は撤退だ!あとは我々に任せろ!」
「……嫌です……同じ敵に!二度も負けるなんて……死んだ方がマシよ!!」
「二度も……そうか、こいつが……」
秘書艦の妙高から報告を受けていた、たった一人で第1艦隊を全滅させた謎の戦艦の事を思い出す。
「足柄、妙高から聞いているよ、しかし妙高は言っていた、こいつに遭遇したらすぐに撤退しろとね」
「でも!」
「でもは無しだよ足柄、私の命令を聞いてくれるね?」
ヴェールヌイは足柄の唇に人差し指を当てる。
「……はい……」
足柄は暗い表情を浮かべながらも頷いた。
「よし、良い子だね、龍驤と潜水艦の二人は足柄と共に第1艦隊を曳船して警備府に帰還してくれ」
「それはええけど、提督はどうするん?」
「私と夕立でこいつを倒す……」
「いや倒すって……流石にこれは……」
「大丈夫だ」
自信に溢れるヴェールヌイの表情を見て、龍驤は半ば諦めたようにため息をはいた。
「まぁ、提督がええっちゅうんやったら……ほな、うちらは帰投するでー?」
龍驤は第1艦隊を引き連れて海域を離脱して行った。
航空駆逐艦へと進化を遂げた龍驤は、ヴェールヌイを人一倍尊敬し、絶対の信頼をおいているのだ。
「夕立?君も危ないと思ったらすぐに撤退してくれて構わない」
「了解したよ~!」
「……消えなさい、私は貴女の様な小さな船を攻撃したくないわ……」
超巨大戦艦フリードリヒ・デア・クローゼは先の戦いで燃料と弾薬はほぼ満タンの状態である。
それまで燃料の事を考慮して抑えていた、25ノットを超える速力を存分に発揮することが出来、弾薬を節約するため80cm砲を一発ずつ確実に当てる為に止まった状態での砲撃しか出来なかったが、今の彼女ならば高速で移動しつつ副砲や機銃で攻撃する事も可能である!!
「そうはいかないよ、うちのエースを二度もへこませてくれたんだ、今度はこちらがへこませる番だよ!!」
「エース?さっきの重巡の事、あの娘も小さくて可愛らしいから、攻撃したくなかったわ……」
その巨大過ぎる艤装と、大和型よりも更に高い身長の彼女の前では、重巡といえど駆逐艦と大差ないのだ!!
「さぁ、素敵なパーティーを始めましょー?」
ヴェールヌイと夕立VSフリードのガチンコバトルの開幕であった。
クーラーのお陰で電気代で金銭的に死ねる!