今回ヴェールヌイがとった作戦は、夕立がいなければ成功し得なかった作戦である。
回避しながらの突撃と言う常識では考えられない難題を突破出来るのは、大湊警備府では夕立ただ一人であった。
「くっ!」
軽々と転ばされてしまったフリードであったが、直ぐ様立ち上がり接近戦で応戦する。
フリードのなりふり構わぬ右の剛拳がヴェールヌイを襲う!
「こっ!!」
しかし次の瞬間フリードは数mぶっ飛んだ!
「うぐっ……なんなの?このダメージは……まるで私の攻撃がそのまま返ってきてるみたいな……」
「フリードちゃん、あんまり吹っ飛ばないでよー、潰れちゃうからー!」
フリードの艤装の隙間から友鶴が這い出てきた。
「ごめんなさい、でも……あの子、かなり強いわ」
「……あれは渋川流だね?」
「知っているのか雷で……友鶴?」
フリードの目には一瞬友鶴の額に大往生と書かれている様に見えたが気のせいであった。
「相手の力に自分の力を加えてそのまま返す……相手の体の動きと言うよりも、人間の持つ防衛本能や脊髄反射を突いてくるような戦いかただね」
友鶴は格闘技に精通していた。
「……成る程……わかったわ、友鶴は危ないから離れてて」
フリードから離れていく友鶴を見るヴェールヌイであったが、武装を解除している為に追撃は出来なかった。
「貴女の格闘技術は大したものだわ、相手の攻撃に自分の力を加えて返す……こんな技術があったなんてね?」
「前の提督に教わった技だよ、結構便利だろ?」
「でも、私が敵じゃ無くなったら……どうするの?」
フリードは攻撃体勢を取りつつも、微動だにしなくなった。
「……攻撃しないわ……」
「……」
ヴェールヌイはゆっくりとフリードの背後に回る。
「攻撃してこない相手に攻撃する必要はない、でも……貴女の技と私の技、どちらが上でも構わないと言うには……」
ヴェールヌイはフリードの背後から一気に飛びかかる。
「このヴェールヌイ!!若すぎる!!!延髄!貰ったよ!!!」
そして首もとに拳を撃ち込もうとする!!
「え?」
「あぐっ!?」
ヴェールヌイの殺気を察知したのかはたまた、偶然なのか解らないが、フリードはその場で急速反転した。
フリードが反転すると同時にその巨大な艤装も動き、突撃していたヴェールヌイにぶち当たり、ヴェールヌイは遥か遠方へ弾き飛ばされてしまった。
「此処まで意を消されては……捌けない……な……」
ヴェールヌイは良くわからない捨て台詞を吐いて見えなくなった。
「あら?……逃げたのかしら?」
フリードが振り向くもそこには、ヴェールヌイの姿は無かった。
史上最大の超巨大戦艦と、渋川流を極めし接近戦最強の駆逐艦ヴェールヌイの死闘はあっけなく幕を閉じることとなった。
因みに右足を失った夕立は、救護班による懸命な延命措置と大湊のエジソンと呼ばれる伝説の工廠人の最新技術によって、三倍の出力を持った右足としてみごと復活を遂げたのであった。
次回!いよいよ新展開始動!?