危険な提督と娘達   作:片栗虎

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反抗戦には反抗せん!


刻輪台鎮守府 強襲編 反抗戦

俺へ何も知らない風を装い、武器も持たずに鎮守府の玄関から外に出る。

 

「はぁー……」

 

何やら意味ありげな溜め息を吐いて頭を抱える。

 

「こん畜生おぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

そして然も悔しそうに喚き散らしてやる。

 

ふふふ、この声によって奴ら(元刻輪台鎮守府の艦娘達)に俺の存在と位置を知らせる。

 

ガサガサと近くの茂みが揺れるのを確認した。

 

「どうしてだ!!どうしてなんだ!!何で未だに思い出せ無いんだ!!!あんなに好きだった筈の俺の部下達の……元刻輪台鎮守府の艦娘の顔が全く思い出せないのだ!!!こん畜生おぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

そう、俺の計画は記憶喪失の愛しの提督が、私達の愛の力によって記憶を取り戻す、そんな感動のサプライズである!!!

 

「うおぉぉぉおぉぉぉぉっっ!!!」

 

更に迫真の演技を続けて、長門元帥達に事情を理解して貰うぞ!

 

「記憶がっっ!!記憶を喪失してしまって!早10年になるがっ!!頭のすみに常に存在する艦娘達の影……君達は恐らく、俺の愛した艦娘なんだ!!くっそぅ!!記憶よ!!蘇れぇー!!」

 

「……」

 

俺の回りは既に舞鶴鎮守府の艦娘達により、取り囲まれていた。

 

「うっおぉーい!!!」

 

更に演技を続けようと、腕を振り上げた瞬間の事であった。

 

「ぐぅおっほっっ!!」

 

声にならない痛みが、俺の太股から脳へと伝達されてしまった。

 

「刻輪台鎮守府の【元】提督……曰く、世界を救った救世主……曰く、世界大戦の引き金……曰く、鎮守府潰しの死神サンダース……」

 

最後の零八小隊的な奴は良くわからんが、俺の太股にナイフが突き刺さっている事から、今の長門元帥達はどうやら俺の事を敵だと認識しているようだ。

 

「御免なさいっ!嘘です!記憶喪失なんてしてません!ちょっとだけ皆を驚かせようとしただけなんです!!!皆でまた仲良く暮らしましょう!!」

 

俺は鼻水と涙で顔をグチャグチャにしながら、必死にネタばらしして、地面に額を擦り付けて懸命に無実を訴えた。

 

予想外の出来事に俺の脳内はオーバーヒート寸前であった。

 

「勘違いしないでもらおう、私はお前自身には個人的な恨みは全くないぞ?記憶喪失?どうでも良いな」

 

長門元帥がしゃがんで俺の頭を掴んで、強引に目を合わせる。

 

パンツは白の様だ。

 

「だが、今のお前は全人類の砦でも無ければ、救世主でもないんだ、わかるか?」

 

「わ、解りません……御免なさい……」

 

俺の頭は久し振りに見た艦娘ぱんちゅ(ヘブンズドア)に夢中で、何も考えることができなくなっていた。

 

所謂、思考停止状態と言うやつである。

 

「そうか、まぁ、お前が理解していようがいまいが、今のお前が全人類にとって、害悪でしかない事は動かぬ事実だからな」

 

「へ?なんで?」

 

長門元帥の言った言葉は、思考停止状態であっても理解できる単純な言葉であった。

 

「……やはり何も知らないのか……那珂は兎も角、神通は何も教えてはくれなかったか?」

 

神通……、いや、何も聞いてないが……。

 

「その顔では本当に何も聞いていない様だな?」

 

呆れ果てた表情で長門元帥は俺の首根っこを掴んで片手で持ち上げる。

 

「兎に角お前を拘束する、これは舞鶴鎮守府の艦娘全員の決定だ」

 

「拘束?」

 

何やら卑猥な響き(ヴェールヌイでは無い)に心がときめいてしまった。

 

「鎮守府の全艦娘?……本当か?」

 

「本当です」アカギサン

 

「偽りは無いにゃ」タマァ

 

「すまないとは思うがな?」46センチィ

 

「北上さんが賛成するなら……」レズレズゥ

 

「ご飯のためなら……」マンシン

 

「一人前のレディになるためには、多少の犠牲も仕方がないわ!」ソロモンータンショウトウ

 

「武蔵の決定には従うわ」close your eyes~ヒトミヲトジレバー

 

「……」

 

ぐぬぬ、見知った面々は、臆面もなく揃いも揃って全会一致だった。

 

「あの……、拘束して監禁されたあとはどうなるんですか?」

 

あまり聞きたくは無い質問だったが、この後の俺の行動を決定する大事な材料だ。

 

「それを聞きたいのか?」

 

「え?まぁ、多少は……」

 

「詳しく……聞くか?」

 

何と言うプレッシャー(pressure)……、思わずやっぱ良いですと言いそうになってしまった。

 

しかし!この俺をただのダメ男のままだと思わない方が良いぞ!!

 

「構わん、言ってみろ?」

 

「そうか、ならば詳しく教えてやる……」

 

何故か解らないが、長門元帥は頬を赤く染めている。

 

まさか!これもサプライズの内だというのか?この後の長門元帥の触角みたいな艤装からどっきり大成功!!のプラカード(お約束)が飛び出すと言うのか?

 

俺は期待に満ちた眼差しを長門元帥に向ける。

 

「……?」

 

不思議そうな顔をする長門元帥だが、すぐ様いつもの真顔に戻る。

 

「お前の体内に植え付けられている、深海棲艦の核を取り除き処分する……」

 

俺に残された僅かな希望は、速攻で打ち砕かれてしまった。

 

「……は?」

 

長門元帥が言ったことは2割程しか理解出来なかった。

 

深海棲艦の核?俺の体内?取り除く?

 

「あの……もう少し解りやすく……具体的にと言うか何と言うか……」

 

混乱の極みである。

 

「まぁ、なにも知らずにっと言うのも、些か(いささか)不憫ではあるか……では全てを話そう、その上で改めて貴様を拘束するぞ?」

 

うん、解ったよー!などと言えるわけは無いが、取り合えず時間を稼ぐことに全ての力を費やし、神通が異変に気付いてくれるのを待つだけだ……。

 

「頼む」

 

「なぁに、時間は掛からんさ、貴様はM作戦で深海棲艦の源である核を偶然、特攻により破壊してしまった、ここまでは解るな?」

 

深海棲艦の核、M作戦……。

 

俺はあの時回天で特攻を食らわした、赤く光デカイ塊の事を思い出した。

 

「アレが深海棲艦の核だったのか!?」

 

「思い出したか、そうだ、それを破壊した事によって凶暴だった深海棲艦は自我に目覚め、現在人類と共存共栄している」

 

なんだ?これなら俺は正に英雄ではないのか?

 

「ふっ、納得いかないと言う顔をしているな?確かにそこで終わっておけば、貴様は英雄だったさ」

 

「まさかとは思うが、今起こってる世界的な戦争状態も俺の所為だと言うのか?」

 

ここだっ!

 

俺は瞬時にこの話の急所を見極めて、一気に攻勢に転ずる。

 

恐らくこの世界的な戦争状態を招いた張本人と言うのが奴等にとって許せない事なのだろう……。

 

「あんた達の勝手で引き起こした現状、その責任を俺に押し付けようなどと!!そんな理不尽な事がまかり通ってたまるか!!!」

 

決まったぜ……流石の長門元帥もこの気迫には……。

 

俺はチラリと長門元帥の事を見る。

 

長門元帥はポカンとした顔をしていたが、すぐに元の表情に戻る。

 

「いや、今の現状を招いたのは我々艦娘と人間だ、貴様には一切の責任は無いと思っている」

 

「あ、そうですか……じゃあなんで?」

 

「話は最後まで聞くものだぞ?」

 

「ごめんなさい」

 

くそっ!突破口が開けたと思ったが……。

 

「貴様に責任は無いが、この現状を良く思っていない者も、少なからず居るのは事実だ」

 

長門元帥はゆっくり俺を地面に降ろして語りだした。

 

「貴様の体内に深海棲艦の核が有ることは既に確認済みだ、那珂が貴様の検査結果報告書を見ているからな、そして、その核を狙っている鎮守府があることも、諜報活動によって我々は把握している」

 

俺を狙っている?そう言えばここに来る前に川内さんに襲われたが……。

 

「もしかして利根提督の佐世保鎮守府の事か?」

 

「……いや、利根提督は恐らく、貴様の検査結果について全てを知らされてはいないのだろう、佐世保鎮守府の何者かが裏で糸を引いているのは間違いないのだろうがな……初めは神通ではないかと思っていたが、見事に予想が外れてしまった……」

 

「何故そうまで言い切れるんだ?」

 

「利根提督とは10年間もの長い付き合いだ、あいつの性格は裏も表も無い、少し前に川内が貴様を襲ったのもだだ純粋に、大湊警備府の奴等にレ級と大潮と言う強大な戦力を渡したくなかったからだ」

 

そうだったのか?俺と言う(おとこ)に惚れ込んだ川内ちゃんの独断先攻かと思っていたが、そういう理由であったか。

 

「ん?だったら深海棲艦の核を狙っている鎮守府ってのは……」

 

「ふむ、当然大湊警備府だな」

 

やはりか、だが……。

 

俺はレ級の情報からある程度大湊警備府の事は知っていた、そして大湊警備府の行動理念と言うのが、ある事に対して一貫しているのだ。

 

「あの警備府は大潮の捜索のみに、尽力しているはずだが?」

 

そう、響がそれ以外の動きを見せたことなど、1度も無かったのだ。

 

「ほぅ?よく知っているな?レ級の情報か?……確かにそうだ、ヴェールヌイは大潮捜索以外の事は何もしてこなかった」

 

ふっ、その愛を少しでも良いので俺にも向けてもらいたいものだ……。

 

「だったら!今回の事と大潮には何も関係無い様に思えるんだが?」

 

「……」

 

何やら長門元帥は俺の事を、小馬鹿にするような顔で見てくる……。

 

俺はその豊満なロケットおっぱいの先端を、思いっきりつねり倒したく衝動をおさえるのに必死だった。

 

「まぁ、無理もないが……本当に何も知らんのだな?……っ!!」

 

さらに俺を馬鹿にしようとした、ロケットみたいなおっぱいの先端を無意識の内に、思いっきりつねり上げていた。

 

「いたたっ!!貴様っ!!この場で死ぬのが望みの様だな?」

 

うっ!!しまった!!無意識とは言え、俺は何と言うことをっっ!!

 

「ご、ごめんなさい……」

 

世界に名だたるビッグセブンの左ハイキックが俺の側頭部の僅か手前で寸止めされる。

 

「ぶおっはぁーっ!!」

 

俺は数メートル程吹き飛ばされて、木に背中を打ち付けた。

 

至近弾である。

 

「全く……相変わらずのおとぼけだな?」

 

「いや、悪気は無かったんです……ほんと許してつかあさい……」

 

悪気は無い、邪な気持ちはあったが……。

 

長門元帥の乳頭の柔い感触が残る、この両人差し指と親指は当分は夜のお供である。

 

「まぁいい、次やったら本当に殺すからな?」

 

「寛大なお心に至極感謝します!」

 

「……大湊の提督、元刻輪台鎮守府のヴェールヌイ()は貴様が川内に襲われた日に行方不明になっている、そして少し前に代わりの提督が就任したのだ」

 

代わり?となると恐らく……。

 

「秘書艦の妙高とかいう娘か?」

 

「いや、佐世保鎮守府の秘書艦、ヴェールヌイだそうだ……」

 

佐世保鎮守府のヴェールヌイと言うと、異世界のヴェールヌイと言うわけか……。

 

「表向きは利根提督の命令による潜入任務らしいが、私の予想ではヴェールヌイと大湊警備府は初めから繋がっていたのだろう……」

 

確かにそうかも知れないな、いくらこの世界に存在する筈がない二人めのヴェールヌイだとしても、提督が入れ替わって気付かない間抜けな奴がいるわけがない……。

 

「それで……何故大湊警備府が、深海棲艦の核を狙うんだ?」

 

と言うか、そもそもこの核とやらにどんな秘密があるのかを、まだ聞いていない事を思い出した。

 

「あぁ、そうだったな?その深海棲艦の核は貴様の細胞に少しずつ融合されてきている、そして恐らく後数ヵ月もしない内に、元の深海棲艦の核その物になって、再び世界中に深海棲艦を産み出し、深海棲艦の精神を支配する事になる……」

 

「…………」

 

俺はあまりの衝撃に言葉を失った。

 

待て次回!!




君達の愛のある誤字脱字報告、待ってるぜ!!
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