衝撃の事実発覚から数秒後、真っ白になった頭のなかに、長門元帥の声が響いてきた。
「おい!どうした?まさかショックのあまり絶命したとは言わんよな?」
長門元帥は余裕の言葉とは裏腹に、その額には大量の汗が滴っていた。
「あ……ぁあ、すまなかった、話は聞こえていたんだがちと考え事をしていてな?それで……その核とやらを取り除く場合の俺の体に対する被害は如何なものかな?」
俺はどこかの
「ふぅ、生きていたか……安心しろ死ぬことは無い、
一見好条件に聞こえる長門元帥の甘言だが、裏を返すと命の保障以外は何もないと言うことだ、手足あるいは内蔵関係に、甚大な障害を負うことになる可能性に関しては一切の保障はしないと言うことだ。
「…………」
俺が考え込んでいると、長門元帥が俺の両肩を掴んで顔を俺の目の前まで近付けてくる。
元帥!近いです!近いですっ!!
「いいか提督よ、落ち着いて良く聞いて欲しい……」
長門元帥の吐息が俺の顔に当たる……ヤバイ、いつも凛々しく男らしい元帥の風格に隠されて垣間見る事が無かったが、長門元帥もやはり艦娘だ、間近で拝ませて貰うとその愛らしさや可愛さが容易に見てとれる。
そして、条件反射の要領で俺の
「この場で貴様がどれだけ抗おうと、力ずくで連れ帰り有無を言わさず核を除去する、しかし……私としても世界のために命懸けの特攻を敢行した貴様を、無理矢理と言うのは本意では無い」
いきなり太股にナイフを刺されてはいたが、長門元帥の慈悲のお心遣いと近すぎるお顔に対して、言葉が出なかった。
「貴様の意思で核を除去すると言うのなら、再び世界を救った英雄と言うことになるぞ?」
「……」
「世界を救う英雄さんには、多摩の初めてをあげてもいいにゃあ~」
「よし!早速核の除去をしてくれ!!」
多摩の一押しで俺のなかの陪審員達が、全員一致していた。
「そうか!それではすぐに舞鶴へ戻るぞ!!」
長門元帥が俺の腕を掴もうとした、そのときであった。
「提督!!待ってください!!」
俺の背後から神通の声と共に、轟音が響く……。
「ぐあっ!!」
その直後、長門元帥の顔面で爆発が起こり、爆風で俺は数メートル転がった。
「提督、ご無事でなによりです!!」
転がった先には神通が、今にも泣き出しそうな顔で迎えてくれる。
神通の右腕に装備された
「くっ、いきなり主砲を放ってくるとは……鬼教官の異名は伊達でないな?神通!!!」
顔面を煤まみれにした長門元帥が、仁王の様な表情で神通を睨み付けている。
「……」
神通も負けじと睨み返す……。
辺りの空気がにわかに熱を帯びてくる……。
「……神通よ、提督は自らの意思で我々と共に来ると言っているのだ!貴様の出る幕は既に無い!!」
「じ、神通、大丈夫だ核を取り除いたらすぐに
「提督、私は秘書艦の責務を全うできればそれで良いのですが、提督はそれで良いのですか?」
神通が何を言いたいのか良く解らないが、俺は何となく神通の頭を撫でてやる。
「なぁに、世界の命運が俺にかかっているのなら、例え火の中、多摩の
決まったぜ!今世紀最大級の決め台詞が決まってしまったぜ!!
「核を取り除いたら……その、多摩さんの
「へ?」
神通が顔を真っ赤にしながらも、はっきりとした口調で信じられない事を言い放った。
「いやいや、神通さんや?それは一体どういう意味ですかな?」
俺の口調は良く解らなくなっている。
「提督の中に寄生している、深海棲艦の核は……提督の男性器(自然界における、本当の意味での男としての価値)全体に融合しているのです」
「…………っっ!!!!」
そ、そんな馬鹿な!!それでは深海棲艦の核を取り除いたら、俺の
「にゃあ、知ってたかぁ~」
多摩めっ!!恐ろしい娘……。
「長門元帥……」
「……?」
長門元帥は顔の煤をハンカチで拭き取っている。
「この話は無かった事にしてもらおう……」
「何っ!!貴様!世界平和よりも
うぐ……確かに……、世界平和と俺のちんけなマイサンでは比べられるはずも無い事……。
だがしかし!!!
「
「……」
「……」
俺と長門元帥は睨み合ったまま動けないでいる。
兎に角、この状況は不利だ、此方は神通一人、相手は歴戦の猛者が十数人……。
「神通、俺が隙を作るから、俺を担いで一気に鎮守府に逃げ込むんだ……」
俺は神通の耳元で呟く。
「……」
神通は黙って頷く。
「長門元帥、俺が
「……頼みだと?」
「あぁ、頼みを聞いてくれれば素直に投降しよう」
ふふふ、いくら絶対的有利な状況とは言え、損害はより少なくしたいと言うのは、艦娘も人間も同じ……。
「……よし、一応聞いてやる」
かかった!!!
「俺の核を取り除く前に、お前達の中で誰でも良いので、この場で俺とセックスして欲しい、誰が相手をするかはそっちで決めてもらって構わない」
「なっ!!何を馬鹿なことを!!しかも何故か解らんが上から目線ではないか!?」
「なんだ?世界平和の為には個人の意思は関係無いのだろ?さぁ!早く決めてくれ!さぁ!!さぁ!!!早くっっ!!!」
「……くっ」
フヒヒ、長門元帥は狼狽えながらも艦娘達と相談を始めたぞ?
「嫌にゃ」
「私の初めては46cm以上の奴と決めている、あの12.7cmではお話にならんぞ?」
「北上さん以外は無理ですね」
「まだ一人前のレディには程遠いから……」
「あの男を私の半径2m以内に近付けたら殺します」
「ご飯はまだかしら?」
くっ、全員全力で拒否してやがる……。
「きらりーん!那珂ちゃんにグッドアイディーアだよー!長門元帥が行けば良いと思いまーす!!」
「なっ!だ!誰があんな奴とっ!!」
「よし、神通」
俺が目配せすると、神通は俺を担いで全力後退して鎮守府内に退却した。
しかし、この鎮守府の外壁が破壊されるのも時間の問題である……。
「神通、何か良い作戦は無いか?」
「そうですね、戦って勝つのは不可能ですから……取り合えず千歳さんと曙さんを呼んで皆で考えます」
神通が言った直後、長門元帥の怒り狂う怒声と共に敵艦娘達の一斉砲撃が開始された。
「もって1時間位でしょうか?」
冷静に分析する神通……。
「全く!!この腐れ男の所為で、千歳お姉さまと落ち着いてイチャコラも出来ないじゃない!!」
俺は曙の蹴りを食らいながら、現在の状況を簡潔に説明した。
「舞鶴鎮守府の攻撃によって、我々は今危機的状況に陥っている、以上だ!何か良い作戦は無いか?」
俺が言い終わると、曙が直ぐ様手をあげる。
「あんたが潔く投降すれば終わりでしょ?」
「……」
その通りだが、俺は曙を無視することに決めた。
「何か良い作戦ないか?」
曙の丸太ん棒が俺の後頭部に炸裂するが、今はそれどころではない。
「提督さん、恐らくもう少し持ちこたえれば、大湊警備府の部隊が此処に来ると思います」
いきなり突拍子も無い事を言ったのは、近頃俺と目も合わせてもくれなくなって久しい、航空母艦の千歳さんであった。
「千歳?何故そんなことが解るんだい?」
「何故って、この刻輪台鎮守府の周辺にはあらかじめ、私の偵察機が網を張ってるのよ、そこの神通秘書艦さんに頼まれてね」
なんと!?流石だぜ神通!!秘書艦としての能力だけなら北上さんを遥かに凌駕しているな?
「千歳に神通、グッジョブだ!」
二人とも口には出さないが、目線を反らすその仕草から照れているのは一目瞭然である。
「よし!作戦は決まったぜ!!」
俺の一言に全員の視線が俺の股間に集中する。
モテる男は辛いな?
「くっだらない捏造してる暇があるなら、さっさと腹でも
放送禁止と包茎インキン、似て非なる言葉である。
「それで、作戦は如何致しましょうか?」
「おっと、そうだったな?作戦は大湊警備府の部隊が来るまで籠城して時間を稼ぐ!」
ふっ、圧倒的な計略に流石の切れ者揃いの、我が鎮守府の艦娘と言えど言葉を失っているようだ。
「……そのまんまじゃん、ウマバエ野郎……」
曙が最悪の寄生虫の名前で俺を呼ぶ……。
「提督、籠城は不可能です、そろそろ乗り込んで来ますが如何致しましょう?」
神通が困った様な表情のまま、努めて冷静に聞いて来たが、俺は答えなかった……答えられる筈も無かった……自然と俺の頬に熱い液体が流れ落ちる。
「……」
その場にいる全員が沈黙する……。
外の砲撃の音だけが鳴り響く、この緊迫した状況に至っても尚、俺達は黙って下を向くことしか出来なかった。
「よし!全員突入!!!」
長門元帥の気合いが十二分に込められた号令の元、舞鶴鎮守府の面々が刻輪台鎮守府内に突入してきた。
「提督さん……」
「はい?」
千歳が下を向いたまま言った。
「大湊警備府の部隊が
「……そうか」
万事休す……そんな言葉が頭に浮かぶ……。
「おい!ゴキブリバチ野郎!私はあんたのアレが切り落とされて世界が平和になっても、あんたが自殺して世界が平和になってもどちらでもいいんだから!さっさと決めなさいよ!!」
「……よし!最後まで抗おう、もしかしたらこれが俺から君たちにする最後のお願いになるかもしれない、俺と一緒に最後まで戦って欲しい……本当にやばくなったら降参してくれて構わない!!頼む!」
俺は床に額をめり込ませる勢いで、圧倒的な土下座を披露した。
俺にはこの神通を始め、千歳や大潮と沢山の
そして刻輪台鎮守府の艦娘達の下した決断とはっっ!!
待て次回!!
愛のある誤字脱字報告、早速有難う御座います!今後とも宜しくお願い致します。