危険な提督と娘達   作:片栗虎

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最近ペースが上がっている気がします、前みたいな毎日は厳しいですが、その分濃い内容で行くつもりです。


刻輪台鎮守府 強襲編 秘書艦神通

「………………」

 

重苦しい雰囲気と耐え難い沈黙が、俺達の周囲を埋め尽くしている。

 

誰でも良い!このよどんだ空気を何とかしてくれ!!

 

そう願ってはみたものの、この沈黙はむしろ必然的なものである。

 

何故なら先程俺が頼み込んだ願いは、言わば俺と心中してくれと願うのに等しい事であったからだ。

 

この場で俺に味方することの意味を、此処にいる艦娘達は誰よりも理解しているのだろう……。

 

迫りくる舞鶴鎮守府の精強な艦娘達を、非戦闘員でありながら、相手にとってもっとも重要なターゲット(抹殺するべき女の敵)とされている俺を守りながら相手にしなくてはならない、言わばハンディキャップ(すぐにでも捨てたいお荷物)を抱えての戦闘である。

 

「命の危険に晒される様な戦闘を、よりにもよってこの生きる生ゴミの護衛任務でするなんて……いやですよね?千歳お姉さまぁ?」

 

こんな時までレズキャラを貫き通すとは、その屈強な精神力がこの戦いでさらに磨きがかかるのを期待したいのだが……南無三!全てはこの後の千歳の意思1つで、俺と刻輪台鎮守府の命運が決定する。

 

「私は……」

 

恐る恐る話す千歳に、全員の視線が集中する。

 

「私は本当は佐世保鎮守府の艦娘なんです……」

 

「「えっ!?」」

 

いきなりの暴露に驚いた声を上げてしまった。

 

元佐世保鎮守府である神通も驚いているのか、俺とほぼ同時に声を上げる。

 

「提督さん、今まで騙していてごめんなさい……」

 

成る程、初めはスパイが目的で潜入したが、俺と行動を共にして行くなかで、彼女の心境に変化が生じたと言うことか……。

 

「提督のその勝ち誇った笑顔はフラグにしか見えませんが?」

 

神通が不吉なことを言うが、俺には千歳の次の台詞が容易に予測できていた。

 

「提督さん、佐世保鎮守府に来ませんか?」

 

……。

 

俺の予想を覆してくれるとは、これだから提督は辞められん!!

 

「私は裏口から脱出して、佐世保鎮守府に帰るんだけど、もし宜しければ提督さんも一緒に来ませんか?」

 

う~む……、いやしかし……、う~む……。

 

「うぉぉおおぉぉぉぉ!!!」

 

俺は訳もわからず奇声を上げて、鎮守府内の全てのロックを解除してしまった!!

 

「て、提督!?」

 

「提督さん?」

 

「だめだぁ!!みんなでこの鎮守府を守るんだぁ!千歳

!!」

 

俺は千歳を指差し怒鳴り散らず!!

 

丸太ん棒が俺の顔面に打ち付けられるが、そんな事を構っている場合では無い!!

 

「お前は俺を好きだと言ったが、アレも嘘だと言うのか!?えぇ!?こらぁ!!!」

 

「当たり前です」

 

異常なテンションの俺に対して、千歳は普段通りの冷静さで言い切る。

 

「…………」

 

「見付けたぞ!観念して舞鶴にくるのか、それともこの場で死ぬのか……選ばせてやるぞ?」

 

執務室の自動ドアが静かに開くと、長門元帥率いる舞鶴鎮守府の艦隊がゾロゾロと入ってきた。

 

「断る!!俺はこの刻輪台鎮守府の提督であるぞ!!頭が高いっ!!!」

 

ビシッと長門元帥のROCKETS(おっぱい)に指をめり込ませる!!

 

「わかった……遺言はそれだけで良いのだな?」

 

長門元帥は静かに呟くと、俺の指を握る。

 

次の瞬間の出来事だった。

 

俺の人差し指がぐにゃりと音が鳴ったかはさだかではないが、在らぬ方向へと強引に曲げられていた。

 

「ノオォォォォォ!!!!」

 

押しては引いて、引いては押し寄せる激痛に、俺はその場で悶えうち震えた。

「どうだ?これでもまだ意地を張るのか?」

 

長門元帥は意地の悪そうな薄ら笑いを浮かべている。

 

くそぅ、圧倒的な力の差には抗えないのか……。

 

何か……何か時間を稼ぐ方法は無いのか!?

 

「あ、あの!」

 

突如口を開いたのは秘書艦の神通であった。

 

止めるんだ神通!これ以上(荒ぶる胸部装甲)を刺激してはいけない!!

 

俺は未だに握られている俺の指の悲惨な将来を心配しつつ、涙目で神通を見つめる。

 

(大丈夫です提督)

 

神通の視線がそう語りかけているような気がした。

 

そうだ、もう今の俺に出来ることは、神通を信じて託すかこのまま長門元帥にちんこを切除されるかの、2つの選択肢しか無いのだ。

 

ならばどちらを選ぶのか……。

 

考えるまでも無かったな?

 

「神通、少し黙っていてくれ!!」

 

「いやです、黙りません!.貴方が死んだら一体誰がこの鎮守府の提督になるのですか!?秘書艦はだれですか!?いい加減にご自分の責任を放棄するのは止めてください!!!貴方は、この刻輪台鎮守府の提督なのですよ!所属する艦娘、秘書艦を守る義務があるのです!」

 

「………………」

 

ふっ、流石は神通だ……。

 

目が覚めたぜ!!

 

「解った神通、続けるんだ」

 

そう言って俺は、無事な方の手を握り、親指を突き立てて神通の前に出した。

 

「はい!提督、有難う御座います」

 

くっ、これが提督と言う職業だったのか!?

 

今までがおかしかったのだろう、俺が提督になりたかったのは、こういうの(艦娘に慕われる男)をきたいしていたのかも知れない。

 

「長門元帥、私から提案があります」

 

「提案?」

 

俺の指をミシミシと握りながら神通を睨む長門元帥だったが、やはり根はシスコンだからなのか、自身より一回りも二回りも小さい神通の言葉に耳を貸さずにはいられないようだ。

 

「なんだ、その提案というのは?」

 

「はい、それぞれの鎮守府から5人選びまして、それぞれ1対1で戦います」

 

ほぅ?神通のやつ男塾名物、驚邏大四凶殺(きょうらだいよんきょうさつ)を行うつもりか!?

 

いや、アレは四人一組だったか……。

 

俺の勝手な驚愕など何処吹く風と、神通は話を続ける。

 

「5回の戦いが終わった時点で、勝った数が多ければ提督をお渡しします」

 

無茶だ神通、そんな回りくどいことをせずとも奴等は俺を拉致できる力があるんだ……。

 

「ふっ、良いだろう」

 

だから言わんこっちゃ……。

 

「……え?馬鹿ですか?貴女は?脳筋ですか?そうですか?」

 

つい無意識で思ったことが口から駄々漏れてしまった。

 

「貴様……」

 

長門元帥が俺の指をパン粉でも作るかのように擂り潰していく、もはや俺の指の感覚は失われていた。

 

失禁はしているが、社会の窓が開けっ放しだった為、ズボンを汚さないですんだぜ!

 

「まぁいい、神通よ?貴様の考えは読めるぞ?そうやって時間を稼いで後から来る大湊の部隊と我々をぶつける、そう言う算段なのだろう?」

 

全てはお見通しか……。

 

「全て解った上で、敢えてその勝負を受けよう」

 

自信満々の長門元帥は俺の指から手を離した。

 

次第に俺の指に生気が戻っていくが、それと同時に俺の指に対して、焼けるような熱と痛みが襲いかかる!

 

「うぐぐアババババ!!!」

 

悲痛の叫びを上げる俺を、完璧にスルーして話は進んでいく。

 

「だが先に忠告しておこう、我々に対して2時間も持ちこたえられるとは思わない方が良いぞ?」

 

くくく、大した自信だがこの時点で奴は受ける必要の無い勝負を受けたのだ、既に我々は奴等の一歩上を行っている事になる。

 

俺達は鎮守府の外に出て、戦う順番を決めることにした。

 

 

「よし!!神通!このまま2時間順番決めで稼ごう!」

 

俺の完璧にして最高の作戦を伝えたが、神通は俺の口の前に指を出してニコリとする。

 

「提督、順番を決める必要はありませんよ?」

 

「は?神通一体何を言って……!」

 

突然の神通の世迷い言に口を挟もうとするが、神通の指が唇に触れてしまい、情けないことに俺は何も言えなくなった。

 

「千歳さんの言ったことを思い出してください」

 

千歳の言ったこと?

 

「提督、ずっと前から貴方の事が……好きでした!!」

 

ヒートミーヲトージテーカータリーアオウヨー……。

 

「うむ、やはり千歳は俺に惚れて「ませんよ?」」

 

俺の妄想に千歳ご本人が突っ込んでくれた。

 

「……提督、今回は真面目にお願いします、時間もありませんので……」

 

珍しく神通の笑顔がひきつっているので、俺は素直に千歳の台詞を思い出した。

 

「たしか、大湊警備府(おおみなとけいびふ)の部隊が到着するのに2時間位かかるとかだったよな?」

 

その前にもたしか大湊警備府(ちんまいヴェールヌイ可愛い)の部隊が此処に向かっている的な事を言っていた。

 

「そうですね、確かに千歳さんは大湊警備府(おおみなとけいびふ)部隊と言っていました……」

 

うーむ、イマイチ要点が解らないぞ?

 

つまりどういうことだってばよ(火の意思を継ぐ者達)!!」

 

「大湊警備府にはたった一人で、姫級数体を撃沈したと言われている艦娘がいるのです」

 

「……ほぅ?」

 

姫級が強いのかどうかイマイチ良く解らんが、他の面々が驚愕しているところを見ると、大和クラスの奴なのかも知れない。

 

「それで、その艦娘が此方に向かっている部隊なのか?」

 

良く解らんが解った風な口を聞いてみた。

 

「その通りです、その艦娘にも精鋭の部隊が就いてますが、彼女は戦場ではいつも一人で戦い、そして勝って来ました」

 

「成る程、それで?」

 

「彼女の部隊は戦後の処理を担当する部隊なのです」

 

「あー、はいはい、それで?」

 

もうわけがわからん、そろそろ本題に戻って欲しいぜ。

 

「……つまり」

 

神通が真剣な表情で何かを言いかけたが、突然の爆発音で掻き消された。

 

「にゃー!!!」

 

多摩のふざけた叫び声が響く……。

 

「油断……したにゃ……」

 

「多摩っ!!くっ、何者だ!大井は多摩を頼む!他は全員戦闘体勢を取れ!」

 

何やら慌ただしい雰囲気に、俺たちにも緊張が走る。

 

「来ましたか……」

 

「知っているのか神通(雷電ではない)!!」

 

何処かの解説役の如く、全てを知っているかの様に振る舞う神通の姿は正に、秘書艦の鏡であった。

 

「大湊警備府の秘書艦にして戦闘狂い(バルバロイ)妙高型重巡洋艦、ネームシップ妙高……」

 

戦闘狂いの秘書艦?そんなんで秘書艦が務まるなら、武蔵も秘書艦になれるな?

 

武蔵が秘書艦をしている様を想像して、少しだけ吹き出してしまった。

 

俺が吹き出した事にも目もくれずに、神通は探照灯で一点を照らす。

 

「あら、良く私をご存じでしたね?元佐世保鎮守府の秘書艦さん?」

 

照らされた先には、パッツリと揃えられた前髪のインテリ系美女が立っていた、その気品溢れる佇まいは秘書艦として申し分ないスペックを持っている事を容易に予想させる。

 

その顔には恐らく多摩のモノであろう、返り血が僅かに飛び散っていた。

 

待て次回!!




妙高さん改二まであと7!
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