危険な提督と娘達   作:片栗虎

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季節の変わり目は体調管理が大変である。


刻輪台鎮守府 強襲編 最悪の敵

「そんな、私の偵察機に全く気付かれずに此処まで来るなんて……」

 

「偵察機を飛ばすには、少々暗すぎましたかね?」

 

この場の雰囲気にはあまりにも相応しく無い、ニコやかな笑顔で妙高は言った。

 

確かに辺りは少しずつ暗くなってきてはいるが……。

 

俺は一瞬千歳の方を見る。

 

「そんな事無いわ!私の偵察機が大湊警備府の艦隊を感知したのは6時間以上前なのよ!其れからは偵察機を飛ばし続けてたのに……」

 

成る程、つまり千歳の断続的な偵察を全て掻い潜り誰にも気付かれずに、たった一人で此処まで来たと言うわけか?……そう、たった一人で……。

 

「それで?君は此処に来て何をするつもりだね?確かに多摩を一撃で倒したのは大したものだが、こうして見つかってしまっては何も出来ないのではないか?」

 

「あら?そうでしょうか?」

 

相変わらずの笑顔で話す妙高……どうやら今の状況が理解できていないらしいな?

 

「舞鶴と刻輪台鎮守府の艦娘たちを、同時に相手にするつもりかね?」

 

此処まで言われれば、どんなに鈍い奴でもこの絶望的な状況を理解できるだろう?

 

長門元帥達は妙高に向かって全砲門を構えている。

 

「……その事でしてら、ご心配には及びませんよ?」

 

妙高は余裕の笑みを保ちながら両腕を大きく真横に広げて、俺と長門元帥へ両腕に装備された連装砲を向ける。

 

「くっ!!」

 

長門元帥は直ぐに自慢の41cm連装砲を斉射する。

 

ものすごい轟音と爆風、巻き上がる爆煙により、俺は腕で顔を覆った。

 

「提督!此処は一旦中へ!!」

 

神通の声が聞こえたと思ったら、俺の身体を浮遊感が襲い、鎮守府の入り口に真っ直ぐ移動した。

 

「おや……?」

 

気が付いたら俺は執務室の椅子に座っていた。

 

「はぁ、はぁ……どうにか……戦闘区域からの……ハァハァ……離脱に、成功しました……」

 

息も絶え絶えの神通が机に両手をついて肩で息をしている。

 

「じ、神通さん……」

 

どうしてわざわざ逃げたのか?

 

千歳はそう言わんばかりの表情をしている。

 

その腕には曙が引っ付いている。

 

「あの場にいたら……全員巻き込まれて大破していたでしょうね……」

 

そう言って神通はテレビをつける、そこには妙高と舞鶴鎮守府の艦娘が映りだされている。

 

「げぇっっ!!」

 

俺はその画面を見て驚愕した。

 

先程と同じニコやかな笑顔の妙高の足元には、舞鶴の暁と雷、電の3人そして多摩と同じ制服にマントと眼帯を付けた艦娘が倒れていた。

 

この短時間で4人の艦娘を倒すとは……。

 

「彼女は姫級すらも獲物とするような化け物です……多少練度があっても駆逐艦や軽巡洋艦では相手にもならないでしょう……」

 

神通は険しい表情を浮かべている。

 

「神通さんは随分と彼女について詳しいですね?佐世保鎮守府に来てからもあの人(妙高)の事なんて聞いたことも無いのですが?」

 

千歳の言っていることが本当であるならば、あの妙高はこれまで表舞台には出てきていなかった事になるな……。

 

 

彼女は(妙高)は私の姉の川内(盲剣の川内)が砲雷撃を捨て去る切っ掛けになった人ですから……」

 

神通の口からわけの解らない言葉がとびだした。

 

「砲雷撃を捨て去るって、何?」

 

その時の俺は中々に惚けた顔をしていたのだろう、神通も溜め息を吐いて項垂れてしまった。

 

「ごめんなさい、確かに意味の解らない事ですよね?私も同じ意見です……」

 

川内と言うと、確かティンぺーとローチンの基本的戦法の使い手だったはずだ、なるほど確かに砲雷撃を捨て去っているな……。

 

「神通、君の言っていることは何となく解った、つまり奴も砲雷撃は使用しないと言うことだな?」

 

「……そうです」

 

確かに砲雷撃を捨て去ったと言うのは理解したが、それまでだ、姫級を相手に徒手空拳で戦い抜いたと言うのなら、その伝説的な強さは誰もが知るところだと思うが……。

 

彼女(妙高)は決して表舞台には立つことは無く、その戦果は後処理をしていた姉妹艦の那智や足柄の功績と言うことになっています」

 

……うーむ、自分は目立たずに陰で暗躍する……か。

 

「川内姉さんは本当に偶然彼女(妙高)の戦いを見てしまっただけなのですが、たったの一度見ただけで虜になってしまいました」

 

成る程、もし本当に姫級すらも獲物と言うのなら、この戦いは舞鶴に勝ち目がない事になるな……。

 

俺は再び画面に目をやる。

 

「くっ!貴様ぁ!何者だ!」

 

「名乗るほどの者ではありませんので、何も知らないまま、死んでください」

 

「加賀!赤城!艦功艦爆!全機突撃だ!!」

 

焦りまくって狼狽(ろうばい)した長門元帥は、夜戦にも関わらず艦載機の発進を命じた。

 

「「……」」

 

しかし二人は動かない……。

 

「どうした!加賀!赤城!?……な……に?」

 

「うぐ……1航戦の誇り、こんなところで失うわけには……」

 

「飛行甲板が直撃!?そんな馬鹿な……」

 

ふたりは重なるようにして倒れていた。

 

「安心して下さい、私……弱い人(戦艦以外)は殺しませんから?」

 

妙高は長門元帥の両肩を掴んで、引き寄せ……。

 

「……貴女は此処で殺しますけど」

 

長門元帥の額に軽くキスをした。

 

ちょっと興奮したのは言うまでも無かった。

 

「ふざけるなぁ!!」

 

長門元帥は至近距離で主砲(41cm連装砲)を放つが、歴戦の経験からくる勘とでも言うのか、はたまた相手の砲身の動きを見て予測したかは解らないが、長門元帥が発射する直前に艦娘離れした動きを見せて、素早く長門元帥の背後に回り込み、主砲が発射された時にはがら空きの長門元帥のうなじを眺めている。

 

「この間合いで大口径の主砲では、どうやっても勝てないな……どうする長門元帥……」

(ヴェールヌイ)も確か、素手の訓練を熱心にやっていたが、やはり間合いが近い場合は口径の小さい砲撃か素手の方が良いのだろう、海上なら魚雷もありだが……。

 

「この程度ですか?ビッグセブン(笑)の実力は?」

 

妙高の手刀が長門元帥の首に向かって降り下ろされる。

 

「くっ!嘗めるなよ!!」

 

長門元帥は振り向き様に裏拳を妙高の顔面に叩き込む!

 

「うっ!」

 

妙高は一瞬ふらつき、手刀の軌道が大幅に逸れた。

 

「うわぁっ!!」

 

長門元帥の悲鳴が響く……。

 

「おおっ!!!」

 

俺は興奮のあまり画面に顔面を打ち付ける。

 

妙高の手刀は長門元帥のROCKETS(胸部装甲)を僅かにかすり、その膨らみを包み隠す諸悪の根元を引き裂いていたのだ!!!

 

「あ!!こら!!ながもんっっ!!」

 

思わず声を荒げる!

 

長門元帥は両腕でROCKETS(パイ乙)を隠してしまったのだ!!

 

「……流石は戦艦長門ですね?強力な一撃でした……」

 

妙高は打たれた頭を押さえて再び構える。

 

よし!今度は下の方を頼むぞ!

 

俺は心の中で叫んだ。

 

俺の【マイサン】(passion)は爆発寸前であった。

 

「くっ、この私がたかが重巡洋艦一人に、此処まで剥かれるとは……」

 

長門元帥や他の艦娘が装備している服は、人間が着る通常の服とは異なり、強力な砲雷撃の衝撃から身を守るための頑丈な装甲となっている、特に戦艦の服は一般人であればパンツ一枚ですら持ち上げるとこも叶わないほどの重量と装甲を誇っているのだ。

 

その頑強な装甲を、手刀1つでいとも容易く引き裂かれてしまった長門元帥が妙高に勝つことはほぼ不可能と言えるだろう。

 

さあっ!ストリップtime(show)の始まりだ!!!

 

「ふっ、相手が悪いな元帥?貴様は下がっていろ、ここは我々超々弩級戦艦大和型姉妹が相手になる!!」

 

長門元帥をも凌駕するメガトン級ROCKETS(超々弩級バスト)の武蔵と大和が、長門元帥と妙高の間に割ってはいる。

 

くっ……ストリップtime(永遠のナギ節)が……。

 

「うふふっ、舞鶴が誇る最強の戦艦姉妹……ずっと戦いたいと思ってましたよ?」

 

最大にして最強の姉妹を前にしても尚、妙高の獣のの様にぎらついた瞳は一向に衰える事はなかった。

 

「ふっ、我等を前にしてそこまで啖呵を切れるとは、よっぽど腕に自信があるようだな?」

 

流石は脳筋武蔵だ、負けフラグを早々におっ建てやがったぞ?

 

「自信……と言うよりも、確信でしょうかね」

 

妙高の両手には93式酸素魚雷が一本ずつ握られている地上で魚雷?とも思ったが、その炸薬量は砲撃を遥かに上回る。

 

しかし……。

 

「その手に持った魚雷、どうするつもりだ?放り投げるつもりではあるまい?」

 

武蔵は余裕の笑みを浮かべている。

 

海中でその真価を発揮する酸素魚雷であるが、接触式信管だけしか装備されていない(敵に当たらないと爆発しない)為、地上での運用は常識的に考えて不可能……だがしかし、そんな武蔵ですら理解している事を、この妙高が気が付いていないとは考えにくい……。

 

「……超々弩級戦艦と言っても、この程度ですか?」

 

「何?」

 

妙高がボソッと呟くと何の躊躇も無く、両手に持った魚雷を武蔵に向かって投げつけた。

 

「馬鹿な!」

 

武蔵は難なく魚雷をキャッチする……。

 

武蔵さん、馬鹿は貴女の方ですよ?っと妙高の心の声が聴こえてきそうな程、妙高は怪しくにやついている。

 

「武蔵!直ぐに魚雷を捨てなさい……」

 

大和が叫ぶも、時既に遅し(お寿司)、妙高の放った機銃が2本の魚雷に命中、大爆発と共に武蔵は数メートル吹っ飛んで動かなくなる。

 

「武蔵っっ!!!」

 

思わず俺は画面に向かって叫んでいた……。

 

酸素魚雷の炸薬量があれば、一撃で戦艦を沈めることも可能である、いくら重装甲の大和型であってもまともに2発も食らえば只ではすまないだろう……。

 

武蔵、慢心した結果だ敗北は受け入れるしかない……だが……死ぬなよ……。

「さて、あと戦えそうな人は大和さん、貴女だけみたいですね?」

 

負傷した(ひん剥かれた)長門元帥と数人の軽巡洋艦と駆逐艦は既に妙高にとって戦う対象では名井らしい。

 

「大和さん、先に言っておきますが貴女が私に負ければこの場にいる艦娘は全員死ぬことになりますので、精々頑張って下さいね?」

 

……この場にいる……とは……。

 

「提督、どうします?今のうちに此処を放棄しましょうか?」

 

青ざめている神通が震える声で言った。

 

「それは君の本心かね?」

 

「……」

 

この場を放棄して逃げ出せば俺達は助かるかもしれないが、舞鶴の連中は皆殺しになるかも知れない……。

 

「那珂ちゃんだっている……見捨ててはおけないさ」

 

「提督……」

 

涙目の神通の肩を軽く叩く。

 

「大丈夫だ、相手がどんなに強力な艦娘であっても、艦娘である以上この俺が負ける筈はない!!」

 

ドンっ!

 

千歳と曙は呆れたような顔をしているが、気にせず画面に向き直す。

 

「お?」

 

画面の向こうでは新たな展開を見せていた。

 

妙高に敵として認識すらされていなかった、那珂ちゃんを含む軽巡洋艦3人と、大潮と同じ服を着た駆逐艦が3人そして、大和と長門元帥で取り囲んでいた。

 

「……貴女の負けです!投降して下さい!!」

 

怒気を含んだ大和の咆哮が夜の刻輪台に響き渡る……。

 

「…………」

 

いよいよ追い詰められた妙高であったが、依然としてその顔には余裕すら漂わせる笑みを浮かべている。

 

待て次回!!

 

 




良く食べて良く寝るのが健康の秘訣、どっちも出来ていないぜ!
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