危険な提督と娘達   作:片栗虎

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サブタイトルはコーエーかどっかのゲームのタイトルを頂きました。


刻輪台鎮守府 強襲編 提督の決断

「どうしましょう……か?」

 

私にとってとるに足らないであろう軽巡洋艦と駆逐艦(有象無象共)に問いかける。

 

「このまま私と戦って死ぬのか、そこの二人(大和と長門)の次に殺されるのか……どちらがお望みですか?」

 

「…………」

「…………」

 

誰も私の問いに答えようとはしなかった。

 

「この状況で良くその台詞が出てくるものだ、敵ながら見上げた根性だが……」

 

長門が41cm連装砲を、私に対して真っ直ぐに向けてくる。

 

先程の戦いで全く通じなかった事を、もう忘れてしまったのかしら?

長門の狙いは真っ直ぐに此方に向いている、撃ってくると解っているものを回避するのは容易い……。

 

主砲が発射され、轟音と共にうす暗かった刻輪台鎮守府が、瞬間的に昼間のように明るくなる。

 

砲撃を目で見てから避ける事は、いかに高性能な船舶であっても不可能な事……。

 

「ですから!当たりませんよ!?」

 

私は砲撃の体勢から、砲弾の発射までの時間差を利用して着弾ポイントを予測し、そのポイントから自らを外す事で完璧な回避を実現した。

 

これは今まで私が踏んできた、修羅場とも言える激闘によって培われた、私だけの技術……。

 

「やはり当たらぬか……だが妙高よ!貴様の負けだ!」

 

私は長門の負け惜しみには聞く耳を持たず、一気に間合いを詰めて、私の持つ技の中でも最も信頼を置いている、右手による中段の抜き手を放つ。

 

私の抜き手は、砲撃により体勢を崩した長門の右胸を貫いた。

 

頑強な艤装、筋肉を破り、そして肋骨の間をすり抜けて私の指が長門の心臓に届く……そう思った時だった。

 

「……慢心するなよ妙高、勝利を確信した時こそが、最大の隙が生じるものだからな?」

 

長門の両手が私の右腕を掴む。

 

「……それで、どうするつもりでしょうか?」

 

確かにこの状況は、あまり芳しくありませんが……。

 

下手に動けば他の人達が動くでしょうし、そもそも私の右腕は骨まで握り潰されて、どうにも動くに動けない状況ですし……。

 

「長門さん?私と心中する覚悟はありますか?」

 

苦痛に顔を歪ませている長門に問い掛けてみる。

 

「ふっ、この長門、戦場で死ねるのならば本望だ……」

 

強がり……と言うわけではなさそうですね……。

 

私を取り囲む艦娘達が各々砲撃の体勢をとっている、時間はあまり無さそうね……。

 

「そうですか、ではあの世で陸奥さんと仲良く暮らして下さいね?」

 

私は左手に装備されている20cm砲を、自らの右腕が突き刺さっている、長門の右胸に目掛けて撃ち込んだ。

 

焼けるような痛みが脳髄まで行き届き、脳が痛覚を完全にシャットアウトする。

 

私の左腕と脇腹に背後から撃たれた砲弾が命中するが、私は気にすること無く、千切れた右腕を引き抜いて長門の背後に回り込む……。

 

私が回り込むのとほぼ同時に、長門の身体は味方の砲撃の雨に曝されて1つの肉塊と化した。

 

間一髪……と言ったところかしら……まぁ、ピンチなのは変わらないけれど……。

 

「な……長門元帥っっ!!!」

 

「う……うそよ……そんなのって……」

 

「皆さん!落ち着いて下さい!!敵は未だに健在ですよ!!」

 

「許さない……許さないんだらっっ!!!」

 

駆逐艦達が狼狽えている……まだまだ若い様ね……。

 

長門にとって救いだったことは、私の砲撃によって絶命したことと、私に甚大な深手を負わせることが出来たことかしらね……。

 

 

 

 

 

提督視点に切り替わります……。

 

 

 

 

 

なんと言う凄惨な戦いだ……、妙高の奴はかなりのダメージを負ってはいるが、余裕の笑みとは裏腹に手負いの獣の様にギラついた眼差しをしている。

 

長門が殺られたことで、大和と大井っち以外の艦娘達の顔には、明らかな動揺の色が見て取れる。

 

「まずいぞ神通!このままでは全滅も有り得る」

 

俺は勢い良く立ち上がり、執務室のドアノブに手をかける。

 

「提督!何処に行くつもりですか!?」

 

「解りきった事を聞かないでくれ……あいつらの……元刻輪台鎮守府の娘たちの所だ」

 

依然として彼女達の有利な状況は動かないが、目の前で総大将を失ったショックは想像以上のものだろう。

 

こんな時は心と身体の支えになる存在が必要なんだ!ここで俺が皆を助けてあの狂人を追い払うことが出来たらな……くくく、今日から眠れぬ夜が続く事になるな!精力剤は大量に作っておいたから心配は無い!!!

 

「待ってください!!」

 

神通が俺の腕を掴んで叫ぶ。

 

「ふっ、止めてくれるな神通よ、男には()かねばならぬ時があるんだ!解ってくれ神通!!」

 

「……それはどうでも良いのですが、提督が出ていったところで、足手まといにしかならないと思いますが?」

 

…………。

 

その通りである。

 

「危なかったぜ!勢いのまま、本能の赴くままに行動して、今まで良かった試しがなかった事を、今思い出さしたぜ!!!」

 

俺は一旦深呼吸をしてから再び向き直り、画面に目をやる。

 

「……神通、俺を導いてくれてありがとう!!」

 

「提督を世界一の提督へと導くのが、秘書艦の務めですから……」

 

頼もしい限りだ。

 

しかし、これからどうすれば良いのかわからん……。

 

「神通、俺はどうすれば良いんだ?」

 

この刻輪台鎮守府の戦力で今出来る事など、もしかしたら無いのかも知れない。

 

「私の考えでは、この戦いを傍観するのが良策だと思います」

 

「そのこころは?」

 

「……感情論を除外して申しますと、この戦いは旗艦を失った舞鶴の艦隊、満身創痍の妙高、どちらが勝ってもその後に我々と戦える状況では無いと思います」

 

感情論を除外か、確かに俺の感情的には長門元帥を失った舞鶴鎮守府の皆を助けたいと考えるな……。

 

そして恐らく神通も……。

 

「他に妙案は無いか?」

 

「……秘書艦と言うものは、提督がどこへ向かえば良いのか解らなくなった時に助言をするのも……既に提督のお気持ちが決まっているのであれば、無粋なことです」

 

ふっ、神通が何を言っているのか解らないが、秘書艦の自分に酔いしれている事は直ぐに解ったぜ!

 

「刻輪台鎮守府の戦力と舞鶴の戦力が合わさった場合の勝算はどれくらいだ?」

 

「……んと……」

 

神通は珍しく考え込んでしまった。

 

「そうですね……千歳さんの戦力は同じ鎮守府なので解りますが、曙さんは未知数ですし、舞鶴鎮守府の方々は旗艦を失った影響でかなりがたついています」

曙は丸太ん棒しか武器がないので戦力外と考えて良いだろう……。

 

問題は舞鶴鎮守府の奴等が、俺達と共闘戦線を張るかどうかか……。

 

しかし……ここで考えていても何も始まらないし何も終わらない、ならばやはり行くしかないぜ!!

 

「神通!千歳!!曙さん!!!全員であの妙高を追っ払うぞ!!」

 

俺が拳を突き上げて大号令を発するが、俺の後に続く気配を見せたのは神通だけであった。

 

「提督さんの気持ちは解るけど……正直あの強さを見せられた後じゃ……」

 

「私は千歳お姉さまの導くままに行動するのみなんだから、カースト制度の最底辺の言うことなんて聞くわけないでしょ!?」

 

くっ………ちくしょうがぁ………。

 

俺は悔しさで涙目になりながら神通を見詰めた。

 

「提督……わかりました……この秘書艦神通に任せてください!!」

 

神通は気合いを入れて千歳の肩に腕を回して、無理矢理顔を近付かせている。

 

あれは是非とも俺にもやってほしいな、うん……。

 

千歳さん、貴女の秘密をこの場で提督にバラされたくなければ、大人しく提督の言うことを聞きなさい?ゴニョゴニョ」

 

え?いやいや!?私に秘密なんて無いですよ?いい加減な事言わないで下さいよ?ゴニョゴニョ」

 

何やら神通が千歳に耳打ちして、千歳が文句でも言っているのだろうか?声が小さくて良く聞こえないが……。

 

あら?そんな事を言ってしまって本当に良いんですか?ゴニョゴニョ……」

 

何やら神通がニヤリとほくそ笑んでいるが、小悪魔的な可愛さも兼ね備えているとは、流石ですやりました。

 

い、一応聞いておきますけど、一体私の何を知っていると言うのです?ゴニョゴニョ」

 

提督の精密検査の様子を撮影したビデオカメラ(video.camera)がここにあります……この場で大音量で再生してあげましょうか?ゴニョゴニョ……」

 

「神通お姉さまぁ!!私は提督と共にあの憎き重巡、妙高を討ち滅ぼしに行きます!!」

 

「うふふ、素直な娘で私も助かります」

 

どうやら平和的な話し合いで千歳を説得出来たようだな?

 

「千歳お姉さまが行くなら私も行きます!!」

 

小さな狂犬曙さんも丸太ん棒をブンブン振り回して気合いを入れている。

 

頼もしい限りだが……。

 

「曙さんは無理しない方が……」

 

俺の老婆心が揺れ動かんとしたその時、曙の丸太ん棒が俺の急所(マイサン)に直撃した!?

 

「う……ぐぅ……あ、けぼの……」

 

俺はその場でうずくまって悶絶した。

 

「提督は此処で作戦指揮をお願いします……私たちの無事を祈っていて下さい」

 

「ま……まっでぐでぇぇ……うぐぐぅ……」

 

息が出来ないほどの劇痛に耐えながら、やっとの思いで絞り出した俺の言葉に、神通達は振り返ることもなく部屋を後にした。

 

「なんで……こんなことに……」

 

俺は股間の痛みを必死で堪えつつ、決死の思いでディスプレイにしがみついた。

 

「神通……」

 

彼女にも何か考えがあって俺を此処に残したのだろう……ならば俺に出来る事は1つだ!

 

「皆……無事に帰ってきてくれよ……」

 

俺は祈りながら画面に集中した。

 

待て次回!!

 




この提督はさっさと火山火口に落としてしまった方が世界のためである。
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