刻輪台鎮守府の提督執務室……。
誰もいなくなった部屋で、俺は股間を押さえながら画面を眺めている……。
確かに曙にすら敵わない俺が出ていったところで、むざむざ捕まりに行くようなものだ。
悔しいが神通の言うとおり此処で祈っているのが正解だ……。
人間が艦娘に勝てるはずも無いことくらい、俺だって解っていたさ、彼女達は見かけはか弱そうな少女でも、何万馬力も出すことが出来る紛う事なき船舶なのだ。
今現在、世界の主導権は人ではなく艦娘が握っていると言うのが、世間一般的な考えであり、事実である。
今や人間は政治や軍事関連の機関には、一切の関与が許されていないのだ。
世界連合軍はそんな艦娘を良く思わない連中が、手に手を取り合って出来た組織なのだと、レ級から聞いたことがあったな……。
「だからって……俺は此処でただ見ているだけで良いのか!?人間や艦娘ではない、俺の部下が命の危険を省みず、俺を守るために戦っている……そんな中で俺のすべき行動が他にあるんじゃ無いのか?」
思いの丈が意識せずに口から漏れていた……。
「そうだね?貴方がやるべき事は他にあるよ?」
自問自答して自分に陶酔していた俺の背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「響かっ!?」
俺は振り返り様に叫んだ。
そこにいたのは白い帽子に白い軍服、紺のスカートを履いた、響そっくりの
「響……にしては背も高いし……少々大人びているような……?」
確かおチビの大潮と並んでも、殆ど変わらないくらいちっさかったはずだ。
「へぇ?背格好だけで気付くなんて、腐りきっていても元刻輪台鎮守府の提督……と言うわけだね?」
響そっくりの美幼女は、俺のすべてを見透かしたような深い瞳で俺と目を合わせている……あれ?この
「10年ぶりの再会だ、覚えられている方が気持ち悪いよ」
響そっくりの
「私はヴェールヌイ、貴方と会うのはこれで2回目、利根さんのところで秘書艦をしているよ」
手を伸ばせば、その魅惑の小さな膨らみに届きそうな程無警戒に近付いてくる。
これは……もしかして、いやそんな馬鹿なこと……いやしかし、あり得ない話でもないか!?
そもそも10年も前に1度会っただけの俺に、わざわざ会いに来るか?いや、何とも思わない男に会いに来るなんてそれこそあり得ない話である……。
俺はすぐそこまで迫る、手の中にすっぽりと収まってしまう、
「
何やら異国の言葉で捲し立てながら、
「うぐぅほっ!!」
俺のファニーボーンが床にぶつかり、ジーンと腕全体が痺れたような感覚に陥った。
「すまないね?私は
ちっ、このヴェールヌイの目……腕の1本や2本は躊躇なくへし折る事が出来る目だ、残酷な目だ……。
まぁ……投げられるときに、左手で
「……まぁいいさ、それよりも……新生刻輪台鎮守府の最後の戦いを見なくても良いのかい?」
はぁ……最後の戦い?
俺はヴェールヌイが何を言いたいのか解らなかったが、俺がこっそりお尻を触ったことには、気が付いてはいない様だった。
リアクションが無いのは、それはそれで面白味にかけるな……まぁ、リアクションされたときには俺の腕がバキバキに折られるわけなんだが……。
「先に言っておくね?私はこれから貴方を大湊警備府に連れていく、これはどうやっても変えられることの出来ない運命だと思って諦めて欲しい」
そう言うとヴェールヌイは妙高達が映る
執務室の扉と俺からは数メートル離れている。
この距離が有っても尚、俺を逃がさない自信があるようだ。
俺は少しづつ扉に近付いた。
「ただし、貴方には鎮守府の艦娘達の最後を看取る権利がある……そのまま扉を出て数秒で私に捕らえられて強制的に連行されるのと、貴方の部下達の死に行く様を目の当たりにして、呆然と立ち尽くしたまま私に連行されるかの違いだけどね?」
くっ……バレていたか……。
「瀕死の妙高に遅れをとる筈が無いと思うが?」
強がりではなく、今のお互いの戦力を分析した結果、俺達刻輪台鎮守府の勝率は実に46%と出たのだ!!
……割りと低い……。
「本当にそう思うかい?あの瀕死の妙高を相手に貴方の部下が勝てるビジョンが見えたのかい?」
……くっ、あの手負いの獣を狩る姿か……。
ば、馬鹿なっっ!!まったく想像することが出来ないだとっっ!!
「う、そんなはずは……」
「どうしたんだい?絶望が滲み出る様な顔をしているよ?」
狼狽え青ざめる俺とは対称的に、ヴェールヌイの表情は自信に満ち溢れている。
くそ、あの綺麗な顔には色々とぶっかけてやりたいぜ!
「ヴェールヌイ、賭けをしないか?」
「賭け?」
この賭けの誘いはまさしく賭けであった。
ヴェールヌイがこの賭けに乗るかどうかで、俺の今後の人生は決まる……。
乗ってこい……ヴェールヌイっっ!!!!
「今の貴方に賭けるものなんて無いと思うけど、一応聞こうか?」
……未だに疑念を抱いてはいるが、取り敢えず頭から拒否はされなかったから良しとしよう……。
「内容はいたってシンプルだ、妙高が勝つか舞鶴・刻輪台鎮守府連合が勝つかだ……」
「内容は解ったけど、賭けるものはあるのかい?」
よしっ!のってきたぜ!1対複数という絶対的ふりな状況だと言うのに、妙高に対する絶対的な信頼が仇となったぞ!
「賭けるものは俺自身だ!!」
ふっ、決まったぜ……。
「却下だね、貴方はいつでも連れていくことが出来るんだ、わざわざ不利な賭けに乗る必要はないよ?」
ふははは!いいぞ!いいぞ!その調子だ!
ヴェールヌイは拒否している、しかしそれは賭けるもの対象に意味を見出だせていないからだ。
「そうかな?もし
「私が賭けに負けても無理矢理連れていくよ?」
勝った!!第三部艦っっ!!!
「俺を無理矢理連れていくと言うのなら……」
ヴェールヌイがすべてを見透かす様な鋭い眼光で俺の目を見詰める……。
可愛いじゃないか……。
「俺はこいつで自害するぞ!!」
そう言いながら俺はリモコンを取り出した。
「それは?」
「こいつは俺の体内に内蔵された小型爆弾……このリモコン1つで爆発するぞ?」
俺は疑心に満ちたヴェールヌイの目を見る……っ!!
なんと!!
うれしい誤算だった……。
この蒸し暑くエアコンの効いていない刻輪台鎮守府が原因なのか、はたまたこの最強の提督と対峙している緊張感からなのか、ヴェールヌイの肌は汗でじっとりと濡れており、その白い軍服がピッタリと肌に付いて黒いブラが透けて見えているのだっっっ!!!!
俺はその奇跡とも呼べる幸運を少しも見逃さぬように、全眼力を込めて
「その目……死をも覚悟した男の目だね?……解ったよ、貴方に死なれては元もこもない……その賭けに乗るよ……」
「っ!!」
よし!!なんだか解らんがヴェールヌイの説得に成功したようだ。
「ただし、貴方が約束を破らないと言う保証をしてもらうよ?」
「保証?」
「もし約束を破ったら、貴方の奥さん……大潮には死んでもらうよ?」
大潮……。
「男に二言はない!好きにしな……」
こうして俺の命運を賭けた一大ギャンブルが始まった。
待て次回!!
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