危険な提督と娘達   作:片栗虎

149 / 203
次回イベントに向けて、バケツ500、資源45000を目指して頑張っております。(そのかわりSSの更新がかなり遅れているのは内緒だ)


刻輪台鎮守府 強襲編 圧倒的じゃないか……

提督と別れて数分後……。

 

私達は予想を遥かに上回る事態に遭遇していた。

 

鎮守府の外は既に真っ暗で何も見えない状態だ。

 

「うぅ……」

 

「ぐあ……ぁぁ」

 

艦娘達の呻き声が闇夜に木霊する。

 

私達が執務室から此処に向かう数分の間に、あの人数全てを戦闘不能状態にまで追い込んだ様だ。

 

「じ、神通さん……」

 

千歳さんが怯えきった声を上げている……。

 

このままではまずい……。

 

私は直ぐ様、探照灯を照らした。

 

「……つ、次は貴女達が相手……ですか?」

 

彼女は立っていた……。

 

舞鶴の艦娘達との死闘の(あと)は、その場を見ていない私の目にもその凄まじさが見てとれる。

 

彼女は右腕を失い、左腕と右脇腹から出血していたみたいだけど、アドレナリンが異常分泌しているのか、既に止血が完成されている……まさに化け物……かしらね。

 

「雑魚が3人……つまらないですね……」

 

妙高の口元は下品にニヤついているが、その鋭い視線は獲物を狩る猛獣に見えた。

 

「随分手酷くやられている様ですけど……い、今投降するなら命だけは取らないわ……」

 

恐らく私の声は、かなり聞き取りにくい程に震えていたのだろう、妙高は特に反応することは無かった。

 

「……曙さん、探照灯で出来た影の中に隠れて背後から攻撃して下さい、千歳さんは艦載機で敵の目を引き付けてください」

我ながら場当たり的で安直な策……。

 

的確な策だとは到底思えいけど、今私に思い付く事が出来たのはこれ位しかなかった。

 

でも、私の秘書艦としての未来のため、此処で敗北することは絶対にあってはならないことなのだ。

 

今の私達がうてる最善の策であることを祈り、私は二人に指示をだした。

 

「私は良いけど、千歳お姉さまは大丈夫ですか?」

 

夜に艦載機を飛ばすのは大変危険が伴う行為であることは、私も周知している事……だけど……。

 

「千歳さん……」

 

「やってみるわ……と言うかやらないと私達が危ない訳だし……でもその代わり……しっかり照らしてて下さいよ!神通さんっっ!!!」

 

千歳が言い終わるのと同時に曙さんが動き、千歳さんの艦載機が妙高にむかって飛び立った。

 

「いくら探照灯を照らした所で、夜偵でも無い限り自殺行為ですよ?」

 

妙高の言った通り、千歳さんの艦載機は攻撃をことごとく外している。

 

「それと……私を相手に探照灯を使用する事自体が、自殺行為なんですけどね……」

 

妙高は自身の怪我等全く気にすることなく、真っ直ぐ私に向かって突進してくる!?

 

曙さんが丸太ん棒で後ろから追いかけるが、大怪我を負っているとは思えない程の速力に全く追い付けていない

でいる……。

 

「くっ、あんまり()めないでください!!」

 

真っ直ぐ向かってくる妙高に対して、両腕に装備された主砲を一斉射する。

 

「ふふっ、()められたく無いのなら……」

 

妙高は眉ひとつ動かさずに、突進の勢いを殺すことなく迫り来る砲弾を難なく避ける。

 

「それ相応の実力をつけてから言ってもらいたいものですね?」

 

妙高の右膝が私の腹部目掛けて放たれる。

 

「くっ……させません!!」

 

ギリギリのところで膝を両腕で受け止める。

 

「あがっ!!……」

 

その刹那、後頭部に衝撃と鈍痛が走った。

 

油断したわ……妙高の膝蹴りはフェイント……本命は急所(後頭部)への渾身の左肘(エルボー)……。

 

「あ…………」

 

それは、一瞬の出来事だった。

 

意識を失いかけたと思ったその時、後頭部に妙高の左手が添えられたのを感じた。

 

「可哀想ですけど……可愛いお顔……潰させて貰いますね?」

 

「え?」

 

後頭部への一撃により思考が鈍った私は、妙高の次なる行動が予想できずに只の棒立ち状態だった。

 

「っっ!!!」

 

そして妙高の額が、私の顔に激しく打ち付けられてしまった……。

 

「あがが……」

 

あぐぅ!?……単純であるが故にその威力は絶大……また気が遠くなる……。

 

「鼻……まだ折れてませんね?」

 

更に勢いがついた額が叩き込まれる……。

 

うぐふぅ……痛みを感じる前に目からは涙が溢れ、鼻と口からは止めどなく血が流れる……。

 

痛い……痛い!痛い!?

 

そして激しい痛みが顔中に広がっていく!?

 

もう……やめて……。

 

恐らく鼻どころか、顔中の骨が陥没してしまったのだろう……痛みによって私は一切の防御行動がとれなくなってしまった。

 

「まだ……折れてませんね?」

 

え?うそよ!もう骨は折れているわ!!

 

ぼ……ヴぉぅ……ひゃべでぇ(も、もうやめて)

 

私の必死の訴えも虚しく、3度目の頭突きが敢行される……。

 

いやぁ!!またあの痛みが来るの!?……お願いもうやめて!!

 

額が当たる直前で妙高の動きが止まる。

 

「あら……?」

 

私の精神は崩壊し、その場で失禁してしまっていた。

 

「刻輪台鎮守府の秘書艦ともあろうものが……人前ではしたないですよ?」

 

「隙ありぃー!!」

 

神通さんを捕えて嬲る(なぶる)妙高の後頭部目掛けて、曙様自慢の丸太ん棒をお見舞いした……つもりだったんだけど……。

 

「遅いですよ?あんまり遅いから、秘書艦さんが大変な事になってしまいましたよ?」

 

「うわっ!?」

 

妙高は丸太ん棒が直撃する寸前に、神通さんを盾がわりにした。

 

鈍い音と嫌な感触が伝わり、思わず丸太ん棒を投げ捨ててしまった。

 

妙高の表情は、この後私も神通さんと同じ目にあわせると如実に物語っている。

 

それだけは……許して……。

 

恐怖で声が出なかった。

 

あの、蛆虫野郎の所為で……うぅ、嫌だよぅ千歳お姉さま……。

 

「あら?貴女はもう……折れてしまったみたいですね?」

 

「あぁ……千歳……お姉さま……」

 

私は腰が抜けて座り込み、下半身はホカホカとした液体に塗れ(まみれ)情けない姿で涙と涎を垂れ流していた。

 

「本当につまらないですね……」

 

曙ちゃんを辱しめた妙高は、ついに私の……千歳の方へ向き直した。

 

大怪我をしている重巡一人、楽に片付けられると思ってたのに……こんなにヤバイ奴だったなんて……さっさと逃げた方がよかったわ……。

 

「……」

 

ぐったりと動かなくなった神通さんを、ごみ同然に投げ捨てた妙高は真っ直ぐ此方に向かって歩き出した。

 

そもそも夜戦で空母がでても、何も出来るはずなかったのよ……。

 

「あら?貴女は戦わないのですか?」

 

「あ、あの……私はこの鎮守府とは無関係で、佐世保鎮守府のスパイなんです……うっ!?」

 

私の必死の弁明も実らず、妙高の左ミドルが飛行甲板を破壊した。

 

「私にとって、刻輪台鎮守府の提督だろうと、佐世保鎮守府のスパイさんだろうと……どちらが相手でも構わないんですよ?」

 

「……」

 

「抵抗しないのなら、命だけは見逃してあげますよ?」

 

心底つまらなそうな顔をしながら妙高は言った。

 

「……」

 

その後私は、人体が生存しうるギリギリの破壊を敢行されて意識を失った。

 

刻輪台鎮守府全滅!?

 

待て次回!!!




一人称視点での戦闘が意外とわけ解らなくなる事が判明しました。

神通曙千歳の各艦娘ファンの方々にはこの場を借りまして謝罪いたします。

リョナってごめんなさいm(__)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。