執務室
「それで、提督さん?」
毎日のように執務室に通う姿は、度々鎮守府の職員や他の艦娘等に目撃されていた。
「んー、深海棲艦の鹵獲に生態の解明を目的とした解剖実験……それに必要な人員と費用だったか……いつもいつも通ってもらって悪いんだけどな、この鎮守府の台所事情はかなり厳しいからなぁ、加賀さんや響にも怒られてしまう……」
「……はぁ、それは解ってるわ!それでもどうにかして欲しいからこうやって頼んでいるの、分かってるのかしらァ?」
全く、この提督の無能っぷりには流石の私も呆れるわぁ……。
「いやいや!無理なものはむりだから!見たまえ!この前勝手に建造したのがバレて、加賀さんに艦載機で殴打され傷がこれだぁ!!」
「……」
偉そうに言った提督は、唸りながら下半身を露出した。
訳が分からない、提督になる人ってこんな変人ばかりなのかしら……。
「それで、私が提督の……ソレを癒して差し上げれば良いのですか?」
「ふへ?ええ!?いいの?」
いきなり提督のアレが大きくなっていく、うふっ童貞かしら?
「あ、あの龍田さん?私が直々に深海棲艦を鹵獲して解剖もするというのはどうだね?」
「……それじゃあ、また来ますね?」
少しでも期待した私がばかだった……私は提督の下半身を露出させたまま椅子に縛り付けて天井から吊るしてやった。
翌日の鎮守府青葉速報の1面を飾った事は言うまでないわね。
それから数ヶ月に渡って執務室に通ったが、正規空母の加賀さんの許可がおりず、この鎮守府主力と提督は大規模殲滅作戦に参加するため、鎮守府を立った。
「もう……限界かもね、天龍ちゃん……」
私は私1人でことを進めることが出来ないと言う、無力感に絶望して鎮守府にある原子炉を爆破する事にした。
「天龍ちゃん……ごめんね……すぐにそっちに行くからね?また一緒に……今度は地獄の閻魔様相手に国盗りしようね?」
私は目を閉じて原子炉の時限式の自爆スイッチを押した
「龍田さん……天龍さんを蘇らせる方法がありますよ?」
「え?貴女は……」
其処には見たことも無い桃色の髪をした工作艦的な人がいた。
「天龍さんは別の次元の鎮守府にいます」
「別の次元に?それってどういう……」
別の次元と言ったら……確か最近現れた重巡の利根さんが提督をやっているとか言う、奇妙な鎮守府が別次元からやって来たって聞いたけど……。
「話はあとです、このままじゃヤバイですよ?」
「……」
訳が分からないけ……天龍ちゃんを蘇らせることが出来るなら……。
私と工作艦は鎮守府から脱出し、鎮守府が消滅する様をワイングラスを傾けながら優雅に眺めた。
「取り敢えずお互いの生還に乾杯……ですかね?」
「そうねぇ、乾杯もいいけどぉ……貴女は何もなのかしら?」
薙刀を工作艦の首筋に寸止めして言った。
「あ、あははは……え~とぉですね、少し落ち着きましょうか?」
「私は冷静よ~?」
薙刀が少しだけ首筋にくい込む、工作艦の首から一筋の血が垂れる。
「……私はあの利根さんの所の明石です!!決して怪しい者ではありません!なので……これ、下ろしてくれませんか?」
明石は叫んだ後に涙声で訴えて来る。
そうか、この娘も別の次元からやって来たもう一つの刻輪台鎮守府の艦娘……。
私は静かに薙刀を下ろした。
「そうだったの……それで、さっきの話だけど」
天龍ちゃんを蘇らせる……私にとって今最もやり遂げなければならない本懐……。
「えぇ、この世界には深海棲艦の核と呼ばれる高エネルギー物質が存在します」
「聞いたことあるわ、全ての深海棲艦を凶暴化させる根源と言われている物体で、海底のどこかに存在するとか何とか……」
正直都市伝説か何かだと思っていたけど……。
「そうです!そしてそれは私達の次元では見つかっており、色々な謎の解明なんかもされてました」
「謎の解明……?」
「そうなんですよ!実際私達もその力によってコチラの次元まで飛ばされてしまいましたし、あっちに戻れれば轟沈した艦娘の復活方法も確立しています!」
「え?……それって」
流石にそれは出来すぎているけど……。
「兎に角、コチラの世界の核を捜しましょう!それが有ればあちらの次元まで飛ぶことが出来ます!!」
明石の確信と自信に満ちた瞳は疑う余地を与えてはくれなかった……と言うより、わたしには疑う事など出来るはずは無かったのである。
これが恐らく最後のチャンス……必ずものにして見せるわ、待っててね?天龍ちゃん!!
待て次回
待ってねーよ?
そうですかすみません。