第3章 解
「その艦娘とは……天龍型軽巡洋艦二番艦の龍田だ!!」
俺はビシぃっと天高く腕を上げてポーズをとる。
随分と長い間番外編をやっていた様な気がしたが、実際は2話位だろう……。
「大丈夫かい?加賀さん?」
「えぇ、そこのうるさい生ゴミさえ黙らせてくれたらね」
懸命な救護活動が行われる、刻輪台鎮守府臨時医務室。
「川内さん、大丈夫だよ……鼓膜、再生したから」
「……や、夜戦……」
「おーい?俺の話を聞いているか?龍田だよ!あの龍田が何かを知っているような気がするんだ!」
「一命は取り留めたみたいだよ、妙高?」
妙高の両手両足は包帯で巻かれ、無数の管を身体中に繋いで辛うじて生命を維持している。
「……」
しかし妙高の意識は戻る事は無かった。
空気を読まずに妙高の股座などを覗きこもうものなら、この場にいる全ての艦娘に即刻処刑されかねん……。
「龍田が深海棲艦と艦娘についての研究をしていたんだ!」
「皆さん、食事の用意ができましたよー?」
俺の嫁候補の千歳が、飲まず食わず眠らずで看病を続ける艦娘や軽症で食事を取ることが出来る者に、お手製の熊肉の塩漬け山葵ぞえを振る舞う。
「流石千歳お姉様、どんな時でもみんなの事を考えているのですね?」
「いい匂いだ、どれ私にもひと口貰おうか?」
両手両足を拘束されている俺が食事をする、即ち……。
「さぁ、誰でもいい、早いとこ口移しで食べさせてくれよ?さぁ!さあ!!」
何だか興奮してきたぜ!!
「うるっさぁーい!!」
曙の丸太ん棒が身動きの取れない俺の最も大事な所を強打する!!
「~~~ッッ!!」
声にならない叫びとなりて、俺は超音波にも似た謎の怪光線を放ったような気がした。
気のせいだった。
「少しは自分の立場を理解しなさい!アンタは多数決で3日後に処刑する事が決定したんだからね!このゴミ野郎!!」
「……」
ドスコイ曙の言った言葉が俺の鼓膜を震わし、その音の意味を俺の脳が全力で探し出そうとフル回転する。
「……曙太郎さん?もう1度言ってくれないか?」
先程打たれた急所にもう1度丸太ん棒がぶち当たる!
「うがががごごががぁ」
この世のものとは思えない呻き声が自然と口から漏れる。
「少しは自分の立場を理解しなさい!アンタは多数決で3日後に処刑される事が決定したんだからね!このごみ野郎!!」
ふふっ、まだまだだな?最後のゴミ野郎がごみ野郎になっているぞ?
「貴様の再現能力はその程度か!」
俺の気合い十分なダメだしを受けた曙はもう1度丸太ん棒を振り上げる。
「嘘ですごめんなぐばばびばばび!!!」
容赦なく振り下ろされる丸太ん棒……。
そして3度目の正直と言うように股間を痛打する!!
「死ね!ゴミ屑野郎!!」
曙は唾を吐き捨てて部屋から出ていった。
「くっ!」
ちくしょう……目から涙が止まらねぇぜ……。
隣の部屋では大湊・佐世保・舞鶴鎮守府の艦娘達が楽しそうに食事をしたり、看病したりしている。
「……」
ふっ、どうやら日本の艦娘達が一つになる事が出来たらしいな……。
全ては俺の計画通りだ……。
同じ国の艦娘同士、仲違いなどしている場合ではないぞ?
俺の心は少しの温もりと……この世の全てを憎む憎悪が支配していた。
憎い憎い!俺より幸せな奴、全てが憎い!!
俺より不幸な奴は恐らく……ティッシュにダイブする精子くらいか?
兎に角全てを消してやりたい……。
「はっ!?」
何だ?今の感情は……俺は……俺は一体……。
一瞬ではあるが、俺の清らかな心を黒く染めようとする得体の知れない、未曾有の邪心……。
俺の中で何かが起ころうとしていると言うのか?
「くっ!静まれ!鎮まれ俺の邪気眼っ!!」
邪気眼はともかく、待て次回!!
こんな時もたまにはあるさ、スパシーバ