「提督?……提督!オキテクダサイ!!」
うるさい奴だな?
俺の体は何者かによって力強く揺さぶられている真っ最中だ。
全く……俺は今とても安らかに、それこそ死んだような眠りに全てを委ねている所だそ?
「提督!ソロソロオキテモラワナチト……大会が始まってシマイマス!?」
大会?……なんだ?それは?
俺は聞き慣れたような、それでいてとても聞き心地の悪い単語に反応してしまった。
「……!!」
俺はその場で飛び起きようと頑張ったが、体が動かない……何故?
「おい?コレはどう言う事だ?」
俺は仕方なく目をあけて、自身の状態を確認した。
俺の体は丈夫な触手の様なもので、チ級が乗る水上バイク的な乗り物に固定されていた。
「チ級よ?これはどういう事だ?一体何が起こっているんだ?」
「ハァ?何ヲ訳の分からないネゴトを言っている?戦いの火蓋はキッテオトサレタノダぞ?」
面倒臭げな表情で言い放つチ級……。
「タ級?タ級!?説明を頼みたいのだが?」
必死に俺の身体をゆさぶり続けるタ級の豊満な胸を、唯一動かす事の出来る足先でつついた。
「て!提督?イケマセンこんな所で……」
タ級は慌てて俺から離れてしまう、その表情は心無しか満更でもなさそうににやけている気がした。
「……そんな事より今の現状を説明出来ないか?」
「……あぁ、ソウデシタネ?提督が佐世保の提督に奇襲をかけて、返り討ちにされた挙句気絶してしまい目覚めなかったので、世界統一!地下格闘技大会が始まって仕舞いました」
タ級の説明には少々突っ込み所があるが、どうやら我々は戦場のど真ん中に立っているようなので、突っ込むのはやめておくとする。
「成程、状況は大体理解したが、一つだけわからない事がある」
「ナンデスカ?」
「何で非戦闘員であるこの俺がこのリングのド真ん中に立ってんだ!コラぁ!永田こらぁ!!」
「長州のモノマネなんて今の若い人ワカリマセンヨ?」
くっ、深海棲艦と言っても艦娘か……キレのある突っ込みだ!
「提督は大会ルールを忘れてしまったのですか?」
「ルール?ナンデスカそれは?」
ルールも何も俺はこんな茶番に本気で参加するつもりは毛頭ない……。
「両チーム準備が整ったところで、改めてルールの確認をいたします」
恐らく解説か実況を買って出たであろう、加賀さんがテキパキとルールの説明をしてくれる……。
てえぇ!?加賀さん〜〜〜ッッツツ!?
「……お互いのチームから選ばれた先鋒、次鋒、中堅、副賞、大将の5人が1対1で戦って勝利数が多い方が勝ちとなります、戦闘に関してのルールは一つ……武器の使用以外の一切を認めます……以上になります」
いつもと同じクールな加賀さんは、そのまま自宅目指して海を渡って行ってしまった。
「提督?」
タ級が俺の拘束を解きながら話し掛けてくる。
正直加賀さんの背中に乗って一緒に帰路につきたかったが、タ級の真っ直ぐな視線を目の当たりにしてはそう言う訳にもいかなかった、
「大丈夫デス!提督までは絶対に回しません!」
タ級は鼻息荒く力説すると、その柔らかそうなプルンプルンをドンと叩いた。
「ふっ、流石は俺の専任秘書艦だ!では采配は全て任せるとしよう、貴様ならばこの俺ですらも使いこなしてくれると期待しているぞ!」
「はっ!!オマカセクダサイ!!」
やはりか、タ級はこういうミリタリーチックなノリがお気に入りのようだ……。
まぁ俺まで回ってきたら即ギブアップすれば良いだけの事……。
「それではここからの進行は吾輩、佐世保鎮守府提督であるこの利根が承ったぞ!宜しく頼むぞ!?」
ハツラツとした利根提督の司会により、会場はにわかに熱気を帯びてくる。
次回はいよいよ初戦開始!!待て次回!?
遂に艦娘たちの熱き戦いが幕を開けたのである。