今は秋刀魚を集めてます。
帰ってきた男
地下最大トーナメントが終わり、世界の鎮守府は武蔵率いる日本の鎮守府を中心に、対深海棲艦というお題目の元、一丸となって戦っている。
俺はと言うと……。
「おい雑用?ジャンプ買ってこい、それと焼きそばパンもな?」
「了解であります!武蔵提督!!」
俺は今まで使用していた掃除道具を片付けて、売店へと急いだ。
あの大会の決勝で妙高を全力で応援していた事が、味方の深海棲艦達にバレてその場で半殺しの目に会い、深海提督は解任となり、ここ刻輪台鎮守府の雑用として籍を置いている。
俺が提督をしていた深海鎮守府にはあのレ級(第1章および第2章参照)が提督となり、我々と協力して世界中の深海棲艦と戦っている。
つまり、俺の境遇を除いて全て円滑に事が進んでいるという事である。
性欲(myson)も失い生きる目的も失い(不死身の身体を手に入れたために死ぬ事も出来ない)ただ漠然と雑用をこなす毎日……。
そんな毎日、突然転機が訪れた!
「提督!フランスの鎮守府より通信が来てます」
秘書艦の大鯨ちゃんが焦った様子で通信子機を手に現れた。
普段冷静な彼女のこの慌て様……。
俺は久々に掃除とパシリ以外のことが出来るのでは?と、僅かに心が高揚していた。
「武蔵だ、そちらには我々の水雷戦隊を護衛艦隊として派遣していたはずだが?」
フランスは嚙ませ犬癖がついてしまったらしく、日本から度々支援している。
「う〜む、非常に申し上げにくいのですがァ」
フランスの提督、フランソワビシソワーズ元帥だ、武蔵は電話はいつもハンズフリーmodeで通話する。
因みに世界の公用語は日本語なので、奴が日本語で会話するのは特に不思議な事ではないのだ。
「どうしたというのだ?盲剣の川内率いる佐世保の水雷戦隊に何かあったというのか?」
佐世保最強の水雷戦隊、その実力は旗艦川内を筆頭に水雷戦隊としての能力だけなら、日本でも五指に数えられる程の精強っぷりだ。
「うぅ、すまない……本当に申し訳ない……」
仏提督は消え去りそうな声で謝罪を続けている。
「謝罪はいい!何があったか説明してもらおう!」
すこし苛立った様子の武蔵が怒気を含めた声で尋ねる。
「結論から申し上げると……旗艦川内以下佐世保の水雷戦隊は6隻共……轟沈してしまった」
「……!?」
武蔵は驚愕の表情のまま固まってしまった。
傍で見てると中々にシュールな光景だが、今は笑える状況ではなかった。
「ば……かな……」
武蔵が喉の奥からようやく絞り出した声、武蔵の悲壮感が容易に見て取れる。
「我が軍のリシュリュー・コマンダンレルミニエ・コマンダンブレソン・コマンダンデュキン・コマンダンビロ・コマンダンテストも轟沈してしまい、フランス海軍は壊滅寸前です」
「あの、敵は?敵はどんな奴だったんだ?」
俺が横から声を出してみた。
「お前には聞いていない、しゃしゃり出てこんでいい」
「いや、でも」
「お前には聞いていない、しゃしゃり出てこんでいい」
「いや、敵の正体は」
「お前には聞いていない、しゃしゃり出てこんでいい」
武蔵による圧倒的な否定に対して、俺は泣きながら部屋を飛び出した。
待て次回!!
お前には聞いていない、しゃしゃり出てこんでいい!