戦争とは悲惨なものです。
「は?」
俺はそう答えるのが精一杯だった。
「散々我らを騙して来たのだな?お前の持つその記憶は誰の入れ知恵だ?そこのレ級か?」
「ば……馬鹿な事をいうな!」
喉の奥から声を絞り出した。
「俺は何も騙しちゃいない!」
一度決壊したダムが水を塞き止めることが出来ない様に、俺の言葉もたれ流される。
「俺は元刻輪台鎮守府の提督だ!お前に殺されて深海提督になった!それは間違いない!!お前達と共に過ごした記憶は偽りなど無い!」
全てをぶちまけてやった。
「ではあそこにいるのは誰だ?人間で私達の記憶の中の提督そのものだ!深海棲艦の貴様を信用出来ると本気で思っているのか?」
怒号を上げて肩で息をする武蔵、武蔵自身も混乱している様にも見えた。
「……アイツは恐らく偽物だ、それ以外に考えられない……敵の中に刻輪台について詳しい奴がいるんだ間違いない!」
これは俺の予想の域を出ていないが、考えられる中で最も辻褄が合う。
「それこそ信用出来んな!私の知る提督は常にスケベな言動を繰り返してどうしようもない男だった」
くっ、そいつは……俺にも分からない事なんだ……。
堂々巡りの様相にごうを煮やした多摩が間に入る。
「確かにアレ(向こう側の提督 )は私達の提督そのものよ」
「た、多摩……お前まで……」
俺は絶望に打ちひしがれた。
「話は最後まで聞いてね?武蔵も冷静になりなさい、アレが本物だとして、世界の鎮守府を襲う理由が分からないわよね?」
「うぐ、まぁ確かに……元々奴は何を考えているか分からない所はあったが、ここまで大それたことをするとは思えないな……」
ふぅ、多摩のおかげでなんとか戦況は五分にまで持ち直したぜ!
いや、まだ三分くらいか?
「今私達がする事は一つでしょ?あの提督と戦って勝つ、そして取っ捕まえて事情を聞くのよ?事情次第では……」
多摩は首を親指で掻っ切るポーズをとる。
このポーズが誰に対してのモノなのか、物凄く気になるがこの場で聞くのはヤボってもんだ……。
「おい、偽物よ!貴様のことは全く信用出来んが今はアイツを止めるのが先決だ、貴様の命はこの戦いの後まで取っておいてやる」
ぶっきらぼうに言い放つ武蔵の言葉が、更に俺の心を貫いた。
どんなに不器用な奴でももうちょっとオブラートに包んだ物言いをすると思う。
「……分かった、必ず奴らを倒して俺が本物の提督だと証明してやるからな!!」
俺はボロボロの精神状態ながらも、精一杯の強がりを言って見せた。
「ルールはお互いの陣営から5人の戦士を選び、ルール無用のタイマンバトルの勝ち抜き戦でどうだ?」
会場中に響き渡る声で武蔵が叫ぶ。
「……良いだろう、そのルールで行こう」
野郎は余裕の表情を崩さず承諾した。
遂に決戦の火蓋が切って落とされる!!
待て次回!!
守りも攻めるも黒鉄の~