ヴェールヌイは応急処置により、右肩と右肘の関節をはめて高速修復材の湿布を貼っている。
艦娘も深海棲艦もあまり変わらないのでは?と思ったのは俺だけではないだろう……。
「さて!それでは第2試合を始めるとするか?」
野郎の声が拡声器によって闘技場に響き渡る。
「そうだな?敵の正体も大体分かった、一気に決めさせてもらおうか?」
武蔵がいつも通り自信満々に舞台へ上がる。
敵の正体?武蔵は佐世保があの男に手を貸しているだけだと思っているのか?
提督である利根さんが現れた事でその可能性は高くはなったが、佐世保だけで世界の鎮守府を壊滅出来るとは思えんが……。
「お主の疑問、吾輩が答えるぞ!」
「お、お前は!利根さん!!いつの間に!!」
頭に包帯を巻いた利根さんが俺の背後から声をかけてきた。
取り敢えず驚いてみた。
「こっちとあっちは廊下でつながっておるのじゃよ」
まぁ、知っていたが……。
「そんな事より俺の疑問に答えてくれるのか!?」
「そうじゃ、お主もそろそろ全てを知る必要があると思ってな?」
「う……うむ」
内心は少しだけ怖かったが、ここに来てモヤモヤしたままというのは気持ちが悪い。
「よろしく頼むよ利根さん」
「まず、あの男なんじゃが」
利根さんは俺達の反対側で裸でブリッジしている変態を見ないように指だけさして語り始めた。
「あの男は正真正銘、元刻輪台鎮守府の提督じゃ」
「……?」
俺は色々と言いたい事があるが、利根さんの目が質問は後じゃ!と語っていたので取り敢えず黙って聞くことにした。
「お主の記憶の中にもあると思うが、あの男はかの大規模作戦にて敵のレ級……あやつじゃな?」
利根さんは武蔵を応援するレ級を指差す。
「アレと共に回天によって心中した」
俺の記憶にも鮮明に残っている風景、レ級と男が深海棲艦の核に突撃する場面……。
その後あやつは大潮とレ級と共に無人島で10年の時を過ごした。
「そうだ、しかしそれは俺だろ?その10年の記憶もあるぞ?」
「そうじゃな?確かにお主にもその記憶はあるであろうな」
何やら含みのありそうな言い回しだな、あの男と俺は同じ時を過ごしたのだろうか?
「やはり、お主は何も気が付いてはおらなんだか……まぁ、それも仕方の無いことかも知れぬのぅ?」
何だか嫌な予感がして来た。
「もういい、利根さん!さっさと自分の陣営に戻ってくれ!!」
柄にもなく大きな声が出てしまった。
しかし、構ってはいられない!このまま話が進む事は絶対に避けなければならないと、俺の本能が警笛を鳴らしたのだ。
「いや、最後まで語らせて貰うぞ?吾輩にはそれしか出来ぬ……」
決意を固めた様な強い意志を感じさせる眼差しが俺を貫く。
どうやらもうダメみたいだな……。
俺には残された選択肢など存在しないという事を理解した。
「第2試合!武蔵VS加賀!!はじめぇ!!」
「か!加賀さん!?」
待て次回!!
真実はいつも一つ!