中堅戦が終わり、妙高さんが戻ってくる。
「すみません、次の試合は辞退でお願いします」
妙高さんは笑顔を絶やさずにそそくさと会場から出ていってしまった。
お花でも摘みに行ったのだろうか?
妙高さんも可愛らしい所があるんだな?
俺が妙高さんの後ろ姿を眺めていると、後頭部に軽い衝撃を覚えた。
「こりゃ!吾輩が話しておるというのに他の女を眺めておるとは何事じゃ!!」
おっと、いつの間にやら利根さんのお話が再開されていたようだ。
「おっとすまない、続けてくれ」
「ふむ、正直吾輩は向こうの提督よりお主の方がマシな気がしておるぞ?」
ちっ、まだアイツを提督と言うか……。
「えぇーと、そうじゃなぁ、お主が武蔵に処刑されたあとの話じゃ」
「あの後俺は深海棲艦の棲む島に漂着したんだ」
「それがお主の記憶か……」
利根さんは真剣な眼差しを向けてくる。
お主の記憶?
利根さんの言葉のニュアンスがイマイチ汲み取れないでいる。
「吾輩はその時丁度刻輪台におったから全てを見ていたのじゃ」
成程、先刻からの利根さんの思わせ振りな態度は全てを知っているが故の態度だったか……。
「そうか、回りくどい言い回しはいいから利根さんの知る全てを話してくれ」
利根さんは俺の偉そうな態度に、少し表情を強ばらせたが、コホンと軽い咳払いをすると表情を戻して語り始めた。
ふっ、全て聞いた上で頭ごなしに論破して有耶無耶にしてこの窮地を乗り越えてみせる!!
「そうじゃな、この際だ!包み隠さずハッキリと言うぅ!!」
利根さんは独り言を言いながら立ち上がった。
勢い良く立ち上がった為、前掛け的な奴がフワリとひらつかせる。
チラリと垣間見る扇情的な太股が見えても、俺の股間は静けさを保ったまま微動だにしなかった。
「吾輩はお主が処刑された時、刻輪台の近海を航行しておったのじゃ」
気が付くと武蔵と神通がコチラをじっと眺めて、利根さん言葉に耳を傾けている。
あの2人……特に武蔵は真実を知りたいと言うのは分からんでもない……。
俺はなるべく気にしないように利根さんの話に集中する事にした。
「結論を言わせてもらうと、あの提督が吾輩の所へ流れ着いた……」
は?
俺の頭にはQuestionマークで満たされていく……。
「その時は吾輩の判断で佐世保で匿う事にした、再び処刑される恐れがあったのでな」
混乱の極みだった……アッー!!
「佐世保の医療施設でデイエヌエー?であっかの、そんな名前の検査をした結果も本人と断定されたぞ?」
染色体配列も一致……か……。
「い、いやしかし……俺の記憶はハッキリしているわけだし……」
全身から動揺がだだ漏れる……落ち着け!落ち着くんだ!俺!!
「そこでじゃ、我々佐世保鎮守府からの提案だが……もし我らがこの闘いに勝利したら検査……受けてもらいたい 」
「お断りします」
即決だった。
俺は無意識のうちに利根さんの提案を拒絶していた。
「も、もとい!こちらのメリットが無い以上、その提案に乗る必要は無いという事だ」
唐突な発言だった為、慌てて取り繕う。
「いや、その条件受けるぞ」
ズズいっ!と俺の頭を鷲掴みにしながら武蔵がしゃしゃり出てきた。
「異論は認めん」
待て次回!
復旧要請だしたら復旧できるらしい