「おーい!多摩ぉー入るぞー?」
俺は返事も聞かずにドアを開けた。
「あれれ、まるで夫婦だねぇ?」
ニヤニヤしながら囃し立てたのは新入りの北上さんだった。
「お前達いつの間にそこまで仲良くなったんだ?」
出会ってまだ数ヶ月だと言うのに、まるで本物の姉妹の様に仲睦まじいではないか?不思議系猫キャラとダルい系毒舌キャラが奇跡的にマッチして化学反応でも起きたのだろうか?
「にゃ?いつの間にって、これでも北上は私の大事な妹にゃ」
「……語尾に恥ずかしげもなくにゃんにゃん言っちゃう姉を持つのは辛いわー」
「にゃっ!?お前みたいな人気艦と違ってこちとら人気取りのために色々頑張ってんだよ!これでも!……にゃ!」
「まー、努力は認めるけどねー?……努力する方向性が痛々しいけど……」
なんとっっ!!
この二人は姉妹だったのか!?
絵師もちげぇし!服装も違うじゃん!!わかる分けない
よ!!!
俺は壁を思いきり殴り付けた。
「……で?提督は多摩姉さんに何か用なのぉ?」
おっといけない、この二人の姉妹丼を想像するのに夢中で俺の官能小説ファイリング(脳内)が火を吹いてしまったよ。
「いやー、すまない、何とも珍しい組み合わせだったものでな、それよりも二人とも俺の秘書艦にならないか?」
「にゃー?提督のそばに四六時中居られる強者は全艦娘の中でもコイツだけだにゃ!」
多摩は北上さんの頬に思いっきり人差し指を打ち込む!
「んぁ?痛いって!……いや、私は別にいいけどさ、多摩姉さんだって秘書艦くらいできるじゃん?」
「にゃ、せっかく推薦してやってるのにコイツは素直じゃないにゃん!」
ふーん、どうやらこの二人は秘書艦をやるのはやぶさかではないらしい、だとすると俺はどちらかを選択する必要があるようだな?
「……」
うぐっ!!なっ!なんだ!?
「提督?どうしたにゃ?凄い脂汗にゃ!顔色が真っ青になっていくにゃ……」
ぐふっ!頭が割れたように痛い!!い、いきなりどうしたと言うのだ!!俺はこれからフローラかビアンカの究極の選択をしようって時に!!
「はぁ、はぁ、ちょっと気分が悪くなってな……」
「いや、ちょっとってレベルじゃ無いと思う……」
北上さんが心配そうに俺の顔を覗きこむ、うはっ、顔ちけぇっっ!!!
「ふーふー、よしじゃ……じゃあ秘書艦は……き……た……か…………」
ぐっ!!!今までで最大の頭痛と吐き気とめまいが俺の身体を破壊する!!
「ぐぇっがほっ!!!」
俺は血を吐いてのたうち回った。
「……死んだ?」
「……死んだかもにゃ……」
俺は最後に残ったらカスみたいな力を振り絞って北上さんに秘書艦契約書を手渡した。
「あー、はいはい、やりますよぉ、取り敢えず最初の仕事は提督を医務室に運ぶことみたいだねぇ」
俺の意識はそこで途切れた……。
完(艦)
果たして提督の選択は正解だったのか?