俺達が辿り着いたのは木造のログハウスの様な造りの建物だった。
「すみません、少しだけお待ち頂けますか?」
「あぁ……」
大和は俺の返事も聞かずに棲みかに入ってしまった。
「赤城さん!起きてください!もう昼過ぎですよ!?」
声とバストがデカいのは血筋なのだと合点がいく。
「……」
「今日はボーキ集めに行くって言ってあったじゃないですか!!」
「……」
赤城の声は殆ど聞こえない所をみると、この棲みかは中々の防音機能があるようだ。
「それよりも大変なんですよ!私達の居た鎮守府で提督をやっている方が砂浜に倒れてたんですよ!」
「……!!」
うーん、赤城の声も聞いてみたいな……。
俺はドアに耳を押し当てて神経を聴力に注いだ。
「そ、それでその方は何処に?」
「はい、今ドアの前で待って貰っています」
「えぇ!?それは悪いわ、直ぐに入って貰いましょう」
「赤城さん、その前に顔を洗って口元の涎を落としてください」
今だ!!タイミングは今しか無い!今入室すればごく自然な流れで赤城の口元の涎を舐めとる事が出来る筈だ!!!
「入るぞ!!」
「あ、提督さん!?」
大和は突然の事態に対応出来ず固まっている。
妹同様小回りが効かないらしい……。
「赤城さんでしたかな?折角なので貴女の顔は僕が洗って差し上げますよ?」
そう言いつつ一気に赤城との距離を詰め、渾身の舌力をもって舌を伸ばす!!!
それは俺の舌先が赤城の頬に触れる寸前の出来事だった。
「大人のレディーに対しての振る舞いじゃないわよー!!!」
暁のカウンター気味の飛び膝蹴りが俺の人中(鼻の下の急所)に吸い込まれるようにヒットする!!
俺はその場に膝から崩れ落ち、意識は遥か遠くにぶっ飛ばされた。
「男はレディーに対して紳士的な態度でなければならないって、司令官に教わらナカッタノ?」
「……」
「暁、貴女も一人前のレディーになるなら、いきなり飛び膝蹴りはやめましょうね?」
赤城が母性溢れる笑顔で暁の頭を撫でる。
しかし俺の意識は遥か彼方である。
「提督さん?てーとくさーん!!?」
大和の声が俺を現世へ繋ぎ止めてくれる。
「すまない、つい赤城さんの口元に夢中になってしまってな」
ドストレートにラリアットは超絶!!!
「素直な殿方は好きですよ?」
おお?赤城さんにはどうやら好印象を与えた様だ、死にかけた甲斐があるぜ!
「では是非一緒に夜戦などをしてみては?」
ここは押せ押せムードな筈だ!!大和と暁が白い目で俺を見るが関係無い!今!赤城は俺に夢中なのだ!!!
「私航空母艦なので夜戦はちょっとぉ……」
ぐぬぬぬっ!!
「でもそんなの関係ねぇー!そんなの関係ねぇー!!」
俺は勢いそのままに赤城の胸にダイブした!!
その刹那!その穏和な表情からは想像出来ないほどに素早く!そして凄まじいキレのある左ジャブが俺の顔面に数発ヒットして俺は尻餅をついた。
「ごめんなさい、艤装が勝手に動いた様で……」
俺にジャブを放ったのは赤城ではなく、赤城の袖の中からうねうねと出てきた、深海棲艦の艤装っぽい触手であった。
「い、いやこちらこそすまなかった……」
そう、今更ながら思い出したがここは深海棲艦っぽい艦娘の棲みか……言うなれば大阪で巨人ファンを公言するようなものだ。
いつも通りに無茶しても生き残れるとは考えない方が良いだろう、なんかいつもの艦娘と変わらない反応だったからつい調子にのってしまった。
命をかけた駆け引きの幕開けであった。
続くぅ!!!
お気に入りが増えたり減ったりと忙しいですな……