私の目前に迫る鬼……!!
このままではっっ!!
殺られるっ!!!
「…………っっ!!!」
ーー日本海軍元帥執務室ーー
内容は覚えていないが最悪の夢から覚めた様だ……。
「はっ!?また……か……?」
私は日本海軍元帥、戦艦長門……。
執務室の机に長時間突っ伏していたため、左頬が少々赤くなっている。
最近深海棲艦の活動が活発になってきたためか、ろくに休憩も取れない状況が影響しているのか、はたまた全く違う要因によるものか……。
「長門?気が付いたの?また、記憶無いのかしら?」
そう……秘書艦の陸奥が言った通り、最近私は頻繁に記憶を無くす……。
「それじゃあ、昨日のスケジュールから今日これからのスケジュールを説明するわね?」
「あぁ、いつもすまない……」
今のところこの秘密を知っているのは当事者の私と陸奥だけだ、しかし私はいつ記憶を失うのか解らない……この事が他の艦娘に知れるのも時間の問題やもしれぬ……。
「陸奥?そう言えば新しく提督に就任した男にはまだ会って無かったな?」
あの男はどう考えても提督の器では無いのだが、これまではのらりくらりやって来ている……本当に不思議な男だ。
「長門?あの人にならもう何度か会っているわ」
「そ、そうか?すまない……」
あの陸奥の態度から予想するにもう幾度と無く繰り返された問答なのだろう……。
「いいのよ、長門が悪いわけじゃないんだから……」
陸奥は私の頭を優しく撫でている。
普段は厳格な態度で全艦娘の模範と成るべく自分にも他人にも厳しくしている私だが、陸奥にはまるで敵う気がしない……。
そうだな、兎に角今は私に出来る事を全力でやるだけだ。
「あぁ、そうだな?何時までも落ち込んでいるわけにもいかない、いつのまには最終決戦まであと6日になってしまっているが、もう迷わない!!」
「その意気よ長門!!この鎮守府には、いえ!この世界には貴女と言うメシアが必要なのよ!!」
「あぁ!わかっているさ!私が導いて行かなければならない!小さな駆逐艦から歴戦の戦艦!更には戦いの要である正規空母までも……く、くう……」
な、なんだ?この感覚は?身体の内側から滲み出る恐怖感……そして私の脳から発令される限界警戒態勢!?ば、ばかな……い……意識が……こ、こんな所で……志半ばで沈むわけには……。
「はぁ……長門……可哀想な娘……」
「………………」
「…………」
「……」
「……また……か?」
内容は覚えていないが、何時もの悪夢と共に目覚めた。
私は日本海軍元帥、戦艦長門だ。
オワル
矛盾なんて無かった……