危険な提督と娘達   作:片栗虎

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ハラショー


灰にまみれた不死鳥

大規模殲滅作戦まで6日……、暁姉さんが鎮守府来てからは毎日の様に実践さながらの手徒訓練を行っている。

 

本当は本番に向けて砲撃や雷撃の訓練もやっておきたいけど、あまり大きな声では言えないがこの鎮守府の資源枯渇寸前なんだ……。

 

それにしても……。

 

「訓練中に考え事なんて!レディじゃないわね!」

 

暁姉さんの1秒間に12発と言われる連撃【飛燕】が流れるようなフォームから繰り出される。

 

あの男が突然連れてきた深海棲艦と化した姉……はじめは敵の罠だと思っていたけれど、こうして毎日生活を共にしてみると……。

 

「甘いわよ響っっ!!」

 

【飛燕】すらも私を欺く為のフェイントに過ぎない、あらゆるフェイントに隠された絶対の左肘打ち……。

 

肌の色と不気味な艤装以外は確かに完璧な暁姉さんだ、最近は嫌な事が続いていたから大戦前の暫しの癒しは嬉しい限りだ……。

 

これで……。

 

「隙ありよ!!」

 

左肘をギリギリの所でガードするが、これは次なる一撃への布石だった……肘を受けた瞬間に渾身のヘッドバットが私の鳩尾に向かって雷撃の如く一直線で向かってくる。

 

これで大潮が居たら……。

 

「避けるのは上手いけど、受けはまだまだよ!!」

 

鳩尾に強力な一撃を貰って私は呼吸困難に陥り、意識が遠退いていった。

 

大潮……私のせいで……出ていってしまった……。

 

 

 

 

ーー数年前ーー

 

私と大潮の出会いは私が艦隊に編成されて数ヵ月後の事だった。

 

当事私は艦隊の中でも一番下っぱで雑用がメインの仕事だった。

 

「駆逐艦大潮ですっっ!!小さな身体に大きな魚雷!」

 

ある日やって来た大潮の第一印象は……。

 

「可愛い……、わ、私は響っ!不死鳥の異名もあるんだ!」

 

まるで妹が出来たみたいにほっとけないし、私がこれまで見てきたどんな艦娘よりも愛らしく癒される……一目惚れって言っても過言では無かった。

 

大潮は私と二人三脚でお互いがお互いを信じ合い、妹分的存在から性別の枠を越えた愛で結ばれた運命共同体の

様な存在になっていた。

 

いや……そう思っていたのは私だけだった……。

 

ある日、私と大潮の関係を破壊する男が現れた……。

 

「お、おで……提督になるっっ!!!」

 

大潮はその男に一目惚れしたらしい、毎日の様に男との出来事を私に報告しに来ていた。

 

「大潮?あんな男の何処がそんなに良いんだい?」

 

「ん~、何て言うか……ほっとけない危うさがあって、守ってあげたくなっちゃう?」

「私に聞かれても……」

 

そう、大潮のあの男に対する気持ちは私が大潮に向けた気持ちと全く同じだったのだ。

 

ある日を境に大潮の行動がおかしくなっていった。

 

事あるごとに先代司令官を誘惑するような行動を取ったり、わざと中破して入渠せずに執務室に行ったり……。

 

そんなある日、事件は起こった……。

 

司令官が大潮を襲って逮捕されたというのだ、軍法会議はスムーズに進みあっという間に司令官はクビになって、事もあろうにあの男が司令官になってしまったのだ。

 

この良すぎる手際に裏で大潮が動いている事は容易に想像できた。

 

大潮の幸せの為の犠牲……私は黙認することにした。

 

しかし、司令官となったあの男はみるみる馬脚を表し、大潮の事をぞんざいに扱う様になり、その無能っぷりを晒していったのだ……。

 

そんなある日(13話)

 

私は我慢の限界を迎えた、大潮を呼び出してあの男を諦める様に説得したが、大潮は鎮守府を出ていってしまった。

 

その日から私は大潮の帰還を待ち続け、あの男を秘密裏に殺害できる機会を伺っている……。

 

「響ぃ~目を覚ましてぇ~!!!」

 

姉の泣き声が心地好いので私はもう少し眠ることにする。

 

 

 

KAN




ブルーベリー
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