大規模殲滅作戦まであと数日となり、にわかにお祭りムードで盛り上がりつつある鎮守府に、一人の艦娘が現れた。
「うむ、ここに来るのも随分久しぶりの様な気がするのう?……たのもーう!!!」
威勢良く鎮守府の門を叩いたのは、以前鎮守府の艦隊と実践演習を行った事がある、別次元の日本からやって来たと言う鎮守府の提督兼艦娘の重巡利根であった。
雇われ警備員の田中は利根が現れた時の事をこう語る。
「いや、こんな物騒な場所に娘御一人で現れたとおもったらよ!褌みてぇーな前掛け?つーのか?兎に角よ!生足がよ!眩しくてよ!風に靡く褌をよ!ジーっと眺めてたわけよ!そしたらよ!おらの方を見てよ!お辞儀したんだよ!そんな時でもよ!おらは褌と生足をジーっと見てたよわけよ……」
利根はこちらを向いて動かない警備員に軽く会釈をして鎮守府に入っていった。
「相変わらず変な鎮守府じゃのぅ……」
「お?」
利根の前に現れたのは以前来たときには見掛けなかった艦娘であった。
「あら?見掛けない人ですね?」
彼女は巨大な丼にはみ出んばかりに盛られている、もやしやら麺やらをすすりながら利根に近付いた。
「うむ!我が輩は利根である!ここの艦隊とは演習をした仲じゃ!」
「あら、そうなんですか?実は私、
申し訳なさそうに麺をすする赤城の姿を見た利根は、彼女の異常に青白い肌と
「お!おぬし!!深海棲艦……なのか?いや、しかし……うーむ……」
頭を抱えて何かと葛藤してしまう利根を見て、赤城は慌てて利根に近寄る。
その時、利根の嗅覚を刺激するニンニクと脂の香り……、利根の胃袋を鷲掴みにしたその香りは赤城の丼から漂っていた。
「あ、赤城!その……丼は……」
「え?これですか?」
赤城は手に持っている丼を利根に手渡した。
「え?良いのか?……」
遠慮している利根を余所に赤城は袖の中からもう一杯の丼を取り出した。
「加賀に教えて貰ったこのラーメン四朗のラーメンはのびても美味しいんです!!!」
歴戦の猛者を思わせる気迫で、ややのびてしまっている新しいラーメンを爆食いする赤城と隣で幸せを噛み締めながら麺をすする利根、二人の間に目には見えない友情の絆が生まれた瞬間であった。
それから数十分後、満足そうに
「うむ!赤城よ、わしはこんな美味いものを食べたのは初めてじゃ!礼を言うぞ!お前のような艦娘が深海棲艦の筈はないのう!!わしの気のせいであったわ!!」
「いえ、それはそうと利根さん?此所にはどんな用事で来たのですか?」
赤城の言葉に反応した利根は、はっ!と何かを思い出した様にてをポーンっと叩いた。
「そうじゃった!ちとここの提督に相談があってな、赤城は提督の居場所は知らんかの?」
赤城は笑顔で利根の手を引き、食堂を経由して提督執務室に向かうのであった。
二人で仲良く走り去る背中を、赤城加賀の専属シェフが生暖かい目で見詰めるのであった。
「いつもありがとうございます……」
アブラ一滴残らない丼が2つ……。
まだまだ続くよ?
次回からは通常通りFPSでお送りします。
ファーストパーソンSSの略です。