「先程の発言は撤回しなければならぬか、我が輩よりも火力がある艦娘がまだおったか?」
利根さんの言ったことは半分正しい、確かに九三式酸素魚雷は利根さん持つエレファントキラーマグナムよりも威力は数段上だ……しかし利根さんは重大な思い違いをしている……。
「そんじゃあ、まぁ始めますか~?」
開始の合図も待たずに北上さんは利根さんに向かって蛇行しながら距離を詰めて行く
「ほほぅ?怠け者の多い艦隊にしては良い動きをするのう?」
利根さんは牽制とばかりにエレファントキラーマグナムを撃ち込むが、北上さんの動きを僅かに捉えきれずにギリギリ避けられてしまう。
「甘いよぉ~!」
そして利根さんと北上さんの距離が互いの射程距離内に入った瞬間、北上さんは両足に装着されている魚雷発射管を利根さんに向ける。
「この距離で40発の魚雷を避けきれるものなら避けてみなよ?」
「くっ……!!」
完全に利根さんを捉えたと思われた魚雷であったが、その魚雷発射管から魚雷が発射される事は無かった……。
「えぇ~!そんなぁ~……」
北上さんはショックのあまり膝をついて座り込んでしまった。
「なんじゃ?これはどう言うことじゃ?」
利根さんも若干混乱している様子だ。
「ふふふ、利根さんよ?我が鎮守府に魚雷を備蓄するだけの資源があるとでも思っていたのかい?」
俺は全く自慢にならないことを自慢げに発表してやった。
「だからな!魚雷が無い代わりにハンディキャップマッチにさせて貰うぞ?」
因みに北上さんの兵装は14cm単装砲と7.7mm機銃である。
「北上さん!!元気だして下さい!!!私が!!大井が着いています!!」
利根さんの背後から得意のハイアングル・ドロップキックを放ちながら大井っちが参戦した!
「おわっ!!肉弾戦かの?」
利根さんはすんでのところしゃがんででキックを避ける
「わかったよ!大井っちぃ!!」
急かさず北上さんの主砲がしゃがんだ状態の利根さんに向けて放たれる!!
すぐに立ち上がる利根さんであったが艦娘の性質上、立ち止まった状態で正面から直線的な軌道で放たれる物を回避する事はほぼ不可能である。
「決まったかな?」
俺は利根さんのあられもない姿をまた拝む為に双眼鏡を握りしめる。
「ふっ、俺を……我が輩を普通の艦娘と同じだと考えん方が良いぞ?」
次の瞬間、不敵な笑みを浮かべた利根さんは右足に重心を置き、一気に蹴り上げた!
「な!なんですか!?あれはっっ!!」
大井っちが驚愕の表情で利根さんを指差す。
利根さんは砲弾に当たる直前で真横に跳ねてギリギリの所で避けていたのだ!!
まぁ、アニメで訳のわからない回避を披露していたコイツが何を言っているのか?とも思ったがそれはそれとして……。
「さっきの演習で武蔵のカウンターの砲撃を避けたのもこれか……」
長い間艦娘の戦闘を見てきた俺が初めて拝む光景だった。
確かに発想は単純ではあるが、艦娘の移動は脚に着いているエンジン的な何かを動力にして通常の船舶と同じ様に移動する仕組みであり、真横に移動すること……ましてや横っ飛びなど出来ないとは言わないが、そもそもその発想自体が存在していないのだ……。
「隙ありじゃ!!!」
呆気にとられた大井っちと北上さんは、利根さんのエレファントキラーマグナム二丁をそれぞれ同時に一発ずつ食らって大破してしまった。
「防御力は無いんだよねぇ~」
「あれくらいで驚いてしまうとはのう?まだまだ実践が足りんかの?まぁ……魚雷があったら結果は分からんかったがの?」
利根さんは余裕に謙遜しつつ顔はにやけていた。
別領域からの刃っっ!!
利根さんWINっっ!!!
続くしかないぜ!!
およそ2億……