「大井っち!!!」
意識を取り戻した俺の視界には見馴れた純白の天井が映っている。
ーー医務室ーー
俺は壁に掛かる時計に目をやる。
「意識を失ってから1日が経過してしまった……ついに明日か……」
大規模殲滅作戦……俺が回天に乗る日……。
「緊張してきたな……回天の操縦……練習しとこうかな?」
人間魚雷だなんてテリィゴディ位しか知らないし……。
……と言うか作戦の前日だと言うのに具体的な作戦内容が全く決まっていないぞ?
俺は偶然壁に掛かっていた海図を眺めて思考を巡らす……。
先ずは編成だな……やはり金剛型を先行させるのが良いか?
これ迄全く触れられることが無かったが我が艦隊は現在第1艦隊と第2艦隊が編成出来る状態だ。
個人的な趣味で第1艦隊しか編成していないが、控えの艦娘はだいたい50人位控えている。
大井っちも控えの一人だったが、北上さんが俺が居ない間の寂しさを埋めるために勝手に編成してしまったわけだ!!
ただし、先代提督の許可がなければ控えの艦娘を艦隊に加える事は出来ない仕組みになっているらしい……。
つまり現段階では金剛型はおろか、吹雪型やまるゆすらも俺の自由にはならない有り様だ……。
ふぅ、虚しいな……。
俺は虚しさを紛らわす為に一人で鎮守府近海の砂浜に向かって歩きだす。
思えば提督になってからの数ヵ月……果たして俺は艦娘の皆のために提督として、しっかりやってこれたのだろうか?
浜辺に着いた俺は目を閉じて今までの記憶を思い起こす。
俺が鎮守府にやって来たのは清掃員としてだった。
回りは可愛い女の子ばかりで緊張の毎日だった……。
「……一番始めに話した艦娘……」
女に免疫が無さすぎた俺は常に怯えながら仕事をしていたんだ。
そんなある日、事件が起きた……。
「貴方、死ぬ前に言い訳のひとつでもしてみる?」
激昂した加賀さんの足元にはお気に入りであろう艦載機の残骸が散らばっていた。
「……あ、あの……」
加賀さんはぶちギレているが実際は、掃除してる時に突然飛んできたこの艦載機が俺の持つはたきに特攻してきたのだったが、当時の俺はビビって何も言えなかった。
「どうやら何も言えないようね?武蔵さん?新しい清掃員の募集……しておいてくれる?」
「ん?なんだか解らんが提督に伝えておこう」
当時から武蔵は脳みそおっぱいだった。
「あ……あの……その」
「言い訳は聞かないわ、死んでちょうだい」
理不尽だった。
俺の命はそこで消えるはずだった。
しかし俺と加賀さんの間に割り込んだ艦娘がいた。
「ちょっとまったーーーー!!!!」
目の前にいる加賀さんを大声で制したのはとても小さな少女だった。
「……大潮さん?そこを退いて貰えますか?そこのゴミを処理しますので?」
今思うと提督になってからは加賀さんの態度も大分マシになったと思うぜ。
「私見てましたよ!!加賀さんが決まりを破って鎮守府内で艦載機を飛ばしてちょうど清掃員さんのはたきにぶつかってましたよ!!」
「……」
加賀さんは暫く大潮を睨み付けていが、軽く溜め息を吐いた。
「そう、悪かったわね?」
加賀さんはそれだけ言うとその場から立ち去った。
「……」
俺はと言うと情けなくも腰が抜けてしまって、その場に座り込んでしまっていた。
「清掃員さん!大丈夫ですか?」
大潮は少し屈んで俺の顔を覗いてきた。
「……あ、あの……ありがとう……ございます……」
俺はその時初めての艦娘の目を見て会話することが出来た。
その時の大潮の顔は眩しいくらいの笑顔だった……。
俺のセンチな思い出はまだ続くぜ!?
後半へー続くぅー