危険な提督と娘達   作:片栗虎

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100話で第1章完結予定。


最後の仕事 前編

ふーむ、この回天という魚雷……操縦しにくいな、あんま曲がれないんだが……。視界も悪いし狭いしトイレも無い……うんこしたくなったらどうするつもりだ?

 

そんな事を考えながら必死に回天を操縦し、第1艦隊に合流することが出来た。

 

「第2艦隊到着しましたぁ!!敵はどこですか!?」

 

大潮が元気に名乗りを上げる。

 

アゲアゲのテンションは疲れを吹き飛ばすが、マジで疲れてる奴にとっては騒音以外の何物でもないので気を付けような?

 

「……ふっ、提督に無様な姿を晒してしまったかな……」

 

「武蔵!お前が此処まで剥かれるとはな?」

 

正直な話、武蔵の大破は見慣れているので驚く程では無かった。

 

「……くっ……すまない、私が居ながら……大和がっ……」

 

長門元帥はボロボロの大和を抱き抱えていた。

 

「敵の艦載機の爆撃から私を守るため……その身を盾に……本当に……私はダメな元帥だ……」

 

今にも泣き出しそうな長門元帥の頬をそっと撫でたのは大和だった。

 

「長門さん、気にしないで下さい……戦闘力の無い私に出来ることなんて、これくらいですから……私は大丈夫です…………」

 

笑顔で強がる大和だが、そのまま意識を失ってしまった。

 

「くっ!赤城!加賀さん!すぐに大和を鎮守府に運んでやって来れ!」

 

「わかりました!!」

 

俺の大声に赤城がいち早く反応して大和を担ぐ。

 

「ここは私に任せて下さい……大和さんとは古い付き合いですし、私も戦闘力はありませんから……加賀、あとは頼みましたよ?」

 

「あ……いや、私も……」

 

赤城は加賀さんの話を聞く素振りも見せずに戦線から離脱した。

 

「よし!加賀さんは武蔵と長門元帥を主砲で守ってやってくれ!第2艦隊はすぐに戦闘のじゅんび…………」

 

俺が大潮のいる方に向き直すと、そこには最悪の光景が広がっていた……。

 

「アハハハハハハ!!神様ッテヤツハ本当二気紛レナンダネ?」

 

「し……司令官さん……」

 

大潮はレ級に後首を捕まれて、鋭利な刃を後頭部に向けてニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。

 

「動カナイ方ガイイヨ?今ノ私ハ加減ガデキル状態ジャナイカラサ?」

 

その場に居る誰もが凍り付いたように動くことが出来ないでいた。

 

「お……大潮……」

 

響の顔面が今までに無いくらい蒼白になっている、小さな体はプルプルと震えて怒りを押し殺している様にも見える。

 

「くっ!卑怯な!!貴様に艦娘としての誇りは無いのか!!深海棲艦と言えど艦娘っ!艦娘ならば堂々と我々と戦えッッ!!!」

 

長門元帥が血を吐きながら叫ぶ……。

 

「誇リ?ソンナモンガ何ノ役二立ツノ?」

 

……こいつは前にあった駆逐艦棲姫とは違うようだな?

 

「他ノ奴ラハ知ラナイケド……私ハ勝ツタメ……オマエラを皆殺シニスルタメダッタラ何デモスルサ!」

 

「うあぁ……!」

 

反論するレ級の手に力がこもったのか、大潮が呻き声を上げる。

 

これ以上刺激すると本当に大潮を殺しかねないぞ……。

 

「おい!レ級!私はこの艦隊の最高指揮官!提督だ!さしで話がしたい!もう少し近付いても良いか?」

 

「……話?今更何ヲ話スと言ウノ?」

 

一か八か、乗ってこい!レ級!!

 

「実は俺はお前に興味がある……俺と手を組まないか?」

 

少しずつレ級に近寄る。

 

「私二?噂以上ノド変態ダネ?」

 

「ははは、いや本当に君は可愛らしいと思うよ?うちの不細工な艦娘とは大違いだぞ?」

 

くっ、心が痛いぜ!背中に加賀さんの主砲が当たって身体も痛いぜ!

 

「腹がたちます……」

 

「実は俺はこの鎮守府でいつもハブられててな、寂しい毎日を送っていたんだ!これを機に俺を馬鹿にした奴等に思い知らせてやりたいと思ってな?」

 

俺は更に速度を落として警戒されないように近付く、皆の視線が矢のように刺さる。

 

「……アンタモ?皆二馬鹿ニサレテル……」

 

レ級の警戒が薄れていくのが目で見てとれた。

 

どうやらレ級も似たような境遇だったようだ。

 

だがな……。

 

今の俺には大潮がいる……大潮だけは最後まで俺を信じてくれる……。

 

「司令官……いや、гадость(汚物)と呼ばせてもらう!」

 

ロシア語が解らなくて良かったと思える日が来ようとはな……。

 

「汚物司令官!!」

 

わざわざ訳してくれる響の優しさ……。

 

「いやぁ〰此処までクズだったとはね?良かった~此処で死んでくれるんだよね?」

 

北上さんの演技なのか本気なのか解らない物言いがリアリティーに拍車をかける。

 

「ふぅ、最後の最後までこうだから……レ級、俺には鎮守府に格納してある艦娘が数十人いる、そいつらを取り入れれば最強深海艦隊の完成だ!!」

 

更に近付く……。

 

「っ!!其処マデダ!!」

 

その時レ級は何かに気付いて俺を制止する。

 

バレたのか!?

 

後半へ続く!

 

 

 




あと2つ!
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