危険な提督と娘達   作:片栗虎

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いよいよ夜まで暑くなって来ました。冷房ガンガンで電気代がかさむぜ……


最後の仕事 後編

「危ウク騙サレルトコロダッタヨ……」

 

レ級は大潮の顔を覗き込んでニヤリと笑う。

 

「コノ状況で人質ノ顔ニ疑イノ色ガ見エナイ……オ前ニ絶対的ナ信頼ヲ寄せテイル」

 

「当たり前です!!私は司令官の婚約者なんです!!!」

 

大潮は自慢げに鼻で笑う。

ふっ……最強の無敵艦隊と称賛され調子に乗ってやって来たは良いが結果は散々なもの、艦隊はほぼ全滅……。

 

そして婚約者を人質にとられる体たらくだ。

 

「提督……提督だけでも……прочь(逃げて)」

 

「響……」

 

響の消え去りそうな声を噛み締める。

 

最後のロシア語はなんて言っているかわからないが、恐らく好きでした的な意味なのだろう。

 

「すまない……俺には大潮がいるのだ……」

 

「……умереть」

 

わかってくれて何よりだ。

 

「提督あなたは最低の提督だったけれど、日本の……いや、人類最後の砦なのだから、むざむざと死なせるわけにはいかないわ」

 

流石は我が艦隊の精神的主柱加賀さんだ、今まであれだけのセクハラをしてきたと言うのに、いざって時は頼りになるぜ。

 

心の何処かで迷っていたが、今の言葉でようやく決心がついた。

 

この場の被害を最小限おさえる方法……。

 

「提督!私らは弾薬が底を尽きてる……どうするの?」

 

何処か余裕が見える口調の北上さんが現状の説明する。

 

いつもならその生意気なお口に自前のソーセージをくわえさせた後、大井っちにマジで殺される程の拷問を受けるところだが、そんな日常にはどうやら戻れそうもない……か。

 

「司令官!!何をするつもりだい!!」

 

響が焦った口調で叫んでいる、しかし今は緊急時だ響の問いには行動で答えるぜ!!

 

許せ……。

 

「この距離なら……」

 

俺は回天のアクセルを思い切り踏み込む。

 

「外さねぇ!!!!」

 

その場にいる艦娘達は驚きの表情で俺を見ている。

 

「うおぉおおぉぉおおっっっ!!!」

 

流れる血潮を熱くたぎらせ!迸るパッションが自然と雄叫びをあげさせる。

 

俺は目前に迫る恐怖と緊張を打ち払うかの様に、自らの意思とは関係無く反り勃った【マイサン】を力一杯握り締めていた。

 

「バッバカナッッ!!!特攻ダト!!ウグッ!!!」

 

レ級が何か言おうとしていたが回天がレ級に衝突した為に息を詰まらせる。

 

「コ……コノママジャ……コノ艦娘も一緒ニ……」

 

「……すまない……大潮……俺が不甲斐ないばかりに……」

 

「し……司令官さん……良いんですよ!謝らないで下さい!!私がうかつだったから……」

 

大潮の目からは大粒の涙が流れ落ちている。

 

「本当は……少しだけでも結婚生活を満喫したかったですね……アハハ……」

 

大潮は泣きながら笑顔を作る。

 

俺も釣られて泣きそうになるがぐっと堪える。

 

最後は俺のかっこいい所を見せねばならないからな……。

 

「生まれ変わっても……俺達はずっと一緒だ!大潮!!」

 

「はい!司令官さん!ずっと……一緒ですよ!!」

 

回天はレ級に押さえられたが、それでも勢いが衰えることなく押し込みながら海底に向かって突き進んでいく。

 

あとは何処かにぶつかれば爆発する……。

 

「くっ!こ、コッチハっ!!!」

 

レ級の表情に焦りの色が滲み出てくる。

 

「ゴボゴボゴボ.。o○」

 

大潮は目を閉じて流れに身を任せている様だ。

 

「何だあれは?」

 

思わず声を出す。

 

性能の低いこの回天の潜望鏡でもハッキリと見ることが出来る程、真っ赤に輝く巨大な宝石の様な物が俺達のすぐ目の前まで迫っていた。

 

宝石の回りにはガラスのシリンダーの様な物がいくつもそびえ立っていた。

 

その中には……。

 

「深海棲艦……だと?」

 

「ゴボゴボゴボ!!!!」

 

レ級が何やら物凄い形相で睨んでいる……。

 

アレが何なのかは解らないが……アレは此処で破壊しておいた方が良い……そんな予感が頭をよぎってしまった。

 

「これが俺の!!最後の仕事だぁ!!!!!」

 

赤く輝く宝石に突っ込んだ回天はその場で大爆発した…………。

 

 

続く……。

 

 

 




次回は後日談になります。
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