魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
「気のせいだったのか……?」
『こっちだ』
彼は森の中を何かの声に導かれる様に歩いていく。その声が誰の声なのかは分からないが何故か従ってしまう説得力を持った声に導かれるまま、彼は其処に導かれる。
「これは、カード?」
落ちているのは二枚のカード。それを拾い上げた瞬間、カードから浮かび上がる様に和風の鎧を来た武者装束の人間では無いロボットの様でありながら意思を感じさせる瞳の光を宿したモノと、龍と雷を意識させる騎士甲冑を纏った騎士の様なロボットの様でありながらも同じく意思を宿した瞳の光を宿したモノが現れる。
『オレは『武者號斗丸』』
『オレの名は『魔龍騎士ゼロガンダム』』
『君の事を待っていた。オレ達の声を聞くことが出来る相手を……』
『オレ達の力を手にする力が君にはある』
そんな声と共に消えていく武者號斗丸と魔龍騎士ゼロガンダムと名乗ったモノ達。そして、少年の持っていたカードに號斗丸とゼロガンダムの絵柄が浮かび上がっていく。
此処とは違う世界を救った二人の英雄との出会い、それが少年の運命を変える。全ての物語の始まりは其処から一年の時を経る事となる。
曰く、ゼロと號斗丸が言うには世界とは別の世界にて一つの物語になっているらしい。より高次元の世界に存在する者達に観測され、その世界は認識されて存在しているそうだ。
號斗丸とゼロの世界はそれぞれ『天宮の国』、『スダ・ドアカワールド』と言うらしい。
「……えっと、號斗丸……さん、なんかオレ達の世界の事、やけに詳しくない?」
『確かに』
『ああ、オレも似た世界で生活した事があるからな』
「『…………』」
そんな会話が交わされたのも良い思い出だ。號斗丸が言うには、剣と魔法のファンタジーな世界であるスダ・ドアカワールドの常識しか知らないゼロとは違い、號斗丸は現代社会の日本で生きてきた経験が有る(しかも、ラーメン屋に就職経験有り)らしい。
二人が言うには彼らの世界で彼等や彼等の仲間達が戦って来た闇の化身達が、高次元世界にある、この世界を嫌う者達の悪意を元にこの世界に再生しようとしているらしい。
それと戦う為に彼らはそれぞれの世界に存在する力を持った存在、『騎士ユニコーン』や『スペリオルドラゴン』、『
『『君だ、『
「君だ、って言われても困るんだけどね」
流石に普通の小学生にそんな事を言われても困るのだが、物語は此処から始まっていく事となる。なお號斗丸とゼロ以外にも彼の仲間たちの多くが、號斗丸が経験した時とは違い、カードと言う形に封印されて世界中に飛び散ってしまったらしい。
偶然にも近くに居たゼロと號斗丸だけが、こうして無事合流できて、力を扱う適合者である司に助けられたと言う訳だ。
一年後……
司が號斗丸とゼロと出会ってから一年の時が流れたがその間、特に大きな事件(当人達の感覚で)も起こる事無く一年の時が過ぎていた。
一応何枚かのカードとなった號斗丸やゼロの仲間達も回収できたのだが、彼等は未だに眠り続けている。運よく一枚だけ目覚めたカードも居たのだが……それに付いては別の機会に語るとしよう。
『……何で何も起こらないんだ?』
『いや、ゼロ、それは流石に拙いと思う。だけど油断しない方が良い、以前はオレ達が負抜けた頃を見計らった様に堕悪闇軍団は天馬の国に現れたからな』
「なんか、説得力が有るな」
『ああ』
號斗丸の言葉に思わず頷く司とゼロ。経験者は語る、と言う事だろう。
「だけど、何事も無く……って言うのは間違いが有るけどな~。クラスメイトの月村さんとバニングスさんだっけ……その二人が誘拐されたり」
『幼い子供を誘拐するなんて、許せる事じゃないな』
『ああ、あれは今でも手緩かったと思っている。……やっぱり、無(ゼロ)に返してやれば良かったか』
訂正、半年ほど前に事件は起きていた様子だった。半年ほど前の出来事なのにまだご立腹の號斗丸とゼロの二人でした。
正義感の強い武者と騎士出身の二人としてはとても許せる物ではないのだろう。二人の力で徹底的に叩きのめしたと思ったのだが、本人達にしてみればまだ怒り心頭と言う所だろう。
「……主に高町さんと関わらないように逃げたり、逃げたり……」
『いや、何で必死に逃げてるんだ? あの子が何かしたのか?』
「いや、本人は悪い子じゃないけど……主にお兄さんとは……ねぇ」
『『…………』』
顔色が悪くなって視線を逸らす司の様子に何が有ったのかと言う疑問も沸くが、真っ青になっている余り追求する事は止めた。
「司君」
「ひっ!」
後ろから聞こえてきた声に『ギギギ……』と言う壊れた玩具の様な動作で振り返ると、真っ青になった上に冷や汗まで流し始める。後ろには話題に上がっていた『高町なのは』の姿が有った。
「あのね、良かったら一緒に……」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
それを見た瞬間、鞄を手に取ると幽霊か妖怪でも見た様な悲鳴を上げながら必死で逃げ出していく。
ある意味入学当初……本人としては本気で嫌だったなのはとの再会を経てから何度も繰り返された光景に慣れたのだろう、誰も気に留めなかった。
『……號斗丸、気付いているか?』
『ああ』
「な、なにぃ!? まさか、追いかけて来てるとか?」
『いや、それはない。彼女だが……どうも、この世界の中心人物の様だ』
「っ!?」
思わず声にならない悲鳴を上げる司。
『つまり、これから先この世界を守るためには、彼女に関わるしか……』
「……もうやだ、こんな世界滅んでしまえ……」
『え、ちょっと待て!? 其処まで関わるのが嫌か!?』
「決まってるでしょうが、もう二度と高町とは逢いたくなかった!!!」
すっかりなのはと言う少女が―主に兄が原因で―トラウマになってる。そんな訳で現在進行形で司はなのはに対して恐怖に近い感覚を抱くようになっていた。
付け加えるなら、なのはがこの世界に現れる闇の勢力に狙われるのは間違いないのだが、当の司がこの調子ではその状況に間に合う訳が無い。現状をどうするべきかと悩む號斗丸とゼロの二人だった。
『誰か……。僕に力を……貸してください。魔法の力を……』
「っ!?」
その日の夜、司は目を覚ますと何かを警戒するように周囲を見回す。
『司、君にも聞こえたのか?』
『この世界に何か異変が起きる……そんな前兆みたいなモノを感じた』
「い、いや……オレが感じたのは……」
『『?』』
「あの声に関わったら……これから先、高町に必要以上に関わるって言う世にも恐ろしい予感なんだけど……」
『『……あー……』』
納得しつつも頭を抱えたくなる二人だった。
色んな意味で司には負担をかけるが、一応あの声に着いて調べるべきか、とも思っていたが当の司がこんな調子では問題が大き過ぎる。
少なくとも、司の体を借りてゼロや號斗丸の意思で自身の力を使う事は出来るが、この世界ではどうしても司の意思によって彼等の力は振るわれなければ、完全な力を出す事が出来ない。
何か有った場合、特に二人が全力を出さなければならない時には、どうしても其処には司の意思が必要になる可能性も有るのだが……。何より、本当の意味で全力を発揮して戦うには司の意思で二人の力を使って貰う必要が有る。本来の半分程度の威力とは言え、各々の基本的な必殺技・奥義が使えるのだけは幸いだが。
『(こんな調子じゃ無理そうだな……)』
どう説得するべきかと悩むゼロ。
『やっぱり、原因を何とかするべきじゃ無いのか? この世界を守る為には彼女に接触する必要が有るわけだし、何よりこんな状況じゃ、彼女も、司も可哀想だ』
『そうだな』
恐ろしい未来を想像してガタガタと震えている司を一瞥するとゼロと號斗丸はそんな会話を交わす。
さて、なのはを必死に避ける司が彼女の遭遇した異変に遭遇する事も無く、なのはが一匹のフェレットを拾った事も知らずに居た。
その日の夜、高町なのはは走っていた。己の頭の中に響く声に従って、その声の響く方向に向かって駆けていた。
「いぃぃぃぃぃぃぃぃやぁだぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
「お、落ち着いてくれ、今はオレの姿だから心配ない! 気付かれる事は無いから!」
さて、號斗丸の姿で號斗丸の意識を主体として彼女が知覚出来ない位置で、司達はなのはの様子を伺っていた。
何か有った場合、司のなのは恐怖症を考えるとこの状況では彼を表に出して戦う訳には行かず、どうしても大きく制限の掛けられた號斗丸とゼロだけで戦うしかない。そんな現状に不安を抱かずには居られないが、それでも。
((やるしかないか))
《お願いします、僕の声が聞こえる貴方、僕に力を貸して……》
「またあの声が聞こえるぅぅぅぅぅぅぅぅう!!!」
なのはだけではなく司にもなのはを導いている声が聞こえているのだが、直感が正しい事を考えると、切羽詰っているらしい余裕の無い声も、今の司の耳には悪魔が嘲笑っているようにしか聞こえないから不思議だ。
『おちつけ、司。それはお前や彼女にだけ聞こえている訳じゃない、向こうも必死になって無差別に送っているだけだろう』
「ああ、オレ達が付いているから安心してくれ」
安心したのかは不明だが司の意識が消えたのを號斗丸は覚える。……ただ単にトラウマから気絶しただけかもしれないが……。
『いや、気絶してる……』
「……すまないゼロ、起こして貰えるか……」
『分かっている』
訂正、本当に気絶したようだ。精神の傷はそう簡単に言えるものではないのは分かっている。申し訳ない気持ちでいっぱいだが、司には彼の意思で戦う事に熟れて貰わなければならない。
何もせずに様子を診ているのは、今回の事件を見届けつつ二人は司が戦う事への熟練度を上げる為に丁度いいかどうか計るために様子を見ていると言う意味もある。司には悪いが最悪の場合は助けに入るつもりだ。
半分程度の力しか出せないとは言え、號斗丸もゼロも各々が一度は天宮の国とスダ・ドアカワールドを救った英雄、歴戦の武者と騎士、並の相手に負けるほど弱くは無い。だからこそ、司の力を借りなければならない現状に憤りを覚えても居る。
「あれは!?」
「何だ……あの化け物」
動物病院の堀や塀を破壊し、黒いモノが一匹のフェレットを襲っていた。危うくフェレットが潰されそうになった所をなのはが上手く救い出し電柱の陰へと隠れる。
「……あまり言いたくないが、君には才能が有る……」
『……そうだな』
複雑な心境を感じされる声音で響く號斗丸とゼロの声。なのはと言う少女が原因で生まれたトラウマも、戦場と言う危険な空気を切欠に見事に押さえ込んでいる。それでも、少しでも気を抜けば恐慌状態に陥ってしまいそうなレベルだが。
「君は……助けに来てくれたの?」
「フェレットが喋った!?」
「僕の声が聞こえたなら、君には才能が有る。お願いします、僕に力を貸してください!」
「っ!? 拙い!」
フェレットを襲っていた黒いモノが襲いかかろうとした瞬間、思わず司が叫ぶ。その叫びに従うように、號斗丸の意思で足場を蹴って跳躍すると背中のバックパックに収納された鞘に納められた一対の刀を抜き放つ。
「破ァ!!!」
號斗丸が二本の刀を互いに一閃、それによってなのは達へと迫っていた黒いモノを切り裂く。
「え?」
「だ……誰?」
「オレの名は、武者號斗丸!」
二本一対の愛刀を構えながら呆然と呟くなのは達へと號斗丸は高らかに己の名を宣言する。
今回登場のSDガンダム
・武者號斗丸<ムシャゴッドマル>
モチーフ:ゴッドガンダム
出展:新SD戦国伝 超機動大将軍編
超機動大将軍編の主人公で、本作でも魔龍騎士ゼロガンダムと並んで武者ガンダム側のメインとなる武者。
必殺技は『熱火爆輪斬』、『鳳炎水凰斬』、『爆熱拳』。
続編の『武神輝羅鋼』や『新SD戦国伝 機動武者大戦』、『SD頑駄無 武者○伝』にも出演している。武者○伝ではラーメン屋に就職経験有り。紅零斗丸と共に旧作の武者の中でパワーアップを果たした。
なお、超機動大将軍は元々彼の能力による召喚ではない為に彼の意思では召喚できない。
・魔竜剣士ゼロガンダム
モチーフ:シャッコー
出展:新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語
本作では魔龍騎士ゼロガンダムと名乗っているが姿は初期の魔龍剣士ゼロガンダムの為此方を紹介。本作品における騎士ガンダム側のメインとなる。何気にガンダムモチーフではない主人公のガンダム(主役機であるVガンダムは仲間キャラでV2ガンダムはラスボス)。決め台詞は『
設定上搭乗機である『龍機ドラグーン』と行った機体を彼の意思で召喚する事も出来るが、司自身の成長が必要なために今の所召喚できない。