魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
「……時空管理局か……」
先日フェイトに連れられて彼女の家である時の庭園と言う場所に案内された後、プレシアから頼まれた事を思い出してそう呟く。
『確かに彼女の誕生その物が違法な物であるなら、その組織に知られるのは危険だろうな』
『それに……その違法研究に上層部も関わっているとなると、尚更だな』
プレシアが言うには、当初はそれほど気にしていない事だったが、フェイトが誕生する切欠となったプロジェクトFと言う計画には彼女なりに調べた結果、どうも『時空管理局』と言う組織の上層部が関わっているらしい事が分かったらしい。
飽く迄も様々な可能性の上での事なので確実な事は言えないが、そう言う危険が有る為にフェイトの存在を管理局に知られる訳には行かない。その為に通報が有った筈のジュエルシード回収を急いでいたらしい。
『“正義”とは“正しき心”と“義なる者”。キングガンダムⅡ世の率いる『円卓の騎士』の一人が幼い頃の彼に語った言葉だ』
「正しい心と義なる者」
ゼロの言葉にそう返す。正確に言うと『鎧騎士F90』と言う騎士の言葉である。
そして、そのどちらかが欠ければ例え正義であっても敗北すると言っていた。現に『ザビロニア帝国』に敗れた頃の『ブリティス王国』の『キングガンダムⅠ世』の代の円卓の騎士達は何人かが国を離れていた為に全員が揃っていなかった。いわば、義なる者達が欠けていたと言う事だろう。
『最高評議会と言うのが何年も代替わりしていないのは納得できる理由は有るが、恐らく長い時が組織全体の心を曇らせて行ったんだろうな』
そう號斗丸が口を開く。號斗丸は恐らく『最高評議会』と言うのは天宮の国を治める『大将軍』の様な称号であると推測していた。まあ、天宮の国では『武者 紅零斗丸』の時代では既に新生大将軍の血筋は途絶えてしまったが。……最初に紅零斗丸からその事を聞いた時には、甥である『武威凰大将軍』の後に自分の一族に何が有ったのか、心底疑問に思った號斗丸だった。
父である『新生大将軍』から兄である『飛駆鳥大将軍』に代わっても『大将軍』の名だけは受け継がれた様に。立場と名を受け継いだ上で長年正体を隠して組織を維持してきたのだろうと推測した。
『オレ達の世界にはスペリオルドラゴンや
だからこそ、どれほど時が流れても、力を持っても、ガンダム達の組織は自分達を見守り守ってくれている神の存在を知っているからこそ、正しき心を曇らせる事はなかった。
だが、科学やそれによって制御される、魔法と言う本来ならば神秘の力に分類されるべき力を科学と言う方面で制御してしまったせいで神秘に対する畏怖が薄れたのが原因なのか、神と言う存在を見失った……と言うよりも何時しか自分達こそが神と思う様になったのだろう。
何時しか歪んだ心は正しい心に感染して歪ませる。それは本人も気付かない内に……。
『だが、オレ達が知っているのは一面だけだ。全てだと判断するのは早いだろう』
『どっちにしても、実際に会ってみてこの目で見るまでは、判断は下さない方が良いだろうな』
「そうだね」
やはり結論は其処に行き着く。今は時空管理局についてはプレシアを通じて話を聞いただけに過ぎないのだから、結論を出すのは早い。……少なくとも、フェイトの事については黙秘または嘘を話すしかないが。プレシアが管理世界と言う世界に分類されている世界の出身である以上、フェイトが実の娘で無い事は直ぐに分かるであろうし。
そんな訳で実際に管理局が違法研究に関わっていても居なくても、彼女の生れ故にそれを知られる事は危険なのだ。
そんな中、はやての家に遊びに行った時に法術師ニューに彼女の呪いに着いての調査を行ったり、騎士ユニコーンのお蔭で以前よりも楽になったが相変らずのなのはへのトラウマからなのは達から逃げ回りながら(妙にアリサが司を捕まえる事に意地になっていたりする)僅かに
法術師ニューによる調査で原因の本は突き止めたのだが、下手にそれを直接調べようとすると危険であると言う事が解った。
魔法のエキスパートである法術師ニューが言うにはその本ははやてを持ち主であると認識していて、初めは持ち主に災いを与える
『直接の調査は控えた方が良さそうだ。これ以上下手に踏み込めば、彼女にどんな影響が出るか解らない』
と法術師ニューが言っている以上は従うしかないだろう。後は別のルートであの本に着いて調べられれば良いのだが、残念ながら目覚めていない物も含めてそんな能力を持ったガンダムは居ない。
『何人か人手が増えれば知恵を出し合えるかもしれないが……』
残念ながら魔法についての理解が有るガンダムは現状では法術師ニューだけだ。剣士ゼータや闘士ダブルゼータは魔法についての知識は薄く、ゼロは魔法の専門家では無く、號斗丸は『術』は兎も角『魔法』については一切知識に無い。
『『鷲主』なら少しは頼りになるかもしれないな』
と言うのは號斗丸の言葉だ。
『武者
現状では頼れるのがニューだけではやはり限界もあるのだろう。それくらいはやての呪いは強力で危険な物を根源にしている様子だ。
ジュエルシードの回収も含め、どちらも進展は無く時間だけが過ぎていく中、
『『っ!?』』
ゼロとニューがジュエルシードの魔力を感知する。
『司、ジュエルシードだ。それに……』
『ジオン三魔団も向かっている筈だ。急いだ方が良い』
ニュー達が気になっていたのはそれだ。前回のザクロード/ザクトパスとの一戦は瞬殺と言って良い物だったが、ジオン三魔団の参加が無かったのが気になっていた。
元々ザクロード/ザクトパスと戦ったあの時のアルガス騎士団の召喚もジオン三魔団に対応するためだったのだ。
「そうだね。向こうよりも早く着かないと……。コール! 武者変化!」
司は號斗丸へと変身し同時にニューのカードを実体化させる。何処で覚えたのか、認識阻害の魔法を自分と號斗丸の周囲に展開させつつ周囲の目を誤魔化し、飛行魔法で空を飛びながら號斗丸を目的地へと先導する。
「貫け轟雷! サンダー……」
「ディバィィィィィィィン……」
丁度號斗丸とニューがその場に着いた頃にはジュエルシードの思念体らしき巨樹の怪物との一戦は佳境に入っていた。フェイトとなのはの金と桜色の二つの砲撃が、
「……スマッシャー!」
「……バスター!」
巨樹を吹飛ばしジュエルハードを出現させ、
「リリカル・マジカル!」
「ジュエルシード、シリアルⅦ!」
「「封印!」」
二人がジュエルシードを封印した。
「どうやら、心配は無かった様だな」
「これでも、急いで来たんだが……」
封印が終ったのを確認して號斗丸とニューが話しかける。
「司とニューさん」
「司君とあの時の」
「ああ。早くそれを回収した方が良い……奴等の事だ、このタイミングを逃す筈も……無い! “ファン”!」
そう言ってニューの持つ梟の杖から放たれた雷が何も無い空間を貫くと、騎士バウ、闘士ドライセン、呪術師キュベレイのジオン三魔団が姿を現す。
「あいつらは!?」
「チッ! 気付かれていたか」
「ああ、お前達の事だから、よく分かっているつもりだ」
忌々しげに呟くバウの言葉にニューはそう返す。
「君達は下がっているんだ。コール!」
なのは達にそう言ってアルガス騎士団の残る二人、ゼータとダブルゼータを召喚し、號斗丸を含めた四人のパーティーを組む。
「ふん! 今度こそ、始末してやろう……ガンダム共!」
「以前の屈辱も一緒にね」
残虐な笑みを浮かべるジオン三魔団に対して各々の武器を構えながら無言で対応するアルガス騎士団と號斗丸。僅かな切欠が有れば今すぐにでも戦いが始まりそうな張り詰めた空気の中、
「ストップだ!ここでの戦闘は危険すぎる」
其処に司達よりも僅かに年上くらいの少年の姿が現れる。
「時空管理局執務官『クロノ・ハラオウン』だ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」
「っち! フェイト、引く「「「邪魔だぁ!!!」」」よっ! って、ええ!?」
クロノと名乗った少年の登場に慌てて引こうとしたアルフの言葉を遮ってジオン三魔団が突然攻撃を仕掛ける。
「くっ! お前達、何をする! 公務執行妨害だぞ!」
「ふん! 貴様の命令に何でオレ達が従う必要が有る」
クロノの言葉を華で笑い飛ばしながらドライセンが告げる。
「それに、お前達の法に従う理由が私達に有る訳ないでしょう」
キュベレイは嘲笑交じりの言葉でクロノをバカにする様に言う。
「我等が従うのは闇の化身の
槍を着き避けながらバウはそう宣言する。
「くっ! お前達……武装を解除して投降しろ! 此方の要求に応えない場合、力づくで拘束する」
クロノの言葉に動きを止めるジオン三魔団。一瞬、要求を受け入れたのかと思ったクロノだが、ジオン三魔団は、
「くくくく……」
「ふふふふ……」
「はははは……」
心底可笑しそうに笑い始める。
「何が可笑しい!?」
そんなジオン三魔団の態度に苛立ちを覚えるクロノだが、当のジオン三魔団は、
「何が可笑しいだと? 決まっているだろう」
「お前程度の力で、しかも一人でオレ達に勝てると思ってる事がだ」
「『騎士ガンダム』や『騎士アレックス』なら兎も角……奴らに及ばない人間に言われても……ねえ?」
寧ろ面白い見世物を見ている様な態度でクロノを一瞥していた。
この時点で突然の乱入者であるクロノはなのは達やフェイト達とは違い號斗丸達の仲間では無いと判断、ガンダム達も直ぐに協力できる相手とは思えない事、そして……自分達との力の差を判断した上で、完全に見下した態度を取っている。
「ほら、どうした……先手は譲ってやるぞ」
「お前達……敵対行為とみなし、これより強制的に拘束する!」
騎士バウの言葉と態度に覚える怒りを必死に抑えながら、その言葉と同時に
相手の自信からが何らかの強化魔法で強化されているとしても、確実に拘束できると言う判断の元での行動だが。
「ふん、このオレの力を……舐めるな!!!」
闘士ドライセンは何の苦も無く力任せにそれを引き千切る。
「あら、中々面白い魔法ね。これなら簡単に真似出来そうだし、効果も便利そうね。でも、こうすれば……」
呪術師キュベレイは楽しげにバインドを霧散させる。僅かな時間でクロノの魔法を解析・無力化した訳だ。
「ふん!」
騎士バウは軽く槍を振るうと己を拘束していたバインドを簡単に弾く。実際には騎士バウの技はクロノのバインドの拘束よりも早く、槍を使い己に触れさせても居なかっただけだが……。
「さあ、もう少し見せてもらいましょうか。実力は兎も角、使う魔法には興味有るのよね。『ファンネル』!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
呪術師キュベレイの黒い梟の杖から放たれた電撃がクロノを襲う。
「フェイト、今の内に引くよ!」
「え、でも……」
ジオン三魔団に嬲り殺しに近い状況に曝されているクロノを見つつ、アルフの言葉に思わず迷ってしまう。流石にそんな状況を放っておいて逃げられるほどフェイトは非常な性格はしていなかった。
「いや、早く逃げた方が良い。君の持っているジュエルシードまで奪われるのは避けた方が良い」
號斗丸はフェイトへとそう告げる。流石にジオン三魔団にジュエルシードが渡ってパワーアップされる危険だけは全力で避けたい。アルガス騎士団の協力も得ているが、なるべくならば敵に未知のパワーアップをされると言うのは避けた方が良いだろう。
向こうが幾つジュエルシードを持っているか分からないが、フェイト達やなのは達の所持している分まで奪われたらどうなるかは想像したくない。最悪の場合、その場で闇の化身の復活と言う可能性まで考えるべきだろう。
「う、うん」
「行くよ、フェイト! あんたも気を着けるんだよ!」
號斗丸はそう言ってその場を離脱していくフェイトとアルフを見送る。
「ま、待って下さい! 彼女はジュエルシードを持ってるんですよ、それなのに……」
「いや、あいつ等に取られるよりも良いだろう」
號斗丸の行動に抗議してくるフェレット……ユーノに対してクロノを甚振っているジオン三魔団を指差しながらそう呟く。
流石に乱戦となっている戦いの中に迂闊に飛び込んではアルガス騎士団の攻撃も、下手をすればクロノに当たってしまう為に援護に入れない。ある程度距離を取ってくれれば介入もし易いのだが……。
「あ、え、えーと……それもそうですけど……」
「で、でも、あのままじゃあの子が危ないの! 助けてあげないと……」
「だが、下手に乱入したら返って危険だ」
號斗丸の言葉に妙な納得を覚えてしまうユーノと、そんなクロノの姿を見て慌てているなのは。流石に何とかして助けるべきだと號斗丸も思っている以上、フェイト達やなのは達と会話しながらも様子を伺っていたのだが、
「このままじゃ、彼が危ない! 號斗丸、これ以上見ているわけには行かないぞ!」
「ああ! あいつ等、好き放題やりやがって!」
剣と獅子の斧を握り締めながら後ろに居る號斗丸達へとそう言葉を掛ける剣士ゼータと闘士ダブルゼータ。
「当然だ。ニュー殿」
「ああ」
「君はオレ達がジオン三魔団と戦っている間にジュエルシードの回収と彼の救出を頼む」
「分かったけど……司君、君じゃなくてなのはだよ!」
そんな號斗丸の言葉に同意しつつも不服と言う意思を込めてそう言うなのは。性格には現在表に出ているのは司の意思では無く、號斗丸の意思なのだが。
「オラァァァァァァァ!!!」
「ふっ!」
「ガハッ!」
闘士ドライセンの獅子の斧を受け止めたデバイスには罅が入り、機能停止する寸前まで追い込まれ、同時に騎士バウの槍による一閃がクロノの体を切り裂く。それと同時に二人のMSはクロノから離れる。
「これで終わりにしてあげるわ。“ギガファン”!!!」
呪術師キュベレイの放った雷撃がクロノへと襲い掛かる。だが、
「“アイフィールド”!」
クロノと雷撃の間に飛び込んだ法術師ニューが出現させた魔法陣で呪術師キュベレイの雷撃を受け止める。
「あら、随分と遅い登場ね」
「態々オレ達が踏み込めないように戦っていたくせに、よく言うな」
キュベレイの言葉にニューは睨みつけながら答える。同時に崩れ落ちそうなクロノの体をダブルゼータが受け止め、封印されたジュエルシードをゼータが回収、クロノとジュエルシードを後から来たなのはへと渡すと、それぞれバウとドライセンと対峙する。
「さあ、今度はオレ達が相手だ!」
號斗丸の宣言にジオン三魔団は各々の黒い三武具を掲げる。
「そうね……今度こそ、確実に始末してあげるわ」
「復活したと共にあの方に授かった」
「この新たな力でな」
それぞれの武具から伸びる漆黒の闇がジオン三魔団の体を包み込んでいく。
「なんだと!?」
「これは……」
騎士バウは禍々しい形に変貌した漆黒の龍の盾を持ち、全身に現れるドラゴンを思わせる鱗が全身に生え鉤爪の様になった両足にドラゴンの様になった頭部、背中には龍の尾と翼を持った姿へと、
『モンスター騎士ワイバーンバウ』
闘士ドライセンはより肥大化した腕に巨大な戦斧となった漆黒の獅子の斧を構える巨人へと変貌する。
『モンスター闘士タイタンドライセン』
呪術師キュベレイはかつての戦いの中でアルガス騎士団へと見せた本来の姿である『モンスター・メデューサキュベレイ』に似た姿だが、背中には巨大な翼を持って漆黒の梟の杖を持った新たな姿へと変貌した。
『モンスター呪術師ゴルゴーンキュベレイ』
三武具の力で騎士、闘士、呪術師の力に与えられたモンスターの力を上乗せしたより強力な姿へと化したのだった。
ってな訳で今回登場のオリジナルMSの紹介は次回です。