魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
「グォォォォォォォォォォォォォオオ!!!」
『「来い!」』
咆哮を上げて襲い掛かるカイザータイタニアに、龍機ドラグーンを駆るゼロは白金のハルバードを構え応戦する。
ドラグーンの振り下ろした白金のハルバードを、龍の首が展開し龍の盾を思わせる形に変化して受け止める。
「くっ、やはりあの三つの首は……」
『アルガス騎士団の武器と同じ機能を持っているって訳だね』
本来の使い手では無いと言うのに上位のスペックを持った機兵の装甲を容易く切り裂くほどの力を持った白金のハルバードを受け止めている時点で、三つの首はジオン三魔団の意思だけでなく三武具の能力さえも取り込んでいる事は簡単に想像出来る。
ゼロと司がそんな事を考えていると追撃とばかりに振り上げられた獅子の頭の鬣が広がり、巨大な斧へと変わるとドラグーンへと振り下ろされる。
「くっ!?」
とっさに白金のハルバードでそれを受け流しながら後退するが、突然ドラグーンの動きが停止する。
「これは!? ぐわぁ!!!」
光の鎖に捉えられて身動きが取れないドラグーンにカイザータイタニアの突進が直撃する。
「これは、バインドとか言う魔法か」
カイザータイタニアの梟の頭が光を放っている事から、恐らくバインドの魔法を使ったのは間違いないだろう。しかも、
「っ!?」
梟の頭の前に展開する魔法陣から白い光の奔流が放たれたのを見て、とっさにゼロはドラグーンを回避させる。
『あれって、高町さんの使ってた魔法?』
「こんな短期間で新しい魔法を会得するか」
梟の頭から撃ち出されたのは、なのはの使っていた
自分の魔法をこうも簡単にコピーされたなのはやクロノにしてみれば、泣きたくなるだろうが。
同時に梟の頭は三つの魔法陣を出現させ、二つの魔法陣からガトリング砲の如くドラグーンへとブレイズキャノンの連弾を放ち、中央の魔法陣で狙いを定めている。
「そんな物!」
ゼロは白金のハルバードを回転させる事で盾にし、ガトリング砲の如く放たれる魔力弾を防ぐ。
「なんで……ぼくの魔法をあんな怪物が簡単に……。それも、ぼく以上に」
「「えっと……」」
orzな体制で項垂れているクロノを見て反応に困っているなのは達だった。
無理も無いだろう。自分の魔法をあんなモンスターが簡単に、それも自分以上に操っているのだから、間違いなく『才能はモンスター以下』とプライドがズタズタにされているだろう。
実際にはクロノやなのはの使うミッドチルダ式の魔法を使っているのは、カイザータイタニアと融合しているゴルゴーンキュベレイなのだが、そんな事は今まで気絶していたクロノには知る由も無い。
「でも、どうしよう」
「……間違いなくぼく達には手出しできないよね……」
白金のハルバードを回転させながら、それを盾としてガトリング砲の如く放たれるブレイズキャノンを防ぐと同時にカイザータイタニアスへと接近するドラグーン。
『こっちには飛び道具とかって……』
「無いな」
要望にも近い司の言葉を完結に切り捨てるゼロ。龍機ドラグーンの武装は本来の姿である『
どっちにしても近接戦闘用の武装しかないドラグーンでは、遠距離からの攻撃に徹していられては不利としか言いようが無いだろう。
まあ、スダ・ドアカワールドの機兵の武装では遠距離攻撃や飛行能力を持った機兵は比較的珍しい部類に入るだろう。ドラグーンも珍しい例の後者に位置しているが。
……なお、騎士GP01の『真聖機兵ガンレックス』や『
『だけど、どうする?』
「このまま近づくだけだ」
少なくとも、遠距離攻撃の手段の無いドラグーンでは有る程度近づいた方が優位に戦える。少なくとも、現状はカイザータイタニアの有利な位置だ。そう判断し、回転させた白金のハルバードを盾に一気にカイザータイタニアとの距離を詰める。
『ふふ、これでどう!?』
呪術師キュベレイの声が響くと左右の魔法陣からガトリング砲の様に乱射を続けていた魔力弾が止み、中央の魔法陣から砲撃魔法を放つ。
『甘いよ!』
白金のハルバードを振り下ろし放たれた魔砲を切り裂く。
「「「嘘ぉ……」」」
流石に砲撃魔法を切り裂くと言うその光景にはクロノだけでなく、少しはガンダム達と言う特殊な事に熟れているなのはとユーノさえ唖然としてしまう。
「これで!」
砲撃魔法を切り裂きながらドラグーンはカイザータイタニアへと接近し、白金のハルバードを振るいカイザータイタニアの体を切り裂く。
『グォォォオオン!!!』
『おい、しっかり防げ!』
『お前こそ、近づかれる前に……』
『お前達、もっと協力……』
『貴様こそ、何をやっている!?』
『そうだ、簡単に切り裂かれやがって! この役立たずが!』
『何ですってぇ!!!』
先程の反応が遅れたのが原因か、騎士バウと闘士ドライセンが揉めている。止めに入った呪術師キュベレイだが、今度はそのキュベレイを残る二人が糾弾し始めた事で三つ巴のケンカが始まってしまう。
『……何やってるんだろう?』
「……元々仲悪かったんだろうな」
『それでも、こんな時に此処まで仲が悪くなる物か?』
上から司、ゼロ、號斗丸の順である。何処と無く自分の頭の上でケンカされているカイザータイタニアも迷惑そうだ。
「だが、今のうちに!」
頭の上でケンカされて心底迷惑そうに見えるカイザータイタニアを再びドラグーンの振るう白金のハルバードが切り裂く。
『グォォォォォォオオ!!!』
先程の一閃によって付けられた傷と重なって『×』を書く形となった傷を押さえながら、カイザータイタニアは苦痛に歪んだ咆哮を上げる。
「このまま……」
『ゼロ、ちょっと待って!』
「っ!?」
司の声に従ってドラグーンを止める。それと同時にカイザータイタニアの傷口から闇が洩れ広がっていく。
「これは?」
カイザータイタニアの体から漏れ出した闇がゆっくりと周囲のビルを飲み込んでいく。その闇はカイザータイタニアを中心にゆっくりとだが確かに広がっていく。
『バカめ、カイザータイタニアの体内にもジオダンテと同じく居空間が広がっているのだ。しかも、ジオダンテとは違いその異空間はカイザータイタニアの殻を破って外部さえも侵食するのだ』
『そして、そのハルバードの攻撃でカイザータイタニアの体内の異空間が外部の世界も侵食している様ね』
先程まで続けていたケンカを止めてバウとキュベレイがゼロを嘲笑うように告げる。だが、明らかに三体とも怪我している事から、先程のケンカは演技では無く本気でケンカしていたのだろう……。
カイザータイタニアも本気で迷惑そうな顔をしている。心境としては『何でこいつ等まで取り込んだんだ、オレ? 武器だけの方が良かったのに』と言った所だろうか?
『『『さあ、この町ごと異空間に飲み込まれてしまえ、ガンダム共!』』』
「お前達こそ、どうやってジオダンテが倒されたのかも忘れたようだな?」
ジオン三魔団の声にゼロは静かに答える。そして、その言葉に答える様にドラグーンは白金のハルバードを掲げ、
「司、頼む!」
『分かってる! リリース!』
光に包まれてカードより召喚され、白金のハルバードに重なる剣士ゼータの龍の盾、法術師ニューの梟の杖、闘士ダブルゼータの獅子の斧。白金のハルバードを中心にアルガス騎士団の三武具が重なった瞬間、カイザータイタニアの闇を切り裂く様に光の龍、梟、獅子……三体の“光の獣”が現れる。
『こ、これは!?』
「アルガス騎士団が教えてくれた……。どうやって彼らと『騎士アムロ』がジオダンテを倒したのかを」
かつて、ジオダンテの為にジークジオンが用意した三つの武具こそ、そのジオダンテを倒す為の武器になった。そして……三つの武具を重ねる事で召喚される光の獣こそ、ジオダンテを倒した最大の武器。
もっとも、アルガス騎士団がジオダンテと対峙した時には既にジオン三魔団は全滅していたので、どうやって倒されたのかは……忘れている所か知ってすら居ないが。
『バ、バカな……カイザータイタニアの闇が……』
「いれで終わりだ」
光の獣達に闇が喰らい尽くされていくのに驚愕している隙に上空に飛翔するドラグーンが雷鳴を纏わせた白金のハルバードを振り下ろす。
「『
『『『ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!』』』
ドラグーンの雷鳴の中にジオン三魔団の顔を象った三つの首は飲み込まれて消えていく。だが、辛うじてボロボロに成りながらもカイザータイタニアは生き残り、尚もドラグーンに襲い掛かろうとする。
全身の傷から異空間の闇は世界を飲み込もうと広がっているが、それよりも早く三体の光の獣達がそれを暗い尽くしている。
『最後の一撃……』
「どうすればいいのかは……分かっている」
振り上げた白金のハルバードに集う光の獣達。光の獣達によって作られた巨大な光の刃を纏わせた白金のハルバードをドラグーンは、カイザータイタニアへと振り下ろす。
「『『これで終わりだ!!!』』」
『グォォォォォォォォォォォォォォォォォオオ!!!』
「『汚れし者よ……
カイザータイタニアは光の刃の中に飲み込まれ、そこには四つのジュエルシードだけが残った。
『っ!?』
「司!?」
司が脱力感を感じると同時にドラグーンの姿が掻き消えてカードへと戻る。カードからの開放と言うプロセスを経てのドラグーンの召喚だが、やはり司の成長を上回る力を使ってしまっては負担も大きくなる。
(まだドラグーンの召喚は司の負担は大きいか)
『そうみたいだね』
呼吸を整えながら答える司にゼロは周囲に浮かぶ、カイザータイタニアの媒介となっていた四つのジュエルシードを回収する。
幸か不幸か漆黒の三武具はジオン三魔団と共にカイザータイタニアと融合していた為に、
少なくとも、ゼロとしてはそれは幸運だと思う。間違いなくあの漆黒の三武具の持っている属性……否、“性質”と呼ぶべきそれは闇の化身の“闇”。重騎士GP02を操った盾に宿ったジークジオンの本体ほどの力は無いと思うが、下手な人間が持ったら闇の力に飲み込まれるだけだろう。
ジオン三魔団、カイザータイタニア戦の疲れを感じさせない動きでなのは達の元へと移動すると先程手に入れた四つのジュエルシードをなのはへと差し出す。
「高町、封印を頼む」
「むー……高町じゃなくてなのはだよ」
なのははジュエルシードの封印をする側、膨れながらゼロの言葉に不服を言う。
無事封印が完了するのを確認するとマントを翻しながらその場を立ち去ろうとするが、
「待ってくれ、君には聞きたい事がある。僕に同行して貰いたい」
「ふぅ……」
そう言って声を掛けられたクロノに溜息を吐きながら一瞥する。
「無事で何よりだが、流石にこっちは連戦で疲れているんだ後にしてくれ」
そう言って帰ろうとするゼロに対してクロノは対応に迷ってしまう。少なくとも、ジオン三魔団を倒したのも先程の巨大モンスターも倒したのはゼロ(司)だ。
仮にも命の恩人相手に武力行使するほど腐っても居ない上に、実力の上でも勝ち目が無いのは明白だ。流石に命の危機から助かった後で、また命の危険に晒されるのは勘弁して貰いたい。
『待ってもらえないかしら?』
空中に浮かび上がったディスプレイに映し出されるリンディ・ハラオウンの顔。リンディとしてもゼロ達が予言の中にあった英雄『ガンダム』なのなら、なんとしても協力を取り付けたいのだ。
「貴女は?」
『私は時空管理局所属、次元航行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです。申し訳ありませんが、此方に同行していただけないでしょうか』
リンディの言葉にゼロは、
(そう言っているが、お前は大丈夫か?)
『ごめん、流石に疲労と高町さんと一緒なのはちょっと……』
『……すまん、お前のトラウマは相変らずだな』
『……そんなに直ぐに治るようなら苦労しないよ』
限界以上の力を引き出した負担とトラウマによる負担を受けながら司は號斗丸の言葉に答える。だが、
『司には悪いが、時空管理局と接触する良い機会かもしれないな』
『そうだね。二人の言ってた様に、どう言う組織か知るにはいい機会だと思う』
(だが、念の為に)
少なくとも、今まで自分達はプレシアを通じての情報しか時空管理局と言う組織について知らない。ならば、一度此処で接触するのもまたとない良い機会だろう。
「分かった。オレも其方に行こう」
『コール』
そう言って再び法術師ニューを召喚する。
「事情は分かった。私は念の為の護衛と言う訳か」
「そう言う事だ」
今回登場のSDガンダム
・龍機ドラグーン
出展:新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語
雷龍剣の伝承者のみが龍の姿として召喚し、奥義「真龍覚醒(ドラグーンスティミュラー)」によって人型に変形させ、操縦することのできる機兵。白金のハルバートを手にする事で、真の力が発揮される。
龍の姿でもドラグイグニシスという火炎技を使用する