魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
転移魔法が発動し、ゼロとニューの二人の騎士となのはとユーノはクロノに連れられて、ブリッジの様な場所に立っていた。恐らくは此処がアースラと呼ばれた艦の中なのだろう事は推測できる。
同時に倒れそうになるクロノが白い服を着た数人の一団に連れて行かれる。恐らく、このアースラと言う艦の医療班なのだろう。無理も無い、先程までジオン三魔団一方的ボコボコにされていたのだから。
「ふわぁ~映画の中に居るみたい」
なのはは物珍しそうに周囲を眺めている。一応、コールの魔法を覚えてから召喚出来るようになった戦艦型のガンダムの中にも乗った事のある司(意識は保っているがトラウマで余裕なし)やゼロ、ニューにとってはそれほど驚きも無い。
だが、一番科学と言う物に縁遠いニューとしては驚きを隠してはいるが、内心では結構驚いていた。なお、ゼロはドラグーンを初めとする機兵の操主でも有るのだから、驚く事は少ない。
「今から君達を艦長室に案内するから、僕に付いて来てくれ」
「いや、大人しく治療された方が良いんじゃないのか?」
何時の間にか戻ってきていたクロノに思わずゼロがツッコミを入れる。
「悪いが、今は寝てる場合じゃない」
「体を休めるのも戦士とし大切な仕事だぞ」
真面目すぎるだろうと思いながら、ニューは杖をクロノへと翳して回復魔法(ミディア)をかける。それによってクロノは全身の痛みが引いて行くのが感じられ、同時に疲労も回復される。
「っ!? これは!?」
「回復魔法をかけておいた。用事が済んだらちゃんと治療を受けた方が良い」
「治療用の魔法まで使えるのか、君は!?」
「? その程度、普通じゃ無いのか?」
スダ・ドアカワールド……特に騎士ガンダム達の時代では魔法使いの数は少ない。法術師ニューが隊長を勤めていた部隊では、年老いた彼の師や未熟な修行僧まで動員している事からも、その頃の魔法使いの希少性が分かる。
更に魔法も得手不得手と言っていられるほど数に余裕が有る訳でもないだろうが(騎士ガンダムの最初の仲間の『僧侶ガンタンク』も僧侶だが攻撃魔法を使っていたし)……それでも、様々な魔法を自由自在に操れるニューは特別な例に当たるのだとも思う。
「いや、どう考えても貴方は凄いと思うんですけど」
「兎も角、艦長室に案内するから、僕に付いて来てくれ。バリアジャケットも解除していいよ。あと……君も元の姿に戻っても良いんじゃないか?」
「そうですね」
フェレットのユーノが緑色の光に包まれて一人の少年へと姿を変えた。
「え? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」
(えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?)
それを見たなのはと……司が驚きの声を上げる。
「なるほど、何らかの魔法を使っている形跡が有ったのは変身魔法だったのか? ……便利そうだな」
「ニュー?」
ユーノの使っていた魔法の正体を知って小さく呟くニュー。そんなニューに疑問を持ったゼロが問うと。
「いや、武者達はこっちと似た世界に行った事が有ると聞いて、一度見て廻りたいと思っていたんだ。変身魔法を使って人間族に変装すれば……オレ達や劉備達も」
「目立たずに歩き回れると言う訳か」
そんな話を聞いてニューは視線を向ける。流石に目立つのだけは避けるべき、万が一司に迷惑を欠けないようにと言う判断の為に戦闘以外では常にカードの姿でいたのだが、やっぱり興味は有った様だ。
変身魔法で上手くガンダム族から人間族に変装できれば、それも気にする事無く問題なく過ごせるだろう。
流石にそんな事に司の魔力を無駄に使わせたくないが、少なくともカードの中で自由に動け無いと言うのは中々辛い物がある。
「ふぇぇぇぇぇぇぇええ!!! ユ、ゆゆゆユーノくん人間だったの!?」
そして、そんな会話を交わしつつも驚いているなのはの姿を一瞥して、今度はユーノへと視線を向けるゼロとニュー。
「ユーノと言ったか? 彼女には知らせてなかった……いや、それよりも今まで彼女の部屋に居たのか、正体を教えずに?」
「う、うん。そう言えば言ってなかった様な……」
その言葉を聞いたゼロとニューがユーノの肩を『ポンッ』と叩く。
「一つだけ忠告させて貰おう。同じ事が二度も三度も有っても困るだろうけど、参考までに聞いておいてくれ」
「は、はい」
「真っ先にそう言う場合の協力者が女性だった場合は教えて置いた方がいい。一歩間違えたら変態扱いされても文句は言えなくなるぞ」
「以後気をつけます」
ニューの真剣な言葉に改めてユーノはどう言う状況だったのか考えてみると……色々と拙い状況だったと思う。
寧ろ、司は関係していない司がザクロード/ザクトパスと戦った時に起こった温泉の一件でも『フェレットに変身した人間』ではなく『不思議なフェレット』と思われていた事が女湯に連れ込まれた原因だろうし。
それを聞いて改めて次が有ったら気をつけようと思う。また同じ事が有っても、それはそれで困るが。
「……どうやら君達の間で見解の相違が有った様だな。まあ、気持ちは分かるが艦長を待たせているので、今は大人しく付いて来て貰えないか?」
「ああ、すまない」
「変身魔法と言うのに少し興味が有ったもので」
クロノの言葉にそう答えて会話を切り上げると、彼に連れられて艦長室まで向かった。
「ここが艦長室だ。艦長、クロノです! 入ります」
『入りなさい』
そんな声がドアの向こうから響く。そして、艦長室の全貌が見えたのだが……
『『なんだこれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?』』
カードの中に居る號斗丸と鋼丸の絶叫が響き渡る。当然ながら、カードの中からの絶叫なので司やゼロ、アルガス騎士団に劉備達にしか聞こえていないが。
まあ、天宮の国の出身の武者頑駄無の二人(一人と一機)の反応としては当然だろう。畳部屋……なのは良い。そう、それだならば……。何故か盆栽やらししおどしまで置いてあった。一言で例えるならば、間違った日本のイメージで作られた部屋と言うべきだ。
それを見た昔の日本に似た国で有る天宮の出身の二人にとっては叫ばずには居られなかった。
『ま、間違って知識を身に付けた外国人みたいな部屋だね……』
(正しくは異世界人だから似たようなモノじゃないのか?)
『……一歩間違えれば日本と天宮に対する冒涜になるぞ……』
『あ、あははは……』
有る意味的確な感想を述べる司とそれに微妙に同意するゼロ、納得できないと言う風に頭を抱えながら呟く號斗丸に、フォローの言葉が思い浮かばずに苦笑するしかない劉備だった。
「四人ともどうぞどうぞ、楽にして」
出迎えたリンディの言葉に従ってゼロとニュー、なのはとユーノは座布団に座る。
「改めて、私が艦長のリンディ・ハラオウンです。この子の母でも有ります。クロノを助けていただいて、母親としても艦長としても感謝します」
「いや、元々オレ達目的も奴等を倒す事にあるから気にしなくて良い」
「改めて自己紹介させてもらう。オレは魔龍剣士ゼロガンダム。初めてそっちに出会った時の姿の奴は武者號斗丸だ」
「私はアルガス騎士団法術師隊隊長、法術師ニューと申します」
「えっと、司君じゃないの?」
「……それについては後で纏めて話そう」
改めての自己紹介と感謝の言葉にゼロはそう言葉を返す。四人の前に置かれる抹茶と御茶菓子、それを切欠に先ずはなのはとユーノに対する事情聴取が始まった。
「なるほど、そうですか。あのロストロギア、ジュエルシードを発掘したのは貴方だったんですね」
「はい。それでぼくが回収しようと」
「立派だわ」
「だけど、同時に無謀でもある!」
クロノにそう言われユーノは落ち込んでしまう。
「あの、ロストロギアってなんなんですか?」
「ああ、遺失世界の遺産……って言っても分からないわね。えっと……」
ロストロギアの事が分からないなのはにリンディとクロノが説明している。同時にこの世界……主に次元世界に付いて知る良い機会だと思ったゼロとニュー達は司と共に黙ってなのはへの説明を聞いていた。
(なるほど、天鎧王や『機動武者 大鋼』の様な物か?)
(二つの聖騎兵がそれに当たるのか?)
(……『天玉鎧』や『玉璽』は違うよな?)
號斗丸とゼロ、劉備がそれぞれの出身の世界でそれに当たりそうな物を思い出す。
……天鎧王は武者○伝の戦いに於いて『魔王頑駄無』となった『魔刃頑駄無』によって再び操られ、爆王頑駄無となった號斗丸に倒され、二つの聖騎兵の一つ『聖騎兵ルーンレックス』は真聖騎兵を廻る戦いに於いてガンレックスに敗れて失われている。天玉鎧や玉璽に至っては簡単に手に出来る品ではない。
万が一、管理局がガンダム達の世界にあるロストロギアに相当する物を回収しようとしても、そのどれもが簡単に個人の手に渡るような物ではない。
「……繰り返してはいけないわ」
話が終盤に入り、リンディが抹茶に角砂糖を入れて飲んだ。
『『『な、何をしてるんだぁー!!!』』』
リンディの凶行に思わず司と號斗丸、鋼丸の絶叫が響く。
(な、何か問題が有るのか?)
『抹茶は苦味と香りを楽しむものだ。苦いものは確かに甘いものと混ぜるとうまい事は多いが……』
抹茶を使ったケーキやチョコレートも確かに存在して居るが、
『あんな物は邪道どころか外道も良い所だ!』
そう断言する號斗丸。
號斗丸、幼名は『舞威丸』……大将軍家の次男。当時の天宮の国では間違いなく最も良い所の子息。
だが、まだ目の前の光景は良い方だったりする。平行世界ではミルクまで加えていた。抹茶と言う文化の無い……どちらかと言えばミルクや砂糖を入れる事が普通な紅茶の文化圏な騎士ガンダム勢には受容れてしまいそうになる光景だが、武者頑駄無勢としては受容れがたい光景だろう。
「これより、ロストロギア・ジュエルシードの回収については時空管理局が全権を持ちます」
「えっ」
「君達は今回の事は忘れてそれぞれの世界に戻って元通り暮らすといい」
「でも、そんな……」
「次元干渉に関わる問題だ! 民間人が介入して良いレベルの話じゃない」
「でも!」
「まあ、急に言われても気持ちの整理も付かないでしょう。今夜一晩ゆっくり考えて二人で話し合って、それから改めてお話をしましょ」
「手を引いていいのか?」
ニューの一言に空気が凍り付いてしまう。そして引き攣った表情のリンディとクロノの視線がニューとゼロに向かう。寧ろ此処は土下座してでも『協力してください』と言うべき相手が目の前には居たりする。
闇の化身の配下と戦ったらクロノだけでは命が幾つ有っても足りない。序でに闇の化身本人と戦った日には……クロノの葬儀の準備が必要だろう。
「私はアルガス王国一部隊の隊長として、国の命を受けて任務を受けたこともある。全権を専門家に預ける事に文句は無い。だが、何故『改めて』話をする必要が有る?」
「確かに。変わるべきではないなら、改めて話をする必要は無いな」
ニューの言葉にゼロが頷く。
「そ、それは「人手不足と言った所か?」っ!?」
ニューとしてもゼータやダブルゼータの部隊に比べて人手不足と点では悩んでいた身の上だ。気持ちは分かるが、
「素直にこう言えばいい事だろう? 手伝って欲しい、と。それとも……自主的に協力させて今後も利用しようとしたのか?」
「そ、そんな事は……」
「違っていたなら謝罪しよう。だが、貴女の言い方はそんな風に誤解されるから気を付けた方が良い」
「……はい……」
付け加えるなら、対応の遅さについては下手に早く対応されても闇の化身を相手に彼らが戦力になったのかは疑問が有るので、その一点に付いては敢えて言及しないでおく。
「次は私達の事について話すとするか。先ず私達は、この世界……次元世界と言う概念よりも外側……異世界と言うべき世界から来た。そこに居る少女の知り合いの時野司の力を借りて、こうして自由に動ける様なったんだ」
そう言ってニューは自分達の世界……スダ・ドアカワールドの事を話し始める。そして、続けて天宮や他の世界の事も簡単に説明する。
「つまり、あいつ等は元々貴方達の世界の住人だったと」
「そうなる」
ジオン三魔団とザクロード、呪術師メッサーラと九尾犬以外は全てスダ・ドアカワールドの存在なのでそう言っても問題は無いだろう。
「し、しかも、あいつ等が雑魚に思えるような力を持った親玉が何人も居ると」
「ああ」
「居るな」
本気で血の気が引いているクロノだった。無理も無いだろう。ジオン三魔団にさえ一方的にボロボロにされたのだから。
「そうですね」
「母さ……艦長!?」
そう言ってリンディはゼロ達に向かって頭を下げる。
「改めてあなた方にお願いします。私達に力を貸してください」