魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
闇将軍と言うかりそめの肉体で復活した闇皇帝は己の体の調子を確かめる様に『暗黒剣』を出現させ軽く振るう。
技も何も無い一閃。ただそれだけで海が割れる。
「ほう、肉体は殺駆頭の時よりも劣っているが、余計な意識がない分扱い易いな」
ジュエルシードによって作りあげられた殺駆頭の肉体は、その言葉通り闇皇帝の支配から逃れようとする殺駆頭本来の意識がない分扱い易いのだろう。
多少殺駆頭本来の物よりも劣っている点に目を瞑っても抵抗されるよりも、本当に使い易いらしく、機嫌良くそう言った後、闇将軍は巨大な大砲『暗黒砲』を出現させ、その引き金を引く。
「っ!? みんな、逃げろ!」
クロノからの慌てての警告。それによって闇のエネルギーの砲撃が到達する前に回避は成功するが、海へと向かって行った砲撃はそのまま巨大な水柱と海に出現する一瞬のクレーターを作り出す。
海に作られたクレーターは直ぐに元に戻るが、同時に上空に打ち上げられた海水が海に落ちる。
「な、なんて威力なんだ……」
「流石は肉体は闇将軍とは言えあの伝説の闇の化身……闇皇帝」
あまりの力に驚愕するクロノと冷静に闇将軍の力を受け止めている號斗丸。
四代目大将軍以降から號斗丸の父である新生大将軍の代までの間天宮の国の大将軍は空白があった。だが、それでも歴代大将軍を
不完全で本来の肉体では無いとは言え最強の武者である大将軍を次々と葬ってきた相手と対峙しているのだ。この程度の力はあっても当然だろうと言う考えは持っている。
「どうする? このままこいつを放っておく訳には行かない」
「ああ。こうしているだけでも、奴が倒さなきゃならない相手だって事はよく分かる!」
同時に剣士ゼータや劉備も冷静に倒さなきゃならない相手だと言う事を理解し、各々の武器を構える。アルガス騎士団も劉備達も闇の化身とは戦った勇士達だ、その力を前にしても恐怖も驚きも感じない。有るのは倒さなければならない、と言う意思のみだ。
実際、劉備達の世界に於ける最終決戦でその姿を表した暗黒の軍神は山一つに大穴を開けていたし。
「ああ! 行くぞ、みんな!」
劉備の言葉に応え愛刀を構え號斗丸達は闇将軍へと向かう。
「「食らえ!!!」」
最初に左右から切りかかるのは劉備と剣士ゼータだ。三国の英雄とスダ・ドアカワールドの最初の勇者の一人の剣を、
「ふん」
闇将軍は暗黒砲を消して
「二人とも離れろ、ギガファンネル!!!」
法術師ニューの声に反応した劉備と剣士ゼータが離れると同時に闇将軍を法術師ニューの電撃魔法が襲う。だが、
「甘いわ!」
闇将軍は片手を翳し、そのから打ち出される闇色の雷が法術師ニューの電撃魔法と相殺し合う。いや、相殺と言うよりもそれは逆に法術師ニューの魔法を押し返している。
「くっ」
魔力を込めて雷の数を増やしていくが、どんどん追い詰められているのは法術師ニューの方だ。
「受けてみろ!」
「これでも食らいやがれ!」
「オラァ!!!」
法術師ニューと打ち合いに意識が向いていた隙に各々の武器を持って切りかかるのは、関羽、張飛、闘士ダブルゼータの三人だ。関羽の青龍刀が、張飛の蛇矛が、闘士ダブルゼータの獅子の斧が迫る中、闇将軍はそちらへと空いた手を翳し、
「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」」」
法術師ニューの放った
「はぁ!!!」
法術師ニュー、闘士ダブルゼータ、関羽、張飛の四人が海へと落ちて行くと同時に、真上を取っていた號斗丸が飛行形態の鋼丸の背を蹴って闇将軍へと切りかかる。
「『暗黒剣』、黒星剣」
闇将軍の両手に出現したのは闇将軍の暗黒剣と闇皇帝の黒星剣。二つの暗黒の力を秘めて魔剣を両手に構え、
「闇に消えよ、大将軍の子よ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
二刀より放たれた闇の斬撃が號斗丸を弾き飛ばす。
「號斗丸!」
金剛鋼丸形態に変形した鋼丸が弾き飛ばされた號斗丸を受け止めながら大砲『
大目牙閃光銃から放たれた砲撃が闇将軍へと向かうが、闇将軍は手を暗黒剣を一凪するだけでその砲撃を鋼丸へと打ち返す。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
號斗丸の盾になるように打ち返された砲撃を受けた鋼丸の悲鳴が響く中、剣士ゼータが素早く闇将軍へと切りかかる。
「はぁ!」
暗黒剣で剣士ゼータの剣を受け止め開いた黒星剣で切りかかろうとした時、
「今だ、劉備殿!」
「ああ! 星! 龍! ざぁぁぁぁぁぁん!!!」
闇将軍の意識が剣士ゼータに向いた隙を逃さず必殺技『星龍斬』を放つ劉備だが、闇将軍は持っていた筈の黒星剣を消し、
「なっ!」
「これは返すぞ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
劉備の必殺技である星龍斬を片手で受け止め握り潰し『×』の字に変えたそれを劉備に押し付けると、己の大技をそのまま返された劉備が海へと落ちて行く。
「ふん!」
「っ!」
返す刀で剣士ゼータを海へと叩き落す。スダ・ドアカワールドのMS族は水中では沈んでしまうために活動できない事を知っているのかは分からないが、そのまま海へ落ちては危険だろう。
とっさに水中に落ちないように飛行魔法で法術師ニューが剣士ゼータを、法術師ニューの飛行魔法の補助を受けたリアル形態の鋼丸が持ち前のパワーで劉備を受け止める。
「これで消えろ、ガンダム共!」
真上で暗黒剣と黒星剣を交差させると闇将軍の背後に闇皇帝の黒いオーラが浮かび上がり、海へと落下したガンダム達へと闇の斬撃を放つ。
幸いにも回避には成功した物の海面に直撃した闇の斬撃はガンダム達を吹飛ばす。
「バ、バカな……なんて化け物だ、あいつはっ!?」
號斗丸達が手も足も出ずに一瞬で倒された事に驚愕を覚えるクロノ。ジオン三魔団が號斗丸達によって倒された事や、今回のジュエルシードによって復活したモンスターや妖怪達と戦う姿からでも彼等の強さはよく分かる。そんな號斗丸達が手も足も出ない事に対して驚愕を覚えずには居られない。
どうするべきかとクロノが迷っている時號斗丸を倒した闇将軍の視線がなのは達へと向く。
「ガンダム共の前にお前達から始末してやろう、小娘共」
そう呟いた闇将軍の両手の黒星剣と暗黒剣が消え暗黒砲が出現する。先程の破壊力も記憶に新しいそれを向けられた時、向けられる殺気で一瞬意識が止まる。
(何だ……この化け物は? どうして彼らはこんな奴に立ち向かえた……?)
「っ!?」
暗黒砲の引金が引かれる直前、闇将軍の両腕を
「みんな、今の内に逃げるんだ!?」
外れていった砲撃の衝撃音とユーノの言葉に闇将軍の殺気に飲まれていた全員が正気に返る。
『クロノくん、直ぐにアースラに転送を……』
空中にモニターが浮かび、アースラのオペレーターのエイミィが顔が映し出される。予想外の相手の出現にアースラの方も慌てているのだろう。だが、
「ふんっ」
闇将軍は面白く無さそうに今度は暗黒砲を上空へと向ける。そして、
「其処か? 邪魔はさせんぞ」
闇将軍が上空へと砲撃を放つと途中でそれは消える。
「あいつ、何処に撃ってるんだ? だが、エイミィ、今の内に……」
今の内に撤退しようとした時、モニターの中から爆発音が響き通信が消える。
「なっ!? エイミィ、何が有った!? ……まさか、今のは次元跳躍魔法!?」
「え? あれって魔法じゃないよね?」
「うん。あれって絶対に魔法じゃないと思うの」
クロノの言葉にフェイトとなのはも最も過ぎるツッコミが入る。どう見ても先程の闇将軍の攻撃は単純な砲撃だろう。最も科学では無く魔法に近い攻撃なのだが、魔法とカテゴライズするには無理が有るだろう。
どっちにしても、次元航行艦へと直接攻撃を撃ち込む等と言う芸当を簡単に出来ると言う時点で闇将軍(闇皇帝)が規格外と言うのを通り越して化け物と言う他ないだろう。……もっとも、立派に闇将軍は『闇の化身』と言う化け物だが。
そんな中闇将軍は力技で腕に巻き付いていたバインドを引き千切り、暗黒砲から再び暗黒剣へと持ち返る。
「みんな、そんな事言ってる場合じゃないよ!」
「消えろ!」
「逃げるんだ!」
ユーノの叫びが響くと同時に闇将軍から闇の斬撃が放たれる。
水中での活動が出来ないMS族である自分達が海に落ちないように、法術師ニューが飛行魔法でサポートしているが、それも何時までも持たないだろう。
敵は仮の肉体とは言え闇の化身の一角……天宮の国では
號斗丸の鳳炎水凰斬や劉備の三位一体星龍斬ならば決定打になるだろうが、幾ら最強級の技だと言え、間違いなくそれだけで倒されてはくれないだろう。
『どうする? またドラグーンを呼ぼうか?』
『ああ、司に負担をかけるがドラグーンなら決定打になるかもしれない』
ゼロが司の案に同意する。絵的には人間サイズの相手に巨大ロボを持ち出すようなものだろうが、ジュエルシードで作り出した体を扱っている闇将軍(闇皇帝)ならば、平然とドラグーンの巨体に対抗する為に巨大化しても可笑しくない。
少なくとも、ドラグーンの力ならば闇将軍の力にも対抗できる可能性があるが、それでもどちらかと言えば賭けに近いだろう。
『……斗……丸……』
「『っ!?』」
突然聞こえてくる声に反応する號斗丸と司。その声は號斗丸にとって非常に聞き覚えのある声だ。
「この声は……まさか」
『えっと……號斗丸、知り合い?』
「ああ。オレの聞き間違いじゃなければ、この声は……」
海から飛び出してくる九枚のカード。九枚のカードの中から代表するようにカードの中の三枚から浮かび上がるのは三人のガンダム達の姿。
『きみ達が近くに来てくれたからわたし達もこうして合流できた』
頭と両肩に龍を象った鎧を纏った『
『しかし、既に闇の化身が不完全とは言え復活したとは』
獅子と阿修羅を思わせる鎧を纏った頑駄無、『
そして、
『號斗丸、こうして会うのも久しぶりだな』
「父上! それに、白龍大帝様に阿修羅王様!?」
白い絢爛な鎧を纏った武者……號斗丸の父であり、伝説の大将軍にして新たな天宮の国の統治者となった武者『新世大将軍』。
「なっ!? 白龍大帝だって!?」
「おいおい……嘘だろ」
「まさか、伝説の龍帝とお会いできるとは思わなかった」
思わず劉備達三人が驚愕の声を上げる。それに気付いた白龍大帝は劉備達へと視線を向ける。
『こうして時を越えて魂を受け継いだ者に出会えるとはわたしも思わなかった。だが、長々と話をしている時間は無い』
そう言った白龍大帝、阿修羅王、新世大将軍が頷き合うと九枚のカードから光が放たれる。
カードの中より伸びた九つの光の中から現れたのは三頭の龍馬『
『残念ながら、まだわたし達の力は貸すことができない』
『だが、こうして一部だけを一時的に貸す事は出来る』
『これが後は頼んだぞ、號斗丸よ』
その言葉を残して九枚のカードは號斗丸……否、司の中へと消えていく。そして、残された龍馬と盾と砲は、
「龍馬と砲と盾……まさか、これは!?」
號斗丸にはそれが何を意味しているか理解できた。それらの物が意味する事はたった一つ……。
まるで號斗丸がそれに気付くのを待っていたように三頭の龍馬は一つとなり、かつて白龍頑駄無達の駆った最強の龍馬『
「これは……『白龍演義』の中に出てきた伝説の
そして、三種の盾は一つとなり巨大な盾『光輝の盾』となりアルガス騎士団の元へ、
「っと、重てぇ! だけどな……力自慢のダブルゼータ様なら……」
「無理をするな、ダブルゼータ」
「私達三人で使え、そう言う事なんだろう」
巨大な光輝の盾を抱え上げる闘士ダブルゼータの肩を支える剣士ゼータと法術師ニュー。そして、最後に残されたのは
「これは……父上が使ったという伝説の『
かつて
後のそれぞれの国の統治者となるガンダム達が仲間達と共に各々の国の人々を苦しめていた邪悪を打ち倒した最強の武器。それこそが號斗丸へと託された力だった。
今回登場のSDガンダム
・闇将軍<ヤミショウグン>
モチーフ:ザクⅡ
出展:SD戦国伝 武者七人衆編
闇の鎧を纏った殺駆頭。闇将軍の時には殺駆頭としての意識はなく、殺駆頭自身は自分が闇将軍であることに気付いていない。本作ではジュエルシードによって作り出した殺駆頭の肉体を闇の鎧を通じて闇皇帝の意識が操っている。その為肉体では無く鎧が本体となっている。ジュエルシードで生み出した偽りの肉体は殺駆頭本人よりも劣っているが意識がない分闇皇帝の力が発揮出来るために不完全とは言え圧倒的な強さを発揮し、八人のガンダム達を圧倒した。白龍大帝、阿修羅王、新世大将軍が託した