魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
闇将軍の一撃を回避する事には成功するがそれによって発生する衝撃によってなのは達は吹飛ばされる。
「ブレイズキャノン!」
衝撃に耐えながらクロノの放った魔力弾が闇将軍に直撃するが、それはダメージになる事無く闇将軍の全身を包んでいる闇の鎧の前に弾かれる事となる。
「なっ!? 効いてない!」
流石に非殺傷設定とは言えダメージになる事も無く悠然と立っている闇将軍の姿には驚愕しないわけには行かなかった。ジオン三魔団の時もそうだったが、闇将軍の場合は一瞥さえしていない。
「っ!? 防いじゃダメだ、逃げるんだ!」
闇将軍の放つ黒い稲妻が降り注ぐ。強力な点の攻撃よりも威力は劣っていても面をカバーできる攻撃に切り替えた様子だ。それでも十分に直撃すれば防御の上からでも無事ではすまない破壊力がある。
ユーノの警告に従って必死に回避するがその稲妻は闇将軍にとってそれほど強力では無い攻撃なのだろう、平然と途切れる事無く放ち続けている。
「ほぅ」
攻撃の手を緩めず闇将軍はそんななのは達の姿を眺めながら、ゆっくりと嗜虐的な笑みを浮かべる。
回避に徹しているフェイトとアルフの主従ペア―特に防御の薄いフェイトには闇将軍の攻撃は命取り―、なのはとユーノ、クロノと言う三組に分かれている彼女達を一箇所に集めるように稲妻を放っている。
「きゃっ!」
「これは……」
「拙い!」
闇将軍の闇の雷が彼女達を閉じ込める檻となって動きを封じ、一箇所に集められた彼女達は回避する事も出来ずにただの的になるしかない状況に追い込まれる。
「っ!? どうするんだい、これじゃ逃げられないよ!」
アルフの焦ったような言葉が全員の気持ちを代弁していた。完全に闇将軍に追い詰められた結果となった訳だが、そんな彼女達を闇将軍はトドメを刺す訳でもなくただ見下ろしている。
「こいつっ!」
余裕を見せる様に見下ろしているだけの闇将軍にクロノが向かって行く。闇の雷が動きを封じているのは闇将軍からの攻撃の邪魔にならない様に前後左右だけだ。真下は海中となっている為に逃げ場は無く、上には闇将軍が居る。逃げ場が無いのなら余裕を見せているうちに倒す事を選択したわけだが、
「ふふふっ」
「なっ! S2Uが!」
突然クロノの持っていたデバイス『S2U』が黒い蛇となって彼の腕に巻きついていく。
「きゃあ!」
「なのはっ!?」
「レイジングハートが」
突然なのはの持っていたレイジングハートがカラスへと変わってなのはへと襲い掛かっている。ユーノが急いでカラスを追い払おうとするが尚も襲い掛かる。
「そんな、バルディッシュ!」
「この、フェイトから放れな!」
フェイトの持っていたバルディッシュも黒い猫に変わって彼女の喉笛に食らい付こうとしている。必死にか見つ噛み付かれない様にするフェイトとそれを引き離そうとするアルフだが、黒猫の力は用意上に強いらしい。
「ふははははっ! お前達の絶望がワシを完全復活させる! 絶望と共に闇に取り込まれるのがお前達の運命なのだ!」
ゆっくりと甚振るように戦っている闇将軍の背後に本来の姿である闇皇帝……否、過去と未来の闇の皇帝が一つとなった最強の姿『黒魔神闇皇帝』のオーラがなのは達の恐怖を吸収するように広がり始めている。
そんな時、闇将軍の纏っている闇が眩いばかりの光に切り裂かれていく。
「っ!? 何だ!?」
「火炎弾!」
光から放たれた火炎弾の直撃を受けて後退する闇将軍。
「これ以上お前の好きにはさせない!」
光が晴れていくと其処には白龍大帝より託された
「貴様等は!」
「オレ達も居るぞ!」
「行け!」
かつて闇皇帝と同じ闇の化身の分身を衛府弓銃壱達が倒した際に使われた最強の大砲、その一撃が闇将軍を飲み込む。例え闇皇帝と言えど仮初の闇将軍の肉体による不完全な復活を迎えた固体だ、無事では済まないだろう。だが、
『ふふふふ……』
爆煙が消えていくとその中から黒魔神闇皇帝の形をした闇を纏った闇将軍の現れる。
「今のは危なかったな。だが、僅かに遅かった様だ」
「な、何が……」
「そうか!?」
號斗丸が慌てて西を見ると闇将軍の言葉の意味が理解できた。
「既に日没を向かえ徐々に光は衰え、闇の支配する世界となる。フハハ……夜は闇が支配する世界、我等闇の化身の天下なのだ!」
三つの国の王達から託された『頑駄無大光帝』の三つの神器は光に属する武器。残念ながら、日没によって光の力が衰えていくに連れて破壊力は弱まり、同時に闇が増していくに連れて闇将軍の肉体を操る闇皇帝の力は増して行ったという事だ。
「消えるが良い!」
出現させた暗黒砲の引き金を引き、その砲撃を號斗丸達へと向けて放つ。
「「「させるか!」」」
その砲撃に光輝の盾を構えたアルガス騎士団が飛び込んでくる。光輝の盾はその衝撃さえも完全に防いでいた。
「ほぅ、今のを防ぐか。だが、
「くっ」
號斗丸は闇将軍の口を通じて闇皇帝から告げられる指摘に悔しげに呟く。自身のバトルフィールドである『暗黒界』こそ作り出せないが、闇に支配された夜の世界では闇皇帝の力は大将軍に匹敵する力を持たないガンダム達では勝ち目が無い。勝機があるとすれば、完全に陽が沈むまでの間だ。
「精々必死になって抵抗するがいい!」
徐々に力を増していく闇将軍に対して三国の王達に託された神器を武器にガンダム達は挑んでいく。
(ぼくは何も出来ないのか……)
ガンダム達の戦いを見てユーノは一人そう思う。己の無力さ……と言うよりも闇の化身やその部下を相手に戦う時には何の役にも立っていない。
素人とは言え膨大な魔力量のなのはや管理局の執務官であるクロノでさえ殆ど役に立たないのだから無理も無いのだが、それでも己の無力さを考えると心の底から願う、『力が欲しい』と。
『理由なき力はただの暴力になるだけ、心を持ってこその『強さ』ですよ』
『その通りだ。弱さは恥じゃない、己の弱さを知ったからこそ強くなれる』
ふと、ユーノの耳に二つの声が聞こえてくる。
「え? 此処は……?」
主に司が騎士ユニコーンと会話した事のある精神世界(ver.ユーノ)。
「始めまして、私は『孔明リガズィ』といいます。劉備さん達の軍師を勤めているものです」
「私はアルガス騎士団の騎士団長を勤めている『騎士アレックス』。剣士ゼータ達がお世話になっている」
そう言ってユーノの目の前に現れた共に青い鎧を纏った二人のガンダム。扇の様な武器を持った軍師を思わせる鎧を纏った『孔明リガズィ』と、青い騎士甲冑を纏った『騎士アレックス』。
「ええ!? 騎士団長って……た、確かにあの人達は騎士団って名乗ってたけど、誰も騎士団長って言って無かったような……。って、そんなことより、こっちらこそ、あの人達には何度も助けられてます」
驚きの後の驚愕に慌てての挨拶と随分と慌しい反応のユーノだった。
「ところで、今あなた方はかなり危険な状況に有る。それは分かっていますね?」
「は、はい」
「本来なら私達も劉備さん達と共に彼の元で戦うべきでしょうが、現状を打破するためにも彼らと共に戦う道を捨てるしかないようです」
「その通りだ。ゼータ達も彼の元で上手く纏まっている様で私の力も直ぐには必要にならないだろう」
そう言って孔明と騎士アレックスは己の封印されたカードをユーノへと差し出す。
「お願いします。君の力を私達に貸していただけませんか?」
「奴を倒すにはタイミングが悪過ぎる。あの武具は勝利の為の鍵にはなっても、それだけでは足りない」
「だからこそ、私の力が必要なんです」
「分かりました。ぼくで良ければ……貴方達に協力させてください!」
そう言ってユーノは差し出されたカードを受け取る。その瞬間、ユーノの視界はカードから出る輝きに飲み込まれていく。
「「「っ!?」」」
ユーノを中心に広がった光に包まれ、カラスや蛇、黒猫に変えられていたデバイスが元に戻る。
「こ、これは……」
「元に戻ったの?」
「どうして……」
それぞれのデバイスの持ち主であるなのは、フェイト、クロノの三人がそれに驚いていると、光の中から竜の意匠を持った一人のガンダムが姿を表す。
『英雄変化、『天翔竜 孔明νガンダム』!』
それこそ翔の軍師たる孔明の本来の力を発揮した姿である、地に伏した竜が天を翔ける姿。希代の聖軍師、目覚めし伏竜『天翔竜 孔明νガンダム』。
「今、我が力で闇を払う!」
孔明の背中の翼が彼の元から離れ、號斗丸達と闇将軍の戦場を包み、陣を作り上げる。
「『八門遁甲 破邪の陣』」
戦場を包み込む光の陣が闇将軍の纏っている闇のオーラの力を奪っていく。
(くっ、矢張りこの力を使うとまた暫くの間眠りに付かなければなりませんね。皆さん、あとは任せました)
ゆっくりと孔明νガンダムの姿がユーノの姿に変わりながら落下していく。
「ぐ……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! な、なんだせこれは!? ワシの力がぁ……闇の力がぁ、消えていくだとぉ!?」
闇将軍の怨念に満ちた声が響くと同時に、闇将軍と戦う號斗丸達も孔明の作り出した破邪の陣の存在に気付く。
「これは?」
『光が……』
「何が起こったんだ?」
疑問に思う號斗丸と司、鋼丸だが劉備達はそれの正体に直ぐに気が付いた。
「アニキ、これは!?」
「ああ、孔明の破邪の陣。孔明が目覚めたのか?」
「だが、司殿の下にはまだ孔明殿は居なかったはずだ。だと言うのに、何故?」
その陣が孔明の力によるものだと理解する劉備達。だが、同時に孔明の眠っているはずのカードは司の元に無かった。それなのに孔明の力を使って力を発揮していると言う状況に驚きを隠せずにいられない。
「あなた方の仲間の力が何故使われたのか、それを考えるのは後だ」
「ああ、よく分からないけどな、今はそいつの力を無駄にしないためにもやるしかないぜ!」
「その通りだ。私達には時間が無い」
疑問に思う號斗丸達や劉備達に今は戦いに集中する様に告げるアルガス騎士団。SDガンダム達の世界に於いて最も古い英雄達に名を連ねる彼らは、やはり頼りになると言う事だろう。
破邪の陣の中と言えど、完全に闇が支配する夜の世界となっては闇将軍の力は増大する。それよりも早く闇将軍を倒すしかないのだが。
(どうする? どうすれば奴を……待てよ、そう言えば以前父上から聞いた事がある)
ふと、
(その力を使えば、確かに奴を倒せるかもしれない。それが出来るのは……オレと劉備殿だけだ。だが)
はっきり言ってそれは危険な策だ。少なくともそれが上手く行ったのは大光帝だったからこそと言う可能性もある。それに……
(オレ達は兎も角司には負担が大きすぎるかもしれない。他の方法を『やろう』……司!?)
司の言葉に驚愕を見せる號斗丸。號斗丸の考えている策は危険過ぎる策だ。特に強靭な肉体を持っている號斗丸や劉備ならまだしも、まだ子供である司の肉体には負担が大き過ぎる。
『ぼくなら大丈夫。此処であいつを倒さないと危ないんだろ、號斗丸? だから!』
「分かった。司、君の勇気にオレも……いや、オレ達も応えよう!」
『みんな!』
「行くぞ!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
號斗丸と司の掛け声に他のガンダム達も応える。
「先ずはオレ達だ! 関羽、張飛、行くぞ!」
「おうよ!」
「ああ!」
最初に動くのは
「白龍大帝様、我等に真の力を!」
それこそ、かつて白龍頑駄無達が
「「「『翔破天誅弾』!」」」
劉備達三人と共に炎に包まれた
「勝負だ!」
闇将軍の持つ黒星剣と
「おのれ!」
その瞬間を逃さずに
「
「くっ!」
流石に直撃は拙いと思ったのか、闇将軍はそれを回避するがそれは劉備に変わって他の二人とアルガス騎士団を乗せた
「ダブルゼータ、お前の力が頼りだ!」
「へっ、力自慢のダブルゼータ様を舐めるんじゃねぇぜ!」
「ああ、頼りにしているぞ!」
闘士ダブルゼータの構えた光輝の盾で
「それが狙いか? だが、何処を狙っている?」
反射された砲撃は闇将軍を大きく逸れ、爆熱の陣の形態になった號斗丸と三位一体の形態になった劉備へと直撃する。
「「『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!』」」
號斗丸と劉備、そして號斗丸と融合している司の苦痛の声が零れる。
「司君!」
「司!」
そんな彼の姿に思わずなのはとフェイトが声を上げる。
「くっ、失敗したと言うのか?」
その光景を見上げながらユーノを助けているクロノが悔しげな声を上げる。
『失敗』、その二文字が彼等の中に過ぎる。
「フハハハ……策を弄したようだが結局は同士討ちとは、随分と愚かでお粗末な終り方だな」
そんなガンダム達を嘲笑う闇将軍だが、直ぐにその表情は嘲笑から驚愕へと変わる。
『『それはどうかな!?』』
「なっ、なんだとぉ!!!」
光が弾けると同時に
「バ、バカな……同士討ちになるどころか、パワーアップしただと!?」
「父上に習って
「奇跡は待つ物じゃない、オレ達の手で起こすものだ!」
號斗丸と劉備の背に浮かび上がるのはそれぞれの国の守護獣の鳳凰と龍。
「これで終わりだ」
「覚悟は良いか……闇皇帝!!!」
「鳳炎! 水凰!」
「三位一体!!! 真! 龍!」
「斬!!!」
咆哮を上げて飛翔する光の鳳凰と龍。號斗丸の石破天驚剣と劉備の真・龍帝剣が闇将軍の闇の鎧諸共仮初の肉体を切り裂いていく。
「お、おのれ!!! ガンダム共! ワシは……ワシは必ず復活……!」
二人の纏う光の中に粉々になった闇の鎧と闇皇帝の闇が消えていき、ジュエルシードの作り出した仮初の殺駆頭の肉体も消え、黒く染まったジュエルシードは浄化される様に元の色を取り戻していった。
???
『ふふふ……闇皇帝め、失敗したか。だが』
空中に浮かび上がるエンブレムの前に一枚のカードが現れ、そのエンブレム……否、スダ・ドアカワールドに於ける最初の闇の化身にして後に月光騎士ネオガンダムとも戦った闇の盟主『ジークジオン』がカードの中に眠るガンダムに取り付いていく。
闇に染まった黒い鎧と騎士甲冑にも似た兜、そして闇に染まった黒い身の丈以上の大刀『烈龍刀』を背負った武者……かつて『武者紅零斗丸』と呼ばれていた武者が手を振ると、六体のMSと大量の雑兵が現れる。
共にスダ・ドアカワールドの出身ではなく天宮と三璃紗の闇の戦士達。……半分は共に騎士バウにも似ていたりする。そんな配下を従え紅零斗丸改め『暗黒紅零斗丸』は宣言する。
「次は我の番だ、ガンダム共!」