魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs-   作:龍牙

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Battle023

「袁紹、堕ちる所まで落ちたか!」

 

 袁紹バウが袁術ズザを刺し殺し、その力を十極呪導鎧毎取り込んだ瞬間を見た曹操が怒りの声を上げる。

 

「おっと、見下げ果てたと言うのには同感だが、あの姿の力だけは評価してるんでな」

 

「邪魔はさせんぞ」

 

 そう言って曹操の前に立ちはだかるのは龍将と飛将。

 

「なるほど、ヤツラ以外にも将が居たか」

 

「やれ、闇凶車! 奴を轢き殺してしまえ!」

 

 龍将の指示に従い先程まで鋼丸に止められていた闇凶車が砲塔を振り回すことで、己の動きを受け止めている鋼丸を弾き、そのまま曹操へと向かって行く。

 

「ふん! 典韋、来い!」

 

「は、はっ! 戦斧! 大車輪!!!」

 

 曹操へと迫る闇凶車へと典韋アッシマーは大斧形態に変形し、回転しながら突撃する。正面からの捨て身の一撃によって正面の飾りを砕きつつ捨て身の一撃によって動きを止める。

 

「魂の無い道具に負けるほど漢の魂は脆くは無い! お前の力を借りるぞ、典韋!」

 

 曹操の腕に剛力手甲を装着、大斧形態の典韋アッシマーを持ち上げそのまま闇凶車に振り下ろし、真っ二つに切り裂く。

 

「なっ!」

 

 慌てて乗組員となっていた雑兵達が逃げ出していく中、大斧形態から元の姿に戻った典韋アッシマーを従えながら、曹操は再び龍将と飛将へと向き直る。

 

「どうした、これで終わりか?」

 

「ふん! ならば、我等の力を見せてやろう」

 

「おお!」

 

 龍将と飛将の二体の闇の武者を闇が包み込み、

 

「「龍飛、合体!」」

 

 龍将を上半身に、飛将を下半身とした一回り巨大な姿『龍将飛将』へとその姿を変える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、龍飛形態となった袁紹バウと戦っている號斗丸は、

 

「ふ、ふはははは……! やはり力が全身に漲るようだ! コレは良い、玉璽の力を得た時よりも強大な力が全身を満たすのが分かるぞ!」

 

 己の中に宿った二人分のジークジオンより与えられた闇の力に興奮気味に声を上げる。

 

「貴様……家族を……実の兄弟をなんだと思っている!」

 

「ふん、所詮奴は弟と言っても利用するだけの価値しかない愚か者よ! 精々ワシの力になった事を喜ぶが良い」

 

「貴様っ!」

 

 怒りの声を上げる號斗丸を嘲笑う様に答える袁紹バウ。同じ兄弟を持つ者として、袁紹バウの行為は許せる物ではない。

 

「所詮弱者は強者の糧になるしかないのだ! 死ねぇ!」

 

 全身に闇の瘴気を纏って號斗丸へと袁紹バウは突撃する。元々の物に加えて袁術ズザの両腕を得て四つに増えた腕に持つ己と袁術ズザの武器を振り回しながら飛翔するその余波でさえ、大地や周囲の兵を薙ぎ払っていく。

 ……どうでも良いが吹飛ばされている兵は全てジークジオン側の兵だ。普通に雑兵からも信頼無くしている袁紹バウである。……元々人望自体無かったかもしれないが。

 

「ちっ!」

 

 袁紹バウの突撃を余裕を持って回避する號斗丸。周囲にいた雑兵達はすっかりその場から逃げている。兵を指揮している雷火や氷破も黙認なしている時点で完全に味方から見捨てられているのに、当の袁紹バウは気付いてもいない様子だ。

 

 袁紹バウの人望やら味方からの信頼については置いといて、迂闊に近づけない闇の瘴気を纏った突撃攻撃で紙一重で回避してからの反撃と言う手段も取れない。

 

「ふははは……どうした小僧、ワシに手も足も出んようだな」

 

(確かに迂闊に奴には近づけない。しかも)

 

 残念ながら號斗丸の手の届かない上空に逃げられている以上、無防備な体制で居る時には攻撃できない。

 

(鋼丸に来て貰えば良いが……)

 

 鋼丸の方に視線を向けると鋼丸も闇凶車を曹操が破壊した事で手は空いているが、それでも最前線で戦っている為に抜けるのは難しいだろう。だが、それでも機駕五将の参戦によって戦況は此方の優位に傾いている。

 精鋭兵でアルガス騎士団の足止めをしていたとしても、新たに現れた一騎当千の将達によって精鋭兵を欠いた兵達に彼らを止める術は無い。

 

「ふははは……ジークジオン様より聞いているぞ! 曹操も他の奴等も貴様さえ討てば消えると言うことはな!」

 

「そんなことまで知っていたか」

 

 ガンダム達が実体を持って戦うには司の力が最重要となる。だからこそ、司本人……または彼が変身しているガンダムが討たれれば、その時点でコールの魔法で実体を得ているガンダム達も実態を失ってカードに戻るしかない。

 

「分かり易くて良いではないが。敵将の首を取れば我等の勝ちなのだからな! 貴様さえ討てば、ジークジオン様より与えられる。かつての……否、三璃紗よりも広大な領土が!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……余の手で引導を渡してやれんのが残念だ」

 

 既に怒りや呆れを越えて哀れみの感情が湧いている曹操だった。かつての姿からは想像出来ない堕ちた姿は哀れみさえ覚える。

 

「それにしても……随分と厄介な相手の様だな」

 

「へへへ、これがオレ達の龍飛邪変化だ」

 

 袁紹バウから視線を外し、己と戦っている龍将飛将へと視線を戻す。何度も攻撃は受けている筈なのに傷一つ負っていない。

 かつての初代大将軍率いる頑駄無軍団との戦いで一度死んだ身のまま再び蘇った龍将飛将は、何度斬られたとしても蘇る事が出来る不死身の肉体を持っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬが良い!!!」

 

 再び武器を振り回しながら突撃してくる袁紹バウ。そんな袁紹バウが突撃の最中、黄色とピンク色の光の鎖が捉える。

 

「なっ!」

 

「司、今の内に!」

 

「ああっ!」

 

 バインドの魔法による捕獲。当然ながらその術者はフェイトとなのはの二人だ。二人の行動を無駄にしないためにも、その隙を逃さず號斗丸は袁紹バウへと刀を振り下ろす。

 

「おのれ、小娘共がァ!!!」

 

 力任せにバインドを引き千切り剣で號斗丸の刀を受け止める。己の邪魔をした二人の少女へと怨嗟の声を吐きながら、號斗丸を力任せに弾こうとするが、

 

「はっ!」

 

 それよりも早く號斗丸は袁紹バウの体を蹴って離れる。後に號斗丸の弟分となり『闘破四天王』として天宮の国に使える事となる『輝龍頑駄無』との初めての出会いの際には鎧を脱ぎ捨てて彼の得意な拳法で戦った程の実力も有る。

 

 再び袁紹バウが號斗丸の手の届かない上空へと逃げようとするよりも早く、大地を蹴って號斗丸は袁紹バウへと切りかかる。

 

「貴様っ!」

 

「悪いが、逃がしはしない! 付き合ってもらうぞ!」

 

 號斗丸の二刀と袁術ズザの両腕も加わった四つの腕を使った剣と双鎌を使った技がぶつかり合う。近接での戦闘ならばやはり號斗丸の方に分が有る。

 三つの大戦を潜り抜け『武威丸』と名乗っていた頃より磨いてきた二刀流が幾ら力を手にしたとは言え、前に出て戦う事の少なかった袁紹バウに負けるはずが無い。ハンデとしては司の呪いと連戦と言う点だが、それでもやや號斗丸の方が勝っている。

 

「己、この袁家の当主たるわしがお前等に付き合っていられるか!」

 

 弾かれる様に號斗丸から離れ上空へと逃れるが、同時にピンク色の光の鎖……なのはのバインドに捕われる。

 

「待ってたよ」

 

 同時に袁紹バウへとデバイス・レイジングハートの先端を向けているなのは……其処に洒落にならない程の魔力が集まっている。

 

「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション」

 

 後に彼女、高町なのはの代名詞となるであろう魔法……

 

「『スターライトブレイカー』!!!」

 

「なっ! なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!?」

 

「「…………」」

 

 極大の桜色の砲撃に飲み込まれる袁紹バウ。……袁紹バウによってもトラウマ級の一撃だった様子だ。味方のはずの號斗丸とフェイトも唖然とした顔で砲撃に飲み込まれた袁紹バウを眺めている。

 

(スター)軽く(ライト)破壊(ブレイカー)……って、恐ろしい名前を』

 

「いや、スターライトは星光だと思うぞ」

 

 一言呟く司にツッコミを入れる號斗丸。どう考えても號斗丸の意見の方が正しいと思う。

 

 

 

『……のれ……』

 

 

 

 なのはのスターライトブレイカーの爆煙が晴れていくと、その中から再び袁紹バウの姿が現れる。

 

「己小娘がぁ!!! 小僧よりも先にお前から始末してくれるわ!!!」

 

 飛紅剣を振り上げ袁紹バウは邪悪な気を纏った巨大な炎の球を作り出す。

 

「紹術! 地獄炎!!!」

 

 邪悪な火炎の球を砲撃魔法を放った直後のなのはへと向けて放つ。

 

『高町さん!』

 

「あ……」

 

 袁紹バウの大技を前に反応が遅れたなのはの名前を司が叫ぶ。なのはを袁紹バウの炎が飲み込もうとしたとき、

 

『油断していたようだな、號斗丸』

 

『ああ。奴の纏っている闇の力は簡単には打ち倒せないぞ』

 

 なのはを守るように立つ彼らは、

 

「っ!? 父上、兄上!?」

 

 號斗丸の父である新世大将軍の出世前の姿『烈光頑駄無』と、兄であり彼が武威丸と名乗っていた頃共に新生闇軍団と戦った頃の姿『武者飛駆鳥(ムシャビクトリー)』。

 

『嘘……コールの魔法は使ってなかったはずなのに……』

 

頑駄無結晶(ガンダムクリスタル)や仲間達の力を借りて、オレ達二人だけが武者の姿で実体化できたんだ」

 

「だが……まさか、武者として三人で肩を並べて戦う日が来るとは思わなかったな」

 

 長刀を持つ飛駆鳥、二刀を構える號斗丸、そして両手を打ち鳴らす烈光。號斗丸の両脇に立つ烈光と飛駆鳥。天宮の国を治めた二つ目の大将軍家の親子三人の武者が並び立つ。

 

「だが、助けに来たのはオレ達だけじゃ無さそうだ」

 

『「え?」』

 

 飛駆鳥の言葉に呆けた声を上げる司とフェイト。其方へと視線を向けるとそこには、なのはを守る様に彼女を抱えて立つ騎士ガンダム……ユーノの変身した『騎士アレックス』とアルフの姿。

 

「もしかして、ユーノくん……なの?」

 

『なのは、怪我は無い?』

 

「無事で何よりだ」

 

「アルフ!」

 

「フェイト、大丈夫かい! 助けに来たよ!」

 

 騎士団長を加え本当の意味で揃ったアルガス騎士団、天宮の大将軍家の親子三人、機駕五将と曹操と壮観と言えるガンダム達が集う。

 

「お、己!!! 知っているぞ、何人増えようが、その小僧さえ居なくなればお前達は戦えんことは!」

 

 四つの手に構える飛紅剣、飛双刀、飛旋棍の四つの武器を構える袁紹バウ。

 

袁流闘舞・四坤の型(えんりゅうとうぶ・しこんのかた)ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 四つの武器から放たれる獣の顔をした四つの塊。それに対して號斗丸達は、

 

「號斗丸、飛駆鳥、私が奴の技を止める! お前達はその間に奴を討て!」

 

「「はいっ!!!」」

 

 號斗丸と飛駆鳥の返事を聞き、烈光と飛駆鳥は同時に有る呪文を叫ぶ。

 

「「天! 来! 変! 幻!」」

 

 その呪文を叫ぶと同時に烈光には赤と青の光が、飛駆鳥には金色の光が包み込み、烈光の体を烈光の鎧が包み、飛駆鳥の姿は金色の羽衣に包まれた姿へと変わる。同時に號斗丸も爆熱の陣へと変わる。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」

 

 先ず前に立つのは烈光。氷と炎を思わせる赤と青の手甲を打ち鳴らし、

 

「氷嵐、焼尽弾!」

 

 烈光の奥義が袁紹バウの技を受け止める。そして、

 

「今だ、行くぞ!」

 

「はい、兄上!」

 

 その隙を逃さず飛駆鳥は精神を集中させて『名刀“烈旋丸”』にそのパワーを注ぎ込み、

 

「飛燕、竜巻返し!!!」

 

 必殺の一撃を放つ。袁紹バウは全身に纏う闇の瘴気を盾として飛駆鳥の奥義を受け止める。拮抗する飛駆鳥の技と袁紹バウの瘴気だが、

 

「ふはは……下賎な者等この高貴な袁家の当主たるワシに触れる事など……」

 

「残念ながら、オレだけなら互角で終っただろう。……だが!」

 

「唸れ爆裂、轟け熱波!」

 

 金色の翼を持った金色の羽衣を纏った飛駆鳥の後ろから飛び出してくる號斗丸。

 

「熱火、爆輪斬!!!」

 

 飛駆鳥の飛燕竜巻返しに號斗丸の熱火爆輪斬が上乗せされ、二つの必殺技の破壊力は袁紹バウの闇の瘴気による守りを上回る。

 

「な、何だとぉ!!!」

 

 闇の力を失い、元の姿に戻って落下していく袁紹バウ。

 

「バカな、このワシが! 袁家の当主たるこのワシがあの様な連中に!!!」

 

「一つだけ言っておく。オレも父上も兄上も天宮の国を治める大将軍の家系……兄上と父上は大将軍だ」

 

「なっ!」

 

 己へと迫る最後の瞬間と最後に號斗丸から告げられた言葉の意味を理解する袁紹バウ。家柄と言う己の自慢であっても、目の前の相手には負けたという事実を始めて理解する。

 

「「「これで終わりだ!」」」

 

 三人の声が重なり、烈光の拳が打ち抜き、飛駆鳥と號斗丸の刀が突き刺さる。

 

「お……オノレェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェエ!!!」

 

 怨嗟の声を残して消え去っていく袁紹バウ。刀と拳の露払いをし、烈光が高らかと宣言する。

 

「敵将の一人、討ち取ったぞ!」

 

 味方からは歓声が上がるが、敵側に動揺は少ない。……本当に人望が無い袁紹バウだった。

 

 烈光が他の戦場へと加勢に向かおうとした時、飛駆鳥の足元に何かが落ちている事に気付く。落ちていたのは高価そうな壷、中から黄金色の蜂蜜が零れている。

 

「……ち……つ……」

 

「?」

 

 辛うじて命の有る袁術ズザが何かを求めている様に手を伸ばす姿、それで何を求めているのかを飛駆鳥は直ぐに理解する。

 

「これか?」

 

 そう言って倒れる袁術ズザの元に拾い上げた壷を置くと、袁術ズザは安らかな表情で消えて行った。

 




今回登場のSDガンダム

・烈光頑駄無
 モチーフ:ガンダムF91
 登場作品:新SD戦国伝 伝説の大将軍編
 地上最強編の後に武道家としての修行を積んだ姿。後に烈光の鎧を授かり改名。後に新世大将軍へと出世する。飛駆鳥と號斗丸の父親。烈光の鎧の消耗が激しいのか闘破の鎧を引き続き使用する。

・武者飛駆鳥
 モチーフ:V2ガンダム
 登場作品:七人の超将軍編
 新世大将軍の長男で號斗丸の兄。鋼鉄迦楼羅(メタルガルーダ)と合体して金色の羽衣を纏う。潜在能力は高く超将軍達や弟共に戦う中で超将軍へと覚醒、後に歴代最強と名高い飛駆鳥大将軍へと出世し、新世大将軍の後継者となる。魔星大将軍による内乱では烈破の息子である武零斗の姿を借り本物の武零斗と共に號斗丸達を影ながら助けていた。本作では白龍や阿修羅達に頑駄無結晶の力を借りて父である烈光と共に自力で実体化した。
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