魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
「チッ! お前達、奴等を先には進ませるな!」
袁紹バウが倒された事に舌打しつつ、曹操と戦っている龍将飛将に変わって雷火が部下達へと激を飛ばす。ある程度切り札として扱っていた闇凶車を破壊された事は大きいが、切り札はそれだけではない。
「こうなったら、あれを使うぞ」
「おお! お前達、踏み潰されたくなかったら道を開けろ!」
雷火の言葉に答えるのは氷破。前線で戦っている部下達に道を開ける様に指示すると、地面の底から唸り声が響いてくる。
『グォォォォォォォォォォォォオオ!!!』
一つや二つでは無く複数の唸り声が重なり、一つの大きなそれへと変わっているそれが段々と大きく……イヤ、近付いてくると雷火と氷破は後方から無数のマッドゴーレムが出現する。
ジークジオンの魔力によって動く巨大な泥人形、伝説の巨人の紛い物達が一斉に敵陣へと襲い掛かる姿は敵からは恐怖を、味方からは頼もしさを感じさせるものだろう。弱点を知らない者達にとって脅威以外の何物でもない。特に弱点について知らないクロノと局員達やなのはにとっては、だ。そして、泥人形と言う作り物で有るが故の耐久力は最初に倒されたジャイアントジオングよりも高い。
炎を纏った拳で撃破する烈光と、法術師ニューの魔法によって炎を纏った剣で撃破する剣士ゼータが確実に数を減らしているが、倒されて土へと戻ったマッドゴーレムの残骸は即座に退避していた雑兵たちによって水をかけられ、土から泥へと戻る事によって泥の巨人として再生する。
「こいつ等!」
次々とマッドゴーレムを投げ飛ばしていくのは金剛鋼丸形態の鋼丸だ。力ではマッドゴーレムよりも鋼丸の方が上なのだろう。それとも量産型である為、個々のパワーで下回ってしまっているのかは定かでは無いが、投げ飛ばした固体が別の固体にぶつかり仲間を巻き込んで倒れていく。
「なるほど、貴様がワシを抑えているのはこういう狙いもあったか」
「へへっ、そう言う事だ」
炎の技を操る曹操ならば一気に司達の為の道を作るのも可能だろう。だが、龍将飛将は不死の肉体を武器に曹操を完全に足止めしている。破邪の力を持った武器や技ならば致命傷を与えるのも容易いだろうが、それを持たない者にとっては脅威以外の何物でもない。
機駕の将達も巨大なゴーレムの軍勢に驚きはしたが、弱点を理解した後は果敢に攻めている。
「これ以上此処で足止めをされるのは不味いな」
「確かに。時間を掛け過ぎると奴に完全復活までの刻を与えてしまう」
また一体マッドゴーレムを炎を纏った拳で撃破した烈光の言葉に飛駆鳥が同意する。
「父上、兄上、オレも」
「いや、 號斗丸。お前達はこの先に居る闇の化身を討て」
金色の羽衣を纏った飛駆鳥と、その改名の由来となった烈光の鎧を纏った烈光は號斗丸へとそう告げる。かつて闇の化身を倒した頑駄無達とは言え、大きく力を制限されている状況で完全復活した闇の化身を倒すのは難しい。
「分かりました」
飛駆鳥と烈光の言葉に同意する。
「ゼータ、ダブルゼータ、ニュー! 私達もジークジオンの元へ向かう」
「「「はい!」」」
同時に騎士アレックスもマッドゴーレム達と戦っているアルガス騎士団へと指示を飛ばす。
「私も行く。此処の事は私が一番詳しいから」
「フェイトが行くならあたしも行くよ!」
戦場となっている時の庭園が自宅のフェイトも其方へと参加する事を決める。当然ながら彼女の使い魔であるアルフも其方だ。あとは、
「みんなが行くなら私も行くの!」
號斗丸達と一体化している司や騎士アレックスと一体化しているユーノだけでなく、フェイトも行くのならばなのはが此処に残るという選択肢は無いだろう。
「だったらぼくも行く。君達ばかりに戦わせるわけには行かない」
最後にクロノも其方へと参戦する事を決める。先へと進むメンバーがこれで決まった。
「ふっ、奴等が覚悟を決めたと言うのに、ワシが何時までも梃子摺っている訳にはいかんな」
「ふん、破邪の力を持たないお前にオレを倒す事は出来んぞ!」
炎骨刃を納め、曹操は七つの宝玉が埋め込まれた美しい剣を抜く。儀礼用とも思われる美しい剣だが、その剣は劉備の持つ龍帝剣にも匹敵する剣『星凰剣』の覚醒前の姿である剣『七星剣』。
曹操が七星剣を抜いた瞬間、七つの宝玉の輝きと共に七星剣は星凰剣へと覚醒する。龍将飛将もその剣の持つ力に気付いたのか警戒を強める。
一瞬の警戒が浮かんだ瞬間、曹操は龍将飛将へと向かい、
「なっ!?」
その巨体を蹴って彼等の進むべき方向へと向かう。
「ワシが道を切り開いてやるのだ。敗れる事など許さんぞ!」
星凰剣を構えると曹操の闘志が炎となって刀身へと集中する。
「なっ!?」
炎となった闘志を纏う曹操から放たれるのは大将軍の象徴と同じく鳳凰の姿をしたオーラ。その姿に天宮の国の最強の武者である大将軍の姿を幻視する龍将飛将。
「っ!? させんぞ!」
「それはこっちの台詞だ!」
慌てて曹操の行動を止めようとする龍将飛将だが、それよりも早く飛駆鳥が龍将飛将の動きを止める。
「
発生させた鳳凰のオーラを行く手を阻むマッドゴーレムの群へと放つ。最大の弱点と成る炎のオーラ、それによって次々と炎上していくマッドゴーレム達。曹操の必殺技による一撃は確実に司達の道を作る。
「今だ行け! この機を逃すな!」
號斗丸達の方を向き直り曹操は彼らへと激を飛ばす。
「っ!? そうはさせるか!」
龍将飛将が號斗丸達の邪魔をしようとするが、今度は星凰剣を向けた曹操が龍将飛将の行く手を阻む。先程とは逆となった構図だ。
「良し、今だ! 曹操殿が作ってくれた好機を無駄にするな!」
「『はい!』」
その瞬間を逃さず烈光が叫ぶ。同時に答えるのは司と號斗丸だ。
炎上するマッドゴーレム達の道を抜けていく號斗丸の姿の司と騎士アレックスの率いるアルガス騎士団、アルガス騎士団が殿を務めた事で間になる形になったのはなのは、フェィト、アルフ、クロノの三人と一匹の魔導師組だ。
烈光はそんな彼女達へと視線を向け、
「これを持って行け! これからの戦い、必ず何かの役に立つはずだ!」
そう言ってなのはとフェイトの二人のそれを投げ渡す。
「え?」
「わわっ!」
慌てて受け止めるフェイトとなのは。彼女達の手に収まったのは金色の鳳凰の装飾が施された緑色のクリスタル。
「……調べるまでも無く、それって間違いなくジュエルシード以上のロストロギアなんだが……。いや、今はそれよりも優先する事があるか……」
真面目な部類に分類されるクロノとしては、二人に渡された頑駄無結晶がジュエルシード以上のロストロギアに値すると確信していたりする。まあ、劉備や曹操の持っている龍帝剣に星凰剣やアルガス騎士団の三武具も十分にロストロギアに分類できるだろう。
それらに関しては全面的に見逃す事にしたクロノだった。……一々気にしていたら限が無いと感心したのだろう。
「っ!? 奴等を行かせるな!」
慌てて指示を飛ばす雷火。残ったマッドゴーレム達に行く手を阻ませようとしたのだが、次々と手足を撃ち抜かれていく。
「號斗丸! お前達の背中はオレ達が守る! 後ろは気にするな!」
「頼んだぞ、鋼丸!」
後ろから響く友の言葉に振り返らずに答える號斗丸。鋼丸の砲撃によって號斗丸達に近付こうとするマッドゴーレム達の手足が次々と砕かれていく。雑兵達も機駕五将+1と龍将飛将の相手を再び曹操と変わった飛駆鳥、ガンダム達の参戦や袁紹バウを討った事によって士気の上がった局員達によって阻まれる。
辛うじて生き残ったマッドゴーレムが正面に廻るが、
「させるか!」
烈光の炎を纏った拳によって沈黙させられる。そして、號斗丸達の姿が時の庭園の奥へと消えて行った。
「くっ! 追え、奴等を行かせるな!」
「良いのか?」
氷破が指示を出すが、それを阻むように曹操の声が響く。
「オレ達に背中を向けると言う事が、どう言う意味か……分からないはずは無いだろう」
飛駆鳥が愛刀を構えながら告げる。
「今までとは立場が逆転したな。今度はオレ達が言わせて貰おう。誰一人此処から先へは行かせはしない!」
拳を構え宣言する烈光。
曹操、烈光、飛駆鳥。生まれた時も違う本来ならば集うはずも無い三人の王が集うと、その配下である機駕五将に典韋アッシマー、金剛鋼丸形態の鋼丸が彼等の元へと集う。
「ふっ、伝説の龍帝の戦友と共に戦うことになるとは、流石のワシも思わなかったな。お前達! 誰一人此処から先へと進ませるな! 機駕の将の武を存分に奴らに見せ付けてやれ!」
「「「「「「はっ!!!」」」」」」
士気も高く声を揃えて答える機駕の将達。
「飛駆鳥、武者として息子達と共に戦える事は、こんな時とは言え嬉しく思うな」
「オレもです、父上」
大将軍として軽々と動けない立場の親子が武者として共に方を並べて戦えると言う事実、それには彼等にしか分からない思いが有るのだろう。
「「「行くぞ!!!」」」
曹操、烈光、飛駆鳥の声が重なり、立場が逆転した戦いが再開された。