魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
フェイトの先導の元に内部へと突入した司達一行。後ろから聞こえてきた戦闘音は先に進むに連れて聞こえなくなってきた。曹操や機駕五将+1、烈光と飛駆鳥と残る一般局員達が食い止めてくれているのだろう。
「アレックス騎士団長、確か司の元には貴方のカードは無かったはずですが」
「ああ、私と孔明殿のカードは司の元にでは無く、ユーノ・スクライア、彼の元にあったんだ」
走りながら騎士アレックスは剣士ゼータの問いかけに答える。実際、司が手に入れたガンダム達の眠るカードは全てではなく、回収していないカードのほうが多いといえる。まあ、中には何らかの切欠で覚醒したカードが自分から司の下に来る事も有るのだが。
そんな中である程度不完全ながら意識が覚醒していた騎士アレックスと孔明リガズィは司の元に行かずにユーノの元に有った。
「どうやら、彼は私と孔明殿と親和性が合ったらしい」
『付け加えると、彼は曹操殿と高い親和性が有る様子ですね』
騎士アレックスの言葉に孔明がクロノへと視線を向けつつ補足する。
『そして、闇将軍との戦いで劉備さん達を援護するため、少し私達だけでなく彼にも大きな負担をかけてしまいました』
闇将軍との決戦の後にユーノが暫く倒れていたのは、最強形態である『天翔竜 孔明νガンダム』の力を扱う事は始めてガンダム達の力を使ったユーノにとっては負担が大きすぎたと言う訳だ。
本来自由に戦えない世界で多くの助けを借りたとは言え、自力での実体化が出来た烈光や飛駆鳥と言った大将軍達の力は、正に最強の武者に相応しいと言える。……同様に他の大将軍へと出世した武者達も同様の事が出来る可能性もある。
『!?』
そんな会話をしながら通路を進んでいると彼らを振動が襲う。
「何だ、地震か!?」
「いや、これは正しくは次元震だ。まさか、ジュエルシードが複数発動したのか!? このままだと、下手をしたら次元断層が……」
闘士ダブルゼータの言葉にクロノが答える。間違いなく此処にあるジュエルシードを発動させているのは、此処を占拠しているジークジオンだろう。
彼らがそんな会話をしている間にも揺れは酷くなっていく、幾つか床が砕け其処から奇妙な色をした足場が見える。
「それは虚数空間、魔法の効力が無力化される空間だ。飛行魔法も使えないから、重力の底まで落ちていくぞ」
『ぼく以外本当に危なそうだね』
司の場合は魔法関係なく自力で飛行できるガンダムにでも変身すれば何とかなるだろうが、魔法で飛行している他のガンダム達……特に法術師ニューは危険だろう。
「不用意に空中を飛んで移動するのは危険か。ニュー、敵の襲撃に備えて空中から偵察して貰っていたが、此処からは飛行魔法は使うな」
「はい!」
「ゼータ、ダブルゼータ、戦う際は足元に気を付けるんだ」
「はい!」
「おう!」
「此処からは敵の襲撃に対しては十分に気をつけろ」
そう言って騎士アレックスが注意を促すが、幸か不幸か敵の襲撃は無かった。後方で曹操達が戦っているのが敵の全戦力なのかは疑問だが、不完全な状態とは言えこの先に待っているのはアルガス騎士団がバーサル騎士ガンダムと共に戦ったスダ・ドアカワールドの最初に姿を見せた闇の化身、闇の皇帝『ジークジオン』だ。
そんな相手がこの先で待っているのだから、余計な戦闘が避けられるのは幸いと言っていいだろう。
『問題はジークジオンの居場所だけど』
『それなら問題ない。號斗丸、オレと代わってくれ』
「分かった」
「『騎士変化!』」
司の姿が武者號斗丸の物から魔龍剣士ゼロガンダムへと変わる。スダ・ドアカワールドの騎士ガンダムであるゼロならば、スダ・ドアカワールドの闇の化身であるジークジオンの居場所を感知するのも容易いと考えたからだが、
「奴の気配は下の方から感じられるが……別の魔力が上に有るな」
「うん、そっちには
『それなら間違いなく下だね。後はプレシアさんが何処に居るかだけど……』
ゼロの言葉にフェイトがそう補足する。敵が居るのは地下で間違い無さそうだが、問題は元々此処に居たプレシアの行方だ。
先に進みながらクロノがアースラとの通信を開いてエイミィに確認をとると、
『えっと、ちょっと待ってね~……。うん、庭園の最下部に生体反応及び魔力反応が二つ。その一つは海で戦ったあの……』
「闇将軍か?」
『そうそう。その闇将軍に似た波長の魔力だから、あいつ等のボスで間違いないと思うよ』
現状闇の化身達は言ってみれば魂だけの肉体を持たない状態だが、仮に肉体を得ていれば生命反応も存在している。だが、
「妙だ。ジュエルシードを利用して復活しようとしているなら、何で生命反応がある?」
『確かに、復活しようとしているのに生命反応があるのはちょっと変だね』
ジークジオンの物と思われる生命反応が有る事に対する疑問が沸くが、当然ながらそれに対する答えは出ない。
「今は迷っていても敵に利を与えるだけだ、生命反応がある場所へ急ごう」
そう言って先へと進む事を促すのはクロノだ。確かに今は議論をしている暇は無い。一刻も早く
「確かに。此処に居る闇の化身がジークジオンなら、完全復活してしまってはドラグーンを召喚しても勝ち目が無い可能性がある」
「そんなに凄い相手なの?」
ゼロの言葉になのはが疑問の声を上げる。闇の皇帝ジークジオン。スペリオルドラゴンと成った騎士ガンダムだけではなく、ゼロの前の時代の勇者である月光騎士ネオガンダムとも戦った闇の化身でもある。
そして、ジークジオンの最終形態は六体の機甲神が合体した『超機甲神ガンジェネシス』との最終決戦を演じた強大な力を持った超巨大なモンスターだ。
……最もこの時に六体の機甲神が合体した真の姿であるガンジェネシスは実は未完成で、真の超機甲神として操者である『月影騎士ルナガンダム』と共に敵の手に落ち、『影機甲神カオスガイヤー』へと改修された元々の月光騎士ネオガンダムの操縦する機甲神であった『機甲神アルテイヤー』と合体した『超機甲神ガンジェネシス・ファイナルVer』が存在していたそうだ。
当然、生身で太刀打ちできる相手でもなく、龍機ドラグーンだけでは勝ち目は無いだろう。せめて『マルスドラグーン』になれれば話は別だろうが。
実際、月光騎士ネオガンダムの操る『機甲神エルガイヤー』と『装甲戦車スーパーオーキス』の放った『闇機甲神ガンジェノサイダー』を倒した必殺技『バビロンフェニックス』さえ無傷で耐えたほどの強敵だ。
ゼロ自身、月光騎士ネオガンダムのエルガイヤーにドラグーンが劣っているとは思わないが、同時に勝っているとも思っていない。正しく評価して結果、勝ち目が無いと考えるのも無理は無いだろう。
(だが、不完全とは言えオレ達だけで勝てるのか?)
ふと、ジークジオンの元へと向かいながらゼロはそんな事を思う。
そう、ジークジオンはスペリオルドラゴンへと覚醒した騎士ガンダムに敗れた後にも、騎士GP01や月光騎士ネオガンダムの時代の戦いでも影から暗躍し、最終的にはスペリオルドラゴン、真聖機兵ガンレックス、超機甲神ガンジェネシスと言った三つの強大な力を集結してやっと倒せたほどの強敵だ。
……しかも、運命の三騎士の一人である重騎士GP02を利用し、運命の三騎士の集結を遅らせた。『バーサル騎士GP01』の頃ではスペリオルドラゴンとの融合をしなければ操者として操れなかった真聖騎兵を単独で操れた事からも、運命の三騎士として覚醒した際の力量は伺う事が出来る。
そのまま先に進んでいると一行の前に巨大な扉が現れる。半分が崩れて人一人が通れる程の隙間が開いている。
「ジークジオンが居るのはこの先で間違い無さそうだな」
「扉を開ける手間のが省けるのは良いが……」
「ああ」
ゼロとクロノがそんな会話をしながら視線をフェイトの方に向ける。表向き現れていないが、自宅を荒らされているのだから気分が良い物では無いだろう。
その扉の隙間を注意深く潜っていくと、その先には……
『グォォォォォォォォォォォオ!!!』
咆哮をあげる一際巨大な三つの頭を持ったマッドゴーレム……『ギガ・マッドゴーレム』とでも名付けるべき固体と、周囲に散らばっている大量の金属片が散らばっていた。
「っ!? こんな化け物が待っていたのか?」
「いや、巨大と言ってもマッドゴーレムの亜種だ。ゼータ、ニュー」
最初に目に飛び込んできた巨体に驚愕の声を上げるクロノだが、騎士アレックスは己のマントを剣に巻き付けて剣士ゼータと法術師ニューに指示をだす。
「分かっています」
「どれだけ巨大になっても一度倒した相手、既に弱点は分かっている」
騎士アレックスの指示に答えながら己の剣にもマントを巻き付ける剣士ゼータと、剣に巻きつけた二人のマントに魔法で火をつける法術師ニュー。
巨大化したとは言え一度倒したモンスター、弱点は分かっている。
「「はっ!!!」」
『グォォォォォォォォォォォォオ!!!』
騎士アレックスと剣士ゼータの即席の火の剣で切り裂かれるギガ・マッドゴーレムを他所に他のメンバーは砕かれた金属片を調べている。
「これは恐らく傀儡兵、魔力で動く機械の残骸だ」
後ろでギガ・マッドゴーレムと戦っている二人のガンダムの姿を視界に入れない様に残骸を調べていたクロノの推測にフェイトが頷く事で答える。
「なるほど、此処であいつ等の足止めをしようとしたのか」
「だが、あの巨大なマッドゴーレムに返り討ちにされたか」
実際にはギガ・マッドゴーレムだけでは無いだろうが、闘士ダブルゼータとゼロはそう推測する。そして、そのギガ・マッドゴーレムを今度は自分を追って現れるであろうガンダム達の迎撃の為に残したと言う訳だ。
「……お母さん」
「……フェイト」
「……フェイトちゃん」
此処に居る母の安否を心配するフェイトとそんな彼女に心配そうな視線を向けるのはアルフとなのはだ。
闇将軍と対峙した彼女達は闇の化身の恐ろしさの一部を味わっている。そんな相手が軍勢を率いて攻めて来たのだから、安否が不安になるのは無理も無いだろう。
『……フェイトさん。大丈夫、プレシアさんはぼく達が絶対に助けるから』
「……司」
不安そうなフェイトを元気付ける様にそう念話で声を掛ける司。……どうやら、ゼロの意識が表に出ている状態でも念話での会話だけはガンダム達以外にも通じる事ができる様子だった。その為に念話の魔法を学んだわけだが、結果的にガンダム達に体を貸している状況でも会話は出来るようになった。
「ああ。ぼく達の目的は闇の化身の復活の阻止と、プレシア・テスタロッサの保護だ。彼らがあのモンスターを撃破次第先に……」
『グォォォォォォォォォォォォォオン!』
クロノがそう纏めている間に二人の剣の使い手と一人の法術師によってギガ・マッドゴーレムの撃破に成功した様子だった。
「……撃破出来たから先を急ごう」
自分ならどれだけ時間が掛かるかと考えてしまい、改めてガンダム達の力を理解するクロノだった。
「ああ」
そんなクロノの言葉に同意するゼロ。そして、再びフェイトの先導の元に時の庭園を進むのだった。