魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs-   作:龍牙

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Battle003

「有った」

 

司は三枚のカードを新たに拾い上げる。ジュエルシードの魔力か、ジュエルシードを狙う闇の存在に呼応してか、ガンダム達が姿を変えたカードの存在が司達にも微かにだが分かるようになっていた。

 

だが、其処にカードの中に封印されたガンダム達の意思が関係しているので有れば、間違いなく動き始めている事態に対応すべく司に自分達の存在を教えているのだろう。

 

そんな訳でその日の放課後、司は海鳴市にある自らの居場所を伝えているカード達の回収を行っていたわけだ。

 

「これで二十枚以上のカードは回収できた。けど……」

 

『だけど、力を出せるのはオレとゼロだけか』

 

『もう一枚力を発揮できるカードは有るには有るが、あれは使いどころが難しいしな』

 

「そうだね」

 

頷きあう號斗丸とゼロと司。まあ、それが三人の三枚目のカードに対する評価だろう。……流石に『戦艦』は使い辛い。

 

一つ付け加えておくと、今回原典世界で起こった神社でのジュエルシードの暴走は起こらなかった。原因を挙げると暗躍している闇の勢力……白い狐のようなMS(妖怪)『九尾犬(バウンドドック)』が回収した事が原因である。

 

そんな訳でなのははジュエルシードの発動に巻き込まれることもなく、ユーノから無事に事情説明を受けていた。

 

『っ!? 今の魔力は!?』

 

『闇の気配か!?』

 

そんな会話を交わしていた時にゼロと號斗丸がそんな声を上げる。ゼロが気付いたのはジュエルシードの魔力、そして號斗丸の感知したのはそれを狙っているであろう、初めて遭遇する事になる闇の気配だ。

 

「急ごう!」

 

『ああ!』

 

「『武者変化!』」

 

司の声に號斗丸が答える。そして、同時に叫ぶ声が重なり司と號斗丸のカードが重なると、彼の姿が號斗丸へと変わる。

 

「急ぐぞ!」

 

『「ああ!」』

 

號斗丸の声にゼロと司が答える。魔力と闇の気配の二つを感じたゼロと號斗丸の誘導で、ジュエルハードの発動した場所へと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グォォォォォォォォォオオ!!!』

 

声もならない方向を上げて暴れまわるのは紫色の巨人。顔はゼロや號斗丸と言ったガンダムに似ているが纏っている雰囲気は彼らと同じものではない明らかな『邪悪』。騎士や武者と言った戦士と言った彼らと違い、それは『モンスター』と言った所だろうか?

 

それもそのはずだろう、それは伝説の巨人『サイコゴーレム』をモデルにジオン族によって作り出された泥の巨人、モンスター『マッドゴーレム』だ。共に騎士ガンダムの物語の中で二度目の戦いの中で戦ったモンスターだ。

 

「ムービルフイラ!!!」

 

同時に魔術師を思わせる服装をしたMS『呪術師メッサーラ』の放つ魔法『ムービルフイラ』の紫の光がマッドゴーレムと戦っていた少女を襲う。

 

「くっ」

 

必死にそれを避けて反撃を試みているが彼女の持っている杖(デバイス)から伸びる黄色の光の鎌による攻撃は決定打に欠けているのだろう、呪術師メッサーラの操るマッドゴーレムには効いていない。逆に動きの鈍いマッドゴーレムの攻撃は彼女に当たる事は無いが、そのフォローをする様に放たれる呪術師メッサーラが彼女の動きを限定する。

 

(強い)

 

そう思う。過去に騎士ガンダム達に倒されたとは言え、伝説の勇者と歌われた騎士ガンダムを苦しめた呪術師とモンスター。経験の面でも実力の面でも幼い彼女に太刀打ちできる相手では無い。

 

「ちょこまかと動き回るな。だが……やれ、マッドゴーレム!」

 

「っ!?」

 

何時の間にかメッサーラの魔力弾によって誘導されていた事に気付いた時にはマッドゴーレムの腕が叩きつけられる寸前だった。

 

確実にマッドゴーレムの一撃を避ければ其処をメッサーラに狙い撃ちにされる。どちらにしてもダメージは逃れられない事を悟った時、一瞬だけ判断に迷ってしまう。その一瞬が命取りになりマッドゴーレムの拳は彼女へと迫っていた。

 

(避けられない!)

 

その光景に思わず目を閉じるが、何時までも衝撃が来ない事に恐る恐ると言った様子で目を開ける。

 

『グォォォォォォォォォオオ!!!』

 

「え?」

 

左右に分かれる様に切り裂かれたマッドゴーレムの腕。片手を失った事に苦痛の声を上げてるマッドゴーレム。そして、彼女を守る様に立っているのは二本の刀を構えた號斗丸の姿だった。

 

『あいつはマッドゴーレムと呪術師メッサーラ!』

 

敵の正体を見た時ゼロはそう叫ぶ。ゼロの時代よりも遥かな昔に騎士ガンダムによって倒された呪術師とモンスターの姿だが、一応は知識が有るのだろう。

 

「大丈夫か?」

 

「……あ、貴方は……?」

 

「き、貴様! ガンダム族だと!」

 

そう尋ねる少女とメッサーラの言葉に號斗丸は愛刀を構え、

 

「オレの名は武者號斗丸!」

 

高らかに叫ぶ號斗丸の言葉にメッサーラは怒りの感情を浮かべる。憎悪に近いその感情は過去にガンダムによって倒されたことが原因だろう。

 

「や、やれマッドゴーレム!!!」

 

『オォォォォォォォォォオオ!!!』

 

切り裂かれた筈の腕が切断面から生えるように再生する。

 

『……號斗丸、マッドゴーレムの弱点は火だ』

 

(分かった)

 

マッドゴーレムも呪術師メッサーラもスダ・ドアカワールドのモンスターと呪術師、特に過去に騎士ガンダムと戦ったことが有る時点でゼロもその情報は知っている。

 

「あ、あの、ありがとうございました」

 

マッドゴーレムに対する対抗策を考えている時、先程助けた少女がそうお礼を言ってくる。黒いバリアジャケットを纏った金色の髪をツインテールにしている少女へと號斗丸は視線を向ける。

 

「いや、丁度近くを通り掛った所だからね」

 

「それに、ヤツラはオレ達の敵だからな」

 

司と號斗丸が少女にそう答えるとマッドゴーレムとメッサーラへと向き直る。

 

「ヤツラはオレが何とかする。核の封印は任せた」

 

「う、うん!」

 

號斗丸の……正確には司の言葉に反射的に返事をする。號斗丸にとって炎は得意技であり、司自身もマッドゴーレムと対峙している事への恐怖もない。號斗丸やゼロの方が目の前の相手よりも何倍も強い事は、一体化している司が一番よく分かっている。

 

少女の言葉を聞くと號斗丸は刀を背中にある鞘に納めると一直線にマッドゴーレムへと向かう。

 

「叩き潰してしまえ、マッドゴーレム!」

 

『グォォォォォォオ!!!』

 

「爆熱拳!」

 

振り下ろされるマッドゴーレムの拳を避けて號斗丸は爆熱甲を展開し、炎を纏った拳を叩きつける。それと同時にマッドゴーレムの体が炎に包まれ崩れていく。マッドゴーレムは泥の巨人、泥は炎によって槌に変えるのみだ。

 

「な、なんだと!」

 

驚愕するメッサーラを横目に號斗丸は背中の刀を抜き、

 

「爆熱の陣!」

 

胸部の炎水の玉の輝きと共に鎧を爆熱の陣へと変形させる。

 

「「唸れ爆烈! 轟け熱破!」」

 

今度はあの時の物とは違い司との意思を一つにした全力……とは言っても周囲の被害を考えると多少は加減はしているが、十分な力で放つ必殺奥義!

 

右手に持つ『熱破刀』を側面に振り下ろしながら、左手の『爆烈刀』で同様に炎を描きつつ振り上げ、二刀で輪を描き、溜めた闘気を正面から放つ。

 

「「熱火! 爆輪斬!!!」」

 

それこそが號斗丸の奥義『熱火爆輪斬』!

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

號斗丸の奥義に体が崩れ始めているマッドゴーレム共々飲み込まれるメッサーラ。

 

「今だ」

 

號斗丸の言葉に彼女は魔法陣を展開する。

 

「サンダー…」

 

「まだだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

「っ!?」

 

地獄の其処より響く様な怨念の篭った声、視線だけで呪えそうな程の憎悪を込めて號斗丸達を睨みながら、メッサーラはマッドゴーレムの残骸……むき出しになったジュエルシードへと向かう。

 

「もっと力を!!! 奴等を!!! ガンダム共を倒せる力を!!!」

 

そう叫びながらジュエルシードに触れた瞬間、マッドゴーレムの残骸が崩れ去り、黒石年体がメッサーラさえも飲み込むと、その姿をマッドゴーレムとは全く違う溶岩の巨人へと変える。マッドゴーレム改め『マグマゴーレム』は、

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」

 

「っ!? 危ない!」

 

既に意識さえも憎悪に飲み込まれたメッサーラの声で叫びながらマグマゴーレムは襲い掛かる。それを見て襲い掛かるマグマゴーレムの拳から慌てて少女を逃れさせる。

 

「ぐっ!?」

 

「あっ! だ、大丈夫ですか!?」

 

微かに方に掠る一撃でさえ高温の拳は、土塊から溶岩へと変わった事による強化は確実にマッドゴーレムの頃よりも強くなっているのが分かる。

 

「ああ」

 

『號斗丸、オレに変われ!』

 

(分かった!)

 

少女の声に答えながら號斗丸はゼロの声に答える。マグマゴーレムへと走り出す號斗丸を止めようとする少女の反応よりも早く、

 

『行くぞ、司!』

 

「ああ!」

 

「『騎士変化!』」

 

一瞬だけ司の姿へと戻ると素早くその姿を魔龍剣士ゼロガンダムの物へと変える。

 

「どれほど強力な力の中に隠れても……」

 

背中に背負った青く輝く剣『雷龍剣(サンダーソード)』を抜き放つ。

 

「お前の弱点はその核! お前だ呪術師メッサーラ!」

 

振り下ろされたマグマゴーレムの拳を避けて雷鳴を纏った雷龍剣をマグマゴーレムへと振り下ろす。

 

「『雷鳴斬(サンダーバリアント)!』」

 

マグマゴーレムを切り裂く一閃の纏った雷撃はその核となったメッサーラを飲み込む。

 

「グギャャャャャャャャャヤ!!!」

 

「『汚れし者よ、(ゼロ)に返れ』」

 

號斗丸とゼロの二人の勇者の必殺技を受け、メッサーラは今度こそ消えて行った。同時にマグマゴーレムの姿も安定を失っていく。溶岩から黒い泥の様な思念体へ、

 

「今だ!」

 

今度こそ好機(チャンス)と、後ろに居た少女へとそう叫ぶ。

 

「サンダー……レイジィィィィィイ!!!」

 

少女の展開した魔法陣より降り注ぐ稲妻が思念体を飲み込み、そのままジュエルシードを封印した。

 

「ジュエルシード! 封印!!」

 

そしてそのまま少女は光の刃が消えた杖にジュエルシードを封印する。

 

「あ、あの……何度も助けてくれて……ありがとう……」

 

少女は改めて礼を述べる。

 

「気にしなくても良いよ、あいつらは元々オレ達の敵だったんだし」

 

「わ、私は『フェイト・テスタロッサ』です。あの……號斗丸、さんでしたよね。このお礼は……」

 

「いや、今のオレは魔龍剣士ゼロガンダム、だ。お礼も良いよ、当然の事をしたまでだからね」

 

そう言ってゼロは雷龍剣(サンダーソード)を背中へと納めて白いマントを翻して立ち去っていく。

 

「行っちゃった……でも、どう言うなんだろう?」

 

思わず先程の言葉の意味を考えるフェイト。ゼロと名乗ったり、號斗丸と名乗った意味と、

 

「……私と同じくらいだったな……」

 

そう呟くとフェイトはゼロが立ち去った方向を見つめながら、

 

「……また、ね……」

 

そう呟く。

 




今回登場のSDガンダム

・巨人マッドゴーレム
 モチーフ:サイコガンダムMk-Ⅱ
 出展:SDガンダム外伝ジークジオン編
  SDガンダム外伝ジークジオン編の第二部『伝説の巨人編』に登場。ジオン族がサイコゴーレムを模して作り出した偽の巨人。泥の巨人で炎が弱点。後の『光の騎士編』では多数出現するが、五人のガンダムの敵ではなかった。
  本作ではジュエルシードの思念体として登場し呪術師メッサーラに操られ、熱火爆輪斬で倒される。

・呪術師メッサーラ
 モチーフ:メッサーラ
 出展:SDガンダム外伝ジークジオン編
  SDガンダム外伝ジークジオン編の第二部『伝説の巨人編』に登場。攻撃呪文を得意とする呪術師。ムービルフイラの呪文を操る。水晶玉を奪いサイコゴーレムを操っていた。
  本作では最初に戦う闇のMSとして登場。ジュエルシードを廻って思念体であるマッドゴーレムを操ってフェイトと戦うが司達が彼女に加勢した事で熱火爆輪斬で敗れるも、最後の悪足掻きとしてジュエルシードを再度暴走させ、マグマゴーレムへと変貌する。

・巨人マグマゴーレム
 モチーフ:量産型サイコガンダム
 出展:オリジナル
  本作オリジナルのSDガンダム。モチーフは量産型サイコガンダム(一度はサイコガンダムMk-Ⅲにしようとも思った)。
  メッサーラがガンダム達を倒す為に最後の悪足掻きとしてマッドゴーレムのジュエルシードを再度暴走させ変貌した巨人だが、ゼロガンダムの必殺技『雷鳴斬(サンダーバリアント)』によって核となったメッサーラを倒され敗北する。
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