魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs-   作:龍牙

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Battle026《まだ途中です》

「此処で道は二つに分かれている、か」

 

 目的は飽く迄時の庭園を牛耳った闇の皇帝ジークジオンを倒す事だ。ならば上にある駆動炉には用は無い。ガンダム達が居れば戦力としては十分かもしれない。寧ろ魔導師組は還って足手纏いになる危険性も有るが……。

 

「下手に二手に分かれるのは危険だ。全員でプレシアの元へ行こう」

 

「クロノ・ハラオウン、良いのか?」

 

「プレシアの保護と此処を占拠した犯人の逮捕……それが叶わない場合は今回の事件の結末を見届ける事、それが仕事だからね」

 

 クロノはゼロの言葉に力強く答える。逮捕とは言っているが、実際完全にガンダム達との新たな闇の化身との決戦を見届ける事、そうクロノは割り切っていた。……そもそも、闇の化身などと言う化け物を逮捕しても管理局の方でも裁ける訳が無い。

 経験も実力も自分達ではガンダム達には遠く及ばない。それはジオン三魔団の一件や闇将軍との戦いで理解している。それでも、自分達にも何か出来る事は有る筈だと言う考えだ。

 ……はっきり言って力の差はドラグーンの巨大戦を見て身に染みている。特に龍機ドラグーンがカイザータイタニアを倒した姿には言葉を失ってしまっていた。

 だが少なくとも、プレシアの保護……己の誇りに誓ってそれ位はやり遂げると心に決めていた。

 

「私達と共に戦ってくれている司やユーノには悪いが、ジークジオンとの戦いで私達は生きて帰れなかった」

 

 騎士アレックスの言葉の意味はガンダム達以外の全員が理解できた。……守れる自信は無い、と言う事だ。彼らほどの戦士であっても全員が命を落したほどの戦い……その時点で既に想像を超えている。

 

「大丈夫だ。それに、幾ら貴方達でもこの先に居る敵と戦いながらプレシアを救助するのは難しい筈だ」

 

 プレシアを助ける程度の事はやってみせるから、そっちは気にせずに戦って欲しい。そう言う意味で言葉を返す。

 

(二度も、ぼくはあいつ等を相手に何も出来なかった)

 

 一度目のジオン三魔団には一方的に嬲り殺しにされるだけだった。二度目の闇将軍の姿をした闇皇帝には敵とさえ見られていなかった。だからこそ、そんな奴等と戦える……過去には勝利し己の世界を救ったガンダム達と、彼等と共に戦える司には羨望さえ抱いていた。

 同時に、僅かにだがその力を得たユーノにも嫉妬を覚えたほどだ。……そして、大量の敵を前に現れた漢、曹操ガンダム。彼に認められた時は本当に嬉しいと思ったほどだ。残念ながら、まだまだ彼の力を得るには未熟とは言われたが……同時に納得もしていた。

 

(だからこそ、僕は出来るだけの事はしたい)

 

 心からそう思う。彼に認められたと言うのはそれだけで何よりも誇りに思える。(間違いなく曹操ガンダムのカリスマに魅せられてる、クロノ君でした)

 だからこそ、それに恥じないだけの事はしたいと思う気持ちが有るのだ。

 

 どうでも良いが、下手しなくても曹操ガンダムなら時空管理局を乗っ取って、この世界にも機駕を創っても不思議じゃない気がするのは、決して気のせいでは無いだろう。

 

 そんなクロノの心境を知らずユーノの変身した騎士アレックスを先頭にプレシアの居るであろう場所へと向かって行く。

 

「はぁ!」

 

 それを阻むために現れるジークジオンの配下であるゴブリンザクを騎士アレックスは見事な剣技で撃退していく。

 

(……妙だ? 送り出してくる相手が雑兵しか居ない)

 

 かつての決戦の時の事を思い出してそう疑問を浮べる騎士アレックス。過去では彼等の影から生み出された同等の能力を持ったシャドウと呼ばれるモンスターや、ある可能性では騎士アレックスと相撃ちになったモンスターも存在していた。

 だが、此処に現れるモンスターはどれも簡単に一蹴できる物ばかり、かつてのムーア界に存在する雑兵よりも弱いモンスターだけだ。

 

(入口の守りやマッドゴーレムだけで力を使いすぎたのか……?)

 

 そう推測できるが、希望的な観測は危険だと考え、その考えを振り払う。寧ろ、それは考え辛い。

 闇の皇帝ジークジオンがそんな愚かな失敗をする様な輩では無い事は、騎士アレックス達……かつて騎士ガンダムと共にジークジオンと戦った者が一番分かっている。

 

(……これが敵のミスでは無いとすれば、誘っていると言う事か?)

 

『ぼくもアレックスさんの考えが正しいと思います』

 

 ユーノの肯定の言葉に騎士アレックスは心の中で無言で頷く。

 

『こんな時、孔明さんなら敵の狙いを見破ってくれると思います。けど……』

 

(今は孔明殿は力を使いすぎて眠っているからな……)

 

 破邪の力も強力だが、寧ろ彼の真の力は軍師としての能力にある。敵の狙いを知り、相手の思惑を読みきり……その一手先を行く。それが武将では無く軍師である孔明の戦いと言えるだろう。

 

 だが、決して孔明が直接的な戦闘に於いて弱いと言う訳ではない。『天翔竜』……伏竜が天へと翔けた時の力は推して知るべし。

 

 だからこそ、下手に戦力を分断するよりも最強の敵……ジークジオンとの戦いの為に戦力を集中することを選んだ。罠が有ったとしても、戦力を分断してジークジオンと戦えるとは思えなかった為だ。

 

「私達が道を作る! ゼータ、ダブルゼータ、ニュー、私に続け!」

 

「「「はい!」」」

 

 そんな考えを理解した上で騎士アレックスは先頭に立って仲間達を鼓舞する様に叫ぶ。スダ・ドアカワールドに於いて最初の勇者と言うべき騎士ガンダムと共に戦ったガンダム族の騎士、その雄姿は何も知らなくとも仲間達に勇気を与えるには十分過ぎるものが有った。

 

 行く手を阻むように出現するモンスター達をなぎ倒して行くアルガス騎士団の後を他の者達が続く。

 

 騎士アレックス、剣士ゼータが真っ先に切り込み、討ち漏らした者や倒しきれなかったものを闘士ダブルゼータの斧が葬っていく。そんな彼らを狙う様に上空から現れる敵は法術師ニューの魔法が打ち払う。

 

 同時に、

 

『今です!』

 

「ああ!」

 

 襲い掛かるモンスター達の何体かは騎士アレックスと一体化しているユーノの拘束魔法(バインド)で捕獲された後、騎士アレックスによって撃破されていく。

 一体化していても十分に魔法は使える様子だ。……騎士アレックスの魔法への適性もあるのだろうが、魔法はユーのが制御、騎士アレックスが直接的な戦闘を行う事で一種の魔法騎士としての戦い方が確立している。

 元々ユーノは補助に特化したタイプの魔導師であり、戦闘力に長けた騎士アレックスと一体化する事によって、経験と戦闘力は補われている。

 

「おりゃぁー!!!」

 

 暫く進んだ先に有る扉を闘士ダブルゼータが開ける。片腕だけで開かれた扉の先に一同は油断無く飛び込む。

 

「待っていたぞ、ガンダム共」

 

 そんな声と共に暗い闇に包まれた部屋の中に紋章の様な物が現れ、そこに目が見開かれる。

 

「っ!?」

 

「こうしてまた会うことになろうとは」

 

「流石に予想していたが、出来れば外れて欲しかったな」

 

「同感だぜ」

 

 騎士アレックス、剣士ゼータ、法術師ニュー、闘士ダブルゼータの声が響き、同時に彼等は手の中に握る各々の武器をより強く握り締める。

 

「「「「ジークジオン!」」」」

 

『あれがアレックスさん達が戦ったって言う……』

 

『闇の皇帝……ジークジオン』

 

 アルガス騎士団が同時に相手の名を叫ぶと、以前戦った闇皇帝にも匹敵する威圧感を持つ相手……ジークジオンに対して嫌な汗が流れるのを感じるユーノと司。

 

「奴がジークジオン……こうして対峙するのは初めてだ」

 

 騎士ガンダム達の世界に於いて、完全にジークジオンが倒された時代の生まれであるゼロは伝説の中に存在する闇の化身の姿に対して油断無く構える。

 

 英雄達とその力を扱う二人の言葉を聞き、ゆっくりと闇が消えてジークジオンのエンブレムが何かに溶け込んでいく。エンブレムが消えた瞬間、闇が消えて視界が確保される。

 

『なっ!?』

 

 巨大なモンスターとしてのジークジオンを想像していたガンダム達から驚愕の声が上がる。何故なら……

 

「あれって……」

 

「ガンダム?」

 

「まさか、奴もガンダムだったのか!?」

 

「いや、違う!」

 

 ガンダム達とは別の意味で驚愕している魔導師組の言葉を騎士アレックスが否定する。

 

『あれは武者だ、騎士では無い! あれは……』

 

 司の意識の中で號斗丸が目の前に居るガンダムを睨みつけながら、號斗丸の言葉を司が告げる。

 

『『武者……武者紅零斗丸!!!』』

 

 號斗丸よりも後の時代……新世大将軍の血筋の大将軍家が途絶えた時代に起きた戦いを潜り抜けた武者の一人、紅零斗丸。

 

「その通り。封印されて動けない紅零斗丸の体を乗っ取らせて貰った」

 

 目の前に居る紅零斗丸……暗黒紅零斗丸の表情が邪悪に歪む。その表情は英雄である紅零斗丸の物では無く、それを操っているジークジオンの物だとは分かっているが、共に戦うべき仲間が敵の手に落ちて敵の肉体として乗っ取られていると言う状況は受容れがたい。

 

 真紅に染まった体と漆黒の鎧……堕悪(ダーク)紅零斗丸の頃とは違いバイザーは無いが、真紅に染まった瞳で眼前の敵を見下ろしていた。

 

「お前達が闇皇帝に気を取られていてくれたお蔭だ。あの時、こうして我が肉体となるガンダム族を回収させて貰った言う訳だ」

 

「……お前は、ジュエルシードが目的じゃなかったのか?」

 

 愉悦に染まった顔で継げる暗黒紅零斗丸を睨みながらクロノが問いかける。

 

「違うな、どちらもだ。お前達が敗れてジュエルシードが得られれば良し。そうでなくともお前達が気を取られている間にこうして手に入れる事が出来ると言う訳だ」

 

 呪術師メッサーラとマッドゴーレム、ジオン三魔団と闇皇帝の配下と共にジークジオンが動いていたのは、ジークジオンがガンダム達の眠っているカードを回収するためと言う訳だ。

 

「もっとも、闇皇帝は最初からジュエルシードを利用して仮初の肉体を用意する心算だったようだがな。それにフューラも……おっと」

 

 

『話しすぎだぞ、ジークジオン』

 

 

 新たに現れる二つの幻影。それは幻影であってもなのは達魔導師達が動けなくなるほどの威圧感を持った存在……。

 

「フューラに……生きていたのか、闇皇帝?」

 

『辛うじてだがな……』

 

 忌々しげにジークジオンに答える闇皇帝の幻影は半身を失った姿で浮かんでいる。その姿は瀕死と言う言葉が最も相応しいだろう。

 

「生きていたのか!?」

 

『ほう、あの時の小僧か。……大将軍の力とは違うが忌々しい力を持った者に選ばれたようだな。……あの時に始末しておけば良かった』

 

 クロノの言葉で彼に気付き更に表情を歪める闇皇帝。……奴の言う『忌々しい力を持った者』とはクロノを認めた曹操ガンダムの事だろう。朱雀と鳳凰、別種だが大将軍のそれを連想させるには十分だ。

 

『だが、生きていたと言うのは間違っているな』

 

『その通り、我等はすでに一度死んでいるのだからな』

 

「そうして、仮初の肉体を破壊された所で次の仮初の肉体を捜せば良い事だ」

 

 クロノの言葉に嘲笑いながら答える三体の闇の化身。彼らは一度ガンダム達に敗れた存在……肉体を破壊された所で、それは一時的な休眠を促すに過ぎず、時が経てば復活するだけだ。

 

「だが、闇皇帝は手酷くやられた様だな」

 

『流石に二体のガンダムの光の技は危険か』

 

『奴等の技が、大将軍級の光の技でない事が幸いだったな』

 

 そして、次に瀕死となっている闇皇帝を嘲笑うジークジオンとフューラー。そんな他の二人の言葉に闇皇帝はそう呟く。

 

『くっ、奴を倒せる好機だったと言うのに』

 

『翔龍帝に、天玉鎧が有れば奴等の一角を崩す事が出来たと言うのに』

 

 そんな闇皇帝の姿に號斗丸と劉備ガンダムが悔しげに呟く。闇の化身……始まりの魔王の一角を崩せる絶好の好機(チャンス)を逃してしまっていたと言う事実は重いものとなる。

 

「だが、何をしに来た?」

 

『貴様が話し過ぎた様子だったのでな。ガンマドラゴンは興味が無いようだが』

 

『お前の邪魔をする気はないぞ』

 

 そう言って笑いながら消えていく二体の闇の化身。二つの威圧感が減った事でなのはとフェイトの二人がやっと動くことが出来た。

 

「はっ!? 母さんは!?」

 

『そうだ!? プレシアさんは何処だ!?』

 

 此処に居るはずのプレシアの姿を探そうとするフェイトとゼロに変身している司。そんな二人を一瞥しつつ、

 

「これの事か?」

 

 そう言って足元にいた何かを蹴り飛ばす。

 

「お母さん!?」

 

『プレシアさん!?』

 

 それは、ボロボロになりながらも完全に破壊されたデバイスを持ちながら最後まで抵抗しようとしていた様を見せる……意識を失った大魔導師と呼ばれた女性の姿。そんな彼女に駆け寄るフェイトとゼロの二人。

 

「良い肩慣らしになったな、その女は」

 

 暗黒紅零斗丸が腕を振り上げると三つの影が表れる。三体とも騎士のようだが、アルガス騎士団にもゼロにもその姿は見覚えが無い。おそらくは彼らよりも後の時代の騎士なのだろう。

 

「くくく……ジークジオン様。ヤツラの始末は我等にお任せください」

 

 リーダー格の剣士がそのモノアイでゼロ達一行を見据える。

 

「オレからアルガス騎士団の騎馬隊隊長の地位を奪ったあの女に復讐するために」

 

「「「「え?」」」」

 

 剣士の言葉に呆けた声がアルガス騎士団の四人から零れる。『復讐者(リベンジャー) 剣士シグー』。……後の時代のアルガス騎士団の騎馬隊隊長……酔った勢いでとある女性に敗れ退団した男……。

 

「おお、お任せください、シグー様」

 

「我等銀騎士の力をヤツラに……」

 

「貴様……」

 

 その部下の『偽銀騎士ゲイツ』と『偽銀騎士ディン』の言葉を遮り、怒りに満ちた剣士ゼータの言葉が響く。

 

「どうやら、あのバカ共はオレ達が相手する必要が有るようだな。まあ、その……なんだ」

 

「その様だ。ゼータ……気にする事は無い」

 

「……言わないでくれ、情けなくて怒りと同時に涙が出る」

 

 そんな剣士ゼータを励ます法術師ニューと闘士ダブルゼータ。流石に元とは言え後のアルガス騎士団の一人となると情けない思いがする。

 

「ふん、何を言っているか知らんが、同じ剣士として冥土の土産に、元アルガスの騎馬隊隊長の技を見せてやろう」

 

「そうか……アルガス騎士団騎馬隊隊長、剣士ゼータ! 貴様の性根を叩き直してやる!」

 

 愛剣を突きつけ、剣士シグーへと宣言する剣士ゼータ。そして、驚愕を浮べている間に、

 

「じゃ、手下の二人はオレ達に任せとけ」

 

「私達の後任は大丈夫なのか不安になる」

 

 少なくとも、彼等の後継者達は問題は無かったりする。少なくとも、剣士ゼータとしては剣士シグーを倒してくれて正式に騎馬隊の隊長になった彼女には感謝する事だろう。

 

「ゼータ、ダブルゼータ、ニュー、そいつらの相手は任せた」

 

「はい」

 

 剣士シグーの姿に頭が痛くなる思いを抱えながらも、彼らに偽銀騎士二人を含む敵の相手を全面的に任せる騎士アレックス。武者紅零斗丸の体を乗っ取ったジークジオンとの戦いが残されているので其方へと意識を向ける。

 

 

 

 




まだ続きます。
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