魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs-   作:龍牙

4 / 30
Battle004

『そう言えば今日じゃなかったか』

 

『ああ。司が助っ人を頼まれた試合は』

 

「ごめん、二人とも……思い出させないで」

 

二人の言葉に頭を抱えたくなる思いの司だった。まあ、二人のガンダム達の力を扱うと言う事は精神的な成長だけでなく、肉体的な成長も必要になってくる面がある。

具体的にいうと彼等の力を扱っている内に同年代の少年と比べ、かなり高い運動神経を発揮しているわけだ。

 

それでも、未だに二人の事実上の最終形態である『聖龍騎士ゼロガンダム』や『爆王頑駄無』になれないのだから、それぞれの世界で英雄とも勇者とも謡われるガンダム達のスペックの高さが伺える。

 

そして、ゼロの場合は未だに『龍機ドラグーン』の召喚も出来ていない。逆に言えば今までの戦いでドラグーンの力を必要としていないだけとも言えるが。

 

なお號斗丸の場合、ある意味での最終形態である『新號斗丸(ネオゴッドマル)』こと『輝神大将軍獅龍凰』が有るが、これは完全に例外である。確かに號斗丸のパワーアップした姿と言えるが、どちらかと言えば『天零頑駄無』との融合とも言えるのだし。

『超機動大将軍』についてはドラグーン以上に、完全に論外だ。

 

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

 

そんな訳で司は『翠屋JFC』と言うサッカーチームの助っ人を頼まれた訳なのだが、当然の如く断った司だった。例によってトラウマ(高町なのは)に関係しているのだし。

 

『(……何時か、司のトラウマも克服させてやりたいけどな……)』

 

『(此処まで重症だと、対処に困るな)』

 

司のトラウマに頭を抱える二人だった。優れた歴戦の武者と騎士と言っても精神ケアは完全に専門外だ。

現代日本での生活ではラーメン屋で恋物語やってたり兄の偽者にお尋ね者にされた號斗丸と、記憶喪失になった上に黒幕に洗脳された父親が敵だったゼロと、それぞれに戦いの中で悩むべき事は多かったのだろうが。

ぶっちゃけ、號斗丸の場合は次の武者頑駄無シリーズのストーリーを考えると……。

 

 

 

再度閑話休題(またまた、それはさておき)

 

 

 

現在回収したカードの中で眠っている勇者(ガンダム)達の中にもそう言う方面が出そうなのは居なかったりする事も二人の勇者を悩ませる事実だった。

いや、逆効果かもしれないが一人だけ何とか出来そうな“お方”が居たりするのだが、まだ目覚めてないのであんまり期待していない。

 

カードとその序でのジュエルシードの回収……ジュエルシードの回収はなのはと先日出会ったフェイトの二人の手伝い程度だが……。

 

付け加えると先日一つだけ発見したジュエルシードはある程度魔法についての知識の有るゼロなら、やっぱり封印する事は出来た。

下手に放置しても闇のMS達に奪われて困るので持ち歩いているわけだが、今度なのはかフェイトに封印の現場で出会ったら號斗丸かゼロの姿で渡そうと思っている。

 

掌の中で手に入れたジュエルシードを転がしながらそんな事を考え、改めてポケットの中に仕舞うと川原の近くを通り掛った時妙な寒気を感じる。一種の直感と呼んで良いそれから感じられるのは……

 

『司、完全に偶然だけど、ここってサッカーの試合が有る場所じゃないのか?』

 

現代知識勉強中のゼロの指摘が響く。凍り付いたように立ち止まると壊れた玩具のような仕草で横へと視線を向けると……丁度反対側に応援をしているのだろうなのは達の姿があった。

 

(見付かる前に逃げよう)

 

硬く心の誓いながら改めて気付かない振りをして逃げようとした時、なのはが手を振っているのが見えた。序でに友達の二人……以前號斗丸とゼロの力で助けたアリサとすずかの二人の姿も有った。

 

『しかし、改めて思うけど、どうして彼女が“化け物”なんだ?』

 

『あんな輩の戯言なんて真面目に受け取る必要も無いだろう』

 

ふと以前の一件の事を思い出す。取り合えず、色々と彼女にとって知られたくない事実を暴露された様子だが、完全に戯言として真面目に取り合っていない彼らだった。

少なくとも二人の基準での“化け物”は、確実に『闇の化身』と呼べる相手くらいだろう、経験上。特に騎士であるゼロはモンスターともよく戦っているのだし。

 

必死に気付かない振りをして立ち去っていく司を眺めつつそんな会話を交わす二人。司のトラウマについてはある程度相談できる仲間が増えるまでは下手に手出しをしない事に決めたらしい。

 

『ん?』

 

『どうした?』

 

司がサッカーのグラウンドから遠ざかっていく時、ゼロが何かに気付いた様な様子を見せたのを疑問に思った號斗丸が問う。

 

『いや、気のせいかも知れないが……あの中の一人がジュエルシードを持っていた様に感じた。一応、試合が終わってから選手に接触した方が良い。司の持っているジュエルシードを見せれば、お前の物と説明できるだろう』

 

現在は試合中……万が一発動したとしてもなのはが近くに居るのなら対応も出来るだろうし、その隙に駆けつければ良い。何より、試合中に入るわけにも行かない。最善の対応が無理なら、次善の方法を考えておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行っちゃった……」

 

立ち去っていく司の様子を見つめながらなのはは残念そうに呟く。

 

「何よ、あいつ、あの態度」

 

「事情は知ってるけど、あの態度は酷いと思う」

 

兄が原因と言うのは知っているが、彼女の友人であるアリサとすずかの二人もそんな司の態度に不満を感じる。

 

「また司君と仲良くしたいのに……」

 

なのはにとって司は最初に出来た友達だった。それなのに今はあんな風に避けられている。何よりそれが哀しいのだ……。

 

「じゃあ……」

 

すずかがなのはに一つの提案をする。……どうでも良いが、実はその提案は寧ろ逆効果で有る可能性が高い。……元凶が居たら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度は簡単に集まったがカードの力はまだ己の居場所を告げられないほど弱い物も多い……と言うよりも大部分がそれだったりする。

 

グラウンドの近くでゼロがジュエルシードの存在に気付いたので、念の為に発動する前に持っている人間から引き離した方が良いだろう。そう考えて其方を優先するべく行動しようとした訳だが……。

 

(……失敗した、高町さんの家でやってる喫茶店で打ち上げやるって可能性を忘れてた……)

 

どうも、なのは関連の中で翠屋は完全に司の中で鬼門となってしまっている。まあ、そんな訳で適当に時間を潰しながら打ち上げが終わるのを見計らって居た訳だが……。

 

「なっ!?」

 

『遅かったか……』

 

『拙い……街中であんな物が……急ぐぞ!』

 

司達の居る位置からでも見える巨大な樹木が彼等の視線の先には存在していた。其処から感じられるのはジュエルシードの魔力。

 

「騎士変化!」

 

素早くゼロの姿に変身すると白いマントを翻し近場に有ったビルの壁を蹴りながら屋上まで駆け上がると、そのまま巨樹の出現した場所へと向かってビルを次々と飛び移りながら急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロが目的地へと着く前に既になのはによる封印作業が終わろうとしていた。

 

「リリカルマジカル、ジュエルシード……シリアルⅩ……封印!!!」

BJを纏ったなのはが叫んだ瞬間、レイジングハートから巨大なピンク色のビームの様な物が発射され、ジュエルシードのある場所に直撃すると、街を飲み込むように眩い光が周囲を飲み込み、巨樹と街を浸食していた巨樹の根が消えていく。

 

封印されたジュエルシードがなのはの元へと飛ぶ瞬間、

 

『ケーン!』

 

白い尾を持った小動物らしきモノがジュエルシードを奪い取る。

 

「え、なに!?」

 

なのはが戸惑っていると九本の白い尾を持った狐を思わせる天宮の国の妖怪『九尾犬(バウンドドック)』の手に小九尾犬の奪ったジュエルシードが収まる。

 

「これで二つ目か……」

 

九尾犬の主の復活のためには二つでは足りない。

 

「お前は何だ!?」

 

思わずユーノが疑問の声を上げる。目の前の怪物は明らかに自分の知識の中に存在して居ない存在(モノ)であると本能が訴えているのだ。

 

だが、その判断は間違いだっただろう。気にもしていなかった九尾犬(バウンドドック)の意識が、なのは達へと向いてしまった。

 

「お前達は……」

 

九尾犬(バウンドドック)の意識がなのはの持つ杖レイジングハートへと向く。正確にはその中に収納されているジュエルシードにだが……。同時に九尾犬は確信する……相手は自分よりも“弱い”と。

 

これが十年とは言わないがせめて半年程度後ならば少しは戦えた可能性も高いが、今の段階では天宮の国の英雄の一人、號斗丸の父である『新生大将軍』が若かりし日の『烈光頑駄無』と名乗る前の最初の名『武者衛府弓銃壱(ムシャエフキュウジュウイチ)』と名乗っていた頃の彼を苦しめた妖怪である九尾犬(バウンドドック)にしてみれば、僅かに魔法が使える程度の少女など容易く倒せる相手……若武者だった頃の弓銃壱よりも楽な相手だろう。

 

そんな相手が探している物を持っている。……奪い取る事を躊躇する理由があるだろうか……?

 

「丁度良い、お前達の持っているコイツも……よこせ!」

 

九尾犬(バウンドドック)がそう叫ぶと硬質化した九本の尾が一斉になのは達へと襲い掛かる。突然の九尾犬(バウンドドック)の凶行に思わず目を閉じるなのは。

 

 

 

「悪いが、そうはさせない」

 

 

 

そんな声が響くと同時に九つの光が煌き、九尾犬(バウンドドック)の九つの尾が切り裂かれる。

 

「何っ!?」

 

『ファルコソード』を構えたゼロがなのは達の前に降り立つ。

 

「ガ、頑駄無だと!?」

 

「魔龍剣士……オレは、魔龍剣士ゼロガンダム」

 

ゼロは九尾犬(バウンドドック)を一瞥しながら静かに己の名を宣言する。

 

(((っ!?)))

 

付けを得ると、ゼロの中で司が後ろに居る彼女の気配に凍り付いている。その為にゼロの能力も大きく制限されるが、目の前の相手はそれ程強いモンスターではないと判断する。……ゼロにとっての唯一のミスは九尾犬(バウンドドック)はスダ・ドアカワールドのモンスターでは無く、天宮の国の妖怪……武者頑駄無に関係する敵だと言う点だろうか。

 

「……下がっているんだ……」

 

「え、ええ!?」

 

二重の意味でなのは達を下がらせようとする。危険と言う事も有るが、なるべく彼女の気配が離れてくれれば司のトラウマも治まってくれるだろうと言う判断もあったりする。

 

「逃がすかぁ!」

 

そう叫んで九尾犬(バウンドドック)が先ほどなのは達から奪ったジュエルシードと既に回収していたもう一つのジュエルシードを握り締める。

 

「そんな、ジュエルシードが二つも同時に!?」

 

「キャア!」

 

「っ!? なんだ……こいつ等は?」

 

ジュエルシードの輝きが消えると同時に何時の間にか九尾犬の姿は消えていた。それだけではなく、ビルの屋上であったはずの足場は、夜の廃墟となった寺院を思わせる風景へと変わっていた。

 

『オォォォォォォォォオ……』

 

同時に地の底から響くような怨念の篭った声……ゼロやなのは達を取り囲む様に多種多様の無数の武者が存在していた。いや、全身に矢が突き刺さり斬り傷のあるその姿は“落ち武者”と言うべきだろう。

 

「お、お化け……なの?」

 

怯えたようななのはの呟きが響くが、それは妙にこの場に有っている言葉だろう。幽霊……死した武者が蘇るその姿は『死霊武者』と言うべき天宮の妖怪の一種。

 

「くっ!」

 

一斉に刀を持って襲い掛かる死霊武者の大軍にゼロはファルコソードを振るい迎え撃つ。一体一体の死霊武者は生前の知識や技も無いのか、錆び付いた刀をタダ振り回すだけだ。所詮はゼロの敵ではない。

 

「何をしている、ここから早く逃げるんだ!」

 

「で、でも……」

 

「そうしたいんですけど……魔法が使えないんです」

 

ゼロの言葉に震えながらなのはとユーノが答える。先程のジュエルシードの発動が原因なのか、レイジングハートが何も反応を示さない。

 

『無駄だ、そこはオレの支配する世界だ』

 

「ひっ」

 

死霊武者達の間に浮かび上がる無数の鬼火に照らされた九尾犬(バウンドドック)の顔が浮かび上がると、嘲笑うような九尾犬の声が響く。

 

『さあ、頑駄無! お前も其処のガキと一緒に死ねぇ!』

 

九尾犬(バウンドドック)の言葉と共に死霊武者達は鬼火を従えて襲い掛かってくる。

 

「この程度で」

 

なのはを守りながらの戦いや司のトラウマによる能力の低下と言うハンデこそ有るが、死霊武者はゼロの敵では無い。ファルコソードの一閃によって数体の死霊武者の体が土へと帰っていく。だが、

 

「ぐわっ!」

 

ゼロの剣を掻い潜って直撃する鬼火が確実にゼロにダメージを与えていく。何とかダメージの大きい死霊武者の攻撃は防いでいるのだが、それよりも小さく撃ち落し辛い鬼火だけは完全にノーガードで受けるしかない状況が続いている。

 

「ゼロさん!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「オレの事は良い」

 

そう言って立ち上がるゼロに別の死霊武者が襲い掛かる。先程のダメージか、ゼロの反応が微かに鈍くなっている中、死霊武者の振り下ろした刀がゼロに……

 

(何?)

 

当たったと思ったのだが、思ったよりも……いや、見た目よりも痛みは無い。錆びた刀とは思えないほどの切れ味で鎧ごと切られている筈なのに、寧ろ先程直撃した鬼火の方がよほど痛みがある。

 

(まさか……)

 

『……幻術……だと思う……』

 

『ああ。これは幻だろう。多分、幻覚の中に本物の鬼火を混ぜて攻撃しているだけだ』

 

ゼロに司と號斗丸の声が響く。

 

「そうか……だったら!」

 

地面にファルコソードを突き刺し、背中から雷龍剣を抜き放つ。

 

雷鳴斬(サンダーバリアント)!!!」

 

周囲の死霊武者達を纏めて飲み込むほどの雷がゼロの抜き放った雷龍剣から解き放たれる。

 

「幻たちよ、(ゼロ)に返れ!!!」

 

雷が周囲を照らすと景色さえも切り裂いて、元の景色へと戻っていく。

 

『マスター』

 

「え、あれ……何だったの、今の?」

 

「幻だったのか……」

 

景色が元に戻ると同時に響くのはレイジングハートの声。それによって正気に戻るとなのはは慌てて周囲を見回す。

 

「ゼロさん!?」

 

先程の雷鳴斬(サンダーバリアント)を放った事による消耗と鬼火によるダメージからなのか、雷龍剣を床に突き刺して息が上がっているゼロの姿を見つけると慌ててゼロに駆け寄る。

 

「来るな!」

 

そう叫んでなのはを押しとどめる。この場になのはが居る事はゼロにとって不利にしか働かない。何より、思ったよりも鬼火のダメージは大きく圧し掛かっていた。

 

「お前達が居ても邪魔になるだけだ……」

 

そして、目の前には未だに発動したままのジュエルシードを二つも持った九尾犬(バウンドドック)が無傷のままで存在しているのだから。

 

「そんな事出来ないよ! 私達を助けてくれた人を置いて逃げるなんて……」

 

(いや、今は逃げてくれた方が助かるんだが……)

 

『ゼロ、オレに変われるか?』

 

(……司次第だな……)

 

『やってみる』

 

『大丈夫なのか?』

 

『流石にこんな状況で動けない、なんて言ってられない』

 

ゼロから號斗丸に変わる瞬間一瞬だけとは言え司の姿に戻る。その為に其処でトラウマに負けると言う事は、この状況で意識を失うという事になる。それだけは避けたい為に、號斗丸に変わる事は……。

 

「『武者変化!!!』」

 

「え? 司、くんなの?」

 

ゼロの姿が一瞬だけ消えた瞬間に現れた司の姿になのはがそう呟く。だが、それに答えるよりも早く司の姿は號斗丸の物へと変わる。

 

「武者號斗丸!」

 

背中にある鞘に納められた二本の刀を抜き放ち、號斗丸は九尾犬へと視線を向ける。

 

「お前は……その顔は……?」

 

號斗丸の姿を見た瞬間に九尾犬(バウンドドック)の顔が憎悪に歪む。

 

「武者衛府弓銃壱!!!」

 

「っ!? 何で父上のその名を?」

 

號斗丸と弓銃壱を重ねているのだろう、彼の中に在る微かな面影を見つけたのだろう九尾犬(バウンドドック)の告げた名前に思わず號斗丸は疑問の声を漏らす。

 

「父だと? そうか……貴様は……奴の……弓銃壱の息子かぁ!!!」

 

九尾犬の憎悪に反応してか九尾犬の持っているジュエルシードの輝きが増し、黒い泥が九尾犬を飲み込んでいく。

 

「もっとだ……奴を……奴の息子を殺せるだけの力を……寄越せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!」

 

黒い泥が巨大な球体を作り上げる。そして、その球体から伸びる無数の尾が九本の尾になるように絡み合う。球体の上下から九尾犬の上半身が現れると、球体の中央に眼球が浮かび上がる。

 

天孤九尾犬(アモンドック)!!!』

 

九尾犬改め天孤九尾犬は憎悪に染まった目を號斗丸へと向ける。

 

「衛府弓銃壱ィィィィィィィィィイ! 今度こそ……今度こそ貴様を殺す!!!」

 

憎悪の感情毎二つのジュエルシードの思念体に飲み込まれたのか、九尾犬改め天孤九尾犬は號斗丸にその父である弓銃壱を重ねた様に叫ぶ。

 

「そうか……思い出した」

 

『知っているのか?』

 

「こいつは父上が若い頃に倒したと言っていた。当時の天宮の国を苦しめた“大蛇飛駆塞虫(オロチビグザム)”と言う怪物の手下の……」

 

『父親の代からの因縁の相手、と言う所か』

 

「……そうなるな……」

 

そう言ってみたものの號斗丸にとっては父親の代からの因縁とは言っても、九尾犬や大蛇飛駆塞虫との因縁は自分や兄が生まれる以前の話だ。

寧ろ、祖父に当たる『轟天頑駄無』や兄や仲間達と共に戦った叔父に当たる『魔星大将軍』との因縁の方が重要だろう。

 

「……はっきり言って小さい頃に父上の昔の思い出話として聞いただけなんだけどな……」

 

『『なるほど』』

 

かなり酷い言い草だが、因縁と言っても父親が新生大将軍どころか烈光と名乗る前に倒した相手なのだ。当事者では無い號斗丸にはその程度の記憶しか無くても無理は無い。大蛇飛駆塞虫の方は兎も角……。

 

「……そう言う訳だ。下がっていてくれ、あいつが用が有るのはオレだ」

 

「で、でも……」

 

なのはにしてみても號斗丸には聞きたい事が出来たのだ。

 

「悪いが、戦う術が無い以上君は足手纏いだ」

 

「うっ……」

 

先程までの九尾犬(バウンドドック)ならば兎も角ジュエルシードの力で未知の進化を遂げた未知の妖怪。戦闘力を大きく制限されている今の號斗丸では、なのは達を守りながら戦えるほどの余裕は無い。

 

それを理解したのだろう、なのははユーノと共に天孤九尾犬(アモンドック)と対峙している號斗丸から離れていく。

 




今回登場のSDガンダム

・九尾犬<バウンドドック>
 モチーフ:バウンド・ドック
 出展:新SD戦国伝 地上最強編
 地上最強編の天宮の国のエピソードに登場した大蛇飛駆塞虫の手下の妖怪。九本の尾を使った攻撃と幻術を得意とする。本作では大蛇飛駆塞虫を復活させるためにジュエルシードを求め、武者絵府弓銃壱の息子の一人である號斗丸に彼を重ねた。

・天孤九尾犬<アモンドック>
 モチーフ:アモン・ドック
 出展:オリジナル
 九尾犬が二つのジュエルシードの力を吸収して進化した姿。モチーフは『1/2(ハーフ)ゼータ』に登場したアモン・ドック(バウンド・ドックを二つ上下にくっつけたMS)。

・死霊武者
 モチーフ:???
 出展:新SD戦国伝 伝説の大将軍編
 元ネタは闇帝王がかつての闇軍団の武将の姿や能力を複製して作り上げた泥人形。闇の力によって作られているため、夜闇以外では行動不能となる。本作ではジュエルシードを使った九尾犬の幻影の中で登場した上に能力さえも複製できなかった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。