魔法少女リリカルなのは -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs-   作:龍牙

7 / 30
Battle006

はやてを家まで送った帰り道ゼロが話を切り出す。

 

『司』

 

「ゼロ?」

 

『ゼロ、お前も感じたか?』

 

『ああ』

 

號斗丸がゼロの言葉に同意を示す。

 

『彼女から“闇の力”を感じた』

 

「それって!?」

 

『いや、オレの知っている闇の化身のそれとは違う』

 

『確かに、オレの知っているモノとも違う……この世界の魔力に近いものだったから、多分この世界特有の“闇の力”だろう』

 

四つの大戦を潜り抜けた歴戦の武者と、二つの時代の戦いに参戦した騎士の言葉は流石に説得力が有る。二人の言葉が正しければ、

 

「えっと……それって、どう言う……」

 

『何らかの魔力が彼女を侵食している。彼女の両足が不自由なのもそれが原因だろう。しかも、それ自体が彼女の近くに昔から存在している』

 

(……原因を何とかすればあの子の足は?)

 

『治る可能性は有るな。だが魔力的な繋がりが有る以上、下手に破壊するのも危険だろう。法術師や僧侶の様な魔法の専門家が居てくれれば話は別になるかもしれないが』

 

(法術師と僧侶か……)

 

結局の所魔法と言う概念の無い天宮の武者と、知識は有っても専門家では無い騎士では、力技での対応は兎も角魔力関連の事態に的確な対応は無理と言う事だ。

スダ・ドアカワールドの魔法の専門家(スペシャリスト)たる者は確かに司の元に有る。有るには有るのだが……

 

「無理そうだね」

 

回収したカードの中の一枚、『法術師ニュー』と名の書かれたカードを見上げながら、未だカードの中で眠り続けている魔法の専門家(スペシャリスト)を思う。

 

『まあ、この世界の闇は“邪悪”とは限らないだろうけどな』

 

一応フォローらしき言葉を告げる號斗丸。確かに天宮の国でもスダ・ドアカワールドでも闇の化身はそのどれもが邪悪そのものだったが、決して闇の力その物が邪悪と言う訳では無い。

元死神の『騎士デスサイズ』を初めとして、闇の力を持ちながらも正義の側に立って闇の化身と戦った武者や騎士も居るのだ。

そして、同時にこの世界特有の闇の力が邪悪だとは限らないのだ。無意味に敵を作りたく無いと言う配慮だろう。

 

「そうだね」

 

『それと、伝えたと思っていたが、伝え忘れていた事が一つ有った』

 

「え゛?」

 

ゼロの言葉に思わず絶句してしまう。

 

『私達がこの世界に来た時、君のリンカーコアに“スペリオルドラゴン”と“結晶鳳凰(クリスタルフェニックス)”が、その力の一部を与えてある』

 

「何、それ?」

 

『闇の化身に先手を討たれた時の自衛策だったんだ』

 

そう言った後、ゼロは『結局は手遅れだったが』と続ける。『武神輝羅鋼』の戦いの中で『天零頑駄無』の纏った輝羅鋼の鎧の持つ光の力は、『覇道武者 魔殺駆』の闇の力を浄化していた。

司の場合はSDガンダム世界の二柱の光の神とも呼べる存在の光の力の一部を、元々持っている魔力の源に直接与えられたと言う事なのだろうが……。

 

後天的にスダ・ドアカワールドと天宮の神から『希少技能(レアスキル):光(浄化)』と言う物を与えられたと言う所だ。

 

「なんか僕って、どんどん人間離れしてる気が……」

 

『そうか? スダ・ドアカワールドには下手なMS族よりも強い人間は大勢居たぞ……』

 

『天宮の国には人間は居なかったから良く分からないな。オレの知っている天馬の国の人達はこっちの世界とそんなに変わらなかった』

 

剣と魔法のファンタジーな世界(スダ・ドアカワールド)の住人達と同格に扱わないで欲しい。心底そう思う司だった。

 

まあ、スダ・ドアカワールドには実際に下手なMS族やモンスターよりも強い、ガンダム達をパートナーにしたスペリオルドラゴンの魂を受けついた人間族も居たが。

 

なお、號斗丸の言う『天馬の国』が武者頑駄無達の住む天宮の国に対する人の住む“現代社会”と言う事になる。

其処で號斗丸はラーメン屋で働いていて、その中でちょっとした恋物語や爆王頑駄無へと(愛の力での)パワーアップも有ったりする。

『武者○伝3』の時代ではある程度自由に天宮の国から行き来できているらしい。

 

(まあ、今は目の前の相手に集中した方が良さそうだね)

 

『『そうなるな』』

 

互いに同意を示す三人。はやてを侵食している魔力と言うのも気になるが、今すぐに対応できないのなら目の前の問題に集中するべきだろう。

その戦いの中で魔法の専門家(スペシャリスト)も目覚めるかもしれないのだし。少なくとも、現在進行形で動いている闇の化身と言う脅威を放置してはいられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

(何でだろう……なんか、物凄く嫌な予感が)

 

トラウマの原因の一つが闇の化身による呪いだと言う事が分かっても、司としてはなのはと関わりたくない。長年付き合ってきたトラウマの根は深く、そう簡単に解決する物ではない。

 

今日は珍しくなのはが近づいてこない。普通ならトラウマに悩まされずに済んで安心する所だが、何故か今朝から司のなのは関連で磨かれてしまった直感が警鐘を鳴らしているのだ。

 

『いや、考え過ぎ……とも言い切れないか』

 

『……司の彼女に対する直感は当たり過ぎて、完全に否定できないのが辛い所だ……』

 

半ば呆れを含んだ声で言う號斗丸とゼロ。ゼロの言うとおり、司のなのはに関係する事柄に対する直感はかなりの精度を誇っていたりする。

 

(考え過ぎなら良いんだけど……。なんて言うか……)

 

寧ろ、普段よりも強い警鐘に対して余計に警戒してしまっている。……完全になのはが恐怖の対象な司だった。

 

『『なんて言うか?』』

 

(……一番逢いたくない奴にエンカウントしそうな予感がして)

 

『『ああ』』

 

司の言葉に思わず納得する號斗丸とゼロ。そのフレーズで思いつくのは司だけではなく號斗丸達にとっても一人しか居ない。寧ろ、闇の化身による呪いでトラウマになっているなのはと違って、そっちに対しては一切フォローしていない。

 

『ま、まあ、最近は戦い続きで疲れているだけだろう。今日は警戒はオレ達がしておくから、お前は今日は休んだ方が良い』

 

(そうする)

 

號斗丸の言葉に心の中でそう答え机に突っ伏す司だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後……

 

「っ!?」

 

帰り支度をしていた司が何かに警戒するように周囲を見回す。

 

『急にどうしたんだ?』

 

(い、いや……一秒でも早く此処から離れた方が良い気がする)

 

『……考え過ぎじゃない、のか?』

 

司の直感に対して自信を持って否定できないのが辛い所だったりする。特になのはが関係した時は、だ。その直感の一割でも他の所で働けば良いのにと思わない事も無い。

 

(……急ごう、此処に居たら危険だ)

 

急いで鞄を持って教室から飛び出そうとした瞬間、扉の前で一度立ち止まり反対側のドアから出て遠回りして玄関に行く。そして、司と入れ違いにすずかが教室に入ってきたのだが、当然彼と出会う事は無かった。

 

『彼女は確か……』

 

(あ、危なかった)

 

すずかが教室に入ったところを見て急いでその場を後にする。……絶対に彼女に関わると連鎖的になのはに関わる事となると直感が告げている。

 

『いやいや、幾らなんでも警戒しすぎじゃないのか!?』

 

『まあ、何かに誘われるとしたら間違いなく彼女に関わるだろうが……』

 

そう理解していても頭が痛くなる思いのゼロだった。冗談抜きで司のトラウマと呪いをどうにかしなければ、本気で拙いと思う。

決意が有っても流石に“長年のトラウマ+闇の化身の呪い”と言うのは一朝一夕には克服できないと言う事だろう。

 

『せめて呪いの種類が分かれば、対処法も有るんだけどな』

 

『ああ。それに其処から掛けた奴の正体も掴めるかも知れないが、闇の化身の呪いにしては……』

 

『確かに』

 

そもそも闇の化身の呪いにしては妙に弱い気がする。そう考えていたゼロの脳裏に一つの可能性が浮かび上がる。

 

『いや、待て……これはもしかして、『心の闇の増幅』じゃないのか?』

 

(闇の増幅?)

 

『確かに、それは有り得る』

 

 

 

 

 

闇の化身は実体を失っていても心の闇……負の感情を利用する事が多い。

かつてスペリオルドラゴンとなった騎士ガンダムに敗れたジークジオンも、スペリオルドラゴン(武者真悪参)の悪の心と竜の力の部分であるサタンガンダムを利用し、聖機兵や機甲神を巡るネオジオン族との戦いでは盾を通じて『重騎士ガンダムGP02』の精神を操っていた。

そして、『月光騎士(セレネスナイト)ネオガンダム』の駆る『機甲神エルガイヤー』の力により『大魔騎士アトミックガンダム』と化していた彼はジークジオンの呪縛より解放され、運命の三騎士の一人『精霊騎士サイサリス』として覚醒する事になるが、それはそれ。

聖機兵を巡る戦いに於いて、重騎士GP02の心に『聖機兵ガンレックス』の操者となった『騎士ガンダムGP01』への嫉妬心が無かったとは言えないだろう。

それが異国の高名な円卓の騎士の一人である『灼熱騎士F91』ならばまだ良かったかもしれない。

だが、元々自分よりも下の立場(或いは同格)であった者がそうなったのだから、その時の彼の心を想像するのは容易い事だろう。

 

なお、騎士GP01は重騎士GP02の従者であったとも同僚であったとも言われていたりする。まあ、“同僚であった場合の世界”では円卓の騎士の参戦が無かった世界なので、どちらかと言えば外史に当たる世界と考えられる。

 

……どうでも良い事だが、騎士GP01はその後に起こった輝甲神を巡る戦いの後にゼロも所属している“シャフル騎士団”の一人に選ばれている。

仮に灼熱騎士F91が最後までガンレックスの操者となっていたとしたら、騎士GP01ではなく彼がシャッフル騎士団に選ばれる可能性が高く、シャッフル騎士団の中には彼の主君である『キングガンダムⅡ世』がスペリオルドラゴンの不在時の代理のリーダーとして存在している為に……色々と問題は有っただろう。

 

 

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 

先程ジークジオンを例に上げたが、闇の化身にとって恐怖、嫉妬、野心と言った負の感情に分類される精神に漬け込むのは容易いという事だろう。

司の心の傷に付け込み、負の感情を増幅させる呪いは幸いにも彼が地球出身だった為になのはだけの影響で留まっているが、場合によってははやてに対しても効果的といえるだろう。

 

特にはやての場合は闇の書の被害者の遺族の中に司が居たら、憎しみの感情を増幅されて居ただろうし。……フェイトの場合はある意味彼女の生れ故に彼女に対して負の感情を抱くとは思えないが……。

 

 

 

 

 

『逆に言えば負の感情を克服出来れば解決するんだろうが……』

 

「それが簡単に出来たら苦労しないよ」

 

『『それもそうだな』』

 

司の言葉に同意してしまう二人だった。司の心を蝕んでいる負の感情は言ってみれば“恐怖”、恐怖と言うのはそう簡単に乗り切れるものではない。

……まあ、比較的簡単に出来る効果的な解決策は有るには有るが……一応、今回の場合は正義の武者と騎士としては薦められる方法では無いだろう。流石に自分達が手を貸してトラウマの原因となった人を叩きのめす訳にはいかないし。

 

『ま、まあ……少しずつで良いからトラウマを克服していこうか』

 

「一歩間違えたら逃げられない所まで引きずり込まれそうだけどね……」

 

だからこそ、このトラウマの克服は難しかったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、もう帰っちゃったみたい」

 

「そうなんだ」

 

「逃げたわね、あいつ」

 

司の教室からすずかからの言葉に落ち込んだ姿のなのはと、的確な評価を下してくれるアリサ。実際、なのはが直接動かなくても直感的に彼女と関わると判断して逃げたのだから、正確に司の行動を予測している事となる。

 

「ごめんね。なのはちゃんの事は避けてるみたいだけど、私やアリサちゃんなら話くらいはしてくれると思ったんだけど」

 

「すずかが謝る事無いわよ、悪いのはあんなになのはの事避けてるあいつなんだし!」

 

「違うよ、司君が私の事避けてるのは……私のせいだから、司君は悪くないよ」

 

憤るアリサの言葉に辛そうに告げるなのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後……

 

司の部屋、此処最近の戦いの疲労からかベッドに横になって休んでいる司の意識の中、ゼロは街の中で発生するジュエルシードの魔力に対して警戒を向けていた。

 

『…………』

 

専門では無いといっても、(今は司の力不足ゆえに剣士だが)騎士と名乗る以上は魔力に関する点でもある程度の能力を求められる。

 

『っ!? 號斗丸、司! これ以上休憩は無理そうだ、ジュエルシードが発動した』

 

『分かった』

 

「……結局あまり休めなかったか……」

 

出来れば何もかも忘れて眠りたいと思いつつも、闇の化身の配下が何時動き出すかも分からない現状ではそれも無理だろうと思う。そんな事を考えながら司は部屋を飛び出し、

 

「『騎士変化!』」

 

素早くゼロの姿に変わりジュエルシードの発動した場所へと急ぐのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、すずかの家でお茶会があり、すずかは司も此処に誘ってなのはと仲直りする切欠が出来ればとも思っていた。

その最中にすずかの家の子猫の一匹がジュエルシードを発動させてしまい、巨大化してしまった。

初めて出会い戦う事となったなのはとフェイトの二人の探索者達、才能こそ有れど魔導師としての練度の低いなのはがこの時点でフェイトに勝てるわけも無く、敢え無く敗北。そして、フェイトの手により子猫のジュエルシードを封印されようとした瞬間、

 

『『プロテクション』』

 

レイジングハートとバルディッシュ、二機のデバイスが同一の防御魔法を発動させ、“それ”を防ぐ。

 

「ああも簡単に防がれるなんてね」

 

「ふん、始末しそこなったか」

 

「まあいい、丁度其処の小娘共もあの石を持っているようだからな」

 

気安い態度てあらわれる三体のMS族の一団。黒く染まった梟の頭を模した杖を持った白いMS『呪術師キュベレイ』の周囲に先程なのは達とフェイトを襲った白い光球が浮かんでいた事から、それを操っているのが呪術師キュベレイだと告げている。

 

「ほほ、中々この世界の魔法も興味深いわね」

 

「キュベレイ、今はそれよりもあの石を集めるのが先だ」

 

なのは達の魔法に興味を示す呪術師キュベレイを窘めるのは黒い龍の顔を象った盾を持つ赤いMS『騎士バウ』。

 

「ふん、高々小娘二人、さっさと始末して手に入れればいいだろう」

 

黒い獅子を象った斧を持つ蒼い闘士『闘士ドライセン』が斧を地面に叩きつけながら宣言する。

 

「お前達は……」

 

「誰……なの?」

 

叩きつけられる殺気に萎縮しながらもバルディッシュを握り締めるフェイトと、怯えを見せるなのは。

 

「名乗っておこうか、我が名は騎士バウ!」

 

「オレの名は闘士ドライセン!」

 

「私は呪術師キュベレイ。まあ、直ぐに死ぬ事になる貴女達は覚えていても意味は無いかも知れないわね」

 

高らかに宣言するバウに続いてそれぞれの態度で名を名乗るドライセンとキュベレイ。そして、それぞれが持つ武器を掲げ、

 

「「「我等、“ジオン三魔団”!」」」

 

己等の名を名乗る。

 




今回登場のSDガンダム

・呪術士キュベレイ
 モチーフ:キュベレイ
出展:SDガンダム外伝 ジークジオン編
 ジオン三魔団の一人で紅一点。ムンゾ帝国の魔法部隊長。原作では獅子の斧を持つ。呪術士は仮の姿で、メデューサキュベレイが本来の姿。さらに強力な魔法を使うようになるが、魔法にも耐えうる力自慢相手には分が悪い。元々ジオン三魔団は己の弱点を補う様に武器を持っていた為に真の力を発揮できないが、本作では黒く染まった梟の杖を持っている。

・騎士バウ
 モチーフ:バウ
出展:SDガンダム外伝 ジークジオン編
ジオン三魔団の一人。愛馬グワンバンを駆る。原作では梟の杖を持つ。ムンゾ帝国の騎馬部隊を指揮している。持ち前の機動力が自慢で、素早い動きで敵を翻弄するが、魔法だけはかわしきれない。元々ジオン三魔団は己の弱点を補う様に武器を持っていた為に真の力を発揮できないが、本作では黒く染まった龍の盾を持っている。

・闘士ドライセン
 モチーフ:ドライセン
 出展:SDガンダム外伝 ジークジオン編
 闘士ドライセン(ドライセン)
ジオン三魔団の一人。原作では龍の盾を持つ。ムンゾ帝国の戦士部隊を率いている。腕力はあるが、剣士や騎士を中心とした素早い動きには弱く、翻弄されやすい。元々ジオン三魔団は己の弱点を補う様に武器を持っていた為に真の力を発揮できないが、本作では黒く染まった獅子の斧を持っている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。