ハイスクールD×D モンスターでクリーチャーな俺   作:misuta

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第30話

 

来るべき会談の日。

俺は小猫とギャスパーが暴走しないようにお守り役として部室で待機している。

本当ならコカビエルを追い詰めた協力者として会談に顔を出すべきだと言われてはいるが、ネームバリューとしては赤龍帝であるイッセーがいればいいだろう。

それに俺は手柄が欲しくて戦った訳ではない。

住んでいる街が滅茶苦茶になったら生活できないし、コカビエルに関してはリベンジしたかったからだ。

 

『という訳でギャスパーよ。今日はここで俺と小猫とお前でお菓子パーリィ(巻き舌)だ!』

「お菓子パーリィ(巻き舌)だよ、ギャー君」

「は、はい! パリィ(巻き舌ならず)ですね!」

 

何その一撃必殺を込めたカウンターみたいなの。

まぁそんな事はどうでもいい。今日はこの日の為に…手作りホールケーキ(苺たっぷりショートケーキ)用意しましたぁ!!

小猫は段ボールいっぱいにお菓子を出してくれたし、これはまさに宴だ!

あとはお茶さえ煎れればお祭りワッショイ!!

 

俺はお茶を煎れようと立ち上がった瞬間に何かを感じた。

おいロビー君、数は10って所か?

 

『さすが宿主、正解だよ! 因みに魔術師っぽい感じだから遠距離攻撃には注意!』

 

ならミショナリーで行こう、さぁ暴れるぞ。

俺の楽しみなお菓子パーリィを邪魔しにきた事、後悔させてやる。

 

 

 

「何だ、こいつは!?」

「グルルルルル!!」

「動きが速い!…ぎゃあ!?」

 

外へ出ると悪趣味な格好をした女達が旧校舎を囲んでいた。

ドアを開けた瞬間にトンファーの刃で2人程斬りつけてから蹴り飛ばしてやった。

残った連中がフードからビームを出すも常に動き続けているミショナリーには当たる事が無い。

ここで突破口を開いてから新校舎へ逃げ込んで纏まった方がいいだろう。

 

「少しはやるじゃないか! 人間にしては、な!!」

「グルル!?」

 

突然声が聞こえた方へ向くと魔力で出来た球が飛んできたので左へ跳んで避けた。

だが確かに避けたはずなのに背後に強い痛みを感じ、俺は前へ転がったがすぐに起きる。

何故避けたのに当たった!? すると目の前にいたのは…。

 

「人間風情には勿体ないが名乗らせてもらおう! 僕の名はジナディン・レヴィアタン! 旧魔王レヴィアタンの末裔である!!」

 

褐色の肌をした男が盛大に名乗りを上げていた。だが、おかしいのはここからだ。

その名乗りを上げた同じ顔をした男が「4人」いる…似ているとかそんなのではない、全くの同一人物だった。

 

 

 

4人の旧魔王の末裔…戦力差でみると絶望的な場面だ。

タイマンならどうにかできたかもしれないが、強者との包囲戦は少々まずいかもしれない。

背中のダメージはミショナリーが庇ってくれたとはいえ痛みが残る。

物理攻撃ならまだしも魔力のダメージは苦手だ、ちくしょうめ。

 

「ほらほら、早くしないと本丸が攻められるよ?」

 

ジナディンの1人が指でその方向を示すので見てみると、魔術師数人がわらわらと旧校舎へ入っていく。

まずい、あの程度の敵なら小猫は問題ないがギャスパーは戦える状態じゃねぇ!

もし人質にでも取られたら非常に危うい…速攻でこいつらを各個撃破していく。

ジナディン達を視界から外さないように動いてから変身!

 

「シャァァァァァァッ!!」

「ほぅ、姿が変わったか」「ふふ、情報通りだな!」「その姿は恐らくスピード型といったところかな?」「ならばこうしよう!」

「!?」

 

エイリアンに変身し直して縦横無尽に動こうとすると空中からの魔法陣が展開されてレーザーのような攻撃を繰り出していく。

それを回避しながら攻撃は難しい…俺の変身するクリーチャー達で唯一、遠距離攻撃が出来るのはネメシスだけだ。

こいつは何となくだが、『俺の神器と戦い方を知って』いる!?

誰かが裏切って情報を売った? 誰が? 何の為に?…ちっ、それは今考えてもどうしようもない!

ダメージ覚悟でいくか…タイラントと処刑マジニで融合、ネメシス!!

 

「ヴォォォォォッ!」

「コイツがコカビエルを追い詰めた形態か!」「確かコイツの攻撃は…」「人間の兵器と触手…!」「くそ、僕の腕に!?」

「マズハ、テメェカラダッ!」

 

両手で覆面を融合させて顔に付けるとネメシスに姿を変えた俺は一番距離が近いジナディンに向けて右腕に寄生している触手を伸ばす。

触手はジナディンの左腕に絡ませることが出来たので思いきり引っ張りながらダッシュで駆け寄って距離を詰めながら顔面に左ストレートをぶつける。

だが手応えが無かった…何故だ? 確実に全力でぶん殴ったはずだ。

すると殴られた筈のジナディンが笑って、俺の左腕を腋に挟んで抑えた。

 

「ふふ、ふふふふふ! そんな醜い顔でもわかるよ、何故攻撃が通じないのかってね」

「…テメェハ、分身ノ方ナノカ?」

 

「ご名答。確かに僕は分身魔法の使い手だ。本来、分身魔法は術者の力を人数分で割って作り出すものだ」

「…ッ!?」

 

するとある程度距離が離れていた内の一人が俺の背後に近づいて短剣で刺す。

右腕の触手を解除して背後の奴を捕らえようとするも素早い動きで避けては斬られる。

左腕は殴った奴により抑えられて動かせねぇ。

効かなくても腹を思い切り蹴って距離を離そうとするとまた違う奴が俺の目の前に出てくる。

 

「全部の力を割っては君みたいに一体ずつ倒そうとする。術者を含めて弱くなるんだから当然だ!」

「グッ!?」

 

触手を解除して右腕で迎撃しようとするも向こうの拳の方が速く俺の顔面を捉える。

こいつは一撃一撃が重い、攻撃力重視のタイプか!?

俺が反撃しようにも素早い方の奴が背後から俺の首をがっちり固めて絞めてくる。

ダメージを抑える防御力、触手すら躱すスピード、攻撃力を底上げパワー…となるとあと一人はまさか?

 

「だから僕は『力の割り方』を変えたのさ! 攻撃、防御、スピード、魔力をそれぞれに特化して割る事で補える!」

「「「戦いは数だ、戦力が多い方が勝つんだよ。人間」」」

 

最後の一人が両手に魔法陣を出して俺に向けると光弾を連続で撃ってくる。

それに合わせて俺を抑えてた3人のジナディンは自分達が攻撃に当たらないように光弾の方向へ俺を突き飛ばした。

迫りくる光弾を目前に俺が出来たのは両腕で頭をガードするだけだった。

そして奴の放った光弾に当たった瞬間、俺は爆発に包まれた。

 

 

 

「ははははは! これで奴も吹き飛んだだろう!」

「コカビエルを追い込んだと言っても!」

「僕の分身魔法の前では何も出来はしない!」

「所詮は非力で下等な種族だよ、人間は!」

 

ちくしょう、全身が痛ぇしネメシスのコートもボロボロじゃねぇか。

何が下等種族だ、吹き飛んでなんかいねぇよ馬鹿野郎。

レイナーレ達みたいな事言いやがって。

ここは無理にでも小猫とギャスパーを連れてリアス達と合流した方が良さそうだ…ん?

この感覚…時が止まってる!? でも何故か俺も奴も動けるぞ?

 

『宿主は僕らの力であの吸血鬼の神器を防いだけど、奴は何もしていないみたいだね』

『え、今何気にすげぇ事言ったな。あと待て、ギャスパーの敵の手に落ちたって最悪じゃねぇか!?』

 

ロビー君の言った事が本当なら非常にやばいぞ!? こんな所でお寝んねしている場合じゃない!

味方全員が時間停止してて敵が動けるとか全滅待った無しだぞ!?

痛みを無理やり我慢して立ち上がろうとすると…皆がいる筈の新校舎に爆発が起きた。

ちっ、やられたか!? あそこにはリアス達や3大勢力のトップとグレイフィアさんが!

 

「おや、姉上がやってくれたみたいだね」

「すぐに行かないと僕らの分が無くなってしまう」

「サーゼクスやセラフォルー、ミカエルとアザゼルの首は姉上が持ち帰るだろうから…」

「残りの奴らは僕らが頂こう!」

 

最早俺の事など気に留めなくなったのか、分身していたジナディンは魔法を解いて一人になった。

空には多数の魔術師たちが総攻撃をしている光景が見える。

俺が過ごした校舎も校庭も体育館もボロボロになっていく。ちくしょう、てめぇら好き勝手にしやがって。

手の力が入っていく、少しずつだが回復しているみたいだ。

 

「あ、そうだ! あの銀髪の殲滅女王と言われたグレイフィア・ルキフグスは殺さないでおこう。僕の物にしたい!」

 

…は? 聞き捨てならねぇ台詞が聞こえた。

 

「昔からあの顔と体は僕の好みだったんだけど強いし、サーゼクスが邪魔だったんだよな!」

 

物にしたい? 俺の事を大事な子供と言ってくれたグレイフィアさんを?

 

「ふふふふふ、楽しみだなぁ…好きなだけ犯し、弄りまわして遊び尽くせるような玩具にしよう!」

 

玩具? てめぇは俺の大切な人を…玩具にしたいだと?

 

「そうと決まれば急いで姉上の許へ行かなければ!」

「フッザケンナァァァァァァァァァァァッ!!!!」

「な!? こいつまだ…いや、それ以前に何故動けるんだ!?」

 

怒りのあまり叫びながら体を無理やり起こして立ち上がる。

ボロボロになった全身からは血が流れているがそんなのは気にならない。

問題は目の前のクソ野郎が生きている事すら許せねぇ程に、俺は怒り狂っている。

殺してやる…俺の感情が、心がそう叫んでいる。

 

『宿主、君に最高にハッピーなお知らせだよ!』

 

立ち上がって奴を睨んでいるとロビー君が声かけてくる。

悪ぃが今はそんな暇はねぇ、今すぐあいつをぶち殺さねぇといけねぇんだよ。

俺の神器なら邪魔してくれるなよ!

 

『今の君なら出来るよ! 【ステップアップ】さ!!』

 

ステップアップ…神器の進化の事をロビー君はそう呼んでいる。

ここにきてようやくか、遅いんだよ馬鹿野郎。

それで、今度は何が出来る?

ちゃんと奴を仕留められるくらいのステップアップだろうな!?

 

『もちろんさ! 君が望んでた物だよ!!』

 

ならOKだ!

こうなったら身体でも寿命でも魂でも持っていけ!!

俺に! 力を!

 

『さすが宿主、最高だよ君は…なら行こうか』

 

 

 

 

 

 

創られし生物は化物也(モンスター・オブ・クリーチャー)禁手(バランスブレイク)




閲覧ありがとうございます。

ようやく書けてここまで来ました。
書いてて長くなる前にここで切らせてもらって、次回は調子のった彼(ジナディン)がどこまで頑張れるか応援してあげてください←


それでは、また。

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