白黒メソッド   作:ひよこ・ザ・リッパー

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6話

飛空艇が街から少し離れた更地に不時着していた

不可視の効果は消えてはいないが

既にもう黒葉達は侵入していた、場所は倉庫の一室

 

「さっすが私の弟子ですねぇ、優秀ですよ〜」

 

「システムハッキングはあの子覚えてませんでしたが…貴方の仕業でしょ」

 

「いえいえ〜ちょっとリィムちゃんお手製のウィルスをインストールさせただけですよ〜」

 

それがどんなウィルスかは聞かない事にした

聞けばめんどうと察したからである

 

「刺守達は地上からバックアップするらしいけど、そんなの必要ないくらい暴れてやるわ」

 

刺守と理樹は地上に残り、飛空艇が再び飛ばないように細工と脱出用の安全を確保するらしい、後、なにか特別な支援をする為に乗り込んで来るらしいが…

 

「わかってると思いますが、必要のない殺傷は許可しませんよ」

 

「ええ、わかってるわ」

 

「よし、早めに済ませるとしようか」

 

「そうね」

 

そう言い美冬とスティアは行ってしまった、彼女達は自ら騒ぎを起こし囮になるらしい

美冬がいるからスティアも無茶苦茶な行動はしないだろうと真桜は予測した

 

「リィム、貴方は…あれ?」

 

気づけばリィムは既にいなくなっていた

彼女のことだから平気だろうけれど、本当に素早い

 

「いつもの事よ」

 

黒葉は日傘をさし、歩き出した

 

「黒葉、一人じゃ危険です、私も」

 

「平気よ」

 

それだけを言い残し黒葉は行ってしまう、取り残された真桜は深い溜め息をした

 

「みんな、個人で動いて…まったくもう!」

 

───

 

最初に会敵したのは美冬だった、通路で出会ったのはガルアスと冬華

スティアは別の場所で戦闘中

 

「吸血鬼の嬢か、何しに来た?」

 

「ここに来てそれを言うのはどうかと思うぞ」

 

「………」

 

狙いは白葉と踏んだガルアスと冬華は武器を構えた

 

「来い」

 

余裕そうに笑う美冬

最初に動いたのは冬華、剣構えた、壁を利用し兆弾する弾丸の如く移動し、美冬に斬りかかる

 

「ふっ」

 

美冬は軽く息を吐き、冬華の攻撃を裏拳で弾き、がら空きとなった冬華の足を掴み、ガルアスがいる場所に軽く投げる

冬華は空中で姿勢を戻し着地した

冬華の背後からガルアスによる光り輝く鎖が美冬を捕らえた

しかし美冬はあえて動かなかった

 

「冬華!」

 

「…もらった!」

 

真っ直ぐ突っ込んで斬りかかる冬華の剣を鎖を利用し、剣を鎖で巻いた

 

「くっ!」

 

力を奪う鎖が冬華を襲い、力を奪う

ガルアスは慌てて鎖の魔法を解いた

 

「ほら」

 

美冬は冬華の腕を掴み、また軽く投げ、冬華をガルアスを受け止めた

 

「さすがにやるようだな吸血鬼の嬢」

 

「そちらはまだまだのようだが?」

 

するとガルアスは冬華を降ろし、大盾棄て槍を構えた

 

「ほう、守りを捨ててどうするつもりだ?」

 

「捨ててはいない、希望を守り続けている限り守られる」

 

「此処は通さない…」

 

彼らにも理由はある、それは理解している、けれどそれは彼女にも同じ事

ガルアス達は同時に攻めてきた、速度的に冬華が早く襲いかかるが美冬は軽い動作で避け、勢いづいた冬華の足を引っ掛け、転倒させ、剣を奪う

さらに美冬は次に来るガルアスの槍を避け、柄を踏んだ、床に刺さる槍にさらに剣を刺し、装飾部分が引っ掛かり抜けなくなっていた

 

「ぬんっ!」

 

素早い判断でガルアスは槍を棄て、美冬に殴りかかった

 

「よっ」

 

しかし見切ったように避け、拳を真上に弾いた、よろけ隙だらけになるガルアス

 

「と」

 

美冬は軽くガルアスを押すように床に叩き伏せ、起き上がろうとするガルアスに対し拳をかざし、ガルアスを止めた

冬華も動けばガルアスが危険と止まったまま

 

「何故攻めない?隙ならいくらでもあったはずだ」

 

「勘違いしてもらっても困るぞ、武力だけが制圧を持ってるわけじゃない」

 

「っ……」

 

攻めずしての制圧、彼女は相当の場数を踏んできたからこそ出来る芸当だろう

 

「ま、吸血鬼ってのはいかに傷つけず敵を倒すのも重要、血が欲しいからな、今回はそれの応用ってわけさ」

 

「吸血鬼の嬢、何か思惑があっての行動だろうが、だが、我等にも退けぬ理由はある」

 

「わかってるさ、だから眠れ」

 

美冬は素早く動き、ガルアスの後頭部を殴り、さらに冬華のみぞおちを肘うちで気絶させた

 

「力をもって叶うことなんて限られてる、今回はそれじゃなかった、知るべきだったな」

 

美冬は歩き、さらに奥へと向かった

 

───

 

各場所で戦闘が起きてるなか黒葉は展望ホールにいた

そこへカイアと白葉が来た

 

「遅かったわね」

 

「先回りされた!?騎士達を突破して来たのか!」

 

囮が功を奏した結果だろう、こうして苦なく来れたのだから

 

「黒葉…本当に黒葉なの…?」

 

「え…彼女が君の…?」

 

驚く白葉に対し黒葉は余裕そうに笑っている

 

「私が本物か、それは貴方が一番にわかってるんじゃないの?白葉」

 

「………」

 

この感じは間違いなく黒葉だ、それは白葉はわかっていて、今は生きていて嬉しいというよりも困惑している

 

「さぁ、帰るわよ白葉、貴方の居場所はここじゃないでしょ」

 

「……それは」

 

言葉につまってしまう

するとカイアが白葉を庇うように立ち、剣を構えた

 

「悪いがそれはさせない、白葉には俺達の大切な人を蘇させてもらう、せめてそれだけでもいい、今は…!」

 

「ダメよ」

 

それは冷たく言い放たれた

 

「正気?人の手によって死者を復活させるなんて愚よ」

 

「く、黒葉、それだけじゃないの!理樹さんがこのままじゃ危ないんだよ!」

 

それを聞いた黒葉は呆れたように溜め息を吐いた

 

「だから協力してるって言うの?貴方のその行為がかえって危険に晒すのよ」

 

「でも…!私は…A.R.K.のみんなも理樹さんも助けたい、お願い邪魔しないで!黒葉!」

 

「………」

 

その言葉を聞き、黒葉は瞳を閉じた

 

「貴方にとって今の私は邪魔なのね」

 

「黒葉…」

 

「でもね、邪魔だと思われても構わない、私は貴方を連れ帰る」

 

そう言い、黒葉は四体の姉妹人形を召喚した

 

「シスタードール!?」

 

白葉は驚いた、消えたと思っていた彼女達が現れたのだから、そして、その中央に黒葉、まるでコアドールのようだ

そのうちの一体がカイアに襲いかかり、カイアは剣で受け止め弾いた

しかしつかさず次の姉妹人形達がカイアに襲いかかった

 

「カイア!」

 

白葉のレーザー状の魔法は一体の姉妹人形を焼き払った、しかしまだ残っている

するといきなり襲いかかる姉妹人形の真上から雷が降ってきて焼き払った

 

「よかった、間に合ったようだね」

 

「藤堂さん!」

 

そこに現れたのは藤堂だった

 

「カイア君、少し時間を稼いでくれるかい」

 

「え?」

 

「聖王の巫女様の力を一気に解放する、アンリ様の意思だ」

 

「アンリの……わかりました、白葉を頼みます」

 

「カイア…」

 

心配そうにカイアを見つめる、それを察したのかカイアは余裕そうに微笑んで見せた

 

「すぐ後追うって、大丈夫、話すればわかってくれるはずだから」

 

「させるもんですか!」

 

姉妹人形で止めにかかるがカイアが姉妹人形を弾き飛ばした

その間に白葉と藤堂は行ってしまい、逃げられてしまった

 

「君!話を聞いてくれ!俺達は間違ってるかもしれないけれど!俺達は平和な世界を作ろうとしてるんだ!」

 

「妄言よ、平和な世界なんてありえない」

 

「出来るんだ、白葉なら!神の化身である彼女なら」

 

「白葉は白葉よ、貴方達が信じる神なんかじゃないわ」

 

残りの姉妹人形がカイアを襲うがカイアは切り払った

 

「君は蘇って他の人はダメなのか!?理不尽に殺されていった人達がいるんだぞ!報われてない人達が!サヤだって死ぬ必要はなかったんだ!」

 

「貴方、過去に囚われているのね…臆病者だわ」

 

「なんだと!」

 

「前に進む勇気がないから禁忌に触れ、死が楽観的になれば世界がおかしくなるのは当然よ」

 

「けど…!」

 

カイアは困惑した、世界のバランスが崩れるのは目に見えている、けれどサヤに会いたい

彼の支えである意思は黒葉に対する敵対心へと変わる

 

「俺はサヤの兄なんだ…!兄として妹を想ってやってるんだ、妹の最期の言葉を聞きたい、その為ならなんだってやるって決めてきた!」

 

カイアは剣を強く握り、黒葉に斬りかかった黒葉は傘で受け止め弾いた

 

「だから!邪魔するなぁ!」

 

猛攻を仕掛けてくるカイアの攻撃を避け、黒葉はカイアに対して哀れみさえ覚えていた、囚われ、そして後悔している、そういった感情が彼を動かしてきている

 

「兄ならわかるはずよ」

 

すると黒葉は優しく穏やかな声で言った

 

「そんなに大切なら最期の言葉ぐらいわかるはずなのよ」

 

カイアの攻撃は黒葉に当たる寸前で止まった

大切な人の最期を自分自身で向かえた黒葉だから気持ちがわかってしまうのだ

あの時の先生は何かを伝えようとしてた、でもわからなかった…でも理樹と会って理解できるようになった

 

「前に進むのを拒んでる、それじゃ目も耳も閉じてるのと一緒なのよ」

 

「君にわかるってのか…」

 

「ええ、私もね貴方と同じように教えてもらったのよ、だから前に進みなさい、貴方には聞こえてくるはずだから」

 

「………」

 

剣を降ろしたカイアは無言のまま

 

「もしも答えが出なかったら私を斬りなさい」

 

それだけを言い残し黒葉は白葉たちを追った

 

「俺は…」

 

───

 

リィムは艦長室、アンリがいる部屋に忍び込んでいた

 

「おやおや〜不思議な波長を感じたから来てみれば…」

 

リィムが見る先には寝ているアンリ

しかしリィムは疑問そうに唸る

 

「高度な呪術ですね〜ほぼ力を吸われているって感じでしょうか」

 

そう言いリィムはアンリの額に触れる

 

「……っ」

 

するとアンリは目をゆっくりと開けた

 

「よっし!さっすが私!難なくですよ〜」

 

普通は有り得ないのだが、リィムにとって、いや彼女自身普通や常識が通用しない、解呪はそんなに簡単なものではない

 

「私は…くっ、藤堂、やってくれましたね…」

 

「おや?訳ありと見ましたよ」

 

「…貴方は?」

 

「私はリィムですよ、何があったんですか?」

 

「………」

 

怪しんではいるが、一応恩人な為、渋々話そうと決心する

 

「不意打ちで封印されていたんです、藤堂という男、政府と繋がっていて、今の今までいいように利用されました」

 

「ほうほう、黒幕登場ですか…」

 

「藤堂を止めなければ!」

 

アンリはベットから降り、歩こうとするが転んでしまう

 

「おやおや〜ドジっ子〜?」

 

ニヤニヤと楽しそうに笑うリィム

 

「違います!まったくもう…ずっと寝てたから身体が…」

 

ゆっくりと起き上がりアンリは急いで出て行った

 

「うーん、あれって戦ってる場所と逆方向に走っていきましたよね」

 

あえて言わなかった、鬼畜

 

───

 

黒葉は薄暗い空間へと来ていた、先程の展望ホール並に広い、演習場だろうか壁に傷や弾痕が残っている

 

「遅かったですね」

 

この声は藤堂のもの、薄暗く姿は確認できないがそこにいる

 

「白葉はどこ?」

 

「彼女ですか、そんなに会いたいなら会わせてあげますよ」

 

すると嫌な魔力の波動が辺りを包み、至る所に魔法陣が展開され辺りを照らす

 

「──!」

 

「来たんだね、黒葉…」

 

「白葉…」

 

「同じ私なのにどうしてわかってくれないの…平和な世界が造れるならそれでいいじゃない!」

 

「死者を冒涜し死を忘れた世界が平和な世界だと言うの?命を弄ぶ、私達はその犠牲となってるのに、それとなんら変わりないわ」

 

「違うよ!A.R.K.のみんなは違うの…理樹さんを守って、みんなの笑顔を守るの…だから」

 

白葉は杖を構えた、戦う気なのだろう

 

「…本気なのね」

 

白葉は走り、レーザー状の魔法陣を黒葉の周りに展開し、射撃するが黒葉は走り、避けて進む

黒葉は傘で殴りかかるが白葉は的確に傘が当たる部分だけバリアを張り防いだ

さらに白葉は薙ぎ払うようにレーザーを杖から放つが、黒葉は寸前で避ける

 

「白葉、貴方は利用されてるだけなのよ」

 

「もう黙っててよ!私、黒葉を嫌いになりたくないの!ひどいこと言わないで!」

 

「そんなに自分が正しいと思ってるの?」

 

「そうだよ!」

 

それを聞いた黒葉は止まり、傘を手放し、両手を広げた

 

「それなら私を消しなさい、貴方が言う世界で、私がいない世界で理樹を守りなさい」

 

「黒葉…」

 

白葉は躊躇い、杖を振れない

 

「貴方の覚悟はその程度なの?そんな覚悟で理樹を守ろうだなんて、愚かね」

 

「うるさい!」

 

放たれたレーザーは黒葉は弾き飛ばした

 

「あ…」

 

「っ…」

 

人の身で受ける魔法は驚異で、身体が引き裂かれそうに痛いのがわかる…

けれど黒葉は立ち上がり再び両手を広げた

 

「黒葉…なんで…」

 

白葉は杖を下げた

 

「巫女様!討つのです、その躊躇いは貴方を殺す!」

 

藤堂は白葉の杖を掴み黒葉に向けさせた

 

「でも、黒葉が…」

 

「クロノスの力があれば彼女は蘇られる、だからこそ撃つんだ!」

 

脅迫にも似た力強い力により白葉はレーザーを撃ってしまった、そのレーザーの直撃を受けた黒葉は吹き飛ばされ、床に倒れる

 

「く、ろは…」

 

しかしまた、黒葉はボロボロになりながらも立ち上がった、左腕を右手を抱えている、もはや限界なのだろう

 

「巫女様、とどめを」

 

しかし白葉は杖を手放した

 

「嫌だよ…黒葉は私だもん、わかるの、本当はもう立ってられないのに…」

 

「白葉…貴方が言う世界は素敵だと思うわ…けれどね、こうやって躊躇いを忘れたら、争う世界が出来てしまうのよ…死は最大の抑止なのだから…」

 

「でも、私のせいで死んじゃった人達は…」

 

「罪から逃れようとしてはダメよ…受け入れる事も人の強さ、進みを貴方の行いで消してはいけないの、未来を壊しちゃ…ダメ…」

 

「黒葉…」

 

「巫女様!貴方の大切な人が危険なんですよ!このままじゃその人は!」

 

「だから私達がいるの、美冬、リィム、スティア、真桜、刺守、みんなが繋がって支えれば変えられる未来はあるの、白葉、それを私達は理樹から教えてもらったはずよ」

 

「っ!」

 

そうだ…私はコアドールとして人間に復讐して世界を壊すつもりだった…

そんな壊れた人形を彼は救ってくれた…私に違う未来を見せてくれた…

そうだ…私は、もう人形じゃない…

 

「黒葉…私…」

 

白葉が手を伸ばそうとした時、その手は藤堂に掴まれた

 

「ふざけるな…秩序ある世界が目の前に来て諦めるだと…」

 

「と、藤堂、さん?」

 

「限定解除、クロノス、蝕め」

 

「──!!白葉!逃げなさい!」

 

「きゃあ!」

 

しかし遅かった白い光が白葉包み込み、やがて黒く輝く光と変わり始める

黒い輝きは形を変え、聖王礼装の形へと変わる

その装備を纏った少女…目は光を無くし虚ろ

神々しく恐ろしささえ覚える

彼女は白葉じゃない

 

「さぁ、新たな世界を切り開こうか、クロノス」

 

飛空艇はクロノスの魔力に包まれた…

 

「やれ!クロノス!」

 

白葉の杖は槍へと形状を変え、クロノスは動けない黒葉を襲う──

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