まだ少し肌寒さが残るそんな朝、俺の部屋にpipipipiと時計の音が鳴り響く。俺は時計のアラームを止め、まだ寝たいという気持ちをなんとか押し殺し体を起こした。
比企谷「もう朝か…」
俺はベットから出ると洗面所へ向かい、まだ寝ぼけた表情をしている顔を洗う。
鏡には、相変わらず目が腐っている男の姿がいつも通りに映った。
比企谷「よし、ばっちりだな」
俺はキッチンに向かい、学校に持っていくお弁当を作りはじめる。
親はいないのかって?当然の疑問だが、特に特別な理由はなく、俺こと比企谷八幡は実家を出て一人暮らしをしている、ただそれだけである。
おかしいな、可能な限り親の脛をかじって生きて行くつもりだったんだがなぁ。まあ今更悔やんでも仕方がない。
朝飯としてお弁当の余りものを食べ、俺は学校へと向かった。
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時間は昼時、今日のお勤めもあと半分か。俺は朝作った弁当を広げながら、帰ったら何をしようかと思考を巡らせていた。
俺は肩をトントンと何者かに叩かれる。無視をするわけにもいかず、俺は手の主を見上げる。
綿貫「あの…、ここで食べてもいいかな」
またお前か。
俺の肩を叩いてきたのはどうやらこいつらしい。
一応考えてみたが、彼女がなぜそんな申し出をしてきたのか分からん。
比企谷「なんでだ」
綿貫は俺の疑問に答える前に自分の椅子を持ってきて座る。ちなみに彼女の席は俺の斜め後ろで、割とご近所だったりする。
今はそんなこと置いといて、俺は納得いかない顔で彼女の顔を見る。
綿貫「だ、だってご飯一緒に食べるような友達まだできないんだもん」
彼女は自分の弁当を俺の机に置きながら話す。綿貫に友達がいないのはなんとなく分かるが、前提が間違っている気がするな。
比企谷「そもそも誰かと一緒じゃないといけないこともないだろ」
彼女は弁当箱を開けながら俺の言葉に納得のいかない顔をする。
っていうか俺の許可まだとってないよね?
綿貫「でも友達と一緒に食べた方が美味しいとおもうけど」
比企谷「一人で食べたって二人で食べたって味に関係あるわけないだろ。ただの思い込みだ」
比企谷「だいたいお前の隣にも昼飯を一人で美味そうに食べてるやついるだろ」
俺は湯神の方を見ながら異議を唱えた。湯神はイヤホンをしながら一人で飯を食べている。
綿貫「あの人は変だから…」
自分と違う価値観を持っている人を変な人と突っぱねるのはよくないと思うけどな。
綿貫「というかそんなにいやなの?」
綿貫が少し不安そうな顔で聞いてくる。
主語がないが、きっと自分と食べるのがいやなのか聞いているのだろう。
しかし俺は一度口にしたことはたまにしか覆さないからな!
比企谷「一人で食べても二人で食べても味は変わらないって言ったろ」
俺はそう言いながらおかずを口に運ぶ。それを見た綿貫は意味を理解したのか、ため息をつく。
綿貫「比企谷くんって捻くれてるよね」
比企谷「悪かったな」
今更言われなくても分かってるっつーの。綿貫は視線を俺の弁当に移す。
綿貫「それって手作り?」
俺は自分の弁当箱の中身を見る。まあ市販で売ってるものにしては形とか歪だしな。
俺は綿貫の弁当箱の中をチラッと覗く。手作りみたいだが、なかなか手の込んだお弁当だ。
比企谷「お前のもそうだろ。えらい手ェ込んでるけど」
なぜか綿貫は少し嬉しそうな顔をする。綿貫が喜びそうなこと俺言ったか?
綿貫「そうなの、お母さんが作ってくれたんだ。豪勢なお弁当だったら友達との話題作りになるだろうって」
それはまあ、なんと娘思いのおかあさんなことだろうか。ただ悲しいことに娘がそれを活かしきれていないけど。
綿貫「でね、このウインナーが…」
え?その話続くのか…?そういうのは友達に話してくれよ…。
うん、よし適当に流すか!
俺は綿貫の話を適当に流して、弁当を食べる事に集中する事にした。
綿貫「で、この卵なんだけど…って比企谷くん話聞いてる?」
比企谷「ん?ああ、俺もこの世で最高の飲み物はマッカンだと思ってる」
綿貫「なんの話!?」
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午後の授業も終わり、放課後タイムとなった。とはいえ俺は部活をしているわけでもないため、鞄に荷物をしまい家に帰る支度をする。
そんな俺の近くを湯神がスタスタと歩いていった。湯神は野球部であるため、放課後になるといつもさっさと教室を出ていく。
しかし今日はいつもの1.1倍ぐらい歩く速度が早かったな。
俺が湯神の後ろ姿を眺めていると、綿貫が後ろから声をかけてくる。
綿貫「どうかしたの?」
綿貫はもういない湯神の方を見ながら問いかけてきた。
比企谷「いや、この世で最高の飲み物はマッカンだと思っててな」
綿貫「その話まだつづいてたの!?」
マッカンの素晴らしさを語る事より大切な事はないわけだが、どうやら綿貫はそうではないらしい。
いやはや人間ってのは分かり合えないもだな。
綿貫「そうじゃなくてさ、さっき湯神くんの方見てたでしょ?」
比企谷「なにお前俺のストーカーなの?」
綿貫「普通に前なんだし見えるでしょ!?」
そう言えばこいつ俺の斜め後ろの席だったな。
比企谷「別に大した事じゃねぇよ、湯神がいつもと少し違ったから気になっただけだ」
俺の言葉に少し疑問を持ったのか、綿貫は首を傾けている。
綿貫「別にいつも通りだと思ったけどなぁ、まあ湯神くんとあって日が浅いからかもだけど」
比企谷「いや、いつもより歩くのがほんの少しだけ早かっただろ」
そんな事も分からないのかと、俺は綿貫の方を見ながら答える。すると綿貫は変態を見る目でこちらを見てきた。
綿貫「君の方がストーカーだよ…」
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比企谷「で、なんで付いてくるんだよ」
俺はなぜか綿貫と肩を並べて歩いている。これじゃあまるで友達みたいじゃないか!
綿貫「私も部活入ってないし、帰るだけなんだよ…」
綿貫は落ち込んでいるが、学校が終わってすぐ帰れるなんていいことじゃないか、何が不満なのだろうか。
比企谷「そんなに学校にいたいなら部活入ればいいだろ」
俺の言葉を聞くと、綿貫はより一層方を落とす。
綿貫「私みたいなのが二年生から入部したって迷惑にしかならないよ…」
こいつはあれだな、いろいろ気にしすぎてストレス多そう。こんなんだから友達もできないんじゃなかろうか?ってだから俺が言えることじゃないんだけど。
比企谷「別に迷惑ぐらいかければいいんじゃねぇの。本当の友達が欲しいなら気遣ってばかりじゃ駄目だと思うが」
綿貫は意外そうにこちらを見ている。なんだよ、お前に言われたくないってか。その通りだよちくしょう。
綿貫「いや、意外だなぁっておも…」
綿貫が言い終える前に、突然横から飛び出してきてやつと綿貫がぶつかった。
門田・綿貫「わ!」
綿貫はその衝撃でこちらに倒れこんでくる。俺は瞬時に反応し、綿貫を避けた。
綿貫「あたっ」
間抜けな声を出している綿貫の安否を目で確認すると、相手の男の方を見る。どうやら相手は野球部らしい、野球部の帽子をかぶっている。
よく見ると、野球部にいた金髪の一年生だった。
比企谷「大丈夫か?」
俺は綿貫に声をかける。よく見ると綿貫は手を怪我していた、まあ怪我と言ってもかすり傷だけど。
綿貫「大丈夫だけど、比企谷くん避けたよね」
比企谷「大丈夫っても手を怪我してるし、保健室行った方がいいんじゃないか?」
俺が保健室に行くことをオススメしていると、金髪の少年がこちらにきて頭を下げた。
門田「すみません!大丈夫でしたか…って、あなたたち前に先輩たちと揉めてた…」
どうやら相手もこちらのことを覚えていたらしい。あの日は面倒な一日だったな。結局反省文は書かなかったけど。
門田「やべ!急がないと試合はじまる!」
なるほど試合か。それで湯神もいつもより張り切ってたのか。
金髪の少年は急いで走り去っていく。
比企谷「ハリケーンボーイだったな」
綿貫「そ、そうだね」
俺は横にあるグランドの方を見る。いつの間にか野球部前まで来ていたらしい。
俺は前に歩き出す。綿貫も俺に合わせて歩きだすが。
比企谷「お前保健室いかねぇの」
綿貫「え?別に大した怪我じゃないし」
おとなしく保健室行けばいいのに、そしたら俺は一人静かに帰宅できるというものを。
俺は水道の方に綿貫を誘導する。
比企谷「ほら、怪我したところ水道で洗え。なんもしないよりはマシだろ」
俺は絆創膏を取り出しながら綿貫に洗うよう指示する。
綿貫「え、あっうん」
綿貫は素直に怪我したところを洗った。俺は綿貫が洗い終えるのを待って、綿貫にハンカチと絆創膏を渡す。
綿貫「比企谷くんって意外に気が使えるんだね。そもそも比企谷くんが避けなければ怪我してないけど」
比企谷「当たり前だろ、気が使えるからぼっちやってんだよ」
俺は綿貫が絆創膏を貼り終えるのを確認し、また足を進める。
綿貫「いや意味わかんないよ」
後ろから綿貫の呆れた声が届く。俺は横のグランドに視線を移す。
グランドには試合相手と思われる高校の野球部と湯神らが並んでいる。どうやらこれから試合らしいな。
綿貫「あ、試合始まるんだ。たしか湯神くんって野球部のエースなんだよね」
いつの間にか追いついてきた綿貫もグランドの方を見ていた。
比企谷「ああ、すごい強いらしい」
まあ実際に見てないからよくわからんけど。そう言えば…。
比企谷「野球部と言えば前の自転車のやつら、なんも言ってこないな」
自転車のやつらとは、二年生の自転車置き場に留めといて綿貫に逆ギレしてたやつらのことだ。
綿貫「いや、あれから自分で原稿用紙買って毎日私が書いたんですけど!後ろで書いてたのに気づいてなかったの!?」
まじかよ、全然気づかなかったわ〜。いやまじで気づいてなかったけど、相変わらず苦労しそうな性格してんなぁ。
比企谷「別にほっといても俺が怒られるだけだったろうに」
綿貫「いや、それだとなんとなく後味悪いし…」
俺は財布をから千円を取り出し、彼女に渡す。
綿貫「なにこれ?」
比企谷「いや、恩を売られたまんまってのは気に入らないからな」
綿貫は慌てて千円札をこちらに返そうとしてくる。しかしもう受け取ってしまった以上は綿貫のものだ、俺が受け取る必要はない。
綿貫「こ、困るよ!」
綿貫は俺にお金を押し付けてくる。しかし、俺は綿貫の手を押し返す。
比企谷「いや、俺の少ない小遣いから出してんだ。ありがたく受け取っとけよ」
綿貫「そんなの聞かされたら余計困るよ!?いいよお金なんて!」
綿貫は押し付けてくる力を強くする。しかし負けるわけにはいかないな、俺のプライドにかけて!
比企谷「俺が困るんだよ!」
綿貫「なんで!?」
結局、俺は綿貫からお金を受け取らず、恩の押し売りを回避することができたのだった。まあ相手が喜んでいるのかは別としてな!
質が低いのはいつも通りなんだけど、なんだか今回はさらに質が低くなってしまっている気がする。まあそんなに期待されてないはずなのでのんびり向上してけばいいですよね!(開き直り)