「パパー、すきー」
「はいはい。宿題はやったか?」
「やったよー。だからパパの膝に休みにきたの」
「しょうがないな」
「んふー。おーちーつーくー」
「おちるなよ」
「ふぁーい」
「八幡、ちょっといい?」
「ん、空悪いけど…」
「…」
「おーい、空?」
「ママのとこ行っちゃうの…?」
「うぐ…ちょっと離れるだけだ…」
「そらー、八幡の邪魔しないの」
「うー!ママばっかずるいよ!せっかくパパと休みなのにー!」
「ママだって八幡と一緒にいたいの。独り占めはだーめ」
「ずるいもん…」
「あーはいはい。2人とも仲良くな。杏も後でいいか?」
「はぁ…もう仕方ないな…八幡は」
「やったー!じゃあパパのひざー」
「…杏はどこに座ればいいのさー」
「横じゃ駄目か?」
「むー、しょうがない我慢してやるかぁ…」
「へへ、勝ったー」
「今度はママが膝だからね」
愛しい家族。
娘も可愛いしまだ幼稚園に通いだしたばかりの息子も可愛い。
今はもう寝ちゃってるけど。
私と空の間で暗黙のルールがある。
八幡が仕事の日は帰ってきてもあまり甘えすぎないようにしようって事。
まあそんなこと決めてても八幡は空を可愛がるし、私の事も甘やかしてくれるけど。
自分たちから言い出して八幡を困らせないようにって事だね。
八幡は身内には甘々だから私達から甘えると際限無くなっちゃうし。
だからこそ休みの日の夜は至福の時間だ。
昼は家族みんなで遊びに行ったり家でゴロゴロしたりして、夜は静かにそばに居る。
皆この時間が好きだもんね。
八幡が膝に座った空の頭を撫でてる。いいなぁ。
私も大人になったとは言えその場所が好き。
幸いにも身体が大きくならなかったから私もまだそこに収まるんだからね。
好きな人に後ろから包まれる感触は幸福そのものだ。
もちろん八幡も好きみたい。
2人きりの時は時々そういうふうなことしてあげてる。
膝の上には乗せてあげられなかったけどね。
ソファで家族3人他愛もない会話をする。
小学校でこんな事があったとか、担当のアイドルがテレビ出演するとか色々。
私は2人の顔を見る。
皆笑顔だ。
こんな家族をつくれて幸せだと思う。
八幡に出会えて良かった。
「杏?なんか凄い嬉しそうだな」
ふと私を見た八幡が言う。
「ふふ、八幡だって嬉しそうな顔してるじゃん。それとそらー?そろそろ代わりなさい」
「うー…わかったー。でもパパは空のだからねー」
ムスッとした顔でそんな事を言う。
全くファザコンが酷くない?
この子大きくなって彼氏とかちゃんとつくれるかな…?
まあ八幡よりいい男なんていないけどね!
「ふっふーん、八幡はママのだよ。残念だったね、空」
「ずるい!もう、ママ嫌い!」
「空、ママの引退ライブ限定の写真あるけどみるか?」
「え!?みる!見せてー」
思わず笑い出す。
空は私のライブが大好きで八幡も好きだけど私の事も大好きだ。
だから八幡を取り合う時は喧嘩するみたいになるけど、すぐに八幡が餌を出す。
純粋な空は私を嫌いと言いながら私の写真やライブ映像で笑顔になる。
わかりやすくていい子。
八幡に似て口が達者なこともあるけどそれ以上に人の感情にまっすぐだ。
好きだったら好きって言うし嫌いだったら嫌いっていう。
あと私にも似てる。
基本自分から動こうとしないし、もし動くとしたら自分がしたい事としなきゃ行けないことだけだ。
変なとこ似ちゃったのかなー?
「ねえねえ、どんなの?ライブ中のやつ?」
「聞いて驚け、パパの携帯にしかない超レアなオフショットだ」
「うーわー!なんで教えてくれなかったの?はやくみーせーてー」
皆で笑顔になる。
楽しいなぁ。
幸せだ。
私は八幡との出会いを思い出す。
お互いにやしなって!だなんて言い合って。
結局八幡が私に負けて八幡が養うことになった。
いつかからかってやろうと思って言ったことがある。
夢が叶わなくて残念だね?って。
そしたら八幡は
夢なら新しいのが出来た。教えてやらないけどな。
笑いながらそんな事を言った。
教えてはくれなかったけどその笑顔でどんなものかは察しがついた。
だから余計に幸せになって思いっきり抱きついてやった。
昔八幡が言ってた青春とは嘘であるって言葉。
私はそうは思わない。
だって私の青春は嘘じゃなかったから。
八幡だって今ならそう言ってくれるよね?
だから八幡の真似をしてこう言おう。
私の青春ラブコメは間違っていない。
終わったー!
遅くなってごめんなさい!
この歳で三徹することになるとは思いませんでした笑
衝動的に始めたこととはいえ何とか終わって安心してます。
お付き合いいただきありがとうございました!
私の作品はいい感想しか貰えなくて、もちろん嬉しいですけど低い評価の感想も聞きたいですね。
もっと良くしていきたいので。
それでは皆さんまた、近いうちに、お会いしたいと思います。
やーみーのーまー!